ようこそ2人の最高傑作がいる学校へ   作:クリッピー

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バスの時の話だいぶ変わってもうた...


第1章
第1話 バス×空気×黒歴史


 入学式当日の朝、俺は学校へと向かうバスに乗っている。

 

 そのバスの乗客の大半が俺と同じ学生服を着た人、すなわち俺と同じ学校の人である。

 その影響で普段なら空いているであろうこのバスも混雑している。

 

 俺たち学生が向かっている場所は東京都高度育成高等学校。

 

 進学率・就職率100%と言われる進学校である。

 全国にある高等学校と異なる部分があり、3年間学校に通う生徒全員が敷地内にある寮での学校生活を義務付けられ、在学中は特例を除き外部との連絡を一切禁じているところだ。

 それはたとえ肉親であったとしても、学校側の許可なく連絡を取ることは許されていない。

 当然ながら許可なく学校の敷地が出ることも固く禁じられている。

 

 その学校にはもちろん女子もいるようで、証拠に数人の同じ制服を着た女子がいるからだ。

 そのせいで、吊り革に掴まっている男性サラリーマンが可哀想に思えてくる。なぜならここで女子に触れてしまったら、痴漢で即警察行きになるから。

 俺はそのサラリーマンに向かって合掌する。

 

(あっ、合掌したのは心の中だからね。もし本当に合掌したら、周りの人に「いきなり手を合わせたヤバいやつ」って認識されちゃうからね。それだけはマジで勘弁したい)

 

 そんなことを思いながら、鞄の中に入れた本の一冊を手に取ろうとしたが・・・・・・

 

(あれ?

 鞄の中に『料理とは心である』っていう本を入れたはずなんだが、ないな...。

 まあ、クソみたいな本だったから別にいいけど)

 

 あれは本当に意味の分からない本で、本屋で料理本かと思って買ってみたら、まさかのミステリー小説。

 それも殺人事件の犯人が使った鈍器がまさかの大根。たしかに鈍器になりそうだが、人を殺せるかと言われたら微妙なところではある。

 そして極めつけには犯人をバーナーであぶり出すという意味の分からなさ。

 

(バーナーで容疑者を1人ずつ脅せば、犯人をバーナーだけにあぶり出せるとでも思ったのか?

 ...ちょっと内容を思い出したら笑いが...!)

 

「ぷっーーー・・・・・・!」

 

 思わず笑いをこらえることが出来なくて、口に出して笑ってしまった。

 すると、前の方から女性の声が聞こえた。

 

「ちょっとそこのあなた、何笑ってんの?」

 

(もしかして俺のこと?

 いや、女性との距離は声からして結構あるし。

 他にも笑ったやつがいるかもしれないから違うだろ)

 

 呼ばれた人は違うと思い、他に持って来た本を鞄の中から出さそうとしたら、同じ声が聞こえた。

 

「そこの1番後ろの左窓側に座ってるアンタのことよ!」

 

(1番後ろの左側って...。

 100%俺のことやん。

 意外と笑い声大きかったのかよ...)

 

 そう思い顔を上げたら、OL風の女性がバスの前の方で怒っていた。

 

(いや待て。

 なぜ、あの女性が怒っているのかまったく分からない)

 

 周りを見渡すとほとんどの人が見て見ぬふり、あるいは可哀想といった哀れみの顔をしていた。

 

(同情するなら金をくれならぬ、同情するならこの状況を教えろ)

 

「何とか言ったらどうなのよ!」

 

 そう言って、女性がこっちに向かってきた。

 

(と、とりあえず、謝っておこう。

 謝罪の言葉は大事よ)

 

「あなたの気分を害してしまい、すいませんでした」

 

 迫りくる女性に対し、俺は謝罪の言葉を述べお辞儀をした。

 

「そう思ってるならその席を譲りなさいよ!」

 

(は?

 いきなり何言ってんのこいつ。

 席を譲る意味がまったく分からん。

 とりあえず聞いてみるか)

 

「何を言っているのかまったく分からないのですが・・・・・・」

 

「あなたにはそこのお婆さんが見えないの?」

 

 キレ気味にそう言う女性の指差す方を見るとお婆さんがいた。

 その横にはイヤホンを耳にした金髪の男がいるようだが。

 

(おいおい、目上の人を指さすなよ。子供か?

 それに加えて、笑っただけの俺に比べてもっと凄いやつがいるじゃねえか。

 俺より先にあいつに言えよ...。

 って待てよ。

 顔を上げた時の、女性の位置は確かお婆さんの近くだった気が...。

 てことは、俺が笑う前に金髪の男に言っていたのか。

 それで女性は論破?されて、その時に俺が笑ってしまったと。

 これなら、怒ってた理由は何となく分かった気がする。

 別に席に座る理由はないし、ここを収めるためにも譲るか)

 

「そう言うことでしたか。分かりました、この席はお婆さんに譲ります」

 

 そう言って俺は席を立ち、お婆さんのところへ行った。

 

「お婆さんに気付かなくてすいませんでした」

 

「全然いいですよ、むしろありがとうございます」

 

 お婆さんはお辞儀をして俺が座っていた席に座った。

 

(すまないお婆さん...。

 俺の座っていた席が1番後ろの場所で...)

 

 終始、動きにくそうなお婆さんを見て申し訳なさを感じながら、空いているスペースである、金髪の男の前に立つことにした。

 すると男は片目でこちらを確認して、イヤホンを片方取った。どうやらこちらに興味を示したのだろう。

 

「おや、さっき私が話し終わった後に笑ったボーイじゃないか。ちょうどいい、キミに1つ質問させてもらおうじゃないか」

 

 俺がそれに答える前に、男はこちらを見てこう言う。

 

「キミはなぜ、自分の()()()を変えているんだい?」

 

 その男の言葉には迷いが無く、まるでそのことを知っているかのようだ。

 

「・・・・・・おしゃれでカラーコンタクトを常にしているだけだ」

 

「キミがそう言うなら、そういうことにしておこうじゃないか」

 

 僅か少しの会話で興味が失せたのか分からないが、金髪の男は外したイヤホンを耳にはめ直す。

 だが、俺は反対にこの男に興味が湧いた。

 

(こいつ、俺を見ただけで目の色を変えていることが分かったのか。

 侮れないな)

 

-----------------------------

 

 それから少ししてバスが目的地に着く。それと同時に多くの高校生が地に降り立っていく。

 俺もそんな学生の中に混じりながらバスから降りると、門の手前で男女2人が話していた。

 

(もう少し場所を考えてほしいが、まあいいか)

 

 そう思った俺は2人を無視して門をくぐろうとした。だが、たまたま男の方を見た瞬間、1つのことを思ってしまった。

 

(あいつ、俺が『あの施設』から出た時の俺の目と同じような目をしている)

 

 その目はまるで感情が一切ないようなロボットのような目だった。

 そう思っていると2人は話し終わったのか、歩き始めるのが見えた。

 見ていることがバレるとめんどくさそうなので、普段よりも少し早いペースで歩いた。

 

 歩いて1、2分後、人だかりが出来ている場所にクラスと名前が書いてある掲示板を見つけた。

 俺は少し離れた場所から自分のクラスを確認する。

 

「Dクラスか」

 

 それ以上確認することはないので、自分のクラスへと向かい自分の席を確認する。

 席は廊下側の1番後ろ。後ろの扉に1番近い席だ。

 

 とりあえず席に座り、周りを確認する。

 俺と同じように席に座っているやつがいたり、もう仲良くなったのか分からないが数人で話しているやつもいた。

 

(ていうかあの金髪がいるのか。

 横を見たら赤髪のヤンキーがいるし、窓側の方には門のところで話していた2人が)

 

 そんなことを思っている俺だが、実は凄く不安なことがある。

 それは、友達が出来るかということだ。

 俺は、昔から同世代の子と遊んだことがあまりなかった。理由としてはまず英才教育によって学校が終わった瞬間、家に帰らされてその日の課題をさせられていたからだ。

 だから少しだけだが、同世代の子と遊ぶのに憧れがある。

 

(え?

 お前って確か中学校行ってたよなと思ったそこの君!

 中学の時は自主的に勉強や運動をしたり、家事スキルを鍛えてたんだよ!

 だから、放課後に遊んだことはねぇ!

 そして友達と思ってたやつらは学年が変わった瞬間、一切喋らなくなったんだよ!

 あの時はまじで泣きそうになったぜ...。

 そんなことがあったりして中学2年の時にはぼっちでした。

 はい。

 ていうかこんなこと考えるよりも行動した方がいいか)

 

 そう思って重い腰を上げた瞬間、チャイムと共にスーツを着た女性が教室に入ってきた。

 

(なん...だと...!?)

 

 それはタイミングを見計らったかのような登場だった。

 俺は結局、誰かと話すことが出来ず、その場に静かに座った。

 

「えー新入生諸君。私はDクラスを担当することになった茶柱 佐枝(ちゃばしら さえ)だ。普段は日本史を担当している。この学校には学年ごとのクラス替えは存在しない。卒業までの3年間、私が担任としてお前たち全員と学ぶことになると思う。よろしく。

 今から1時間後に入学式が体育館で行われるが、その前にこの学校の特殊なルールについて書かれた資料を配らせてもらう。以前入学案内と一緒に配布はしてあるがな」

 

 そう言って、前の席から資料が回ってくる。

 その資料を確認しながら先生の話に耳を傾ける。

 そして資料を確認し終えたところで、学生証カードが配られ話が終わった。

 

(とりあえず先生の話を聞いて気になったところを考えていくか。

 1つ目は、学年が変わったとしてもクラス替えは存在しないこと。

 これだけなら有り得そうなことだから気にはしないが、何故わざわざ『学年ごと』という言葉を入れたのか。

 別に、『この学校にクラス替えは存在しない』というので事足りるというのに。

 これに関しては正直なんとも言えないところだし、そのうち答えが出ると思っておこう。

 

 2つ目は、「皆、少し話を聞いて貰っていいかな?」学校の敷地内にあるものなら、何でも購入可能と言っていたが、本当に()()()購入できるのかということ。

 例えば1つの施設を購入し、そこで出た収入を貰ったりそこに置く商品を自分がきめられるのかどうか。

 俺にとっては縁遠いと思うし、1つの施設を購入する気もないから、頭の隅に置いておこう。

 

 3つ目は、「僕の名前は、平田 洋介(ひらた ようすけ)────」俺らは入学とともに10万ポイントを貰ったが、毎月10万ポイントが貰えない可能性があること。

 これも毎月10万ポイントが貰えるなら、『毎月1日に10万ポイント』と言うはずだが、先生は分けて言っている。

 これがわざとなら、ポイントを出来るだけ残しておく必要があるだろう。

 他のやつらは多分、10万ポイントという額に驚いて、あまり考えていないだろうが。

 

 4つ目は、この学校は実力で生徒を測るということ。

 測り方は分からないが、その結果次第で何かが変わると、今のところは考えておこう。

 

 最後の5つ目は、ポイントの譲渡が可能なところだ。

 強行な手段は禁止されているが、平等な賭け事ならいけるかもしれない。

 そうなれば、何かしらでポイントを賭けて勝負をし、ポイントを大量に獲得することが出来るな。

 

 これら5つを全て合わせて考えてみると何かが見えると思うが、「俺は山内 春樹(やまうち はるき)。────」今は学校。

 後でいくらでも時間はあるだろうし、その時に考えるか。

 

 とりあえず、今のところはこんな感じか「じゃあそこの君、お願いできるかな?」。

 それにしても、さっきから凄く視線を感じるのだが...)

 

 俯いていた顔を上げると、かなりのクラスメイトがこちらを見ていた。

 

「廊下側の1番後ろの君、自己紹介お願いできるかな?」

 

(誰か分からんイケメンだが、とりあえず自己紹介をすればいいのか?

 バスの時もそうだったが、考え事をしてると周りが見えなくなるのか...。

 これは治していかないといけないな)

 

 そう思いながら、俺はその場に立って自己紹介をする。

 

「えーっと、黒瀬 神威(くろせ かむい)です。趣味は空を見ることとゲーム全般です。よろしくお願いします」

 

 自己紹介を終え、俺はゆっくりと座る。

 聞いていた人の反応はかなり薄い。

 

(フッ...。

 確実に失敗したぜ)

 

「よろしくね黒瀬くん。じゃあ、次の人お願いできるかな?」

 

(あっ、簡潔に扱われた...。

 このまま空気になりたい...)

 

 イケメンからの扱いに、心に傷を負ってしまう。

 その後、傷心を癒やしながら耳を傾けていると、赤髪のヤンキーが自己紹介程度でキレていたが、色んなことが分かった。

 

(さっき司会をしていたイケメンが平田。

 金髪の男が高円寺 六助(こうえんじ ろくすけ)で、御曹司。

 俺に似ていたやつが綾小路 清隆(あやのこうじ きよたか)

 そしてこのクラスは、一癖も二癖もあるやつが多いな。

 俺の黒歴史ができてしまったが、収穫が多かったからよしとしよう)

 




主人公の容姿についての説明

・顔(目の色以外)や髪型は大体どこぞの怪盗をしている屋根裏に住む高校生に似ている
・目の色が眼鏡をかけているときは紫。
かけていないときは、赤色になる(眼鏡は自作であり、主人公の隠れた才能。眼鏡をしている理由は後々)
・普段は眼鏡のふちでほとんど見えないが、左目の下に泣きぼくろがある。
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