ようこそ2人の最高傑作がいる学校へ   作:クリッピー

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文がダメダメかもしれません


第55話 覚醒する男

 先輩と別れ、次の競技である二人三脚をサッカー部所属の園田(そのだ)と一緒に走り1位を収め、今は10分休憩に入っている。

 俺はやることがないのでテント内でゆっくりしている。

 そこへひよりがやって来た。

 

「黒瀬くん、腕の具合はどうですか?」

 

「少し走るのが辛いぐらいで全然大丈夫だ」

 

「ふふ、龍園くんが焦っていたのがうそみたいです」

 

(あの龍園が?ちょっと見てみたかったな...)

 

 俺が怪我をしたことで、龍園が普段見せない表情を出すぐらい心配してくれたんだろう。

 そんな様子を見れなかったを無念に思いつつ、今まであった競技について聞いてみる。

 

「そういえば、体育祭の方はどうなんだ?成績とか」

 

「そうですね・・・・・・ほとんどの競技で3位以内に入ることは出来ませんでしたが、最下位になることはありませんでした。他の人も同じような感じです」

 

 ひよりは少し考える仕草をして答えてくれた。

 今のところ、他の運動できない組も同様で特に問題がないようだ。

 その後、話す内容がなく沈黙が続いたが、俺たちはそれを気にすることはなかった。

 

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 それから少しして休憩が終わり、競技の順番が逆転し女子騎馬戦が始まる。

 ここでもD、Aクラス対C、Bクラスの対決だ。

 

 騎馬戦のルールは3分間の時間制で、倒した騎馬と残っている騎馬の数によって点数が入る。

 騎馬は4人1組で、それぞれのクラスから4つの騎馬を出すこととなっている。

 1つの騎馬で50点、大将と呼ばれる1クラス1つしかない騎馬は100点。

 これは生き残っていた場合に貰える点数であり、相手のハチマキを取った場合でも同様に換算される。 

 俺たちAクラスの騎手は伊吹、真鍋、矢島、西野(にしの)で、大将を務めるのは西野。

 作戦は分からないが、Dクラスを潰しにいくのは間違っていないだろう。

 

 騎馬戦開始の合図と共に、CクラスとBクラスの騎馬が詰め寄ってくる。

 狙いはAクラス。

 早めに厄介なクラスを倒しておきたいということだろう。

 Aクラスの騎馬はそれを回避するために、CクラスとBクラスに攻撃を仕掛けようとしていたDクラスの集団に混ざる。

 それによってC、BクラスはDクラスも相手をしなくてはいけなくなった。

 

(「いい作戦だ。これでDクラスに何時でも攻撃が出来る状態に早変わり」)

 

 そして試合は乱戦状態へと持ち込まれた。

 

 Dクラスは攻めてくるBクラスの騎馬から1つハチマキを奪うことに成功していたが、連携して攻撃してくる敵に耐え切れなかったか、次々と脱落していき、残っているのは堀北が騎手を務める騎馬となった。

 残った堀北の騎馬を守るような立ち回りをAクラスは見せ、Bクラスから1つのハチマキ、Cクラスの騎手を1人落とすも、1対2という不利な状態になれば、騎手が自ら下りるという行動に移し、残るは伊吹だけとなる。

 

 Bクラスが2騎、Cクラスが1騎落としているが、どちらも大将を残した状態で、堀北と伊吹の騎馬を追い詰めていく。

 堀北は負けを覚悟し、Bクラスの大将騎馬に捨て身の攻撃を仕掛ける。

 だが行く手を2つの騎馬に阻まれ、ハチマキが取られてしまう寸前に、後ろから堀北を追いかけていた伊吹の騎馬に接触する。

 その影響でバランスを崩した堀北は前へと落馬する。

 堀北の行く手を阻んでいた騎手も、堀北にかなり接近していたため、巻き添えを食らって落ちてしまう。

 残ったのは伊吹だけとなったが、伊吹が地面に降りたことによって試合が終了となった。

 

 それを見ていた俺は近くで見ていた龍園に気になったことを尋ねてみる。

 

「あれは全て龍園の作戦か?」

 

「ああ。少し賭けみたいなところはあったが、上手くいってよかったぜ」

 

 龍園はかなりご満悦のようで、不気味な笑みをずっと浮かべている。

 それほど作戦が上手くいって嬉しいのだろう。

 

「次は須藤を潰すか。行くぞお前ら」

 

 龍園の声と共に、俺たちはグラウンドの真ん中に行く。

 そこへ行くと既にDクラスがいて、須藤が龍園に掴みかかる勢いで詰めてきた。

 

「おい龍園、さっきはよくもやってくれたな」

 

「ああ?何のことかさっぱりだな」

 

「この野郎!とぼけてんじゃねえよ!」

 

 そう言った須藤は龍園の胸倉を掴む。

 こんなところを見られたら一発退場だが、今は須藤たちの周りをAクラスが囲んでいるため外からギリギリ見えない。

 だが須藤の叫び声があまりにも大きく、先生方が集まってきている。

 

「す、須藤くん!今すぐ離さないと、本当に退場してしまうよ!」

 

「退場になろうが関係ねえ!こいつを殴れればそれでいい!」

 

(殴ったら須藤は退学。

 そうなったら、Dクラスは永遠にDクラスのままになるんじゃないか?

 敵が減るのは嬉しいが、3ヶ月共に過ごした仲間でもある。

 いい思い出はないけど...。

 ともかく、助けてやるか)

 

 ため息をつきながらも、この騒動を治めるために動くことにした。

 俺は須藤たちに近づき、胸倉を掴んでいる方の手首を潰さない程度で掴む。

 

「はn────いてえ!」

 

 俺が掴んでいるところが痛いようで、龍園から手が離れる。

 それと同時に、俺もその手を離してやる。

 須藤は痛かったのか、すぐに片手で手首を抑えている。

 

「何で止めやがった?」

 

 殴られるところを止められたのが気に食わなかった龍園は怒りを露にする。

 そんな龍園に対して、俺は冷静にこの状況についてを話す。

 

「ここで殴られればあいつは退学。そうなれば、Dクラスは永久に上に上がれない」

 

「だからどうした?」

 

「そうなれば、お前の探しているDクラスの裏で動いているやつが姿を消す可能性があるだろう」

 

 龍園の探しているDクラスの裏で動いているやつ(綾小路)が、須藤の退学によって隠れてしまう可能性がある。

 なぜならあいつは何らかの理由で、Dクラスを勝たせるために動いているからだ。

 もし須藤が退学になれば、Dクラスの戦力が大幅に減少する。

 それを理由にDクラスのために動かなくなるかもしれない。

 それは龍園にとって良いことでは無いはずだ。

 

「そんなこと分からねえだろ」

 

「いや、分かる。そいつは俺と同じ考えをしている」

 

 そう言うと、龍園はこちらの目を見てくる。

 それはまるで先ほどの言葉を見極めるかのように。

 少しの間のあと、龍園は舌打ちをした。

 

「ちっ。お前がそこまで言うなら聞いてやる。だが、次はない思っとけ」

 

「恩に着る」

 

 何とか龍園を下がらせられたことに、内心で安堵する。

 これで今、須藤が退学になることは無くなっただろう。

 後は須藤をどうにかしないといけない。

 俺は須藤へと近づき、龍園との間に入るよう前に立つ。

 

「何か用かよ!」

 

「お前に1つ言いたことがあってな」

 

「さっさとどきやがれ、この野郎!」

 

 須藤のフラストレーションはマックスのようで、俺を殴り飛ばしてでも龍園を殴りそうなぐらいだ。

 これは早目に終わらせた方が良いだろう。

 

「俺が言うのも何だが須藤、お前はDクラスに必要不可欠な人間だ。ずば抜けて高い運動能力はDクラスの財産と言っていい」

 

「いきなり何言ってやがる!そこをどけ!」

 

 そんなことは気にせず、話を続ける。

 

「だが、今のお前はただのお荷物だ。素行は悪く、今だって龍園を殴ろうとしている。もし俺が止めていなければ、お前は退学になりクラスに迷惑を掛けていただろう」

 

「てめえには関係ねえだろうが!元クラスメイトだからって調子乗ってんじゃねえ!」

 

 遂に耐えられなくなった須藤は俺の顔にめがけて殴ってきたが、軽く受け止めてこう言う。

 

「だから言ってやる。お前がDクラスの財産、Dクラスに必要不可欠な存在であることを自覚しろ」

 

「!!」

 

 入学してからの素行やその性格から、Dクラスの大半はそれに気が付いていないのだ。

 須藤がDクラスで必要不可欠な存在であることを。

 

「俺からはこれ以上ない。さっさと騎馬戦の準備をしやがれ」

 

 俺がそう言った直後、先生方がこちらにやって来た。

 少し到着が遅かったのは、Bクラスでも何かの揉め事があったらしく、それで少し遅れたようだ。

 

(Bクラスの揉め事は坂柳のおかげだろう。

 何とか先生方に見られる前に、喧騒を収めることが出来て良かった...)

 

(「きゃー、かっこいいー。マジでイケメーン」)

 

 とりあえずおれのことは無視して、俺たちAクラスはここから撤収し、騎馬の準備をする。

 騎手は俺と龍園、金田に時任(ときとう)、大将は龍園が務めることになっている。

 俺の下を支えてくれるのは園田、小宮、近藤。

 全員運動部に所属しており機動性を重視したメンバーである。

 

(じゃあ頼んだ)

 

(「こういう時だけ喋ってくるんだから・・・・・・はいはい、分かりましたー」)

 

 おれと入れ替わり、他クラスもちょうど準備が終わったところだったようで、すぐに男子騎馬戦の火蓋が切られた。

 

「敵陣特攻、急いで終わらせるぞ」

 

 おれがそう命令を飛ばすと、一気に向かってくる敵との距離を詰める。

 機動性を重視したおれの騎馬しか出来ない技だ。

 相手は橋本の騎馬。

 下には鬼頭がいて、転倒させるのは難しいだろう。

 

(端から転倒を狙っているわけじゃないから、関係ないんだけどな)

 

 距離を詰められた橋本はこちらのハチマキを狙ってくるが、それこそがおれの目的。

 近寄って獲物を取ろうと手を伸ばしてくるが、おれはそれを逆手に取り、少し前のめりになった橋本からハチマキを奪い取る。

 

「なっ!?」

 

「真っ向から勝負しても勝ち目がないから、先に攻撃を仕掛けるのは良いと思うが、やる相手を間違ったな」

 

「いや、それは違うな!」

 

「橋本の仇は俺たちが取ってやる!」

 

「その首貰ったぁ!」

 

 橋本が囮とでも言うかのように、両脇から葛城とCクラスの神崎柴田の大将騎馬がおれのハチマキを取りに来た。

 並大抵の人ならここで詰みだろう。

 だがおれにとってはそうではない。

 

「この程度でおれに勝てるとでも」

 

「「!!」」

 

 こちらに向かってきた手を軽くいなし、隙ができたところを突いて2人からハチマキを取る。

 これで敵の主力を完全に潰したことになる。

 

 その後、Dクラスの騎馬が2つ倒されてしまったが、相手を全滅させることで試合を終えることが出来た。

 

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