『ただいま試験結果の集計をしております。暫くお待ち下さい。既に試験は終了しているため、各自飲み物やお手洗いを希望する場合は休憩所をご利用下さい』
そんなアナウンスが流れた今日は8月7日、無人島生活が最後となる日である。
生徒たちが一斉に休憩所へと集まる中、俺は周りが見渡せる場所で木陰が出来ているところで腰を下ろす。
俺は同じクラスのやつと話しをするほど、あまり関係がいいわけではない。
それにクラスメイトに友達はいるが、別に話すことがある訳でもない。
そういうことで、こうやって集団から離れた場所にいるのである。
(やっぱり1人でいるのはいいな。集団でいるとなんというかあれだ。
えーっと、自由に出来ない。
それに比べて、1人だと自由に過ごすことが出来る。ぼっち最高)
そんなことを思っていると2人の男が近寄ってくる。
「どうかしたのか?」
「貴様が黒瀬か」
「そうだ。どうして俺の名を?」
「うちのクラスメイトがおまえについてよく話していたからな」
「それはどうも。それであなたが葛城かな?」
「そうだ」
スキンヘッドで筋肉質な男、葛城がそう答える。
「一度お前に会って話してみたいと思っていたんだ」
俺は立ち上がり葛城の方を見上げる。
(まじかで見るとデカイな。須藤と同じぐらいじゃないか?)
そんなことを感じながら、相対する相手から目を離さず話を始める。
「あんたがAクラスのリーダーをやってくれてありがたく思う。おかげさまでAクラス以外が得をしたからな」
「何を言っているんだおまえは。俺たちにリーダーを当てられて、50ポイントとボーナスポイントを失っているというのに」
(こいつはまだ騙されたことに気づいていないのかよ)
「フッフフフ、フハハハハ!」
そのことがあまりに滑稽に映り、俺は作り笑いを飛ばす。
「何を笑っている?」
「いや、お前は凄く滑稽だなと思ってな」
「何だと!?」
近くで聞いていた戸塚が声を上げ、こちらに詰め寄ってくる。
「貴様、葛城さんになんてことを言いやがる!」
「事実を述べただけだ。おまえたちが────」
俺の声を遮るようにキィン、と拡声器のスイッチが入る音が砂浜に走る。
その音と共に真嶋先生も姿を現す。
「どうやら結果が出るみたいだな」
「では俺たちはこれで失礼する」
そう言って葛城と戸塚はAクラスの人がいるところへ行った。
「そのままリラックスしていて構わない。既に試験は終了している。今は夏休みの1部のようなものだ、つかの間ではあるが自由にしていて構わない」
(それはありがたい)
先生の言葉に従い、俺は寝転がって先生の話を聞くことにした。
「この1週間、我々教員はじっくりと君たちの特別試験への取り組みうぃ見せてもらった。真正面から試験に挑んだ者。工夫し試験に挑んだ者。様々だったが、総じて素晴らしい試験結果だったと思っている。ご苦労だった」
真嶋先生からの褒め言葉に安堵が漏れる生徒たち。
「ではこれより、端的にではあるが特別試験の結果を発表をしたいと思う。なお、結果に関する質問は一切受け付けていない。自分たちで結果を受け止め、分析し次の試験へと活かしてもらいたい。ではこれより特別試験の順位を発表する。
最下位は────Aクラスの・・・・・・0ポイント」
それを聞いた周りが一気にどよめく。
この学校で1番優秀なクラスであるAクラスが最下位で、それも0ポイントで終わったということに。
「続いて3位はCクラスの76ポイント。2位はDクラスの175ポイント。Bクラスは210ポイントで1位となった。以上で結果発表を終わる」
俺は目を閉じる。
周りから感じ取れるのは声と人の気のみ。
だがこれだけでも俺にとっては十分である。
「どういうことだよ葛城!」
「真嶋先生!Aクラスが0ポイントのわけがありません!もう一度集計をして下さい!」
「それは出来ない」
「どういうことだ・・・・・・俺たちが0ポイントだと・・・・・・」
「やったね、平田くん!2位だよ!」
「そうだね。それじゃあ、船に戻ろうか」
「何とか2位になったな」
「帆波ちゃん!やったよ!私たち1位だって!」
「これも黒瀬くんのおかげだね」
「そうなのか?なら、あいつに後で感謝しておかないとな」
(Aクラスの生徒は葛城を取り囲んで、葛城に何故こうなったのか問い詰めている。
Dクラスの生徒は1人を除いて喜んでいる。
Bクラスは七詩のせいで俺の名前が出ている。
Bクラスだけ異様すぎません?)
「黒瀬氏、少しよろしいですか?」
周りの観察していると1人の男が話しかけてきた。
俺は体を起こしてそちらの方を見る。
「暇だからいいぞ」
「では。何故あなたはCクラスに入っても良いという返事をしたのですか?」
「あの時に言ったはずだと思うぞ。Dクラスの居心地があまり良くないからだって」
「僕にはそれだけとは思えません」
この金田は頭が冴えるようで、それを否定してくる。
少しの間悩み、俺がCクラスに入ると決めたもう1つの理由を答えることにした。
「・・・・・・そうだな。俺にはもう1つの理由がある。金田、お前は自分より実力の上のやつに本当に勝ったことはあるか?」
「勉強なら1度だけですが」
「俺には未だにない」
「それは自分より実力が上の人がいないとでも言うんですか?」
それに対して首を軽く横に振って否定する。
「いや、俺よりも実力が上のやつはいる。俺はそいつらと勝負をして勝ったことがあるが、それは全て相手が手を抜いているときだけだ」
(高円寺は水泳の時間、本気で泳いでいなかった。
綾小路だって本気を出せば、俺と同等、もしくはそれ以上だろう)
「ということはCクラスに来ることで、他クラスにいる黒瀬氏よりも実力が上の人と戦うことができるということですか?」
「そういう事だ」
「分かりました。それでは失礼します」
疑問が晴れたのか、金田は一礼して船へと戻っていった。
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試験終了から時間が経ち、現在は夜となっている。
俺たちは船の中に戻り試験の疲れを癒しているところである。
そんな中、俺はある人物の呼び出しによって、最上階のデッキにあるベンチに座っていた。
「いい天気だな。星が綺麗に見える」
(久しぶりにこんなに星を見た気がする)
「そうだな」
独り言を呟くと、デッキに来た綾小路が言葉を返してくる。
「それで俺を呼んだ理由は?」
「おまえは試験でCクラスと手を組んでいたな?」
「俺は試験で確かにCクラスに協力した。それがどうしたんだ?」
「おまえのせいで茶柱が結果にあまり満足しなかった」
「それは知らん」
俺は綾小路の邪魔や退学に追い込むようなことはしないだけで、試験の結果云々で茶柱先生が満足しなかったとしても関係のないことである。
それが退学に関わるなら別になるかもしれないが。
「それはそうだろう。だが、今から聞くことにはしっかりと答えてもらう」
(かなりご立腹だな)
「なら早く言ってくれ」
「おまえの虹彩は、本当は赤色何じゃないのか?」
「
「なら何故それを隠している?」
「お前は殺気を全身に浴びたいか?」
「答えになっていないぞ」
疑問を疑問で返す俺に指摘をされるが、その答えを促す。
「俺はお前の問いに答えている。いいから答えろ」
「答えはノーだ」
「そういうことだ」
「?」
それを聞いた綾小路は怪訝な顔を浮かべる。
その予想していた反応に、付け足す感じで答える。
「俺がもし、虹彩を変えずに生活していたら、周りの人間がおかしくなる。俺の殺気でな」
そう言って眼鏡を外して綾小路の目を見る。
目に籠っている殺気を浴び、綾小路は身の危険を感じて俺から少し離れて戦闘態勢を取った。
「身をもって体験しただろ?」
「理由は分かった。だから眼鏡を早く付けてくれ」
綾小路に言われた通りに眼鏡を掛け直し、ふとあることを思い出す。
「あ、そうだ。俺はCクラスにいくからよろしく」
「まさか2000万ポイントを貯めたのか?」
「そういうこと。今は龍園に2000万ポイント渡したからないけどね」
ポイントを引き渡すことは決まっていたため、船に戻った時に2000万ポイントを送ってる。
「分かった。なら俺も本気で行かせてもらう」
「それでいい。そうじゃないと楽しくない。あと、本城をお前の駒として使っていい。気になるなら本人に聞け」
「随分と余裕のようだな」
「それは戦ってみないと分からない」
俺はベンチから立ち上がり、船の中に戻ろうとする。
すれ違いさまに、綾小路は言葉を発す。
「全力で来い」
「そんなことは分かってる。お前こそ本気で来いよ」
その言葉を聞いた綾小路はほんの少し笑みを浮かべたが、それを見たものは誰もいなかった。
現在のクラスポイント(無人島試験後)
Aクラス:1004→1004cp(±0)
Bクラス:663→873cp(+210)
Cクラス:492→568cp(+76)
Dクラス:87→262cp(+175)
一応今回で第3章終わりです。
かなりの拙作ではありますが、ここまで読んでくださりありがとうございます。
二次創作を書きたいと思ったきっかけは、1年生編の無人島試験を自分で書きたいと思ったからです。
だからと言って、これで終わる気はありませんが。
次はクラス替えの話です。