ようこそ2人の最高傑作がいる学校へ   作:クリッピー

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6巻に書かれているところは出来るだけ省かせていただきました。
今後も重要な部分以外はこういった形で省いていきますので、よろしくお願いします。


第61話 魔女裁判

 放課後となり普段なら帰っている時間だが、俺は教室に残っていた。

 いや、俺たちと言った方が正しいだろう。

 

「これまでの試験を振り返れば、幾つも不思議な点があったんだよなぁ」

 

 教壇に腰を掛け俺たちを見下す龍園が思い返すように話し出す。

 その傍にはアルベルトや石崎など武闘派の生徒がおり、歯向かえば暴力という武器を使うとでも言っているようだ。

 

「今まではそれを見逃してやっていたが、ここまで来たらそれは出来ねえ」

 

 誰かに聞かせているようで、独り言のような曖昧さを持つ言葉を放つ龍園。

 

「無人島にしろ、体育祭にしろ、Dクラスには俺に似た考えの人間が潜んでいる」

 

「龍園さんに似た、ですか。Dクラスにそんなやつがいるとは思えないですが・・・・・・」

 

 龍園の隣で聞いていた石崎が思わず発言する。

 自分が畏怖を持ち、尊敬している人に似たタイプの人間がいるはずがないと。

 それを聞いた龍園が笑みを浮かべながら石崎を見る。

 

「俺もそう思ってたんだがな。どうにもソレが現実味を帯びだした」

 

「ですが無人島も体育祭も俺たちAクラスが勝ちましたよね?それなら放っておいてもいいと思うんですが」

 

「確かに結果はそうだ。だがそれは表の話で俺が言ってるのは裏のことだ」

 

「龍園さんが負けた、ということですか?」

 

「そんなところだ。だが安心しろ。相手のやり方には大体見当がついてる。いいかお前ら。今後は体育祭同様、徹底的にDクラスを狙って叩きに行く。BクラスとCクラスのことは一度放っておけ。そして必ずDクラスの裏で動いている人間を炙り出す」

 

 龍園の方針に異議を唱えるクラスメイトは誰もいない。

 なぜならこのクラスの王であり、絶対なのだから。

 

「龍園さん・・・・・・本当にDクラスに裏で動いてやつがいるんですか。堀北や平田とは違うってことですよね?」

 

「そうだ。そしてその正体を掴む鍵は、このクラスにいる人間が持ってるのさ」

 

 石崎を向いていた視線が俺に向けられる。

 それに釣られてクラスメイトもこちらへと視線を移してくる。

 

(何ごとも無く帰りたかったが、龍園は俺がそいつを知ってることを知ってるから流石に無理だよな...)

 

「はあー・・・・・・一応、元Dクラスである俺はその正体を知ってる。だが、ここでお前らに教える気は一切ない」

 

「黒瀬、それはどういうこと?」

 

 俺の言葉に少しざわつく中、教室の隅で腕を組みながら立っている伊吹が言葉を投げてくる。

 

「簡単な話だ。龍園はそのことを知っていたにも関わらず、お前らをここに残らせた。普通なら俺1人で事が済むはずなのに」

 

「ということは黒瀬以外に正体を知るやつがいて、そいつを探すために私たちは残らさせたってこと?」

 

「クク、そういうことだ。黒瀬以外にもそいつの正体を掴む鍵を持っているやつがこの中にいる。それもそいつは謎の存在Xに操られやがって、スパイ活動をしていた」

 

 その発言によってクラスは小さな混乱に見舞われる。

 伊吹もそれに目を見開いて驚いている。

 

(まさかとは思ったが、そいつがスパイだとは)

 

「あんた、それ本気で言ってんの・・・・・・?」

 

「事実だからな。俺の求心、いや支配力が足りなかったらしい。非常に残念だぜ」

 

 スパイがいるという事実に、龍園は楽しそうに笑う。

 

「だが、そのふざけたスパイ活動もこの瞬間で終わりだ」

 

 龍園は教壇を一度手のひらで叩き、この場を再び静寂に返した。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 そこからはゲームが始まった。

 

 クラスの中に隠れるスパイを見つけるというものだ。

 まず初めにクラスメイトの携帯を回収してスパイを探し出す。

 この時、携帯を返してほしいと願った生徒には「白」となり、中身を確認せずすぐに持ち主へと返った。

 携帯を確認していた時間は約20分。

 数人に返したとはいえ、20人以上の携帯を確認するにはいささか早すぎるとは思った。

 確認の早さから疑問が湧き、本当はそんな存在がいないのではないかとなるが、龍園がとある音声ファイルを再生する。

 それは運動できない組と俺が一度も聞いたことがないことで、木下がわざと堀北に接触しポイントをぶん取るというもの。

 裏でそんなことをしていたのかと思いつつ、運動できない組の「白」が確定する。

 

 音声ファイルからXの人物像が構成されていくが、それでもスパイだと名乗り出る者は出ず、龍園は次の手段に出る。

 それは自ら1人1人の前に立って目を合わせるということ。

 龍園にとっては裏切り者を探し出すのに最も手っ取り早い方法だ。

 そして裏切り者である真鍋は見つかってしまい、龍園はCクラス全員に固い口止めをして人払いを行う。

 教室に残ったのは龍園と俺を始め、石崎、金田、伊吹、スパイ容疑のある真鍋、(やぶ)山下(やました)の3人だけとなった。

 

「本題に入る前に聞かせてほしいんだけど、なんで龍園は黒瀬からスパイの正体を聞かなかったわけ?」

 

「クク。そんなの、俺の楽しみを残しておくために決まってんだろ」

 

 それを聞いた伊吹をため息をついて壁に背を預ける。

 その後、龍園は真鍋たちに質問を初める。指示を出したやつの正体、Aクラスを裏切った理由。

 真鍋たちはそれに答えていき、1つのことが浮上してきた。

 それは軽井沢を虐めている現場をみられたというDクラスの幸村(ゆきむら)と綾小路がXの正体ではないかということ。

 だが結局話は進展せずDクラスにXが存在し、それを俺が知っているということだけが残った。

 

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