最近レッドキャップの動きがおかしい。   作:にんじんsf

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抜かした決戦シーン。モブ子ちゃん視点。最後の方ミームが抑えきれなかった。


レッドネームVSレッドキャップ

時は新月の夜。

暗闇でも暗がり程度に見えるプレイヤーの目でもやはり月があるときよりはない方が見えづらい。あたしは作ったことはないが月光を力とする武器もあるという。相手は凄腕のPKたちだ、用心をしておくに越したことはない。

ファスティア郊外の草むらで配下のレッドキャップたちと待ち伏せをする。レッドキャップといっても今は闇に紛れる柿色の帽子をかぶらせているので見た目的にはオレンジキャップだ。

そんな自身のアイデンティティを喪失してまでもついてきてくれる配下たちには感謝しかない。勝った暁には防具屋に頼んでいい革鎧でも買ってあげようと思う。お揃いのマークも入れてあげよう。レッドキャップ軍の完成だ。

そんな事を考えているうちに奴らが通りかかるとタレコミがあった時間が近づいてきた。奴らを恨んでいる者は結構いるらしくこらしめようとしていると言うと快く協力してくれた。ついでに沼荒野でレッドキャップが凶暴化しているという情報も聞いたがそれは聞き流した。

足音が近づいてきた。のんきな話し声の内容を聞くかぎりこいつらが着せ替え隊で間違いない。どうやら次の着せ替え用の服のための素材を狩ってきた帰りのようだ。

配下にハンドサインを送り周りを囲むように陣形を取らせる。彼らはあたしがレッドキャップ専用に鍛えた黒塗りの斧を振ってハンドサインに応じた。このチャンスを逃せば次はない。緊張に汗を流しながら彼らに突撃を命じる。

(今だ!!)

教えた通りにレッドキャップ達が飛びかかる。完璧なタイミングだった。鍛え上げたレッドキャップ達が陣形を覚えれば高レベルプレイヤーでも太刀打ちできない。それが不意うちならなおさら。沼荒野でそれは証明されていた、はずだったのに。

「ぎゃぎ…」反撃されたレッドキャップたちが倒れふしている。

(襲撃が読まれていた…?)

しかしそれは違うというのは奴らの次の発言で分かった。

「うん?こいつらレッドキャップだったのか。」

「あんまりにも人間臭い動きだからまた昔借ったプレイヤーが襲ってきたのかと思った。」

奴らにとって襲撃はただの日常だった。

そして今さら自分の失態に気づく。奴らはPKの名手だ。なら当然「人間」の動きを熟知している。ならばそれを襲う刺客に陣形、「人間」の技術など教えるべきではなかったのだ。

(ごめんみんな…あたしがあんたたちを巻きこんじゃった…)

しかしそんな嘆きを遮るようにレッドキャップたちが吼えた。

「ぎゃぎゃぎゃぎゃ、ぎゃー!!!」

最後の力を振り絞りレッドキャップたちが着せ替え隊へと向かっていく。攻撃するのは一番前にいたプレイヤーの武器。狩りの後で耐久度の落ちていた武器はその特攻で砕け散った。

その瞬間レッドキャップたちと目が合った気がした。彼らはこう伝えていた。行け、と。

あたしはすぐにスコップを構えマッフロを守っていたらいつの間にか身についた隠密スキルを使って死角から武器を無くした大柄な女へと飛びかかる。インベントリから武器を出す隙など与えない。そうして女の延髄にスコップが迫ったその時、あたしは女によって大きく吹き飛ばされた。

(魔法?いや違う、拳だ!)

それは正確無比にこちらを穿つ拳だった。まるで条件反射のごときスピードでこちらを振り向いた女はそのスピードのままあたしに殴りかかった。

「あいにくそういう動きはよぉく知ってんだよ。体が勝手に動いちまう。」

アバターの姿に似合わぬ口調で話す女の声が遠くなり私は死んだ。

 

 

 

 

これはとあるVRMMOの物語。

ユニークを追い求めるでもなく、この星の真実を追い求めるでもなく。それでも彼ら彼女らは確かにその世界に存在し世界を変えていく。例えそれが世界からすれば大海の中の一滴にも満たないものだとしても。

 

 

 




この後モブ子ちゃんは反省して教会で奉仕活動したのち鍛冶師として修行の旅に出ました。
ちなみにこのあと沼荒野の一部地域では柿色の帽子をしたレッドキャップがやたら統率された動きでプレイヤーを襲うそうになったそうな…。マッドフロッグを生け捕りにして何かに捧げるような動きもしてるらしい。何でだろうね?
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