ようこそ2人の最高傑作がいる学校へ   作:クリッピー

36 / 77
今回と次回のは、ん?って思うのがあるかもしれませんが大目に見てくださるとありがたいです。




第34話 攻めの一手。そして分かれる人格。

 午後7時、自分の部屋に鼠、牛、猿、鳥、犬、猪グループにいるCクラスの生徒を1人だけを俺の部屋に呼んだ。

 俺の部屋にいるのは合計7人。

 今回は龍園を呼んでいない。

 

「それで、僕たちを呼んだ理由は何ですか?黒瀬氏」

 

 ここに呼んだメンバーである金田が聞いてくる。

 

「お前らを呼んだのは今から55分後に優待者のメールを一斉に送ってもらうためだ」

 

「え!?もう優待者分かったの!?」 

 

「龍園さんに信頼されてる人はやっぱり違う!」

 

「流石ですね・・・・・・」

 

「1つ質問をしてもいいですか?」

 

「いいぞ」

 

「55分に送る理由はないのでは?」

 

 各々がそのことに驚いているのに対し、冷静な金田は挙手をして質問してくる。

 

「あまり相手に考える時間を与えたくないからだ。今から優待者のメールを送れば、相手に考える時間を与えてしまう。そうなってしまえば、何かしらの対策を取られて、他のことに支障が出る恐れがあるからな」

 

「他のことですか・・・・・・少し気になりますが、それよりもなぜ5分前なのですか?その意見だと送るなら1分前とかの方がいいかと思うのですが」

 

「確かにそうかもしれない。だが俺はあえて5分前にする。それはな、1分前なのに部屋にCクラスの生徒が来なければ、Cクラスがやったと遠回しに言ってるようなものなんだ。そんなことが起こってしまえば、勘のいいやつにすぐバレる」

 

「・・・・・・グループディスカッションが始まる5分前は部屋の中にいる人は少ない・・・・・・。そういうことですか」

 

 金田は小さく独り言を漏らし、考えが纏まったようでこちらに視線を戻す。

 

(流石は頭脳派。

 まあ、俺のヒントで分かるやつなんて意外と居そうだけどな)

 

「質問がなさそうだから、グループごとに優待者の名前を口頭で教える。約束として、今回の試験で優待者を当てて得たプライベートポイントの半分は龍園に渡すこと。これを守れる者はこっちに来い」

 

 それに逆らう者はここにはおらず、全員がこちらに集まってくる。

 1人ずつ個別に優待者を教え、メールに書いた名前も確認をしていく。

 そして携帯はテーブルの上に置いてもらい、あとから変えられないように万全な態勢を作る。

 

(これで間違えたら龍園に殺されるしな。確認はしっかりしとかないとね)

 

 

 

 そして7時55分。グループディスカッションが始まる5分前に、学校からの通知が届く。

 

『鼠グループの試験が終了いたしました。鼠グループの方は以後試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

『牛グループの試験が終了いたしました。牛グループの方は以後試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

『猿グループの試験が終了いたしました。猿グループの方は以後試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

『鳥グループの試験が終了いたしました。鳥グループの方は以後試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

『犬グループの試験が終了いたしました。犬グループの方は以後試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

『猪グループの試験が終了いたしました。猪グループの方は以後試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 2回目のグループディスカッションが始まり残り数分になった頃。

 竜グループの空気は始まってからずっと重く、誰も口を開かないままである。

 やはり5分前に送ることで、仲間との話し合いが十分に出来なかったのだろう。

 

(何かみんな律儀に携帯の電源を落としてるけど、別につけてていいんだよ。

 ていうか、つけてないと他のグループが危なくなるよ)

 

 ずっと考え事をしていた堀北が龍園の方を向く。

 

「さっきの6つのグループ終了のメール。全てあなたがやったことじゃないかしら」

 

「鈴音が何を言ってるかさっぱりわからねえな」

 

「とぼけないで。ほとんどの人がさっきのメールについて考えているのに対して、あなたはずっと笑っていた。まるでこの状況を見て笑っているかのように」

 

(そうだよな。龍園のやつ、部屋に入ってからずっとあんな状態だしな。

 分かって当然だろう)

 

「クク、それは当然じゃねえか。俺は誰がやったかは知っているからな」

 

「それを教えてもらえないかしら?」

 

「流石にそれは言えねえな」

 

「まあいいわ。それで大体の犯人は分かったから」

 

「そいつは誰なんだ?教えてくれよ、鈴音」

 

「それはあなたよ。黒瀬くん」

 

 俺に対して指を指し、堀北はそう宣言した。

 そのせいで、A、B、Dクラスの生徒の視線が全てこちらに集まってくる。

 

(指をさすなよ。Aクラスは話し合いに参加しないんじゃなかったのかよ...。)

 

 パチン。

 

 そして何故か、急に頭の中にあるスイッチが押される。

 これはもう1人のおれが表に出る時の合図。

 そして俺からおれへと人格が変化する。

 

「ク、ククク・・・・・・そうだ、おれがやった!さっきのメールのことも!今回の試験でこれから起こることも!」

 

「く、黒瀬くん・・・・・・落ち着いて・・・・・・」

 

 落ち着きを無くしたおれを、平田が止めようとする。

 そんな平田を一瞥し、こう言い放つ。

 

「喋るんじゃねえよ、偽善者が。てめえの仮面を剥がすぞ。それが嫌なら話しかけてくるな」

 

「くっ!」

 

 平田は痛いところをつかれたようで、黙ってしまう。

 あまりの張り合いのなさに鼻で笑い、全員に向かっても警告しておく。

 

「他の奴も同じだ。AだろうとDだろうと関係ねえ。自分を守りたければ喋るな」

 

「あなたがそんな人だったとはね・・・・・・。全く思ってもいなかったわ」

 

「くだらんな」

 

 おれの変わりように驚く堀北。そして葛城はくだらないと一蹴りする。

 そんな物動じない2人に他のやつは不安を募らせる。

 

「おれに話しかけられるほどに自分の存在が上だと思ったか?」

 

「いきなり何を言っているのかしら」

 

「そのままの意味だ。自分の立っている場所とおれが今いる場所。それは同じかと聞いているんだ」

 

「同じに決まっているじゃない。あなたは自分が私より上だとでも言えるの?」

 

「この状況を理解出来ていない時点でおれはお前より上だ」

 

「もう手詰まりとしか思えない状況で、理解できていない人の方が少ないんじゃないかしら」

 

「」

 

 言い終わったタイミングで終了のアナウンスが告げられる。

 

「初めて巣立つ鳥たち。ほとんどの鳥が空を飛ぶことが出来た。そんな中、皆が普通に飛び立てたせいで焦ってしまう鳥が出てきてしまった。そしてその鳥は大空へと飛び立つ。けれどその鳥は落ちていく。なぜなら巣立っていった鳥たちは、違う種類の鳥だったから」

 

「くだらないわね」

 

「変わった話だな」

 

「黒瀬に耳を傾ける必要は無い。勝手に暴走してるだけだ。俺たちは失礼するぞ」

 

 それを聞いた神崎は綾小路と同じ意見を口にする。

 葛城はおれが暴走してると思ったようで、他の人を連れて部屋を出ようとする。

 だが次の一言で葛城は少し歩みを止めた。

 

「この試験も、もう少しで終盤に突入する」

 

「まだ試験は始まったばかりだ。それに終盤ではなく、まだ半分もグループはある────」

 

『虎グループの試験が終了いたしました。虎グループの方は以後試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

『蛇グループの試験が終了いたしました。蛇グループの方は以後試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

『羊グループの試験が終了いたしました。羊グループの方は以後試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

 そんな葛城の言葉を遮る形で、3グループが終了した通知が来る。

 

「なん・・・・・・だと・・・・・・!?」

 

「3グループを終わらせただと・・・・・・」

 

 突然のことに龍園以外のメンバーは啞然としていた。

 

「残り3グループ。これで終盤戦に突入だ」

 

 俺は部屋にいるやつを見やり、先ほどの態度から一変させて改めて挨拶をする。

 

「それでは皆さん。残りのグループディスカッションもよろしくお願いしますね」

 

 俺は扉の前にいる葛城たちを退けてから部屋を出る。

 すると、こちらに来る一之瀬と綾小路が見えた。

 

「神崎くんたちはまだ部屋の中にいる?」

 

「いますよ。入りたければどうぞ、入ってください」

 

 部屋の扉の前にいるため、そこを空けて一之瀬が入れるようにする。

 

「じゃあお言葉に甘えて。綾小路くんはどうするの?」

 

「オレは少し黒瀬と喋ってから入る」

 

「分かった。じゃあ先に入っとくね」

 

 一之瀬は手を軽く振って中に入っていく。

 それを確認した綾小路は口を開く。

 

「9つのグループを終わらせたのはお前だろ?」

 

「そうですね」

 

「その喋り方はやめてくれ。気持ち悪い」

 

(綾小路にディスられた...)

 

 心の中で落胆していると、綾小路が聞いてくる。

 

「よく自分のクラスのグループを終わらせられたな」

 

「そこまで難しくないと思うが。それよりもDクラスの優待者は残してあげてるけど、どうしたい?」

 

「俺たちは今、お前の手のひらの上にいるってことか・・・・・・」

 

「今回は手伝ってくれるやつがいないと辛い試験だ。お前にはかなり厳しいからな」

 

「痛いところをつかれたな」

 

「まあ頑張れよ」

 

 綾小路の肩を叩いて、俺は部屋に戻った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。