この学校に入ってから、1番疲れた日の次の日の放課後。
特別棟に監視カメラを設置するための準備を教室でしていると、櫛田が俺の左斜め前に座るピンク?赤?の髪の女の子の元に行くのが見えた。
(目撃者が見つかったって櫛田が言ってたな。確か名前は、
どうなるのか見守っていると、佐倉って子はこの場から逃げることにしたようだ。
その時に、机に置いてあった彼女の私物と思われるデジカメを握り締めて。
だが、逃げるために歩き出した方向には、携帯を見ながら歩く本堂がおり、肩がぶつかってしまう。
「あっ!」
佐倉の手からデジカメが離れ、床に叩きにつけられてしまう。
本堂は軽く謝り教室を出て行ったが、佐倉は慌てて落ちたデジカメを拾い上げる。
「嘘・・・・・・映らない・・・・・・」
どうやら落とした衝撃でデジカメが壊れてしまったようだ。
佐倉にとってデジカメは大切なもののようで、ショックを受けている。
「ご、ごめんね。私が急に話しかけたから・・・・・・」
「違います・・・・・・不注意だったのは、私ですから・・・・・・さようなら」
そう言って佐倉は教室を出て行った。
どうやら、失敗したようだ。
そのあとは見る必要がないと判断したので、必要な道具を寮に取りに行き、特別棟に向かうことにした。
━━━━━━━━━━━━━━━
特別棟で監視カメラが設置できるのかチェックしていると、綾小路と堀北が来た。
事件現場でも見に来たのだろう。
「ここで何してるんだ?」
(見たらだいたい分かるだろ!監視カメラ片手に、脚立に乗ってたら!てかこの質問、俺的には堀北のほうが聞いてきそうなやつだと思ってたんだけど...)
「この場所に監視カメラが設置できるか確認してるんだよ。なかなか監視カメラを設置できる場所なんて限られてるからな」
「ここには監視カメラが無いの?」
監視カメラがないことを聞いた堀北がそう聞いてくる。
「ああ、そうだが。それがどうかしたのか?」
「もしカメラがあれば確実な証拠が手に入ったのに・・・・・・この特別棟の廊下には無いようね」
(おお、いいところに目を付けたな。ここからどうするのか見物だ)
「監視カメラがあれば今回の事件は起こらなかったと思うぞ」
「そうね・・・・・・それで綾小路くん、須藤君を救う策でも浮かんだ?」
「こんな短時間で浮かぶわけないだろ。策を講じるのは堀北の役目だ。須藤を救ってくれとは言わないが、Dクラスにとって良い方向に転ぶ手助けをしてほしい」
「私を利用しようって話?ひょっとして、それで私をここに?」
堀北と綾小路の会話から興味深い話が聞こえてきた。
(綾小路がここに堀北を連れてきたのか。これまたありがたい)
「目撃者が佐倉ってことで状況は逆に悪化するかも知れないからな。何か手が無いか探っておいた方が良いだろ」
「須藤くん本人には気に食わない点は多々ある。だけど彼に科される責任の割合を軽くしたいとは思っているわ。ポイントを残せるのならそれに越したことはないし。Dクラスの印象を悪くするのも損だしね」
「確かに須藤に科される責任を軽くしたいな」
俺は堀北の言葉に相槌を入れる。
(と言っても、俺は最初からそんなことは頭に置いておかない。須藤側の有罪か事件そのものを無くすかの2択しかないけどな)
「だが、話し合いになれば確実にDクラス側が不利になるだろう。須藤がCクラスの生徒を殴ったことは見て分かることだろうしな」
俺はそう言って、脚立から降りて別の場所に移る。
「まあ、話し合い以外ならDクラスにまだ勝機はあると思うぞ」
「まさかCクラス側を脅すなんてことを考えてるわけないわよね?」
俺がCクラスを脅すと勘違いされてしまい、堀北に睨まれてしまう。
どこから脅すなんて言葉が出てくるのか気になってしまうが、それは頭の片隅に置いておく。
「俺は脅す、なんて言ってないぞ。そもそも俺が脅す訳がない。それ以外の方法でだ。それもこちら側にデメリットが絶対に生じないものじゃないとダメだ」
「私にはあなたが考えてることが分からないわ」
どうやら堀北には俺の考えていることが分からないようだ。
今すぐにとは言わないが、そのうち分かってもらえればそれでいいだろう。
「まあ、頭の片隅にでも入れといてくれ」
「そうするわ」
(それでよろしい)
俺が脚立を次の場所に準備し始めたぐらいに、綾小路と堀北は引き返し始めた。
俺はそれを横目で確認し、作業を開始する。
俺が作業をしている時は作業のみに集中するため、周りの視線や人の気配などが全く分からない。
無論、誰かが俺に話しかけていたとしても、それに気付くことはないのだ。
俺が最後の場所の作業を終え脚立から降りようとしたら、下にピンク色の髪の女の子がいることに気付く。
とりあえず、脚立から降りて相手を確認することにした。
(凶悪な胸を持つ女子か。ていうか、この学校の女子のレベル高くない?気のせい?)
「・・・・・・俺に何か用か?」
「え、もしかして私の声聞こえてなかった?」
「作業に集中しててな」
それを聞いた女の子はむすっとした表情を浮かべる。
「ずっと話しかけてたのに?」
いつからかは分からないが、俺が作業している間ずっと話しかけていたらしい。
それを聞いた瞬間、初対面の人を待たせていたことに対する罪悪感と面識がないのに、なぜそこまで待っていたという疑問が生まれてしまったが、ここは素直に謝ることにした。
「それは悪いことをした。すまん」
「私の意思で待ってたんだから大丈夫だよ。それより、君はここで何をしてるの?」
こちらを責めるわけではなく、自分に非があると言うこの女の子から優しさを感じ取る。
「監視カメラが設置出来るか確認してるんだ」
「それは今回の暴力事件に関係あるの?」
「いや。監視カメラが設置できるのか、確認できる場所がここしかないと思ってやってるのさ。暴力事件とは関係ない」
「そうなんだ」
ふーんと言いながら頷いている彼女を見る限り、この答えに満足していない感じである。
普通に考えれば、監視カメラを設置できるか確認してる高校生なんているはずがないので、誤魔化すことなんてできないんだが。
これ以上質問されても時間を浪費するだけなので、話の内容を変えてみることにした。
「1つ聞かせてほしいんだが、お前は何でここにいるんだ?もう夕方ぐらいだし、何かなければここに残ってるはずがない」
「え?えーっと、黒瀬くんとお話がしたかったからかな?」
(なぜそこで疑問形?そして理由が可愛い...。って、そんなことより)
「お前は俺の名前を知ってるのか?」
俺は1年生の中でそこまで有名人ではないはずなのに、相手は顔と名前を一致させている。
なかなかないことに、少し興味が湧いているのだ。
「1年の中でもかなり有名だし、あお────さっきそこで堀北さんに名前を教えてくれたからだよ」
どうやら俺は1年生の中でも有名な方のようだ。
(てかあおって多分、七詩のことだろう。そうなるとクラスはBか)
「そうか」
そんなことを思いながら、俺は適当な言葉で返す。
「そういえば、名前を聞いていなかったな。教えてくれないか?」
「いいよ。私は1年Bクラスの
「知っていると思うが1年Dクラスの黒瀬神威だ。よろしく」
「時間もあれだし、帰ろっか」
窓から外の方を見ると、夕日が沈むのが見える。
かなりの長い時間、ここに拘束してしまったようだ。
「ああそうだな」
持ってきた荷物を片付け、一之瀬と一緒に寮へと向かう。
「今日のお詫びとしてなんだが、一之瀬に夜ご飯をご馳走したいと思っている」
帰り道の途中、長い時間一之瀬を拘束してしまったので、お詫びとしてそんな提案をしてみる。
「お詫びなんて全然いいのに」
「だが、長い時間一之瀬をあの熱い特別棟に留めてしまったんだ。お詫びの1つや2つをしないと申し訳なさすぎる」
俺が見ている限りだと汗を流しているようには見えないが、ポケットからハンカチが少しはみ出ているのを見ると、何度かハンカチを取り出していたのが分かる。
おそらく汗を拭うためにハンカチを使っていたのだろう。
そんな状況で待たせてしまっていたのだ。
お詫びの1つや2つをしないと、心の中が罪悪感で満たされてしまう。
「そういうことならご馳走してもらおうかな」
「ありがとう」
そのあと少し雑談をしていると、寮へと着きエレベーターで俺の部屋の階で降りるように言う。
「てっきり、外食でもするのかと思ってた・・・・・・」
「外食でもいいんだが、自分の手料理を人に食べてほしいんだ」
「そういうことなんだね。分かったよ」
自分の部屋のロックを開け、一之瀬を中へ招く。
「お邪魔します」
一之瀬は靴をしっかり揃え部屋に入る。
部屋に置いてある物に興味はあるようだが、七詩のように物色はせず、リビングにあるソファーに腰を下ろした。
俺はそれを確認し、手を洗ってからご飯の準備に取りかかる。
それから20分程度で今日のご飯を完成させる。
今日はオムライスで、ご飯をあらかじめセットしていたので早く終わったのだ。
オムライスをテーブルまで持っていく。
「お店のオムライスみたいだね!」
俺の作ったオムライスは、店のようにチキンライスの上にふわふわのたまごをのせている。
それを見た一之瀬の目がキラキラしている。
「やるからには本気でやりたいしな。さあ、召し上がれ」
「いただきます!」
一之瀬が食べ始めたのを見て、俺も食べ始める。
食べている間は無言で、15分程度で2人とも完食する。
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
「黒瀬くんのオムライス、美味しかったよ!」
「喜んでもらえて俺は嬉しいよ」
喜んでくれたのであれば、待たせたお詫びとして成り立っただろうし、腕を振るった甲斐がある。
満足げな顔を浮かべる一之瀬は携帯で時間を確認し、帰る支度を始める。
「今日はこれぐらいで失礼させてもらうね」
「分かった」
俺は玄関まで見送り、帰る間際で一之瀬は何かを思い出したかのようにこちらに振り向いてくる。
「あ、そうだ。黒瀬くんと連絡先を交換していなかったね」
一之瀬がポケットから携帯を取り出したので、こちらも携帯を取り出し連絡先を交換する。
「もし暴力事件で何か手伝えることがあったらいつでも言ってね」
「暴力事件に関して俺は特に何もやらないがな」
「なら、今はそういうことにしておくね。それじゃあまたね」
「また」
3章(よう実3巻目)でオリ主のクラスをどうするか悩んでいるのでアンケートをとります(4つともの場合、A,B,Cクラスのは外伝みたいなので出すと思います)
-
このままDクラスで
-
Cクラスで
-
Bクラスで
-
Aクラスで
-
4つともで