ようこそ2人の最高傑作がいる学校へ   作:クリッピー

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第6話 学校ノ本当ノ姿

 今日は5月1日。ポイントが振り込まれる日である。

 俺はいつもより遅い時間に起き、携帯でポイントを確認する。

 

(昨日と同じ額。ということは10万ポイントから0ポイントになったということか、もしくはただの不備か。

 不備はおそらく有り得ないだろうし、振り込まれたポイントは0ってことかな?)

 

 俺の画面に表示されているポイントは、昨日と同じで1300万。

 賭け事をして、約1ヶ月でこれだけのポイントを貯めたのだ。

 賭け事をやっていて分かったことといえば、部活をしている2、3年のDクラスでも意外と50万近く持っている人がいることだろう。

 ここから部活でポイントが貰えるんだろうと考えられる。

 それでも部活に入る気はないのでやめておく。

 

 とりあえずいつも通り、朝の支度をして部屋を出る。

 今日はプール初日と同じで、ホームルームぎりぎりに教室に着く予定である。

 いつも通りの道ではあるが、やはりこの時間は人が少ない気がする。

 

 教室に着いたと同時に始業チャイムが鳴り、席に座ったぐらいのタイミングで先生が入ってきた。

 

「せんせー、ひょっとして生理でも止まりましたー?」

 

 池が先生の顔を見て、デリカシーのない言葉を言う。

 

「これより朝のホームルームを始める。が、その前に何か質問はあるか?気になることがあるなら今聞いておいた方がいいぞ?」

 

 茶柱先生は池の発言に一切構わず、そんなことを言った。そんな先生の発言に、数人の生徒がすぐさま挙手した。

 

「あの、今朝確認したらポイントが振り込まれてないんですけど、毎月1日に支給されるんじゃなかったんですか?今朝ジュース買えなくて焦りましたよ」

 

「本堂、前に説明しただろ、その通りだ。ポイントは毎月1日に振り込まれる。今月も問題なく振り込まれたことは確認されている」

 

「え、でも・・・・・・振り込まれてなかったよな?」

 

 本堂は仲の良い人達と顔を合わせて確認をする。

 

(あいつは本堂(ほんどう)というのか。メモしとこ)

 

「・・・・・・お前らは本当に愚かな生徒たちだな」

 

「愚か?っすか?」

 

 そんなことを聞いた本堂に、鋭い眼光を向ける。

 

(可哀想なので心の中で合掌)

 

「座れ、本堂。2度は言わん」

 

「さ、佐枝ちゃん先生?」

 

「ポイントは振り込まれた。これは間違えない。このクラスだけ忘れられた、などという幻想、可能性もない。分かったか?」

 

「いや、分かったかって言われても、なあ?実際に振り込まれてないわけだし・・・・・・」

 

「ははは、なるほど、そういうことだねティーチャー。理解出来たよ、この謎解きがね。君はどうだい、ブラックボーイ?」

 

 高円寺が爆弾を投下してきたので、視線が一斉にこっちに向く。

 

(ここは知らないふりでもするか。いや、高円寺の手元を見ると手鏡がある。

 もし知らないふりをしたら、「私の目は誤魔化せないよ」とか言ってきて面倒くさそうだな...)

 

「何となくだが、理解はできた」

 

「それじゃあ、聞かせてもらおうじゃないか。なぜ、ポイントが振り込まれていないように見えるのかを」

 

(高円寺って地雷?関わったら死ぬ系?)

 

 ニヤニヤとしながらこちらに話を振ってくるその姿に、内心嫌がりつつも応える。

 

「俺たちに振り込まれたポイントは10万ではなく、0ポイント。だから、実質振り込まれていないように見えてしまうっていうことだ」

 

「君が私の見立て通りで良かったよ、ブラックボーイ」

 

 少し不安要素はあったが、どうやら考えていることは高円寺と同じようだ。

 それに不服を感じた本堂は物申してくる。

 

「はあ?なんでだよ。毎月10万ポイント振り込まれるって・・・」

 

「毎月とは一度も言っていない、そうですよね、茶柱先生?」

 

「黒瀬が言った通りだ。全く、これだけのヒントをやって自分で気がついたのが数人とはな。嘆かわしいことだ」

 

 その後、茶柱先生が振り込まれたポイントが0の理由を説明してくれた。

 

(先生曰く、遅刻欠席合わせて98回。私語や携帯を触った回数391回。

 クラスの成績がポイントに反映されるようで、結果俺たちDクラスは0という評価を受けた。

 ポイント増減については教えられないらしい。その代わり分かったことと言えば、今月を0にしても来月も0ということぐらい。

 どうやら、この学校は本当に実力で色々と決まるようだ。

 

 あとはAクラスが940、Bクラスが650、Cクラスが490、Dクラスが0ということ。

 優秀な生徒たちの順にクラス分けをされること。

 最も優秀な生徒はAクラス、ダメな生徒はDクラスになること。

 1ヶ月で全てのポイントを吐き出したのは、過去のDクラスでも俺たちで初めてであること。

 クラスポイントは1ポイントで100ポイントの価値があるということも分かった)

 

「──────寮の部屋はタダで使用できるし、食事にも無料のモノがある。死にはしない。もし死ぬのなら、この教室から1人消えてることになるな。そうだろ、黒瀬」

 

 茶柱先生はこちらを見て、俺に話を振ってくる。

 

(高円寺の次は茶柱先生かよ。ていうか、そういうポイント関係のことがバレバレなのね)

 

「そうですね。俺はこの1ヶ月、ポイントを使わずに生活をしていました。死にそうになったことはありません」

 

 俺は特殊な部類だと思っているが、おそらく普通の人でも辛いとは思っても、死にはしないと思っている。

 

「そういうことだ」

 

「・・・・・・これから俺たちは他の連中にバカにされるってことか」

 

 先生の話を聞いて、須藤が苛立ちをみせるかのように机を蹴る。

 

「何だ、お前にも気にする体面があったんだな、須藤。だったら頑張って上のクラスに上がれるようにするんだな」

 

「あ?」

 

「クラスのポイントは何も毎月振り込まれる金と連動しているだけじゃない。このポイントの数値がそのままクラスのランクに反映されるということだ」

 

(予想よりも上にいったが、許容範囲ではあるし、ポイントも────)

 

「さて、もう1つお前たちに伝えなければならない残念な知らせがある」

 

 黒板に、追加されるように貼り出された1枚の紙。

 

(まさかあれは...!小テストの点数...だと...?)

 

 俺はその紙を見た時のショックにより、このあと何を話していたのか聞くことが出来なかった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 俺の肩を何かがつんつんしている。

 

(スズメかな?)

 

 今度は身体が揺れる。

 

(地震かな?何か声が聞こえるような...)

 

「────瀬くん、黒瀬くん」

 

「はっ!」

 

(てか今何時!?)

 

 周りを見ると、先生がいなくなった代わりに、前には本城がいて左斜め前にイケメン平田くんがいる。

 

(よく分からないことになっている...)

 

「えっと、黒瀬くん。少しいいかな?」

 

「大丈夫だが」

 

 何気に教室で始めて話す平田がここにいるのは、俺に用があるからみたいだが、いきなりすぎて少しびっくりしている。

 

「放課後、ポイントを増やすためにどうしていくべきか話し合いたいんだ。是非君に参加してもらいたい。どうかな?」

 

(話し合いか...。あんまり好きじゃないけど参加するだけしようかな?)

 

「一応参加はするが、あまり期待しないでほしい」

 

「参加してくれるだけで僕は十分だから。それじゃあ、よろしくね」

 

 平田はそう言って、別のクラスメイトのところへ行ってしまった。

 

(平田っていいやつだな)

 

 そう思いながら前を見ると、本城がムスッとした表情をしていた。

 

(俺なんか悪いことした!?てか可愛い過ぎてほっぺたつんつんしたい)

 

「僕に何か言うことない?」

 

「うーん・・・・・・。もしかして、俺を呼び起こしたのに感謝されてないことに怒ってるのか?」

 

「分かってるなら早く言ってほしいな」

 

(怒る内容が可愛い過ぎる)

 

 本城の膨れた顔は可愛い女子に匹敵するほどなのに、そこにこの内容。

 池の言っていた男の娘というのは、本当なのかもしれない。

 

「あ、ありがとうな」

 

「どういたしまして」

 

 少し言葉が詰まってしまったが、本城は満面の笑みで返してくれた。

 

(ぐっ!こいつの笑顔は一撃必殺か!?こいつ中身まじで女じゃないのか!?ひとつひとつの動作が可愛い過ぎる!)

 

 そう思う俺であった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 放課後、平田は朝に言った話し合いに向けて準備をしていた。

 横を見たら、山内が綾小路と話しているのが見えた。

 山内は綾小路から離れると、博士(外村(そとむら))のところへ行き、そして俺のところに来た。

 

(何か怖いな。まさか、ポイントが欲しいとかやめてくれよ)

 

「黒瀬~頼む~」

 

「何だ?」

 

「これを30000ポイントで買ってくれよ~」

 

(さっき綾小路や博士のところに行ってたのはそういうことか。ポイントくれじゃなくて少し良かった)

 

「すまんが俺は既にそれを持ってるだよ」

 

 そのゲーム機はボードゲーム部へ行った時に、先輩が2台も要らないからと言われて貰ったものと同じで、山内の使い方が雑なのか、貰ったのより汚く感じてしまう。

 それ以上に定価とほぼ同じ、もしくはそれ以上で売ってくる時点で買うなんて選択肢はない。

 

「何だよ~。2個あったっていいじゃ~ん」

 

「いや、まじで要らん」

 

「いいじゃん。買って────『1年Dクラスの綾小路くん。担任の茶柱先生がお呼びです。職員室に来てください』」

 

(ナイスタイミング!これで逃げやすくなる!)

 

 俺はこの放送を使い、逃げることにした。

 

「何だ?呼び出しか?それより────」

 

「すまんが他を当たってくれ」

 

 後ろから何か聞こえるが、俺はそれを無視してトイレの個室に籠った。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 少し経ってからトイレから退出し、教室に戻ってる最中、Dクラスの生徒がチラチラと見えた。

 鞄を取るために教室に戻ってみると、そこには平田がいた。

 

(約束を破ってしまったし、謝っておこう)

 

「途中でお腹が痛くなってな、すまんな平田」

 

「全然大丈夫だよ」

 

 イケメン平田くんは心までイケメンで、寛大な心を持っているようだ。

 

「今回で何か決まったのか?」

 

「決まってはいないんだけど、勉強会をしようと思っているんだ。もし良かったら参加してくれるかな?黒瀬くんが参加してくれるとだいぶ助かるんだけど」

 

 話し合いで決まったことはないようだが、勉強会をすることにはなったようだ。

 

(勉強会か。コミュ力上げたいしなー。よし、参加するか)

 

「全日は無理だが、何回か参加してもいいか?」

 

「本当に!?ありがとう黒瀬くん!」

 

 俺の言葉を聞いて平田は笑顔を見せる。

 

「平田くーん、まだー?」

 

 そんな俺たちに割って入るかのように、前の扉から女子の声がした。

 

(たしか軽井沢(かるいざわ)だっけ?その周りにも女子がいるようだけど)

 

「そうだ、黒瀬くんも今から僕と軽井沢さんたちと一緒に帰るけどどうかな?」

 

 平田が何を考えたのか分からないが、それを聞いた軽井沢たちは、明らかに嫌そうな顔をしている。軽井沢たちは平田と帰りたいらしい。

 

「気持ちは嬉しいが、やめておく」

 

「うん、分かった。また明日ね」

 

「また明日」

 

 平田は軽井沢たちと教室を去っていった。

 

(残ってるやつはもういないのか。そういえば、放課後に放送で綾小路が呼ばれてたが、何かやらかしたのか?)

 

 お世辞にも仲が良いとは全く思えないが、同じクラスにいる人が突然、放送で呼び出されたのだ。

 それの詳細を少しでも把握しておくのは、必要なことだろう。

 

『先生に何を聞かれたんだ?』

 

 俺はそんなメールを綾小路に送り、寮へと向かった。




本当は呼び出しされるルートを書いてたんですが、堀北との接点がないのと個別で呼び出しができることが書いてあったんで次回
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