ようこそ2人の最高傑作がいる学校へ   作:クリッピー

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第35話 コインポイント

 試験が始まってから2日目。

 昨日に9グループ終わらせてしまったせいで、やることがほとんどなくなってしまった。

 部屋のベットに寝転がって呆けていると、いきなり部屋の扉が開く音がした。

 

「1人部屋というのもかなりいいものだねえ」

 

(この声はあいつか)

 

 声のした方を見なくても、入ってきた人間は分かる。高円寺だ。

 俺の部屋に入って来る理由が分からなかったので考えていると、高円寺はいつの間にか空いていたベットに寝転がっていた。

 

「何をしに来たんだ?」

 

「私と君の仲じゃないか。そんな些細なことを気にすることはないさ」

 

「そうか」

 

 俺はこの静かな場所を侵されないなら特に気にすることはないと思い、適当に返しておく。

 

(もし相手が、龍園とか石崎とか橋本なら追い出していたと思うが)

 

 これで会話が終わったと思い目を閉じようとしたら、高円寺が話しかけてくる。

 

「ブラックボーイ」

 

「何だ?」

 

「ポイントを貰えないかい?」

 

 高円寺の口からポイントが欲しいという言葉が出てき、少しびっくりする。

 かなりの実力があるにも関わらず、クラスに力を貸そうともせず自我を押し通すようなやつが、ポイントで困っているだなんて思ってもいなかった。

 

(それならクラスに協力してやれよ...)

 

 そんなことを内心で思いながらどれくらいの額かを確認する。

 

「どれくらいあげればいいんだ?」

 

「今回の試験で手に入れるはずだったポイント分さ」

 

(高円寺が手に入れられるポイントなんて、最大50万ポイントだろう。

 ということは50万か。

 だが、そんなポイントを手に入れて何をするんだ?)

 

 考えても答えが導ける気がせず、そこから何に使うのかを聞いてみる。

 

「何に使うんだ?」

 

「レディたちと遊ぶために欲しいのさ。生憎と今の私は一文無しなんでねえ。もし私と一緒に来たいのなら、何時でも声をかけてくれたまえ」

 

 高円寺らしい理由で俺は少し安心する。

 

(これで何かやばいことに使おうとしていたら絶対貸したくないな。

 まあ、そんなことをするようなやつではないと知っているが)

 

 俺は頭の上ら辺にある携帯を取って、連絡先から高円寺を探す。

 探している途中で連絡先を持っていなかったのを気付き、高円寺に聞こうと起き上がろうとしたら、体の上に携帯が投げられてきた。

 それをキャッチし、高円寺と連絡先を交換を行い、高円寺に投げ返す。

 そして50万ポイントの譲渡が完了した。

 

「ポイントを貰ってすまないねえ」

 

「高円寺が悪いことに使わないことを知っているからな」

 

 その後静寂が訪れ、次のグループディスカッションまで寝ていたら、高円寺はいなくなっていた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 3度目のグループディスカッションは1時間、誰も喋らないままで終わってしまった。

 その後部屋に戻っても特にやることがないので、デッキにあるベンチに座ることにした。

 ちなみに空には雲があまりなく、夏の太陽の日差しが俺へと降り注ぎ、凄く暑く感じる。

 

(Aクラスは最初から最後まで何も喋らないと言っている。

 Bクラスは自分たちが攻撃されたことを知り、残っている3グループの優待者、恐らくCクラスの優待者の情報を手に入れようとしている。

 Cクラスは既に優待者がいるグループを終わらせているから何も喋ることがない。

 Dクラスは自分たちの優待者がバレないよう出来るだけ話さないようにしている。

 つまりAクラスとCクラスは喋る気がなく、Bクラスは常にアンテナを張った状態で、Dクラスは喋れないということだな)

 

 今の状況を考えながらひなたぼっこをしていると、知らないやつがこちらに来ているのを感じ取った。

 

(誰か知らないけどあまり人が来ない場所を選んでおいて正解だったな)

 

「お前が黒瀬神威か?」

 

「そうだが」

 

「お前に話がしたくてここに来た」

 

 相手を立たせたままにするのは気が引けるので、隣を開けると、失礼すると言って座る。

 

「用件の前に名前と所属クラスを教えてもらおうか」

 

「俺はAクラス所属の鈴木(すずき)だ。お前には坂柳派と言えば分かるだろう」

 

 相手はAクラスで坂柳派に所属しているやつだった。

 

(坂柳派のやつが接触してくるとはな...。少し意外だな)

 

「それでここに来た理由を聞こう」

 

「俺がここに来たのは馬グループの優待者を教えてほしいからだ。もちろん、貰ったプライベートポイントは全額お前にやる」

 

 それを聞いて俺は少しびっくりする。

 

(今回の試験は葛城派が指揮を取っているから、優待者を当ててしまえば坂柳派としてはあまり良くないはず。

 なのに、なぜ優待者を教えてほしいと言うんだ?全く分からん)

 

 頭を抱えて悩んでいると鈴木がこう言ってきた。

 

「この試験で俺が把握している、Aクラスが失ったポイントは200ポイント。Cクラスに当てられたのとそちらの作戦に引っかかったので200だ。

 俺は確かに葛城をリーダーに相応しいとは思っていない。だから坂柳派に入っているんだが、クラスポイントが減るのは間違っていると思うんだ」

 

(つまりこいつはクラスポイントが減るのが嫌で接触してきたということか)

 

 鈴木は葛城がAクラスを指揮するのは嫌だが、それでクラスポイントが減るのは少し違うと言う。

 確かにAクラスの人からしてみれば、内輪揉めをされてポイントを失ってしまい他クラスとの差が縮まってしまうのは、本末転倒もいいところだろう。

 

「教えてもいいが、俺に聞くということはこの話が坂柳の耳に入るということだぞ。ということは坂柳を敵にまわすことになるかもしれないということだ。もしお前にその覚悟が無ければ、ここから去ってくれ。今ならこの話をなかったことにしてやる」

 

「その覚悟は出来ている。俺の行いで少しでもAクラスにポイントが入れば、またAクラスに戻ることができる可能性が高くなるということ」

 

 そう言った鈴木の目を見ても覚悟が出来ているのが良く分かる。

 

「いいだろう。俺は今、もの凄く暇だったんだ。これで面白いことになるなら寧ろ大歓迎だ」

 

 俺は鈴木に馬グループの優待者を教え、鈴木はその場で学校側にメールを送る。

 

『馬グループの試験が終了いたしました。馬グループの方は以後試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

 そして馬グループの試験が終わるメールが俺たちに届き、鈴木は礼をしてくる。

 

「優待者を教えてくれてありがとう」

 

「礼は俺が言いたいな。ポイントを貰ったらしっかり渡してくれよ」

 

「分かっている」

 

 そう言って鈴木は去っていった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 4回目のグループディスカッションも3回目同様誰も話さないという硬直状態に陥っていたが、それでは何一つ面白くないので先ほどのメールについて話すことにした。

 

「さっきの馬グループのやつだが、あれをやったのはAクラスのやつだ」

 

「その話、詳しく聞かせてもらえないかしら?」

 

 そのことに堀北が食い気味で聞いてくる。

 

「ほ、堀北さん。黒瀬くんに聞いても────」

 

「大丈夫よ平田くん。彼なら絶対教えてくれるはずだから」

 

 どうやら情報を提供してくれると確信しているようだ。

 

(謎の信頼があるが、確かに俺は最終的に言ってる気がする。うーん、ここは賭けでもしてみるか)

 

「ここは賭け、コイントスで決めよう」

 

 そう言って、上着の内ポケットに常に入っているコインを取り出した。

 そしてコインを堀北に見せながら説明する。

 

「このコインの絵が描いてある方が表、文字が書いてある方が裏だ。これを当てられたら教えてやる。もし間違えたら、俺はこのグループディスカッションが終わるまで何も話さない」

 

「その勝負、受けて立つわ」

 

「じゃあ始めようか」

 

 俺はコインを左手の親指の上に乗せ、思いっきり弾く。

 普通のコイントスは弾いたコインが落下してきて自分の前に来たぐらいのところで捕るが、俺の場合かなり威力があるせいで天井に穴を空ける可能性がある。

 そのため弾いてから目の高さに上がってきたところを左手で掴む。

 そして右手の甲にコイン置き完全に隠す。

 一連の流れに驚愕しているやつもいるが、堀北は至って冷静である。

 

「裏ね」

 

「正解は表」

 

 右手の甲に置いていた左手をフリーにしてコインを見せる。

 もちろん絵が描いてある表が上を向いている。

 

「もう1回お願いできるかしら?」

 

 どうやら意地でもこの話が聞きたいらしい。

 だが、ここまで食いつけば他クラスに馬グループにはDクラスの優待者がいたということを教えているようなものである。

 

(こっちとしては軽く遊べるし全然いいんだが)

 

「その代わり正答率を25%にさせてもらうが」

 

「それでもいいわ」

 

 俺は先程と同様、左手でコインを弾く。

 そして目の高さにコインが来たら両手を交差させ、太ももの上に手を置く。

 

「どちらの手にあって表か裏か」

 

「右手で表」

 

「正解は左手で表」

 

 太ももから手をどけてコインを見せる。

 左手を置いてたところに絵が上を向いているコインがある。

 その後もグループディスカッションが終わるまでコイントスを続け、結局堀北は正解を当てることが出来なかった。

 

「ここまで正解出来ないコイントスなんてイカサマをしていると疑いたくなるわ」

 

「結果を楽しみにしとくんだな」

 

 そう言って部屋を出ると誰かを待っているのか、そこには一之瀬がいた。

 

「まさか黒瀬くんが全てのグループの優待者を知っているとは思わなかったよ」

 

 うんうんと頷きながらそう言う一之瀬。

 

「それで何の用なんだ?俺は早く部屋に戻りたいんだが」

 

「じゃあ、1つだけ聞かせてほしい。どうして兎と竜グループを終わらせなかったの?」

 

 普段の一之瀬とは違い、真剣な眼差しでこちらを見つめてくる。

 

「終わらせなかったのではなく、終わらせられないとは考えなかったのか?」

 

「それは最初に考えた。けどそれなら最初の段階で9グループが終わってると思うの」

 

(流石Bクラスのリーダーと言ったところか)

 

「そうか。確かなぜ終わらせなかったかだったな・・・・・・。それは気まぐれと命令だ」

 

「命令は龍園くんからってとらえてもいいんだね?」

 

「それは勝手にしてくれ。もう用がないなら俺は部屋に戻るが」

 

「もういいよ。質問に答えてくれてありがとうね」

 

 部屋の前で一之瀬と別れ、なぜ先ほどのことを聞いて来たのか考えつつ、部屋へと戻る。

 

「あ、坂柳に連絡するのを忘れてた。ま、明日でいいや」

 

 かなり重要なことを忘れていたが明日でもいいだろうと思い、今日を終えた。

 

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