ようこそ2人の最高傑作がいる学校へ   作:クリッピー

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一応、軽井沢へのアンチヘイトがあるかもしれないので、嫌な人はブラウザバックをお願いしますm(*_ _)m

今回の話の内容は、次の前書きに載せるつもりなので。


第37話 駒

(どういうこと何だ、これは?)

 

 最下層エリアの扉の先、真鍋たちが俺に隠そうとしたものはDクラスの軽井沢(かるいざわ)だった。

 その軽井沢は蹲るように泣きじゃくっている。

 それを見た俺はどういう状態かを考える。

 

(おそらくこれは真鍋たちが軽井沢を虐めたあと、もしくは軽井沢の所持品を盗ったかのどちらかだろう。

 だが、頬が少し赤い。

 この赤さ的にビンタもしくはつねられるのどちらかをされた可能性が高い。

 ということは虐めたあとということだ。

 次に場所だが、真鍋たちをあまり知らないが、あいつらがもし人を呼び出すとしたら、こんな場所ではなく、非常階段がある場所にするだろう。

 そうなってくると、誰かに仕組まれた可能性が出てくる。

 おそらく仕組んだやつはC、Dクラスの生徒。

 こんなことを考えるやつは極少数だろう。

 Dクラスなら綾小路、Cクラスは俺を除いて龍園しかいない。

 そしてあそこで隠れているのが仕組んだやつだ。

 そうなると、答えは出たようなもの。

 

 これを仕組んだのは綾小路。

 これに至る根拠はある。

 龍園が隠れるという手段をとるはずがないからな。

 俺に見られたところで、龍園は俺が先生に知らせないことを知っている。第一に、龍園が隠れてる姿を想像できない。

 次に何故このようなことをしたかだが、綾小路は軽井沢に対して何も思っていない。

 そうなると、軽井沢を利用する気だろう。駒として。

 

 これらをまとめれば、綾小路はこの状況を作り、何かしらの方法で軽井沢を駒として入手しようとしていた。

 だが、陰から出てくるタイミングで俺が来てしまい、計画を進めることができないということか。

 俺としては、真鍋たちがどんなことをしたのかが気になる。

 ここは軽井沢を綾小路の駒としてやるのが1番だろう)

 

 そうと思えば即行動。

 俺は軽井沢に声をかけてみることにした。

 

「大丈夫か?」

 

 俺の声を聞いて近くに人がいることに気付き、軽井沢は顔を上げる。

 

「な、んで・・・・・・!?」

 

 思いにも寄らない人間がこの場にいることを知り、慌て始める。

 

(そうなるだろうな。

 声をかけられたと思ったら、自分と関係のない人間、それに真鍋たちと同じクラスのやつだからな。

 慌てるのは仕方ない。となると、落ち着かせるのが1番)

 

「とりあえず涙を拭いたらどうだ?」

 

 そう言って、内ポケットに入れていた未開封のハンカチを袋から開封して渡す。

 

「ありがとう・・・・・・」

 

 軽井沢は少し躊躇いながらもハンカチを手に取り涙を拭う。

 

「落ち着いたか?」

 

「・・・・・・少しは・・・・・・」

 

「それは良かった」

 

 俺は軽井沢との視線を合わせるためにその場で座る。

 こうすることで、少しは話しやすくなるだろう。

 

「平田くんは・・・・・・?」

 

 少し周りを見渡した軽井沢は平田がこの場にいないことに疑問を抱く。

 

(軽井沢は平田との約束でこの場に呼び出されたのか。

 おそらく約束自体、綾小路が平田に頼んだものだろう)

 

「平田は来ないんじゃないか?先生に呼び出されたとかで」

 

 ありそうな嘘を言って誤魔化す。

 

「そう・・・・・・」

 

 それを聞いた軽井沢は悲しそうな表情をする。

 それほど平田を信用しているんだろう。

 

「ちょっと俺と目を合わせてくれないか?」

 

「何よいきなり・・・・・・気持ち悪い・・・・・・」

 

 本当に気持ち悪いと思ったのか、そっぽを向かれてしまった。

 

「少しだけでいい」

 

 そう言うと少し考える表情を見せ、ゆっくりとこちらを向いてくれた。

 

「・・・・・・ハンカチを貸してくれた恩もあるし、聞いてあげる」

 

 俺はその瞬間、出来るだけ軽井沢との距離を詰める。

 軽井沢は思った以上に俺との距離が近すぎて驚いたのか、頬を少し赤くしてすぐに視線を別のところに移した。

 

「軽井沢」

 

「な、何よ・・・・・・」

 

 軽井沢が少しこちらを見た瞬間、片手で軽井沢の首を締めて持ち上げ、壁に押し付ける。

 持っていたハンカチは地面に落ち、抵抗しようと体を動かしているが、その程度のことは全く意に介さない。

 

「いや・・・・・・離して・・・・・・!」

 

「お前の死へのカウントダウンが始まった。さて、お前が生きたいというなら願い事でも聞いてもらおうかな?」

 

「な・・・・・・まさか・・・・・・体が、目的・・・・・・!」

 

 苦しそうになりながらもこちらを睨めつけてくる軽井沢。

 

「さあな。生か死のどちらかだが、どちらがいい?」

 

「殺しなさいよ!この変態野郎!」

 

 軽井沢は声を出来るだけ振り絞って出す。

 

(何かしらの原因があるのだろう。

 普通なら生きることを選ぶはずだが...。あ、そうか)

 

「もし生きることを選ぶなら、軽井沢が望むであろう真鍋たちへの復讐をしてやる」

 

「・・・・・・!」

 

 その言葉を聞き、少し反応を示す。

 

「さあどうする?」

 

「・・・・・・生きたい・・・・・・」

 

 それを聞いて、俺は手の力を弱めると、軽井沢はその場に崩れ落ち咳き込む。

 少し落ち着いたのか軽井沢は睨みながら口を開く。

 

「早く滅茶苦茶にしなさいよ。あんたが思うようにね」

 

「俺にその気なんて全くない。寧ろこっちから願い下げだ」

 

 そんなことを言うと、先ほどまで弱っていたのが噓とでも言うかのような鳩尾が繰り出された。

 あまりに唐突過ぎる鳩尾に対応することが出来ず、もろに食らってしまう。

 

「・・・・・・理不尽」

 

「理不尽?あんたがやったことに比べたら優しい方」

 

 こちらをゴミを見るかのように睨めつけてくる軽井沢。

 どうやら何気ないことで軽井沢の琴線に触れてしまったようだ。

 気を取り直すために咳払いをし、知りたい情報を聞き出すために問いかけてみる。

 

「・・・・・・俺が求めるのはお前がなぜここにいて、真鍋たちに何をされたかだ。それで聞かせてくれるのか?」

 

 俺は軽井沢が答える前に、内ポケットに入れているボイスレコーダーを起動させ、録音状態にする。

 

「それならそうと最初から言ってよ」

 

「万が一に備えてやっただけだ。すまないとは思っている」

 

 軽井沢という人物がどんなやつなのかが分からなかった以上、こうすることでしか話を聞けないと思ったからだ。

 ここで謝ったところで全て無かったことにするので意味は無くなるが。

 

「そ。あんたが復讐してくれるなら別に話してもいいか」

 

 そこから俺がここへ来るまでの間、真鍋たちが行ってきた

 

「平田君との待ち合わせにあたしはここに来て、約束の時間になった時にあいつらがここへ来た。あいつらはあたしが前にリカって子を突き飛ばしてしまって、その謝罪をあたしに求めてきた。

 それで拒否したら私が昔のことを知っていて、今なら土下座をすれば許してもらうってことになったけど、それも拒否した。そしたら真鍋に髪の毛を掴まれて、膝蹴りをされたり、顔にビンタをされたり、目に見えない場所を殴られたり、蹴られたりされたのよ」

 

 軽井沢の話をまとめると、前にリカってやつを突き飛ばしたけど軽井沢が謝らなかったから、真鍋たちが謝罪を求めた。

 それも拒否したからいじめられたということのようだ。

 

(軽井沢が確かに悪いけど、やはり暴力を振るったあいつらのほうが罪になる。

 それに軽井沢が行った行為は学校に言ったとしても注意ぐらいだが、暴力に関しては停学、もしくは退学になる。

 面倒くさいことをしやがったな...。

 この辺で終わってもいいが、やはり軽井沢の過去を知っておいても損はないはず)

 

「なんとなくだが分かった。だが俺はその過去とやらを話してもらわない限り、こちらが適当に考えた復讐しかやらんぞ」

 

「な、なんでよ!さっきのは噓だったって言うの!?」

 

 凄い剣幕で詰め寄ってくる軽井沢を片手で制止しつつこう答える。

 

「ただ俺は復讐をやる対価としてそれを教えてもらうだけだ。それに真鍋たちから聞き出すことだってこちらは出来る。そこで知らないやつに聞かれている可能性があると思えば、ここは誰もいない所で聞かれる心配はない。言っている意味はわかるだろ?」

 

 軽井沢の復讐の度合いによっては、こちらの足がつく可能性があり退学になる可能性を秘めていると考えれば、ここで起こった出来事を教えてもらった程度ではその対価としては不十分である。

 それに、人にバレたくない過去を俺が安易に真鍋たちから聞き出せば、そこで誰かが聞き耳を立てており学校に広まる可能性もある。

 

(それらを加味して脅し半分で言ってみたが、それがどう動くか)

 

「・・・・・・誰にも話さないって約束してくれるなら」

 

「それは約束しよう」

 

 よほど他人に知られたくない過去のようで、苦渋の決断とはいえそれだけは譲れないようだ。

 俺にとっては反故する意味がないので口先だけではあるが約束を交わす。

 

「一応言っておくが、何かを隠すような真似をすればお前にとって良いことは起こらないと思っておけ」

 

 対価として過去の話をしてもらう以上、そこに隠したり噓を吐くなどといった真似をされてしまえば、こちらのやる気に関わってくる。

 その噓などを暴ける術を持っているわけではないが。

 そんなことを知らないであろう軽井沢は渋々ではあるが自分の過去を話す。

 

「・・・・・・あたしは小学校中学校の9年間、ずっと虐められてきた。教科書への落書きやノートの紛失は可愛いもので、上履きに画鋲、机の引き出しに動物の死骸。トイレに入れば汚水をぶっかけれて、制服には淫乱だの売女だの書かれる。髪を引っ張られる、殴る蹴るは当たり前、地べたに散らばったオカズを口で拾い上げたべさせられたことも、靴を舐めたこともある。

 ・・・・・・今言ったのはほんの一握りで、考えられるいじめは全部受けてきた。その中でも今も残っているのは左脇腹にある刃物で裂かれた痕。これだけはずっと残ってる」

 

 その過去は辛らかったようで、それは表情でわかるぐらいだ。

 特に今も残っている傷には言うことを躊躇うほどである。

 想像以上に壮絶な過去を送ったことに、似て非なる過去を持つ俺は同情の念を禁じ得ない。

 

(死ぬよりずっと半殺しの状態にされる方が辛いに決まっている。

 それを毎日も受け続ければ精神はいずれ崩壊する。

 だが、現在の軽井沢の感情はまだ生きているし、精神が崩壊しているわけでもない。

 何かしらの方法でそれらを耐えてきたのだろう。

 これ以上深入りする気はないし、俺からは解放してやるか)

 

「軽井沢、もう一度だけこちらを見てくれないか?」

 

 最後にやるべきことをするべく、もう一度こちらを向いてもらうようお願いする。

 

「ねえ、これに何の意味があるの?」

 

 2度目のことに訝しむ軽井沢。

 そう口では言っているものの素直に従う辺り、どこか期待しているところがあるのだろう。

 

(期待していることは知らないが、従ってくれたことには感謝しておくか)

 

 眼鏡を外し、赤く染まった瞳で殺意を込めて軽井沢を見る。

 突然変わった瞳の色に驚くも、あまりにも濃密な殺意という名の恐怖に気絶してしまう。

 

(人はあまりにも強大な恐怖というものに対面した時、それを記憶の奥底に閉まったり、脳裏に焼き付けたりする。

 そのことをあの施設で聞いたことがあって、なんでも俺のは一般人相手だとあまりの殺意に記憶の奥底に閉まい、その時俺と関わったいうことを忘れてしまうほどらしい。

 意図してやるのはこれが初めてだが、意外と上手くいったな)

 

 脈などで気絶しているだけということを確認し、ポケットに入っているあるものを取り出す。

 

「お前の役に立つかもしれないものだ」

 

 それはチュッパチャップスと同じ形をしたキャンディである。

 

「お前の体にある過去のものはいつか消える。そして消えた時には羽を広げるといい」

 

(辛い過去の産物を排除したとき、軽井沢はどんな顔を見せるものか。

 近くで見ることはできないが遠くからでも観察するか)

 

 キャンディを軽井沢に握らせ、目を覚まさないうちに俺はここから退出するのであった。

 




今回の話で、軽井沢に変化が表れるかもしれません。とりあえず言えることは、この後に綾小路が軽井沢に接触して原作通りに協力関係になるということですね。



最初はこれぐらいの話数で終わると思ってたんですがね...。まあ、残り2話ぐらいで終わると思います。グループディスカッションの話を書きたくない...。
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