マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート すずね☆マギカチャート(マギウスの翼チャート)   作:鰯のすり身太郎

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Part.11/x

 街中を徘徊するRTA、はぁじまるよー。

 

 今日も今日とて路地裏パトロールに勤しんでおります。正直飽きてきました(こなみ)。

 チャート通りなら今ごろ、拠点で適当に時間をつぶしているはずなんですが……。いまだにパトロールを続けているのはグリーフシードが全然黒字にならないからですね。これも全て、七瀬ゆきかって奴の仕業なんだ(あてつけ)。

 ペース的に、マギウス結成まで隠居するプランはもう無理! まあタイム的にはそこまで変わらないので続行します。犠牲になるのは走る際の精神的余裕とトイレタイムだけ、それぐらいで再走してたらとても持たないからまあ多少はね?

 

 そもそもの話、再走案件がここまで少ないこと自体言ってしまえばかなり珍しいですからね。グリーフシードのことを考えてもなお、まだまだペースは好調。パトロールとたまの戦闘くらい、アドリブが必要なリカバリーに比べたらずっと楽で暇なくらいです。

 とはいえ、今こそこうしてわりかし楽な生活ができてますが、マギウスの翼に入ったらホタルちゃんには馬車馬のごとく働いてもらうことになります。

 本番は人員が増えたり、市内にウワサが設置されたりしてからですが……それでもやることはぐっと増えるので。あと3天才と顔を合わせなくちゃいけなくなるのもありますね。マジ震えてきやがった……怖いです。トラブルバニーともエンカしやすくなるし。

 

 

 

 まあそれはそれ。先のことを考えすぎても仕方ないってそれ一番言われてるから。そんなことより全然魔女が出ないので(屑運)いったん調整屋に行きます。一回時間と場所を変えれば乱数が変わってフィーバーするかもしれませんからね。

 ずっと薄暗いビルばっかのところにいて気が滅入ってきたというわけではありません。それだけは真実を伝えたかった。

 

 現在地は水名区なので、中央区にある調整屋まではさほど遠くありません。このまま人気の少ないところを通って調整屋まで向かっていきましょう。徒歩で向かっても十分時間に余裕があります。

 ホタルちゃんは金が無いので電車にも当然乗れません。しかし時は金なりというように、余分にある自由時間を使うことでそういったデメリットを賄っていけるんですね。

 操作が単調なうえに変わり映えしないのでクッソめんどくさいというのはあっても、イベント省略などを含めるとタイム的にはバイトなどで稼いだ時とそんなに変わりません。安心!

 

 

 ……それでもやはり画面がつまらなさすぎるので倍速します。ついでに少々解説をば。

 

 調整屋での代金となるグリーフシードですが、みたまさんは未使用の新品じゃなくても代金として引き取ってくれます。彼女自身はろくに戦えないので、自身の浄化の足しになればいいんでしょうね。

 そういうわけなので、調整屋でぎりぎり使えるレベルで基本的にグリーフシードの使用は止めています。気兼ねなく浄化に使えるものは少ないですが、代金になるものはそこそこ確保してあるんですね。いくつか代金にならないレベルのもあるけど。

 現在は一応浄化に使えるものじゃないと引き取ってもらえませんが、マギウス結成後はそちらに横流しするようになるため、ほぼほぼ出がらし状態でも引き取ってくれるようになります。この辺も結成タイミングを見分けるポイントとして利用できますね。

 といっても通常プレイでは見分けたとしても何にもならないし、このRTAでもそれで見分けることになったらみふゆさんの信頼度不足でこちらに勧誘が来ていないことになるので再走案件です。つっかえ!

 

 あっそうだ(唐突)。限界まで使ったグリーフシードはちゃんと孵化します。キュゥべえが締め出されたら基本、グリーフシードはみたまさんに代金として払う以外には処理できないので無理な使用は……やめようね!(1敗)

 魔力がないのにさらに魔女戦とか、なんでやる必要なんかあるんですか(正論)。ちなみにキュゥべえがいればその場で孵化する前に処理してくれます。ただし神浜から締め出されてるので、基本大事な時にはいません。ついでにいえば締め出されてなくてもそういうときに限って来ないことが割とあります。つっかえ!

 

 孵化した魔女も、基本的にグリーフシードを落とさないので(戦うメリットは)ないです。どうしてもグリーフシードを再利用したいときは、そいつに人を食わせたり魔法少女を頃させたりする必要があります。

 ただそんなことをしていたら、まず確実に他の魔法少女にボコられるのでメリットに対して明らかにデメリットが大きすぎるんですね。外道RPしたいならともかく、ワルプルギス討伐が目標な以上まずすることはありません。仕方ないね。

 

 

 

 

「あら、こんなに……。これは調整屋さんも、がんばって腕を振るわないといけないわねぇ~」

 

 オッスお願いしまーす。

 ……やっぱりステはきついですね。今はまだいいですが、この弱体化っぷりだと後半に響きそうです。

 普通、低ステは後半ならドッペルでまかなえますが、ベテラン設定ゆえの経験値不足でそもそものドッペルの強化もままならないですからねぇ。いやーきついっす。

 

 とりあえず、筋力がかなり危ないので今回はそっちを中心に強化しましょう。あとは魔力消費的に、今回は試走ほど魔法に頼れなさそうなので速度も今回は上げておきます。耐久にしわ寄せが行きますが、特化型よりはまだまだ余裕の値なのでへーきへーき。

 みたまさん、この割り振りで調整頼むぜ!

 

「……はい! これでおしまい。すぐになじむと思うけど……あまり無理しちゃだめよ?」

 

 おっそうだな。心配の声をかけてくれるなんてや゛さ゛し゛い゛な゛あ゛み゛た゛ま゛さ゛ん゛。これまでのホタルちゃんのやってたことなんて魔法少女的にはそこまでのことでもないでしょうし、実際は単に営業なだけでしょうけどね。

 

「そうだ。そういえば、前に来てた子がホタルさんに会いたいって言ってたわよぉ? 水名の子だったから、暇なら探してみたらどうかしら」

 

 水名ぁ? 水名の知りあいというとみふゆさんかゆきかの二人……。みふゆさんは連絡先知ってるし、ゆきかには拠点がばれています。わざわざ調整屋で聞くことはないでしょう。となると……。

 ……更紗帆奈が仕掛けてきた? いや、だったら『暗示』で証拠は消してくるはず……。

 

 これもう(考えても)分かんねえな。それならそれで直接聞くだけ、誰か教えてくださいオナシャス!

 

「ん~……そうねぇ。でもわたしも商売だし、お客さんのことをあまり簡単にしゃべるわけにもいかないのよぉ」

 

 はい。でしょうね。どうせそんなことだろうと思ったぜ!

 

 みたまさんは基本的に中立なので、こういう時、まずただでは情報やら何やらで支援してくれることはありません。むしろ今回は匂わせてくれるだけ有情ですね。

 ガバにつながりかねないので聞いておきたいのはやまやまですが、もう予算がありません。

 いざというときにグリーフシードがないほうがよっぽど危ないので、今回は情報を買うのはあきらめます。まあ今の段階で深刻なガバが起きることは多分ないやろ……ないよね?

 

 ままええわ。これ以上ここにいても何にもならないので水名でその魔法少女を探してみましょう。

 じゃあな! マギウスに入った後もよろしく!

 

 

 

 ……さて。そうは言ったものの、半端に匂わせられるとかえって恐怖が増しますね。

 

 水名……。誰かな……。可能性が高そうなのは妹とすでに会ってる月夜……。

 でもなぁ……もしもゆきか経由だった場合誰でもあり得るからからなあ……。今までの試走であいつが裏で誰か魔法少女と会っていたということはなかったですが、あいつならやりかねないという信頼はあります。想定しておいて損はないでしょう。

 

 となると警戒すべきは、これの正体だった時、間違いなく面倒なことになるだろう明日香や莉愛様……。

 明日香は思い込みが異常に強いので何かしら勘違いされているとそれを正すのはかなり難しいですし、莉愛様は万が一ライバル視されていたら何かにつけ突っかかってくるので上か下に信頼度がガバります。

 ……あー! まなかとか麻友みたいな、比較的リカバリしやすい人でいてくれないかなあ! そうしてくれるとこちらとしても楽なんですけど!

 

「あぁっ! まさか……ホタルさん!?」

 

 この声は! ……誰?

 えっマジで誰? えっえっえっ見ても誰かわかんない水名の制服だけど知らないしかも二人いるしえっなに? バグ?

 

「私です! 以前、昏倒事件の時にお会いした……」

 

 えっ……? 昏倒事件? えぇーと……。

 

 あっ君たちかぁ! そういやいましたね、ゆきかにつられてきた子ら! 襲撃してきた後に事件の情報くれた子たちですよね。思い出しました。

 刹那で忘れちゃってた。まあいいかこんなモブ。

 

 いやぁ、いろいろ心配してたのが馬鹿みたいですね。そっかモブ魔法少女か……。これまでの試走でも、あまり積極的に絡むことはなかったので失念してました。

 モブの魔法少女はゲーム中、たまに遭遇できるゆかいな仲間たちです。やってやれないことはないですが、伸びしろ、実力、その他もろもろで基本的にネームドの子の方が勝ります。(RTAでわざわざチャートに組み込むほどの価値は)ないです。何なら通常プレイでもろくに利用したことがありませんでした(やりこみ不足)。

 戦力としてはせいぜいよくて白羽根ってところでしょうねぇ、詳しく調べてないですけど。

 

 というわけで適当にあしらっときましょ。何か御用?

 

「あのっ、私たちあれから、みんなにまた魔法少女同士助け合おうって言ってるんです! 最近は東の子がテリトリーに入ってきたりでゴタゴタしてたんですけど、でも昔みたいにお互い支えあうのが本来の在り方だって……」

 

 そう……。以前会った時に何を思ったのか知りませんが、ボコられた相手にこんなことを言うなんてこいつ相当変態だぜ?

 とりあえずグリーフシード集めしたいのでもうどっか行ってくれると嬉しいんですけど。

 

 ……え? ついてくるの? お手本? いや来るなって言ってるやろがい! 帰れ! ロスじゃ!

 

 

 

「ホタルさん! 結界見つけました!」

 

 はぁ~……。あほくさ。やめたら魔法少女?

 結局いくら言ってもついてきやがりました。二人いるうちの一人は会話発生させてロスさせようとしてくるし、もう一人は何も言わないのについてくるし。そして何より、せっかく魔女見つけたのにこれじゃあ(グリーフシード)あーもう滅茶苦茶だよ。

 

 あっそうだ(天啓)。結界内で頃せば死体は残らないですね……。モブなら氏んでもシナリオにはまず影響しないのでアリアリのアリですよこれは。ジェムが濁るのであまりやりたくありませんが、ガバ拡大よりはマシです。プランの一つとして持っておきましょう。

 一番いいのはホタルちゃんとこれ以上関わらないことなので、また遭遇してウザがらみされたら実行することにしましょ。二度あることは三度あるって言いますからね。そのときは三度目が起きる前に始末しちゃいます。

 

 

 ほんと、チャートにないことを発生させるのはやめてほしいっすねぇ。普通モブがこんなに絡んでくることはないんですが……まさか彼女たちと出会ったきっかけがゆきかだから、それによってヤツによるトラブル判定が発生、継続している……? 検証の余地ありですね(大ガバ)。

 

 今まで馬鹿みたいな数再送させられてきましたが、今回のようにほんのちょっと関わっただけの魔法少女の後の動きまで動かしうるとは思ってませんでした。モブだからなのかもしれませんが、それにしたってあの野郎醤油瓶……! MODでもなんでもいいんでトラブル能力無効化できないですかね。RTAじゃ結局使えない? そうだよ(無常)。

 

 

 

 ともあれまずは戦闘です。幸い今回の魔女は通常エンカレベルなので適当にやっても勝てそうです。ゆきかのイベント判定はここには出ないのかな? 

 始末したいとは言ったものの、二人が白羽根相当の強さだったらマギウスの翼に入ったあと勧誘すれば便利に使えるかもしれません(オリチャー)。

 まずは使い魔戦でどれくらいの強さなのか見させてもらいましょう。コロシアエー。 

 

「……キャッ!」

「だ、大丈夫……?」

「ちょっと油断しただけ! 次行きましょう!」

 

 うーんこの。大丈夫かなこの二人。

 調整受けててこんな奴にてこずるとか恥ずかしくないのかよ? だいたい黒羽根の中なら中間より上かなってくらいの強さでしょうか。へなちょこではないけど微妙。

 

 まあ前この子らと戦った時も瞬殺できましたしね。そんなもんといえばそんなもんでしょう。

 黒羽根を引き連れて戦うことが本チャートではちょくちょくあるので、幸い足手まといのいる戦闘にはそこそこ慣れています。一応今回は二人が氏なないようカバーしてあげましょう。特別やぞ?

 

 

 見たところ二人のうち一人は近接型、もう一人は回復による支援型のようですね。まだ遠距離攻撃の手段がホタルちゃんはないので、援護に徹するのは面倒そうです。二人には使い魔を回して程よく消耗、満足してもらい、魔女をホタルちゃんが仕留めるのを狙っていくことにします。

 

 ホラホラホラホラ、もっと頑張ってホラ。こいつらごときで討ちもらしが出てる辺り、この先の神浜では生き残るのは難しいかもしれへんな。

 ちょっと目を離したらヤバそう……ってあっぶえ! 『瞬間移動』でのヘルプが間に合わなかったらまともに攻撃食らってたじゃないか……(呆れ)。

 

「す、すみません……助かりました」

「もー、しっかりしてよー?」

「ごめん……」

 

 『瞬間移動』は連射性能が売りの固有魔法です。対象は基本自分だけですが、触れているものなら一緒に動かせるのは以前お話しした通り。

 なので今回のように発動して対象に触れてから即再発動することで、いうなれば「攻撃から庇いながら回避する」ような動きができます。

 タイミングはシビアですが、マギウスの翼に入ってからは弱い仲間を連れて戦闘することが増えるのでこれができるかどうかで安定性が変わってきます。

 

 今回に関してはまあ、やられてくれても良かったんですが……いやでも、中途半端に削られてる時の行動が一番予想できないというのはありますからね、やっぱり庇えてよかったです。ちゃんと練習しておいてよかったって思うわけ。

 汎用性が低い分、今みたいに『瞬間移動』くんには働けるとききっちり働いてもらいましょう。そのための固有魔法、あとそのための願い?

 

 

 最深部に着いたぞ(MST)。

 攻撃しながら二人をカバーするのは難しいので、手っ取り早くヘイトを稼いでそのまま畳みかけることにします。

 魔女の攻撃に合わせて『瞬間移動』、体に取り付いたら杖を刺してもう一回発動。あとはダメージの通りやすい頭部に杖の剣山を作って終わり。記録は……そこそこですね。

 

 普段は錫杖やちょっとした槍くらいのサイズの杖を使っていますが、今回のような攻撃のときは歩行用くらいの小さなもので済みます。こうしたちょっとした武器の使い分けができるのもベテラン故ですかね。魔法少女歴がある程度あるとこうした小技が使えることがあります。

 試走でも8割近くはできたのでやってみましたが、ホタルちゃんも無事習得していてくれました。普段のを使うより若干魔力消費が少なく済むので、ありがたく節約させてもらいましょ。

 

「すごい……! 今の見た!? あっという間に……」

「う、うん……」

 

 っと、結界が消えましたね。無駄にしぶとくなくてなによりです。

 さてグリーフシードは……落ちてますね。オラこれやるからもう帰れ!

 

「それは……」

「えっ、いいんですか! ……ね、やっぱりでしょ!」

 

 たかりかな? 使い魔だけ倒してグリーフシードとは、いい度胸してるじゃねえか。いや元から渡すほかないので別にいいんですけど。

 というのも、ここで独占しようとすると最悪死体が二つできますし、使ってから渡すにも今回の魔女のものでは不十分です。だからいずれにせよ使わず譲る必要があったんですね。ふざけんな!(迫真)

 

 まあ神浜だしね、むしろネームドの子らが優しすぎるんです。

 モブのことはあまり信用しない、これマギウスの翼でやっていくのに大事なことアルヨ。

 

 ほらこれはやるからもうどっか行け! しっしっ塩まいとけ塩! 拠点近くには来るなよ!

 

 

 

 しかし困りましたねぇ……。さほど強い魔女じゃなかったので魔力消費はさほどなんですが、気分的に落ち目です。次はないと思えよ……。

 ……と、電話がかかってきたので今回はここまでです。

 御視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 〇 〇 〇 〇 〇

 

 

 

 

 昏倒事件のうわさを私たちが聞いたときから、ずいぶん時間が経ちました。

 

 市外の魔法少女が競合相手となる相手を襲っている、などと聞いた時には本当か、とも思いました――というのも、他の魔法少女を襲って勝てるほどの実力者ならグリーフシードの食い扶持に困ることもないと思ったからですが、ともあれ、それが実際あったにせよただのガセだったにせよ、今ではすっかりその話を聞くことも少なくなりました。

 風の噂では、あの七海やちよさんが犯人と目されていた魔法少女の無罪を証明したとかなんとか……。西のリーダー格がそういうのであれば、その下の魔法少女が口を出せることはありません。表面的にでもその噂が沈静化したのは至極当然のことでしょう。

 

 

 ただ意外だったのは、その犯人として疑われたという魔法少女が私たちが疑った人のほかにもいたということです。というよりむしろ、私たちが疑っていた人の方はあまり注目されてなかったみたいですね。

 

 その魔法少女というのが、朝倉ホタルさん。以前うわさに踊らされた私たちが襲った相手であり、現在私が苦労している原因でもあります。

 

 

 

「みつば! 私が引き付けるからそっちお願い!」

「わかったよ、命華(めいか)ちゃん。……大丈夫、治すだけですから」

 

 魔法少女は契約で願いをかなえ、対価として魔女と戦う運命を強いられる。

 私がその契約を結んでから一年と少しが経ちます。今でこそそれが真実だと理解していますが、当時の私はそれこそ悪趣味な夢か何かだと思っていたのでした。

 

 キュゥべえに言われるままに契約をし、それが本当だと知った時には時すでに遅し。私は心底くだらない理由で契約をする羽目になったのでした。

 ではどういった願いをかなえてもらったのかというと……いや、やめましょう。思い出すだけでも顔が真っ赤になっちゃいます。

 

「う……あんたら、なんで……」

「まあなんというか、命華ちゃんは影響されやすいんです。……けど今回は、あなたに悪いことにはならないと思います」

 

 命華ちゃんと知り合ったのは、契約してから一カ月くらいしたある日のことでした。

 結界でたまたま魔法少女になったばかりの彼女と出会い、共闘し、終わって変身を解いてみれば同じ学校の制服で……それをきっかけに話してみたら不思議とウマがあい、そのまま組むようになったのです。

 ちなみに彼女も私と同じくらい、もしくはそれ以上にくだらない願いをしました。そういう意味でも仲間ですね。

 

「この……! とど……めっ! ハァァーッ!」

「縺吶★繝槭ぐ雋キ縺」縺ヲ縺上□縺輔>!!」

 

 結界が消え、気づけば私たちは元の路地裏へ戻っていました。

 先に入って怪我していた魔法少女の傷もちょうど治し終わりましたし、ナイスタイミングというやつでしょうか。

 

「あー……疲れた。そっちはどう?」

「ちょうど終わり……ってうわっ傷だらけ! 治すからこっち来て!」

 

 傷は見るだけで痛くなってくるので嫌いです。そういう意味では、私が回復の魔法を手に入れたのはいいことなのかもしれません……なんて。今はどうでもいいことですね。

 

 

「……助けるなんて、どういう風の吹き回し?」

「どういうっていうか……私、気づいたんだよ。やっぱり……」

「やっぱり?」

「魔法少女ってのはさ、助け合ってこそじゃないかって」

「……はぁ? あんた……」

「まぁまぁ……もうちょっとだけ、聞いてあげてください」

 

 あのホタルという人と会ったあと、命華ちゃんはこんな感じのことを言いました。

 ――私は心を入れ替えた。たとえ東の子だったにしても、これまで魔法少女と争っていたのは間違っていた。これからは私たちは他の魔法少女と助け合っていこう。

 

 ……いやまあ、分からなくはないのですが。

 実際、噂を信じ込んだ私たちに襲われても報復せず、それどころか仕方がないことだからとソウルジェムの浄化までする彼女は相当の善人でしょうし、そうなりたいという気持ちはわかります。

 

 とはいえ、それだけでは普通何とかならないのが魔法少女。

 少し前まで東と西で中央を巻き込んだ抗争状態になりましたが、あの時も好き好んで争い始めたのは一握りだったと思います。ほとんどは私たちがあの時そうだったように、やむをえず、そして周りの流れに負けて争いに飛び込んだのです。

 そしてそこまで落ちて、また手をつなぎあうのは難しい。今目の前にいる彼女のように。

 

「ほら、グリーフシード。浄化してあげるから」

「っ! ふざけんな!」

「あっ! ちょっと!」

 

 命華ちゃんがだした手を彼女が振り払います。この光景も、もう何度か見たものです。

 

「助け合いって、何よそれ……。鏡の魔女の一件から中央にも行けなくなって、必死に西の中でテリトリーに入ってない場所も探して……やっと魔女を見つけたと思ったらこのザマなのがあたしよ!」

「だからそういう時だからこそ……」

「よく言うわ……あんたらだって中央で東の奴らとしょっちゅう争ってたのに。……もうこんなことはやめて。うざいだけだから」

「ちょっと待って……!」

 

 聞かずそのまま彼女は一目散に立ち去ってしまいます。私たちはグリーフシードと一緒に残されるばかり。

 

「ダメ、か。なかなかうまくいかないな……」

「お疲れ様。……まだやるの?」

「まだって……みつばだって前、魔法少女と戦うなんて嫌っていってたじゃない!」

「それはそうだけど……」

「だったらなおのこと、また魔法少女同士で助け合うようにしないと。最初はうまくいかなくても、続ければだんだんよくなってくって!」

 

 こうして助け合おうといって拒絶されたのも初めてではありません。そうでなかった子でも、それからこちらを助けてくれた子はおらず。

 ……命華ちゃんは助け合いというけれど、きっとあのホタルという人はそんなことは考えていなかったでしょう。彼女にとって私たちは……。

 

「ホタルさんみたいに私も頑張らないと……。ね、まだグリーフシードあったっけ?」

「え? あぁ、私は一個持ってるよ。命華ちゃんは?」

「私も一個。……よし、もう一時間パトロールいこう!」

 

 考えたことを口に出そうとして、やめました。私は親友とすれ違いたくなかったから。そのことを言えば友情は消えてなくなってしまうと思ったのです。

 

 

 

 結局その日は、新しく魔女とも魔法少女とも出会うこともなかった私たちは、翌日調整屋で落ち合う約束をして解散となりました。

 放課後だけでなく、深夜にもパトロールするようになったのもあの日から。今ではお母さま方家族にバレないよう、こっそりと家を出てまた戻るのにも慣れてきました。

 

 

 調整屋といえば、ここを紹介してくれたのはあの日に私たちに襲われた七瀬ゆきかさんです。

 私たちは彼女の一つ下だったのであれまで面識はなかったのですが、同じ学校というのもあって偶然会うこともあったのです。

 一度は襲われた相手を、こちらも改めて謝罪したとはいえ快く受け入れ、その上施設まで紹介するあたり彼女もたいがいのお人よしでしょう。

 それはそれとして、これでさらに命華ちゃんの助け合い精神が強まったのは言うまでもありません。おのれ。

 

 その頃お家が大変だったとかで命華ちゃんは知らないようですが、あそこの店主のみたまとかいう人は少し前にウチの学校でトラブルを起こした東の人だったような気がします。

 ゆきかさんのお墨付きもあったのでイチかバチかと試してみると実際効果があったわけですが、彼女もよく試してみようという気になったものだと思います。

 調整で強くなれたのは事実ですが、彼女が東の人であるのも事実。なにか変なことをしないかと思わないはずはないでしょうが……。

 

 そんなことを考えているうち、自然と瞼が落ちていました。

 学校で寝てはならないのは当然なのですが、最近は夜遅くまで起きているので本当につらく……布団に入ればそのままあっさり寝てしまうのは仕方ないんです。うん、仕方ない。

 

 

 

 次の日、放課後。一足早く待ち合わせ場所の調整屋へと向かえば、思いもよらない人を見かけました。

 

(朝倉さん……)

 

 黒いジャージ、小ぶりなカバン、浮かべたままの笑顔。すべてがみんなあの日と同じで。

 命華ちゃんがまだ来ていなくて良かったです。いたらきっと面倒なことになっていたでしょうから。

 

(けど、どうしようかな……)

 

 もともとの予定通り調整屋へ行けば彼女と鉢合わせすることになります。しかし、命華ちゃんには悪いですが私はあんなにあの人を良くは思えませんし、正直なところできるならば会いたくないのです。

 あの時ああして一蹴されて。差し出されたグリーフシードを見れば、哀れまれているようでみじめでした。本当に。

 

 命華ちゃんが遅れてくれたのは幸運でした。今いれば彼女に気づかないわけがないですからね。

 

 後は命華ちゃんがが来る前に彼女が出て行ってくれるか、もしくは調整屋に何とかして入らないようにするか。

 どうするかと悩んでいれば、彼女が出てくる前に聞きなれた声が聞こえてきました。

 

「ごめんみつば、先生に言われてプリントとか運ばないといけなくなって……みつば?」

「! ……あぁ、大丈夫。それより調整屋さんだけど、今日は結構混んでるみたい。調整は明日にして今日はいつも通り魔女探ししない?」

「そうなの? あっちゃあ……」

 

 仕方ないか、という彼女の言葉を聞きながら、調整屋のドアから私は目が離せませんでした。こうして話しているうちにも彼女が調整を終えて出てきてしまうんじゃないかと気が気じゃなかったからです。

 けれど私たちがそこを離れるまでにドアが開くことはありませんでした。

 

 何とかなった、とついた安堵のため息を命華ちゃんに気づかれなかったのはラッキーでした。嘘なんてそうそうつかないし、いつバレるかとひやひやしっぱなしでしたから。

 しかし、会わずにすんだという私の安心はすぐに消えてなくなりました。

 

 

 

「あぁっ! まさか……ホタルさん!?」

「うわっ!? あっ、二人はえーと……名前、聞いてたっけ?」

「そうです! 私です! 以前、昏倒事件の時にお会いした……」

 

 ……まさか。まさか街中で出くわすことになるなんて。

 

 考えてみれば十分あり得ることではありました。

 以前に会った時も水名区の路地裏だったんですから、彼女がこの辺りで魔女を探すことがあるというのは分かるはずでした。

 ましてやお互い調整屋からこちらに来ているわけですし、少し同じところにとどまっていれば出くわすに決まっていたんです。むしろ今まで水名で出くわさなかったのが幸運だったのかもしれません。

 

「じゃあ、改めて。私は朝倉蛍。あなたの名前は?」

「私は輪島命華って言います。それでこの子は私のパートナー!」

「……」

「ほらみつば、……みつば? 具合悪い?」

「! あぁ、大丈夫……えと、私は塔下みつば、です。よろしくお願いしますね」

 

 そうして考え込んでいた内に話は進んでいきました。

 しかし、最近魔女との戦いが増えてきた疲れもあるとはいえ、つい呼びかけられたのにも気づかないほど没頭してしまうとは思いませんでした。もっとしっかりしないといけません。私がしっかりしないと命華ちゃんにも迷惑をかけてしまいます。

 

「うん、命華ちゃんとみつばちゃんだね、よろしく! ……でも大丈夫? ちょっと顔色悪いんじゃない?」

「そんな、大丈夫ですよ! あ、でもみつばは……」

「いえ、お構いなく……。私は元気だよ、命華ちゃん」

「……そう? でも無理はしちゃダメだよ?」

 

 そんなことを言われても、私も困ります。

 二人の視線から逃げるようにその後ろへ行けば、そのうち命華ちゃんが彼女と話し始めました。彼女も少し気がかりそうな顔をしたけれど、そのうちそちらに集中したようで。

 その内容が私たちの最近していることになったのも必然のことでした。

 

 

「あのっ、私たちあれから、みんなにまた魔法少女同士助け合おうって言ってるんです! 最近は東の子がテリトリーに入ってきたりでゴタゴタしてたんですけど、でも昔みたいにお互い支えあうのが本来の在り方だって……」

「あれからっていうと……もしかして、昏倒事件のことを教えてもらった時のこと? そんな何かあったっけ?」

「言ってくれたじゃないですか、私たちだってホタルさんみたいに助け合っていけるって! 忘れちゃってました?」

「……そんなこと言ったっけ? まあ、そうできればいいなって私も思うけど……」

「言いましたよー!」

「んー……だからって自分のことを疎かにしちゃダメだからね? そうしてグリーフシードがなくなれば魔法少女は……」

「分かってます! 魔法が使えなくなったら困りますもん!」

「……そうだね。大変だ。だから無理するってことはしちゃダメだよ?」

 

 路地裏に二人の声が響きます。

 

「でも見つからないですね、魔女……。これじゃ戦い方をお手本にさせてもらおうにも見れずに終わっちゃいますよ」

「お手本って言われても、私も最近はそれほどだからなぁ……。むしろ頼っちゃうかも」

「それならそれで大丈夫です!」

「いやー、私が困っちゃうなぁ……」

 

 聞こえてくる話もあまり面白いものではありません。私はそれに入らずただ聞いているだけ。ようやく沈み始めた日を見て、このまま何もなく終わらないかと思うだけです。

 

 

 

 しかし結局そうはなりませんでした。魔女の気配を感知し、私たちは急いでその元へ向かいます。

 

「ホタルさん! 結界見つけました!」

 

 結界を見つけたのは命華ちゃん。中へ入ってみれば芋虫のような使い魔がたくさんと、砂場のような結界が広がっています。

 

「よーし、がんばろうみつば! 頼れるところを見せないと!」

「頼れるところって、命華ちゃん……」

「あははー……お手柔らかに」

 

 命華ちゃんが張り切って使い魔たちを倒そうと突っ込んでいきました。その後を朝倉さんも杖を構えて悠々と歩きだします。

 私はといえば、それまでのように後ろをついていくだけ。魔法が回復であることもあって命華ちゃんが前衛、私がその後ろというのはいつものことでしたが、一人増えるだけで随分寂しくなった気がしました。

 

 そしてそう考えているのがダメでした。前を行く命華ちゃんが何体かの使い魔に囲まれたのに気づけなかった。

 

「このっ!……キャッ!」

「命華ちゃん! ……ったぁ!」

 

 朝倉さんが投げた杖が使い魔たちを貫きます。そして残った虫の息の使い魔も命華ちゃんが仕留めました。

 

「だ、大丈夫……?」

「ちょっと油断しただけ! 次行きましょう! ホタルさんもありがとうございます!」

「いや、私もちゃんとカバーすべきだったよ。ごめんね」

 

 ……普段ならこんな失敗はしないのに。普段ならしっかり私がカバーできていたのに。

 どうして今日に限って失敗してしまうんでしょう。いつもは私もできていたのに。

 

 また思考が回って、あたりに気を配れなくなって、そして私にも同じことが起きました。

 

「みつば、危ない!」

「……え?」

 

 声でとっさに顔を上げれば、小さな山のように積み重なった使い魔が倒れてくるのが見えます。

 

「髮サ蟄先嶌邀阪〒繧ょ、ァ荳亥、ォ!!」

 

 つぶされる。そう思ったとき、触れられた感触がして、ぷつりと景色が変わりました。

 

 倒れてきた使い魔たちがそのまま杖に薙ぎ払われるのを見て、やっと助けられたと分かって。その時にどれだけ情けなかったか。

 

「間に合ってよかった……大丈夫?」

「す、すみません……助かりました」

「もー、しっかりしてよー?」

「ごめん……」

 

 私が命華ちゃんを助けないといけないのに。初めて会った時みたいに……そうでないと、親友でいられない。パートナーとは言ってもらえない。

 

 

 ……その後は、何とか何もなく魔女のところへつけました。

 駄々をこねる子供のように暴れる魔女。私たちが何かする前に彼女が飛びだしました。

 

「っと、はっ!」

 

 蛍光色の外套姿が一瞬でかき消えます。それが魔女の体のところにあるのが見えた時、すぐにまたそれが見えなくなってそこには彼女の杖だけが深々と突き刺さっているだけ。

 

「荳牙キサ縺?縺代→縺頑焔霆ス縺ェ縺ョ縺ァ縺懊?縺企。倥>縺励∪縺!!!!!」

「……ごめんね」

 

 彼女が魔女の頭部、目のような部位へとまた杖を突き刺します。

 暴れる魔女。それでも彼女は杖から手を放さずに、一本また一本と今度は小ぶりの杖を刺していきました。

 

 いつしか魔女の動きは弱弱しくなっていきました。最後に彼女は、掴まっていた杖をより深くへ突き刺し、そして。

 

 

 

 ……私たちは元の路地裏に戻っていました。

 コツン、とグリーフシードが地面に落ちたのを見て結界が消えたことに気づきます。

 

「すごい……! 今の見た!? あっという間に……」

「う、うん……」

 

 何もできなかった。見ているだけで気づけば終わってしまった。

 私は命華ちゃんの顔を見られませんでした。彼女が朝倉さんを見る顔を見たくなかったんです。

 ……そして私は、それを手にした彼女がこちらへ向かってくることにも気づきませんでした。

 

「……お手本、見せられたかな?」

「はい! 凄かったです! ほんと、あっという間に倒しちゃって……ね、みつば!」

「……」

「それで、これはあげる」

 

 うつむいた私の目に入ってきたのは、差し出されたグリーフシード。

 

「……二人とも、ずいぶんソウルジェム濁ってるよ。ちゃんと自分のも浄化しないと」

「それは……」

 

 要りませんと。私が払いのけようとしたとき、命華ちゃんの声が聞こえて。

 

「えっ、いいんですか! ……ね、やっぱりでしょ! 助け合いなんだよ」

 

 そう言われた言葉は、私の手を止めました。……助け合い。これが? 本当に?

 ふと手の中のソウルジェムを見るとほぼ真っ黒になっていました。さっきの戦いで私はほとんど魔法を使わなかったから分からなかったけれど。

 

 それを見るなり、彼女は無理やりその手のグリーフシードでそれを浄化しました。強引につかまれた腕にはしびれが残るくらいで、私は思わずこぼれかけた悲鳴をどうにか押し殺しました。

 

「……本当に。自分をおろそかにしちゃ、ダメなんだよ」

 

 絞り出すような、子供のような彼女の声は命華ちゃんには聞こえなかったようでした。

 何も言えずにいると、彼女のカバンから電子音が聞こえてきました。はっとすると彼女は慌ててスマホを取り出し通話に応じます。

 

「あ、もしもしみふゆちゃん? 珍しいね、こんな時間に……今すぐ? 何で……って、ちょっと!」

 

 ごめんと言うなり彼女は走り出していきます。そして私たちはグリーフシードと一緒に残されただけ。彼女は命華ちゃんの声も聞かず去っていきました。

 

 ふと私は辺りを見回して、月を見て。その白いのを見て、ふと思いました。

 

 ……キュゥべえを最近見ていないな、と。

 

 

 

 




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〇魔女の言葉
 記号だったり文字化けだったり。魔女文字とはまた別。
 実は解読できるものもある。

〇黒羽根
  マギウスの翼の下っ端。
  言ってしまえば戦闘員ポジ。

〇輪島命華
  Part5のあいつ。モブA。
  思い込みが強すぎる。

〇塔下わかば
  Part5に実はいた人。モブB。
  びびり。魔法はゆまの劣化。

〇朝倉蛍
  助け合いなんて考えてなかった人。
  そろそろ忙しくなる。

〇水名女学園
  お嬢様学校。魔法少女の巣窟でもある。
  名家の子が多いが、モブ二人はだいぶ下のランクというどうでもいい設定。
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