ようこそ2人の最高傑作がいる学校へ   作:クリッピー

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第16話 再会

 翌日の朝、櫛田に情報を共有してから、自分の席に座る。

 

(たった1日で目撃者が見つかるとは思っていないが)

 

 南雲先輩に頼んでいたことだが、今朝『聞ける範囲だけだが、今のところ誰も見ていない』と送られてきたので、あの女子が2年生である可能性はほぼ無くなった。

 

(流石、南雲先輩。2年生を掌握している人は違うな)

 

「はー。本当にCクラスの奴らが悪いって証明なんて出来んのかな・・・・・・」

 

「目撃した人さえ見つかればそれも不可能じゃないよ。頑張ろう池くん」

 

 ため息をつく池に、平田がエールを送る。

 だが、それには効果がなかったようだ。

 

「頑張ろうってったってさ、そもそも本当に目撃者なんているのかよ。須藤が何となくいたと思ったってだけだろ?やっぱり嘘なんじゃねえの?あいつって暴力的だしよく人を挑発するし」

 

「僕らが疑ってたら、そこから何も発展しない。違う?」

 

「そりゃ、そうだけどさあ・・・・・・。もし須藤が悪いって結論になったら折角増えたポイントはまた全部没収されるよな?そしたら0だぜ0。こんなんじゃいつまで経ったって小遣い0。遊びまくるなんて夢のまた夢だぜ」

 

「その時はまた皆で1から貯めればいい。まだ入学して3ヶ月さ」

 

 平田はそう言うが、0ポイント生活に音を上げているやつは少なからずいるはずだ。

 

(まだクラスポイントが大きく変動するものは来ていないから、確かに貯めるチャンスはあるだろう。

 だが、そのクラスポイントが大きく変動するもので、マイナスがないとは言い切れない。

 それがクラス対抗となれば、Aクラスの坂柳、Cクラスの龍園、そして未だ会っていないBクラスのリーダーと戦う可能性だってある。

 もし今回でポイントが0になったら、Aクラスに行く夢は難しくなるだろう。

 まあ、俺は強い奴と競えればそれでいいし、Aクラスで卒業したいなんて一切思っていない。強いて言うなら、毎月ポイントがどれだけ貰えるのかぐらいしか心配していない)

 

「ポイントは大事だと思うんだよ俺は。それが皆のモチベーションに繋がるじゃん?だから何としてでもクラスポイント死守したいんだよ。87ポイントでもさ」

 

(ポイントがなくなってクラスメイトのモチベが下がったら、勝てる戦いでも負けてしまう可能性があるよな)

 

「気持ちはわかるよ。だけどポイントに固執し過ぎて本質を見失うのは危険だ。僕たちにとって1番大切なのはどこまでも仲間を大切にすることだよ」

 

(きゃー、かっこいい)

 

「須藤が・・・・・・悪かったとしてもかよ」

 

 その問いに平田は頷く。

 

(平田、まじで仲間思いだな)

 

「平田くんの言うことはもっともだけどさ、やっぱあたしもポイントは欲しいかな。Aクラスの連中なんて毎月10万近く貰ってるし。超羨ましいって感じ。オシャレな服とかアクセとかいっぱい買ってる子もいるし。それに比べてこっちはどん底じゃん」

 

 いつもは平田側についているような軽井沢だが、今回は池と同じ意見のようだ。

 

(Aクラス人がどんなポイントの使い方してるのか今度、坂柳と神室に聞いてみよ)

 

「何で俺、最初からAクラスじゃなかったんだろ。Aクラスだったら今頃すげえ楽しい学校生活送れてただろうな」

 

「あたしもAだったらなあ。友達と色んなとこ遊びにいけるのに」

 

(お前らがAクラスにいたら、入学1ヶ月でDクラスあたりに下がってるわ。そしたら、学校初の入学1ヶ月でAクラスがDクラスに降格になるんじゃね?)

 

「一瞬でAクラスになれるような裏技とかあったら最高なのにな。クラスポイントを貯めてくなんて難しすぎっしょ」

 

「喜べ池、一瞬でAクラスに行く方法は一つだけ存在するぞ」

 

 まだ授業開始まで5分もあるのに、教室の入り口から茶柱先生がやってきた。

 

「先生・・・・・・今なんて」

 

「クラスポイントがなくてもAクラスに上がる方法があると言ったんだ」

 

(そんなのあるの!?)

 

 俺はそのことに内心びっくりする。

 

「またまた~。佐枝ちゃん先生、俺らをからかわないでくださいよ」

 

 池も流石に騙されないっすよ、と笑う。

 

「本当の話だ。この学校にはそういった特殊な方法も用意されている」

 

「せんせー、その、特殊な方法ってなんでございましょう・・・・・・?」

 

 先生の機嫌を損ねないような聞き方をする池。

 

「私は入学式の日に通達したはずだ。この学校にはポイントで買えないものはないと。つまり個人のポイントを使って強引にクラス替え出来るということだ」

 

(何でも買えるのは知ってたけど、クラス替えも出来るとはな。3年間このクラスのままかと思っていたが、これはありがたい情報だな)

 

「ま、マジですか!?何ポイント貯めたら、そんなことが出来るんですか!?」

 

「2000万だ。頑張って貯めるんだな。そうすれば好きなクラスに上がれるぞ」

 

(2000万か。今持ってるのが1600万ちょっと。頑張れば、夏休み前までに貯めてクラス替えが出来るな)

 

「2000万ポイントって・・・・・・無理に決まってるじゃないすか!」

 

「確かに通常では無理だな。しかし無条件でAクラスに上がれるんだからそれくらい高くて当然だろう。仮に桁を1つ減らしたなら、3年の卒業間近にはAクラスは100人を超えるだろうな。そんなAクラスには何の価値もない」

 

「じゃあ聞くっすけど・・・・・・過去にクラス替えに成功した生徒はいるんですか?」

 

(確かに気になるな)

 

「残念ながら過去にはいない。理由は火を見るより明らかだろう。入学時からのクラスポイントをきっちり維持しポイントを使用しなかったとしても、3年間で360万。Aクラスのように効率良くポイントを増やしたとしても400万に届くくかどうかだ。普通にやっても絶対に足りないようになっている」

 

「そんなの出来ないと一緒じゃないすか・・・・・・」

 

「実質不可能に近い。だが不可能じゃない。この違いは大きいぞ池」

 

 そう言ってこちらに目を向ける先生。「そうだろ?」とでも言いそうな顔で。

 

「私から1つ質問させていただいてもよろしいでしょうか」

 

 それに挙手したのは、Aクラスに上がりたい欲が高い堀北だ。

 

「学校が始まって以来、過去最高どれだけのポイントを貯めた生徒がいるんですか?もし参考例があるようならお聞かせ願いたいです」

 

「なかなか良い質問だな堀北。3年ほど前だが、あれは卒業間近のBクラスにいた生徒だったか。1人の生徒が1200万ほどポイントを貯めていたことが話題になってな」

 

(俺じゃなくて良かった。まあ、堀北は過去でって言ってたから、現在進行形の俺は除外されたのかな?)

 

「せ、1200万!?それもBクラスの生徒が!?」

 

「だがその生徒は結局2000万ポイントを貯めきることなく卒業前に退学になったんだが。退学理由は、その生徒がポイント貯めるために大規模な詐欺行為を行ったからだ」

 

「詐欺?」

 

「入学したたてで知識の浅い1年生を次から次へと騙しポイントをかき集めた。2000万貯めてAクラスに移動するつもりだったんだろうが、学校側がそのような暴挙を許すわけもない。そうだろう?着眼点は悪くなかったと思うが、ルールを破った者にはしっかりとした制裁を与えなければならない」

 

(詐欺行為は退学か。犯罪行為には何かしらのペナルティがあるということか)

 

 そのあと、部活でポイントが貰えることを聞き、授業が始まった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 放課後になり、校舎1階にあるカフェ、パレットに入る。

 坂柳から『放課後、校舎1階にあるカフェに来て下さい』とメールが来たので、このカフェに来たのだ。

 俺は周りを見渡し坂柳と神室のいる席を見つけ、その場所に腰を下ろす。

 

「少し遅れてすまないな」

 

「お気になさらず。おや、何も頼んでいないのですか?」

 

「え?席に着いてから注文するんじゃないのか?」

 

「いえ、あそこで注文して受け取るんですよ」

 

 坂柳の指した方向を見ると、パレットに来たと思われる生徒が多く並んでいた。

 

(俺、てっきり席に座って注文するのかと思ってたよ。だから、あそこに人が並んでいるのか)

 

「ちょっと買ってきます・・・・・・」

 

 俺はそう言って、女子が多く並んでいる最後尾に並ぶ。

 そして自分の番になりコーヒーを注文し、それを受け取ってからもう1度席に座る。

 

(今度からミスしないようにしよ)

 

「黒瀬くんって意外と抜けてるんですね」

 

 微笑みながらそう言う坂柳。

 あまり話したりするわけではないので、もしかしたら完璧な人間と勘違いされているのかもしれない。

 

(それだけは訂正させなければ)

 

「俺は完璧な人間じゃないからな。それで、ここに呼んだ理由は?」

 

「ここに呼んだのは夏休みにあるバカンスについてです。私はそこで、何かしらのことがあると思ったのでお呼びしました」

 

 あまりにも憂鬱すぎて考えてもいなかったが、確かにこの学校が普通のバカンスに連れていくなんてことは、ほぼ有り得ないだろう。

 そこで何かをさせられるのがオチだ。

 

「そこで出来れば葛城派の勢力を削れと?」

 

「そういうことです。何が行われるかは分かりませんが、黒瀬くんならやってくれると信じていますよ」

 

「期待に応えられるかは分からないが、最善は尽くそう」

 

 バカンスというのだからどこかの島で過ごすとは思うが、そこで何が起こるかは全く分からない。

 遠泳の可能性やトライアスロンの可能性、サバイバルをさせられる可能性だって考えられる。

 ただ考えられることは、この場所では出来ないことを必ず行うはずだ。

 そう思うと、相当キツいことが行われる可能性が高いだろう。

 

(まあ何にしろ、頑張るだけなんだけどね)

 

 頼んだコーヒーを飲みながらそんなことを思っていると、坂柳が何かを思い出したようでこちらに告げてくる。

 

「そういえば、前回の対策プリントありがとうございました。おかげさまで、こちら側に3人入ってくれました。黒瀬くんには少ないかもしれませんが、これはお礼です。返却はなしですよ」

 

 そう言われて、携帯を操作しているのが見えたので、自分の携帯を確認すると3万ポイントも送られてきた。

 

「別にお礼なんていらないんだけどな・・・・・・まあ、ありがたく受け取っておくよ」

 

「ありがとうございます。今後もよろしくお願いしますね」

 

 そのあと少し雑談をして、カフェで2人と別れ、スーパーへと向かう。

 今日は週に一度の無料の商品を買う日であり、一緒に行くはずの綾小路は今日も櫛田に捕まっていたので次からと言っておいた。

 

 スーパーに入りカゴを取ってから、無料の商品のところに向かう。

 スーパーの無料の商品コーナーの商品数は他のところ比べて少なく種類によって決まっている。

 例えば肉類だと『1週間3点まで』で、魚類も肉類と同じである。野菜類は『1週間5種類まで』だったりする。

 無料の食品として陳列されているのは少し傷んでいたり、サイズが小さかったりなどの訳ありである。

 そんな無料の商品も余ることがもちろんあり、このスーパーでは食品ロスを削減するため毎日18時に残っている無料の商品を全て回収し、そこから料理として『1日1点まで』と書かれた無料の商品に変わり、それがかなり人気なのは今は置いておこう。

 そんな無料の商品が置いてあるコーナーを、俺は1度全て見て回る。

 ちなみに今日は肉と野菜買う日なので、特に肉と野菜はしっかり見ておく。

 そして全てが見終わり、目星を付けた野菜から肉という順番でカゴに入れていく。

 

(常温だと腐ってしまう肉類は後にして、常温でもいける野菜から取っていく。そんなに滞在時間は長くないから、あまり関係ないけど)

 

 野菜5種をカゴに入れ、今日1番の狙いである『豚バラ肉 300g』を手に取ろうとしたら、横から手が伸びてきた。

 俺は商品に触れる前に手を止め、合図で譲ることを示す。

 こういうのは譲るのが俺のポリシーである。

 だが一向に『豚バラ肉 300g』は動かない。

 どうやら、横から取ろうとした人も俺と同じに譲ってくれたようだ。

 このままの状況だと、永遠に譲り合いを繰り返してしまい、最悪3人目に取られてしまう可能性がある。

 それに俺には次の狙いである『鶏むね肉 300g』もある。それも取られてしまっては、1週間分の肉に影響を及ぼしてしまう。

 肉が特別好きなわけじゃないが、弁当を作っている身としては欲しいところである。

 ここは『豚バラ肉』を諦め、『鶏むね肉』の確保を優先した方がいいだろう。

 伸ばしていた手を戻し、『鶏むね肉』が置いてある所に移動する際、相手がどんな人なのかが気になり横目で確認すると、それは思いもよらない相手だった。

 

「あ、お前はあの時の・・・・・・」

 

 あまりにも意外だったので、つい声に出してしまった。

 隣にいたのは、水色の髪の女の子。

 そう、入学して1週間後に通学路で転んでいた腹ぺこ女の子である。

 相手もこちらを見て驚いている。

 

(この学校の在校生なら、どこかで1度は会うと思っていたが、まさかスーパーの無料コーナーだとは...)

 

「あ、あの時は、ありがとうございました」

 

 おどおどしつつお辞儀をする女の子。

 

(今さらだがこの子可愛いな。櫛田も可愛いと思うが、それと同じぐらい。胸は...櫛田より小さくて堀北より大きいぐらい?

 ていうかこの学校来て、初めて人の分析したと思うわ)

 

「顔を上げてくれ。とりあえず、買い物をしてから話さないか?こんなところで立ち話は邪魔になるし」

 

 この時間帯はあまり人が来ないが、少し時間が経てば上級生の方々がやって来るはずである。

 そうなってしまえば、目当ての商品にありつける可能性が低くなってしまう。

 

「そうですね。この豚バラ肉はどうしましょう?」

 

「そうだな・・・・・・それはやるよ。この豚バラ肉を取れない時のために、あらかじめ他の狙いを取っておいたからな」

 

「ありがとうございます!」

 

(最近、笑顔をあまり見なかったから眩しい!)

 

 俺たちは買い物を済ませ、一緒に寮へと向かう。

 

「あの時はありがとうございました。もし助けてもらえなかったら、1時間近くあの場所にいたと思いましたし」

 

 1時間は大げさと思いつつ、それは逆に見てみたかったとも思う。

 

「目の前に転んでいた人がいたら誰でも助けると思うがな」

 

「そんなことないですよ。私が中学生の時にも同じことがありましたが、その時は誰も助けてくれなくて。1時間近くその場所にいましたね」

 

(まさかの初犯ではなく、2回目とは...)

 

「まじか・・・・・・まあ、あの時は少し悪いことしてしまったからな」

 

 そう言うと女の子の頬が赤くなり、少々気まずい感じになってしまった。

 

(ここは流れを一旦変えよう。会話のバリエーションが皆無な神威こと俺だが、)

 

「あー、そういえば名前を言ってなかったな。俺は1年Dクラスの黒瀬神威だ」

 

「あ、私は1年Bクラスの七詩 蒼(ななし あおい)です」

 

(Bクラスの生徒だったのか。ちょっと意外だな)

 

 道端で倒れているぐらいなので、Cクラスかと思っていたが、それの1つ上であるBクラスに所属しているとは思ってもいなかった。

 そんなことを思いながら歩いていると、七詩が急に大きな声を出して話しかけてくる。

 

「あの!」

 

「ど、どうしたんだ?」

 

 あまりにいきなりだったのでびっくりしてしまい、それが声にも出てしまった。

 普段なら珍しく思われてしまうが、そんなことを会うのが2回目の七詩が知るはずがなく、話が進む。

 

「助けてもらったお礼がしたいのですが、何がいいのか分からなくて・・・・・・何か欲しいものでもありますか?」

 

(ほ、欲しいものか...。うーん、ないな。ポイントには困ってないし、欲しいものはほとんど持ってるからな)

 

「欲しいものはないな。その代わり、後で俺の部屋に来てくれないか?」

 

「いいですよ!」

 

 そんな簡単に返事をしていいものなのかと思いながら、俺たちは寮へと戻った。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 七詩とエレベーターで別れ、今は自分の部屋で料理の準備をしている。

 七詩には別れ際、自分の部屋に1度帰り荷物を置いてから、俺の部屋に来るように言ってある。

 何か変なことを考えているやつがいるかもしれないが、俺のお願いごとは「ご飯を食べてほしい」である(まだ七詩に言っていない)。

 この学校に来て手料理を食わせたのは、本城と綾小路で、2人とも男だ。

 ここはやはり女である七詩に、俺の料理がどうなのか聞いておくことで、今後の料理向上にも繋がってくるはずである。

 

 程なくして家のチャイムが鳴り、俺はドアを開け出迎える。

 開けた先には七詩がおり、お邪魔しますと言い、部屋に入ってくる。

 すると部屋に入るなり目をキラキラさせながら、中にある物の物色し始めた。

 

(子供か、こいつは)

 

 その様子を呆れながら見ていると、ここがどこなのか思い出したのか、物色していた手を止め、頬を赤らめながら咳払いをする。

 そして何事もなかったかのようにテーブルの前に座り、こちらに話を振ってくる。

 

「そ、それでここに呼んだ理由は何ですか?」

 

(いや、誤魔化そうとしても俺は見てたからな)

 

「それはお前に俺の料理を食べてほしいからだ。もちろん、感想ありで頼む」

 

 それを聞いた七詩の目が獲物を見つけた肉食動物のように変わる。

 

「私に料理を食べてほしいと。ふふふっ。私はこれでも色んな料理を食べてきたからだいぶ辛口だよ?」

 

(美食家なのか?ていうか、思ってた以上にキャラが濃いぞ)

 

「食べるってことでいいんだな?」

 

「そうだね。黒瀬くんの料理の腕前を見させてもらうよ」

 

 そう自信満々に言う七詩であった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 俺の目の前には泣いている女の子がいる。

 彼女の名は七詩蒼。

 泣いている原因はもちろん俺にある。

 少し時間を戻すが、俺はお願いごととして彼女に料理を振る舞った。

 その料理が彼女を泣かせた原因で、なんでも俺の作った料理、肉じゃがが彼女の母親の味に似ているらしい。

 

(ここに来て母親の味に似た肉じゃがなんて食べたら、俺も泣いてしまうね。と言っても、俺は1度も母親のご飯を食べたことないけど。

 とりあえず、彼女を落ち着かせよう)

 

 そう思った俺は彼女の隣にいき、背中をさすってあげる。

 数分して気持ちが落ち着いてきたのか、目をこすっていた手を止め、こちらに顔を上げる。

 

「・・・・・・ありがとうね。黒瀬くんの肉じゃががあまりにもお母さんの味に似ていて・・・・・・。こんなところで食べられると思わなかったよ・・・・・・」

 

 俺が今回作った肉じゃがの味は、俺の中で1番薄くなるように作ってある。

 理由としては、女子はカロリーを気にすると言う情報を聞いたことがあり、それを元にしてできるだけ薄くしてみたのだ。

 その結果、七詩を泣かせることに繋がってしまったのだが。

 ちなみに俺的には、1番濃いのと薄いのを合わせていいぐらいにしたのが1番美味しいと思っている。

 

「・・・・・・もしこの味がもう一度食べたくなったら、いつでも来ていいぞ」

 

「本当に!?」

 

 それを聞いて俺に顔を近づける七詩。

 

(近いです)

 

「あ、ああ。他の料理の評価も聞きたいしな。今日は時間的にもあれだし、お開きにしよう」

 

「そうだね。今日はありがとうね、黒瀬くん。・・・・・・あ、そうだ。連絡先交換しようよ。次に行く時、連絡するために」

 

「そうだな」

 

 連絡先を交換して、七詩を玄関まで見送る。

 

「次来る時はカレーを作ってね」

 

「分かった。次はカレーを作ると約束しよう」

 

「うん、絶対だよ!」

 

 カレーを作ると言ったら、先ほどまで泣いていたとは全く思えないほど、調子が戻ったようだ。

 

(そんなにカレー食べたいのかよ)

 

「ああ」

 

「それじゃあ帰るね。おやすみなさい、黒瀬くん」

 

「おやすみ」

 

 彼女は手を振って俺の部屋から出ていった。

 

(ふー、なんかこの学校来て1番疲れた気がする)

 

 ちなみに俺も肉じゃがを食べようと多めに作ったが、全て食べられてしまったので、晩ご飯は抜きになってしまった。




高度育成高等学校学生データベース
7月1日時点

氏名 七詩蒼(ななしあおい)

クラス 1年B組
学籍番号 S01T004678
部活動 無所属
誕生日 12月27日

評価
学力 B
知性 B-
判断力 C-
身体能力 B
協調性 B

面接官からのコメント
成績も良く、面接時の評価も非常に高い生徒である。本来ならAクラスだが、中学時代の長期欠席から不安定であることからBクラスに配属とする。

担任メモ
頭はいいし、運動もできるし、可愛いし、Bクラスのみんなと仲良くしてる生徒だよ。これからも頑張ってね〜

3章(よう実3巻目)でオリ主のクラスをどうするか悩んでいるのでアンケートをとります(4つともの場合、A,B,Cクラスのは外伝みたいなので出すと思います)

  • このままDクラスで
  • Cクラスで
  • Bクラスで
  • Aクラスで
  • 4つともで
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