無人島生活3日目、昨日はかなり疲れていたのでテントの中でいつの間にか寝てしまい、結局他の人が入ってくると匂いで起き外で寝ることにした。
あたりが明るくなり目を覚ますと、男子のテントから誰かが出てきた。
そいつはこちらの存在に気付き近づいて来る。
「綾小路か。どうかしたのか?」
「黒瀬が入手した情報を聞きに来た」
(あー。完全に忘れてたわ)
「この話はあまり他人に聞かれたくないから耳を貸してくれ」
綾小路は頷きこちらに近づいてくる。
俺は綾小路の耳に出来るだけ顔を近づけ耳打ちをする。
「AとCが契約を結んだようだ。内容はAにCが物資を渡してDクラスとBクラスのリーダーを教えること。Cは試験が終わったらAからプライベートポイントを貰うって感じだ。その契約書を見たわけじゃないから詳細は分からないが」
「それなら伊吹の持っていたカメラや龍園が持っていた無線機はAクラスと関係してそうだな」
(なにこいつ?俺は伊吹がカメラを持ってるってこと、初耳なんですけど。それに龍園が無線機を持ってたなんて知らないぞ)
「そ、そうだな。とりあえず俺はこれを利用して、AクラスにBとDのリーダーを間違えてもらうように、スパイであるCクラスの生徒に力を貸す。そして、BとCとDがAのリーダーを当ててAクラスを最下位にさせる。綾小路は伊吹がキーカードを盗れるように誘導してくれ」
「Cクラスも最下位にしてもいいか?」
(え?Cクラスを最下位にさせるって...。Aのリーダーを当てて、こっちがCのリーダーを当てて0にする考えか?別に龍園と契約してないからいいか)
「それは自由にしてくれ。俺はCクラスと仲良くしただけで、攻撃してはいけないとは言われていない」
綾小路から顔を離してそう答える。
個人的にCクラスとは仲良くしているだけであって、CクラスがDクラスの敵であることに変わりはない。
だからCクラスが今回の試験で最下位になろうと問題はない。
「分かった」
綾小路は俺から離れ、川の方へと向かっていった。
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それから次の日の夜へと日にちは変わり、今回は外で寝ていると女子テントから誰かが出てくるのを感じ取った。
普段なら誰もテントから出ない夜の時間に外へ出るということは、Dクラスの人に見つからずに行わなければならないもの。もしくは後ろめたいことがあるということ。
どちらにしろ良くないことなので、俺は気配を消して女子テントから出てきた人物の背後に迫る。
そいつはテントから出るや否や、女子の鞄をあさり始めた。
俺は出来るだけ距離を縮めて、そいつが物をとる前に右手首を掴む。
「だ────」
振り向いたと同時に相手の口に手を持っていき、相手の右腕を背中にまわしてをうつ伏せ状態にさせる。
「お前だったのか、伊吹」
「んーー!んー!」
鞄をあさっていた犯人はCクラスの伊吹だった。
おそらく鞄の中に入っている誰か女子の物を奪うか男子の鞄に入れるかして、Dクラスを混乱させる予定だったんだろう。
伊吹はこちらの拘束を解こうとしているが、それを意に介さず伊吹だけに聞こえるぐらいの声量で話を始める。
「まあ大人しくしろって。お前がCクラスのスパイってことは分かってるし、俺はそんなお前に協力をしたいと思っている」
「んー、んんーー!」
「まあまあ。俺だって女子の私物がなくなってクラスを乱されるのは困るから、拘束させてもらってるけど」
(俺だけが唯一外にいたのだから、真っ先に白羽の矢が立つのは俺だし。それだけは避けたい)
「とりあえずDクラスのリーダーは堀北鈴音だ。あいつのキーカードを盗みたいなら俺の言うことを聞け。分かったなら左手で1回だけ地面を叩け」
抵抗しても無駄と思ったのか、伊吹は言われた通りに左手で地面を1回叩いた。
「よし、なら言うことを聞いてもらおう。堀北鈴音はキーカードを肌身離さず持っている。だからなかなか盗れないと思うが、俺の協力者がそのチャンスを作ってくれるだろう。その時にキーカードを盗み、隙を見てここから出ろ。もし今回みたいなことを起こしたら、この学校にいる間、お前に地獄を見せてやる」
地獄と聞いて伊吹の体が一瞬だけ動く。
言葉に殺意を込めるようなことはしていないのだが、癖で自然に込めていたのかもしれない。
「俺からはもう何も言わない。分かったなら、テントの中に戻れ」
伊吹の拘束を緩めると、俺から距離をすぐに取り、睨んでからテントに戻っていった。
(ここはついでにBの方のスパイにも会いにいくか)
そう思い俺は行動へと移す。
Dクラスの拠点から出来るだけ音を出さずにBクラスの拠点を目指し、Cクラスの生徒を探す。
幸いそいつはハンモックで寝ていたので、肩を叩いて起こしてから手で相手の口元を押さえる。
そして手で静かにするよう合図をし、相手が声を出さなくなったら口元から手を離す。
(Bクラスの拠点に行った時に見た、暫定Cクラスのやつを狙ったが...。
もしCクラスじゃなかったら終わる。うん)
そのことを不安におもいつつ、ついて来るように合図をして森の中に入る。
周囲にBクラスがいるかもしれないので、できるだけ拠点から声が届かない距離まで離れ、こちらから口を開く。
「いきなりでびっくりしたかもしれないが、俺の話を聞いてほしい」
「いいですが。それよりもあなたは誰ですか?」
(あの時いなかった人間か)
「Dクラスの黒瀬神威だ」
「黒瀬くんですか。それで話とは?」
「お前がCのスパイであることを前提に話す。俺は今回の試験でAクラスを0ポイントにさせるために動いている。そのためにBクラスのリーダーを間違ってもらわなければならない」
「そのためにスパイである僕に協力してほしいというわけですか・・・・・・。そうなると、CクラスはBクラスのリーダー当てが出来なくなってしまいます」
俺の話を聞いたCクラスのスパイはもっともな意見を述べてくる。
(確かにそうだよな。Cクラスのためにスパイをしているのに、意味がなくなるのは嫌だよな)
それを加味しこう答えることにした。
「龍園と交渉するから安心しろ」
「分かりました。とりあえず協力はします。それで僕は何をすればいいですか?」
「まず、Bクラスのリーダーは分かっているか?」
「おそらくですが、
スパイからリーダーの名前を聞いたが、俺はそもそもBクラスの生徒をほとんど知らないので名前を聞いたとしても誰かが分からない。
名前を聞いて女子だろうと想像し、そいつの居場所を聞く。
「そいつはどこで寝ている?」
「支給されたテントの中で寝ているかと」
「その場所までの案内と龍園に持たされたカメラがあるだろ?それを俺に貸してくれ」
「分かりました」
それを聞いたCクラスのスパイは自分の寝ていたハンモックのところまで戻り、鞄からカメラを出してこちらに渡してきた。
俺はそれを受け取り、そのテントへと向かうスパイについていく。
そして1つのテントの前で止まり、指でここにいると合図される。
俺はそのテントの中に入る前に、音が鳴らないようゆっくりと中を見る。
誰が白波か分からないので手で合図して、スパイを呼ぶ。
指で誰かを教えてもらい、気配を消して音を立てずに近づく。
(ものすごく犯罪臭がするが、これは仕方がないこと。うん)
リーダーかと思われる白波のポケットからキーカードを抜き取りテントの外に出る。
そして、シャッター音が聞こえないように離れてから、カメラで撮影しCクラスの生徒にカメラを返す。
キーカードを戻すためにもう一度白波のポケットの中に入れ直し、外に出ようと動いた瞬間、もぞもぞという音がした。
その方向を見ると、一之瀬が体を起こそうとしていた。
(まずい!)
「そこに誰か────」
施設で鍛えられた技によって、一之瀬を気絶させる。
それはもはや人間離れした技で、一瞬にして相手との間合いを詰め首に手刀を放ったのだ。
(危なかった...)
「どうかしたの?帆波ちゃ────」
一之瀬の声に反応したやつがいたので、先ほどと同じように気絶させる。
これを何度か繰り返し、やっとテントから出ることができた。
外ではCクラスの生徒が待っていたので、合流してからそいつの鞄を回収しもう一度森の中へと入る。
Cクラスの生徒は目印がある木に立ち止まり、土を掘り返し始めた。
掘っていると、ビニールに入った無線機が出てきた。
(これが綾小路の言っていた無線機か)
「そういえば、お前の名前を聞いてなかったな」
「そうでしたね、僕は
金田はそう答え、ビニールに入っている無線機を取り出して通話を始めた。
数秒後、通話が終わったのか無線機を切って、こちらに話しかけてきた。
「今から龍園氏のところに行きますが、来ますか?」
どうやら今から龍園と会うようだ。
こちらにとって龍園と会うことができるなら、それで好都合である。
「頼んだ」
「分かりました」
金田を先頭に懐中電灯を使って森を進んでいく。
少しすると向かいに懐中電灯の光が見え、金田はその光の主である龍園に近づいていく。
「龍園氏、Bクラスのキーカードの撮影に成功しました。これが証拠です」
金田は手に持っていたカメラを龍園に見せる。
「これなら葛城も文句を言えねえだろう。それよりも、お前がついてきたのはどういう意味だ?」
「お前がBとDに送ったスパイを使ってAを最下位にしようとしているから、それを言いに来た」
「ククク、それはありがたいな。お前の忠告のおかげで50ポイントを失わずに済んだ。だがな、こっちには利益がねえ。何かくれるんだよな?」
そう言って悪い笑みを浮かべる龍園。
(リーダーを変更することが今ので分かったのか。Cクラスをまとめてるだけはある)
Cクラスのリーダーをしているだけあって、スパイを使いAクラスを最下位にさせるということだけで俺が考えていることが分かったようだ。
侮れない相手であることを認識し、龍園が欲しそうなものを考える。
「・・・・・・お前のことだからポイントを払うしかなさそうだな」
「そうだな」
もしここで女とか言われたら諦めることを決めていたが、ポイントなら何とかなるだろう。
「それで所望する額はどれだけだ?」
「2000万ポイントだ」
(強欲ですな。だがリーダーを教えて仲間を売るよりはましだろう)
「俺は確かに2000万を持っている。だが、理由によっては拒否させてもらう」
「2、2000万・・・・・・ですか?」
驚く金田と何かを企んでいるような笑みを浮かべる龍園。
龍園は俺が2000万ポイントを持っていることを知っており、尚且つその使い道を既に決めているようだ。
「ハッ、使い方なんてはなから決まってる。それはな黒瀬。お前をCクラスに入れるためのポイントだ」
予想にもしてなかった回答に俺はびっくりする。
「自分で使わずに俺をCに入れるために使うか・・・・・・」
(龍園は俺に2000万ポイントの価値を見出しているということか)
「フッ、それは面白い。それならお前に2000万を渡してやる。最近、Dクラスでの居心地があまり良くないと思ってきてたんだよ」
前回の須藤の件で堀北と険悪になり、Dクラスで少し浮いた感じになっているところでこの提案。
未だ仲良くしてもらっているクラスメイトには申し訳ないと思うが、それ以外に思う所感はない。
Cクラスに移るならばと思い、リーダーたる龍園に1つ忠告をしておく。
「そうだ龍園、金田と伊吹をここに残らせとけよ」
「作戦でもあるのか?」
「ああ」
「クク、それは楽しみにしておいてやる。おい金田。行くぞ」
「分かりました」
そう言って2人は森の闇へと消えていった。
Dクラスで書くのが大変になったからCクラスに変えたってわけじゃないからね!勘違いしないでよね!