寮に戻り夕飯を食べ、お風呂に入ろうとしたら、突然インターホンが鳴る。
何事と思いながらドアを開けると、そこには須藤がいた。
「助けてくれ黒瀬!」
「いや、いきなり助けてくれって言われてもな・・・・・・」
「説明は綾小路の部屋でするから、とりあえずついて来てくれ!」
「あ、ああ。分かった」
俺の格好はまだ学校の制服のままだったので、そのままで須藤について行くと、401の部屋の前で止まる。
(てか綾小路の部屋って401だったのか)
すると須藤は、ポケットからカードキーを出して綾小路の部屋の鍵を開ける。
(ええ...)
「助けてくれ綾小路!」
「お邪魔します」
人の部屋にずかずかと入る須藤。
須藤は靴を揃えずに入っていったので、それを直してから部屋に入る。
(俺とは対極的で何もないな)
物が何も追加されていない部屋で、座る場所に悩んでしまったので、どっしりと座る須藤の隣に座る。
そして、周りを1度見渡してみる。
(うん。入学当初の部屋と何も変わらないよな)
「お前もまさかカードキーを持ってるのか?」
部屋を見ていたら、綾小路にそんなことを聞かれた。
「まず、綾小路の部屋の場所を今日初めて知ったからな。持ってるわけがないだろ」
(初めて来た部屋なのに、それでカードキーを持っていたら恐怖でしかない)
それを聞いた綾小路がほっとしていると、横から須藤が不満を述べる。
「てかカーペット買おうぜ。ケツが痛くて仕方ねえ」
(確かにケツが痛いのは分かるぞ。だがぼっちの綾小路に必要かと思えない)
そんな失礼なことを思いながらいると、チャイムが鳴る。
他にも呼んだやつがいるようだ。
綾小路が玄関に行き、部屋に上げたのは櫛田だった。
実は未だに櫛田と話したことがないので、なんだが気まずく感じてしまう。
「あれ、もう須藤くん来てるんだ。黒瀬くんも」
「念のために聞くけど、ひょっとして櫛田も合鍵所有者か?」
そこから櫛田による綾小路の部屋の鍵についての話があり、今回の本題である須藤の話に入る。
須藤の話によると、先週見かけたあの3人組を殴って停学になるかもしれないらしい。
須藤の言い分では特別棟に呼び出され、そこには石崎という男がいてバスケを辞めろと脅されたようだ。
それを断ったら、殴りかかってきたからやられる前に殴ったと。
だがCクラス側は、須藤から殴りかかってきたと訴えたらしい。
その2つの話を聞いた学校側は、来週まで時間をやるから、向こうが仕掛けてきたことを証明しろと要求してきたようで。
無理だった場合、須藤が夏休みまで停学、クラスポイントがマイナスになるそうだ。
(殴ったことは怪我として残っている。
特別棟から出てきた3人を見れば分かることだ。須藤が殴ったことはどう足掻いても覆らない。
そして今の須藤は無傷。
これで怪我をしていたら、証明することも可能かもしれないが。
傷がなく相手をボコボコにした事実しかない以上、須藤が何かしらの罰を受けるだろう。監視カメラがあったら解決されそうなんだが...。
うん、待てよ。
監視カメラがあれば、今回の件についてもすぐに判決が下されるはず。
だが、今こうやって判決が下されず、向こうから仕掛けてきたことを証明するために集まっている。
特別棟には監視カメラがないのか?
やっぱり確認するべきだな)
「────黒瀬くんはどう思う?」
「え?」
頭の中で考えていたら櫛田に話しかけられて、素っ頓狂な声を出してしまった。
(考え終わった矢先にいきなり話しかけられても...。
てか、いつの間にかボールペン真っ二つになってる...。あとコーヒーが目の前に)
「須藤くんの無実を証明するためにどうするべきかについてだよ?もしかして聞いてなかった?」
「考え事をしてて全然聞いてなかった。すまん」
「おい、やる気あんのかよ!」
俺が話を聞いてなかったこと聞き、須藤が殴ってくる勢いで怒鳴ってくる。
だが、それを見ていた櫛田が間に入ってくる。
「黒瀬くんは須藤くんを助けるために考えてくれてたんだよ。そうだよね?」
「ああ、それでも聞いてなかったのはすまないと思っている」
「そうだったのか。いきなり怒鳴ってわりい」
「その、考えて何か分かったことはあった?」
(さてここでどうするかだが。監視カメラの部分をぼかしておいて、なぜ特別棟に呼び出されたのか気になったとでも言っておくか)
「俺が思うに、Cクラス側から仕掛けたのか、須藤から仕掛けたのかより、なぜ特別棟に呼んだのかが気になっているんだ」
「確かに・・・・・・わざわざ脅すために特別棟に行く理由何てないよね」
それに綾小路も相槌を打つ。
通常なら行かないはずの特別棟に呼び出した理由、それがこの事件の鍵の1つのはずである。
俺は続けてこう言う。
「俺がもし須藤を脅すなら、体育館裏に連れ出すだろう。あそこなら、部活終わりで1番近いはずだしな。だがCクラス側の奴らはあえて特別棟を選んだんだ。特別棟には、この学校に普通はあるものがなくて、誰かに見られてる心配がないってことで選ばれたんじゃないか?」
(考えてるより話した方がもしかして考察しやすいのか!?そしたら、俺の長考癖が治るかもしれないな)
「そのこの学校にほとんどあって、特別棟にはないものが分かれば、この件もすぐに解決出来るの?」
俺の考えを聞いて、櫛田が質問してくる。
「俺には全く分からない。ただ、Cクラス側がこれを意図的に仕掛けた可能性が十分に有り得るということが分かるだろうな。あと、俺は須藤が小宮と近藤に呼び出されたところを見ている。だが、見ていたやつなんて俺以外いないし、何より見ていた証拠がないから無理だ」
(もしあの場で写真でも撮っておいたら、少しこちらが有利になるかもしれないな)
「色々とありがとうね。やっぱり、目撃者を地道に探すしかないのかな?」
「無実を証明するにはそれしかないだろう」
(目撃者はいたからそいつを探し出すしかないな。えーっと、確か女子で胸が大きくて髪が黒じゃなかったぐらいしか分からなかったしな)
俺はコーヒーに手を伸ばして飲む。
「図々しいようだけどよ、今回の件・・・・・・誰にも言わないで貰えねーか?」
「え・・・・・・誰にもって・・・・・・?」
「噂が広まるとバスケ部の耳にも入るだろ。それは避けたいんだよ。分かるだろ?」
「それは確かに避けたいな」
もしこんな話が広まれば、レギュラーとして試合に出る機会を無くしてしまうかもしれない。
それは誰だって嫌なはずだ。
「須藤、それは幾らなんでも────」
「分かってくれよ綾小路。俺からバスケを取り上げたら何も残らないんだよ」
そう言いながら、綾小路の両肩を掴む。
「Cクラスの生徒たちは須藤くんが暴力を振るったって、勝手に言いふらしちゃうんじゃないかな?自分たちの都合の良いようにさ」
「それはまだ大丈夫じゃないか?もし、言いふらされてたら俺たちの耳に届いていてもおかしくないからな」
確かに言いふらされていたら、こちらの耳にも届いているだろう。
そうなれば、平田あたりが動くのは明白だ。
だが、今日は何も無かった。
ということは、まだ言いふらしていないということにもなる。
「ひとまずは安心ってこと、かな?」
「今のところは、だな」
「須藤くんはこの件、関わらない方がいいよね?」
「そうだな。当事者が動くと良くないだろうな」
それに俺は首を縦に振る。
「けどよ、おまえらに全部押し付けるなんて────」
「押し付けなんて思ってないよ。私たちは須藤くんの力になりたいだけなんだから。どこまで出来るかはわからないけど精一杯やってみるから。ね?」
「・・・・・・わかった。お前らには迷惑かけるけど任せることにする。んじゃ俺は部屋に戻るわ。今日は悪かったな、いきなり押しかけてよ」
「合鍵を作ったこと以外は気にしなくてもいい」
そんな綾小路の気持ちに俺は同情する。
(お前の気持ち分かるぞ、綾小路。俺も勝手に先輩方がずかずかと部屋に入ってくるからな)
「櫛田もまた明日な」
「うん、ばいばい須藤くん」
手を振って須藤を見送る櫛田。
俺もそろそろ帰るとしよう。
「俺も帰るよ。それじゃあ、また明日」
「あっ、ちょっと待って。私、まだ黒瀬くんの連絡先知らないんだ。連絡先交換してくれないかな?」
帰ろうとしたら、櫛田が俺に近づいてきた。そして距離が異様に近い。
(ここで断りたいが、あの件を思い出したらな...。危なそうだから交換しとくか。それより近い)
「いいぞ」
俺は櫛田と連絡先を交換する。
ついでに連絡先を交換した人数を数えてみることにした。
(てか1年生で連絡先知ってるの12人って...。先輩方の連絡先は100近くなのに...)
そんなことを思いながら俺は綾小路の部屋をあとにした。
高度育成高等学校学生データベース
7月1日時点
氏名 本城悠(ほんじょうゆう)
クラス 1年D組
学籍番号 S01T004652
部活動 ゲーム部
誕生日 2月3日
評価
学力 B-
知性 A
判断力 E
身体能力 C+
協調性 C
面接官からのコメント
学力、身体能力共にB、Cクラス相当の能力を持ち合わせている。だが面接時に見せた優柔不断なところがだいぶ目立つため、Dクラスへの配属とし、今後改善されるよう期待している。
担任メモ
クラスでは男女共に仲良くしているようです。
3章(よう実3巻目)でオリ主のクラスをどうするか悩んでいるのでアンケートをとります(4つともの場合、A,B,Cクラスのは外伝みたいなので出すと思います)
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このままDクラスで
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Cクラスで
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Bクラスで
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Aクラスで
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4つともで