ようこそ2人の最高傑作がいる学校へ   作:クリッピー

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更新が遅れてすみません。


第63話 シャッフル

 時間が流れるのは早いもので、いつの間にか小テストが行われる時間になっていた。

 

 テストが始まるまでの間、坂柳に頼みごとをしようと思っていたが、する必要がないと感じたので何もしていない。

 そんな感じで何もせずに迎えたのだが、小テストも試験内容に含まれることを完全に忘れていた。

 もし組み合わせが最悪なものになってしまったら、退学者が数人出てもおかしくない。

 

(そんな大切なことを度外視していた俺もまだまだだな。

 とは言え、そのことについては昨日のうちに解決しているんだがな)

 

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 昨日の6時限目ホームルームの時間、龍園は先生に許可を取って俺たちにこう言う。

 

「今更かもしれねえが、おまえらはまだこの学校を退学したくないよな?」

 

 その言葉を聞いて皆が首を縦に振る。

 それはAクラスで卒業すれば安定した将来が待っているのだから。

 

「クク、なら俺の言うことをしっかり聞け。まず今回の小テスト、前回のテストで点数の低かった10人は名前だけを書け。逆に高かった10人は出来るだけ高い点を取れ」

 

「龍園さん、それはどういうことですか?」

 

 それを聞いた石崎は嬉しさ半分、戸惑いを見せた。

 いくら成績が関係ないとしても、テストで0点を取るのは流石に気が引けるものだ。

 なのに龍園はそれを命令してきた。

 そうなれば何か裏があるのは明確である。

 

「簡単な話だ。今回のペーパーシャッフルでペア同士になるのは、小テストで点数の高かったやつと低かったやつから。それさえ分かってしまえば退学になる確率は下がるっていうわけだ」

 

「流石、龍園さん・・・・・・」

 

「龍園氏、残った20人はどうすればいいのですか?」

 

「それも考えてある」

 

 金田から出てきた質問も龍園は考えているらしく、それを俺たちに伝える。

 

「残ったやつらは分かる問題を残しつつ、最低1つは何も書かずに提出するだけだ」

 

「なるほど。下位の人たちと上位の人たちに混ざらないようにするためですか」

 

「そうだ。もし裏切りなんかがあれば一瞬でわかるからな」

 

 龍園は不気味な笑みを俺たちに向ける。

 もし裏切ればどうなるのか容易に想像できてしまう。

 

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(そんな感じで龍園が考えていたから、なんとかなったとは思うが)

 

 そんなことを考えていると、坂上先生はテストを配る前に1つの話を始めた。

 

「これから小テストを行いますが、その前に期末試験での組み合わせについて話します。今回Aクラスが指名したDクラスは、他クラスと被ることはなく承諾されました」

 

 ここまでは予想通りの展開であるが、この先が問題である。

 

「そしてAクラスに問題を出すことになるクラスですが、こちらは3クラス共にAクラスを指名してきました。この後行われるクジ引きによって決まりますので、結果については後日改めて伝えます」

 

(何となくそんな気はしたがまさか本当になるとは...。

 少し意外だったのはCクラスだな。あの坂柳のことだからBクラスを狙うかと思っていたが、Aクラスを選んでくるとは。

 絶対DとBが狙ったから私たちも狙いましょう的なやつだな。

 ともかく負けるのも目的の1つだし、色々と頑張るか)

 

 狙ってくるクラスがどこであろうと、Aクラスを敗北させるのは確定している。

 だから支障は全くない。

 あるとしたらDクラスと繋がりのある龍園ぐらいだろう。

 

(だって全員に聞こえるぐらいの舌打ちしたら、そりゃあなにか不都合があったとしか思えないでしょ)

 

 1人苛立ちを覚えるやつはいるが、前からテストが配られていき先生の合図で開始となった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 もの凄く簡単な小テストを終え、帰ろうとしたら龍園に呼び止められてしまった。

 

「おい黒瀬、少し時間はあるか?」

 

「あるがどうした?」

 

「坂上に結果を知りたいからその場に居合わせていいかって聞いたら、大勢で行かない限り許可された。だから行くぞ」

 

 龍園はクジ引きが行われる場所へ足を運ぶようで、それに俺も行かされることになった。

 

(決定事項なのがあれだが、行ってもいいだろう)

 

「分かった、ついていく」

 

 龍園を先頭にその後ろをついていくよう目的に向かう。

 俺は全くその場所を知らないため、龍園についていかない限りその場に行けない。

 歩くこと数分、無駄に広い校舎の一角である会議室に辿り着いた。

 会議室のある一帯は全く行かないため、新鮮味を感じながら中へと入る。

 

「あら、Dクラスの方々かと思えばAクラスでしたか」

 

「クク、随分久しぶりじゃねえか、坂柳」

 

「そうですね。あの時以来でしょうか」

 

 扉のすぐ近くにいた坂柳がこちらに話しかけてきた。

 あの時とはおそらく、暴力事件の会議中に会ったときのことだろう。

 2クラスのトップがいがみ合っている中、少し離れたところにはBクラスの一之瀬と神崎、そして真嶋先生たち教員の姿があった。

 そうなると、まだ来ていないのはDクラスだけになる。

 

「それにしても、私はてっきり黒瀬くんにリーダーを譲るのかとばかり思っていました」

 

「寝言は寝て言いやがれ、元Aクラスの女王様よお」

 

「まだ私が出る幕ではありませんから、ですがもし今回Aクラスと当たることがあれば覚悟しておいてくださいね」

 

「クク、それは楽しみにしといてやるよ」

 

 皮肉の投げ合いという幼稚なやり取りを横目で見ながら、Bクラスのところに行く。

 

「あ、黒瀬くん久しぶり」

 

「・・・・・・黒瀬か、どうかしたのか?」

 

「久しぶりだな。少しあの場にいるのが嫌になって、迷惑だったか?」

 

「ううん、全然大丈夫だよ」

 

 一之瀬からの許可を貰いこの場にいることにした。

 あそこの皮肉が飛び回っているところとは違い、ここは落ち着ける。

 そんなことを思っていると、一之瀬が話しかけてきた。

 

「それにしてもAクラスは凄いね。CクラスからAクラスまでいって、さらにはBクラスとの差もだいぶあるんなんて」

 

「所詮はまぐれだ。たまたま上手くいって、その結果Aクラスになっただけ。もしこのままでいれば、確実にAクラスで卒業することは出来ない」

 

「そうなると、次は私たちがAクラスになる可能性もあるね」

 

「そうだな。それを実現させるためにも、目下であるCクラスとの差がほしいところだ」

 

 俺の話を聞き、一之瀬と神崎はAクラスになる可能性を見出す。

 どうやら、2人は前向きに物事を考えられるようだ。

 それはいいことだと思うし、1種の才能だとも思える。

 だが、それが空回りした時は大変なことになる。

 そういったことが起こらず、しっかりと前に進んでほしいと心の中で思っておく。

 そうこうしているうちにDクラスの堀北と平田もここへ到着し、真嶋先生がクジ引きの説明を始まる。

 

「これから指名先が被ったクラスがあるためクジ引きを始める。クジには色付きとそうでないものがあり、色付きを引いたクラスがAクラスへ問題を出すことが出来る。残ったクラスは再度どこのクラスにするかをこの場で指名し、もし被ってしまった場合はもう一度クジ引きをしてもらう」

 

 そこで説明を切り、俺たちに質問がないか聞いてくる。

 だが質問は特になく、最後に順番について説明された。

 

「クジを引く順番についてだが、3クラスで話し合って決めてくれ。これで説明は以上だ。それでは3クラスで話し合ってくれ」

 

 そう言われて1番最初に動いたのは坂柳だ。

 

「クジを引く順番についてですが、ここはDクラスから順の引いていくのはどうでしょうか?」

 

「それはいい案かもしれないけど、確率的に見れば2番目に引く方が有利になるわ」

 

 堀北の言う通り、もし最初に引けば3つのうちの1つ、つまり3割の確率で色付きを引くことが出来るが、2番目に引けば2つのうちの1つ、半分の確率で色付きを引くことが出来る。

 だがそれはあくまで最初の人が引かなかった場合で、もし引かれてしまえば終わりである。

 

「僕は坂柳さんの意見に賛成かな。出来るだけ色付きが引ける可能性がある方がいいからね」

 

「うーん、私は反対かな。坂柳さんの意見だと、Bクラスは1番最後になってしまうし、それはBクラスとしてあまり嬉しくないことだからね」

 

「俺も一之瀬と同意見だ」

 

「では私の言ったことは無かったことにしてください」

 

 坂柳の提案した意見は割れてしまい、自分で取り下げることでこの話は振り出しへと戻る。

 良い方法がないか皆が頭を抱える中、こちらから提案をしてみる。

 

「ならトランプで決めるのはどうだ?」

 

 そう言って何も無かった手のひらに、トランプのカードを3枚出現させる。

 

(実は俺、手品が得意なんだよな。

 暇な時間をだいたい手品に費やして、そのおかげで色々と出来るし)

 

「ルールは簡単、ここにキング、クイーン、ジャックがある。それを代表者が引き、自分の手元に置く。そして俺と代表者以外の誰かがその3つの中から1つを選び、当たればそのクラスからっていうのはどうだ?」

 

 トランプのキング、クイーン、ジャックの3枚を代表者たちに引いてもらい、俺と代表者たち以外の誰かがその3つのカードの内どれか1つを選ぶというものだ。

 それならば確率は全員同じとなり、不正をすることも容易ではなくなる。

 それを聞いた坂柳は賛成の意を示す。

 

「私は賛成ですね。いっそのこと、それをクジ引きの代わりにしてもいいかと思うのですが」

 

「私も賛成かな。それなら引ける可能性が出てくるし」

 

「私もそれでいいと思うのだけれど、1つ質問してもいいかしら?」

 

「いいぞ」

 

「あなたが意図的にカードをすり替えないと保証は出来るの?」

 

 それをいきなり聞いたやつは何言ってるのか分からないという表情をするが、船上試験で同じだった神崎は頷いていた。

 あの時コイントスでだいぶやってしまったから、疑心暗鬼になっているようだがそれは買いかぶりすぎである。

 

「まずカードが途中で入れ替わらないよう、代表者はカードの中身を見てもいい。もう1つ、カードを1つ選ぶ側の人だが、これは先生の誰かがやれば俺が干渉する余地はない」

 

「それなら大丈夫よ。私もこれに賛成する」

 

 堀北が賛成したことにより、これで3クラスが賛成したことになる。

 一応、先生にも意見を聞いてみることにした。

 

「真嶋先生はどうですか?」

 

「俺は全く問題ない。坂柳の言っていたクジ引きの代替にすることも、我々立会いの下であるならそれも許可する」

 

 真嶋先生からも許可が取れたことで、俺の提案したことを実行する。

 

「じゃあ真嶋先生、カードを選ぶ側として後ろを向いてください。他の先生方はこちらで不正がないかのチェックをお願いします」

 

 それを聞いた先生方は一度トランプを確認し、問題がないと判断したのか、しっかりと返してくれた。

 

「それでは始めます」

 

 俺はカードを裏向きでシャッフルし、その際誰にもカードが読み取られないよう工夫を施す。

 これで完全に不正は出来なくする。

 シャッフルしたカードを身近にあったテーブルに置き、代表者に取らせる。

 この時に揉めるかと思ったが、案外スムーズに事は進んだ。

 俺は真嶋先生に1つ選ぶよう促し、それに応えるかのようにカードの数字を1つ言葉にする。

 

「ジャックだ」

 

「・・・・・・どうやら私のようですね」

 

「・・・・・・」

 

「では、Aクラスを指名したCクラスを受理することとする」

 

 坂柳がジャックを引いたことで、俺たちに問題を出すのはCクラスになる。

 何とも言えないのが感想である。

 その後、BクラスがCクラスに、DクラスがBクラスに問題を出すことになった。

 

 結果はAクラスはDクラスに、BクラスはCクラスに、CクラスはAクラスに、DクラスはBクラスに問題を出すことになり、1番ややこしい対決となってしまった。

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