ようこそ2人の最高傑作がいる学校へ   作:クリッピー

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第69話 観察

 スキップで教室に向かう途中、授業の終わりを示すチャイムが鳴ったため普通の歩き方に戻す。

 そしておれが教室に入れば、よく絡んでいる奴らからあまり喋らないような奴まで色んなクラスメイトから呼ばれた理由を問われた。

 正直面倒くさいと思ってしまったが、おれのせいで俺の評価を下げるわけにはいけない。

 だから、

 

「さっき先生に呼ばれたようですけど、何かあったんですか?」

 

「部活についてだな」

 

 なんて答えといた。

 俺がゲームで結果を残していることを知っている奴が多いため、一部を除いて誤魔化すことが出来たのはありがたい。

 それに誤魔化していることに気付いた奴も、おれがそれ以上言う気がないことを察し退いてくれた。

 そんな感じで休み時間を潰して次の時間の授業が始まった。

 

(授業って言ってもただただ先生の話を聞いてるだけだからなー。

 ・・・・・・暇だしクラスメイトの体格でも把握しといてやるか)

 

 前で先生が授業を教えている間、目だけをクラスメイトに向けながら体格を観察していく。

 前にいる奴は巨体のアルベルトによって遮られていたので無理だったが、男子なら全身の筋肉、女子ならそこにスリーサイズを服の上から分かる範囲で見ていく。

 

(B、C、B、B、D、C、C、A・・・・・・。

 ぱっと見た感じだと、このクラスに凶悪な胸を持つ奴はいない、か・・・・・・。

 なんで、なんでいないんだ・・・・・・。

 まさか、このクラスには変態が多いからそういった女子を入れなかったとでも言うのか・・・・・・!)

 

 龍園を筆頭に、このクラスには襲ってきそうな男子が他クラスに比べてかなりいる。

 そういった者たちから守るため、胸の大きな子はこのクラスにいないのかもしれない。

 この観察の本命であるバストサイズの計測(本人曰く、「数字までは分からん。だが何カップかぐらいは分かる」だそうです)の結果に内心肩を落としつつ、前に書かれていることをノートに写していくのであった。

 

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 午前と午後の授業を終え放課後になると、数人のクラスメイトと勉強会を行う。

 本来ならケヤキモールで遊んだり、部屋でまったり過ごしたり、部活をやったりする時間だが、今は期末試験が近づいていてほとんどの奴がテスト勉強に追われていた。

 普段遊んでばっかりの奴でも、今ではおれの渡した対策用プリントと睨めっこしている。

 

(俺がやっていたことをそのままマネしたがやっぱり暇だなー。

 なんか坂柳のために作ってるとか言ってた気がするがめんどくさいし。

 ここから離れてブラブラ歩き回りたいけど、離れるわけにはいけないし。

 あー、ひまだー)

 

 俺と入れ替わってみたのはいいが、こういう面倒事を受け持っていたのを忘れていた。

 勉強会に参加している奴らが頑張ってプリントを解いている中、この暇な時間をどう費やすべきかを考える。

 

(本当なら目的もなく敷地内を歩きたかったけど今は出来ねえしな。

 1人オセロとか1人将棋とかはやってて面白くないし。

 特に思い浮かばないから俺が作ってたやつをやるか・・・・・・。

 今思ったんだが、俺よく1人オセロとか1人将棋とかやってたな。尊敬に値するわ)

 

 結局この時間の費やし方が思い浮かばず、面倒ではあるが俺がやっていたことを引き継ぐことにした。

 カバンの中に入っているノートパソコンを取り出して起動させ、『テスト』と書かれたファイルを開ける。

 その中にはクラスメイト1人1人のテストの結果とそこから分かった苦手分野がまとめられていた。

 

(個人のやつはもうまとめてあるから、それを総合的にまとめるか。

 俺の今後の資料にもなるし、しっかりやるとしますか)

 

 個々の苦手分野を集計して科目ごとにグラフ化、その中で基礎問題から解けないのか応用問題から解けないかの分別、そしてどういったミスが多いのかを、時々質問してくるクラスメイトの対応をしつつパソコンに入力していく。

 その手は止まることを知らず、僅か1時間ちょっとで全てをまとめ、更に坂柳に渡す用の資料までも作り終えてしまった。

 

(いやー、我ながら素晴らしい手際!

 これは社会の第一線で活躍すること間違いない!)

 

 心の中で胸を張りながらおれは帰る準備を始める。

 

「もう帰るんですか?」

 

 近くで勉強をしていた石崎が帰る準備を始めたおれを見て聞いてくる。

 俺の時は全員が帰るまで帰らなかったが、現にまだ残っているクラスメイトがいるのに帰る準備を始めたら聞かれるのは仕方ないだろう。

 

「ああ、今日は少し疲れたから早く疲れを癒したくてな」

 

(全然疲れてもないが)

 

「俺も帰るんで少し待っててください」

 

 そう言った石崎は忙しなく帰る準備を始める。

 それを見ていた他の奴も、ペンを置いて机に広げていたものをカバンの中に仕舞っていく。

 

(そういや俺が勉強会後に帰るとき、結構な人数と一緒に帰ってるんだった。

 まあほとんど石崎犬が話してるから、適当に返事してればいいか。俺もそうだったし)

 

「お待たせしました!さあ黒瀬さん、帰りましょうか!」

 

 いつの間にか帰る準備を終わらせていた石崎は、扉の近くでおれを呼んでいた。

 もし石崎が犬なら尻尾でも振ってるんだろう。

 

「ああ」

 

 試験までにある勉強会もこんな感じで終わっていくのだろうと思いながら教室を後にした。

 

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 時間は夜になり、地上を照らしていたものが自然のものから人工のものに変わる。

 おれは寮から出て人通りが全くない場所で、手を広げ空を見上げる。

 電灯の光に照らされて見える顔は、全く違う人物を思い浮かばせる。

 緋色の目をキラキラさせ、嬉しそうな表情を浮かべているその姿は、まさに初めて夜空を見た子供のようだ。

 

「ああ、美しい・・・・・・」

 

 おれにとって夜の時間というのはとにかく好きだ。

 昼間に比べて静かであり、なにより太陽という光源が無く、あたりが暗い。

 暗い場所というのは心が落ち着くし、何かを殺るのにも向いている。

 おれにとってこれほど重宝できる時間はないと思っている。

 

「冬の星空は本当に美しい・・・・・・」

 

 夏に比べて空気は乾燥し太陽が沈むのが早くなると、星は綺麗に見えるようになる。

 それにこの学校がある周辺は東京であってもあまり都市化が進んでいない。

 そのためより一層綺麗に見ることができるのだ。

 手を広げた状態で目を閉じ、数分間その状態のままでジッとする。

 これに何か意味があるわけではない。

 ただこうしたかっただけだ。

 

「・・・・・・少し体が冷えてきたな。4年前はこれより寒い場所で尚且つ半袖でも大丈夫だったんだがな・・・・・・。さっさとシャワーでも浴びるか」

 

 冷えてきた体を翻し、寮へと戻るのであった。

 

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