マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート すずね☆マギカチャート(マギウスの翼チャート) 作:鰯のすり身太郎
そういえば、彼女に宛てて電話をかけるなんてなかなかないことです。いつも電話をかけてくるのはあちらからだから……そも、電話をかけようという気力すら湧かなかった日々だったとはいえ、なんだか違和感すらあるような。
いまだまとまらない思考を走らせます。
そういえば、電話越しに聞いた彼女の声がどのようなものだったか、いまいち思い出せません。
……いや、違いますね。それは正しい表現ではないでしょう。
相手の声なんて、まともに聞いていませんでした。ワタシはただ、自分の要件だけを乱暴に告げて、それきり切ってしまったわけですから。
……夢や幻覚と思われかねないことのためにワタシは彼女を呼びました。
これからワタシが告げようとしていること。
それはあまりに都合のいいことで、自らを慰めるため見せた幻覚でないと、果たして誰が証明できるのでしょうか。
それはあまりに虫がいい話で、今が現実なんかではなく夢の世界であると、果たして誰が否定できるのでしょうか。
……誰も、いません。それを裏付けているのは濁りがすっかり消えてなくなった自らのソウルジェムと、自分が『ソレ』を出したという記憶のみ。ふと気がつけば、次の瞬間には元通りかもしれないようなこと。
「……ワタシは、何を期待しているんでしょうね」
この夢の否定? 現実を見ろという、警告? 親友の、やっちゃんすら差し置いて? その役割を彼女に期待したと?
違う。
ワタシが彼女へ連絡したのは、彼女なら賛同してくれるという予感があったから。夢かも、幻覚かもしれないソレに縋る仲間だと……そう感じたから。
理由はない。彼女と『魔法少女の真実』について話したことだってないし、そもそれを知っているという確証もない。
ただ、ソレを思うのは。
電話越しに聞く楽しそうな声とは別に……彼女がワタシを助けたときの、あの声を知っているから。
焦燥に満ちたあの声は、きっと――。
まとまらない脳みそが空回り、そのうちに近づいてくる足音に気づきました。
それがすぐそばで消えて、続けてその主のせわしない呼吸すらも消えて……そうしてやっとワタシはそこへ顔を向けました。
夜の暗闇の中、見えるのはそのおぼろげな影ばかり。
こっそり深呼吸をして、顔も分からない彼女に向けて口を開く。
「……魔法少女の真実を、運命を……知っていますか」
息をのむ音。
次の瞬間、手を痛いくらいにつかまれました。それは彼女が、ワタシの指輪を……ソウルジェムを見るため。
顔は見えず。ただ、また荒くなった呼吸と戸惑った声が聞こえるだけ。
「ジェムが……濁って、ない……?」
手が3本、ぶらりと垂れる。
ついで自分の口から出た言葉は、驚くくらい普段通りのように響きました。
「魔法少女の運命から……救済されるとしたら。魔女にならなくてすむとしたら。どうしますか……ホタルさん」
荒い呼吸が響く。
一分か、一時間か……いや、ひょっとしたら10秒くらいのほんの少し?
やっと顔をあげた彼女の顔を、街灯が照らし出す。
ぎらりと。
その目に光が映り込む。
ついにマギウスの翼に入れそうなRTA、はぁじまるよー。
前回はモブ魔法少女に翻弄されるクソガバをお見せしてしまいました。
どうせ使えないからと調査を怠っていたのが露見してしまいましたが、ここからは違います。華麗なチャートを披露して評価を取り戻すンだ……!
そういうわけで今回はみふゆさんから電話がかってきたところですね。あいつらと魔女を倒してそのままなので、何かしら戦闘する羽目になれば少々魔力は足りませんがまあいいでしょう。
予想が正しければそういう戦闘はありませんからね。会話イベントだけです。
強いて心配な点を上げるならホタルちゃんが魔法少女が魔女になることを知らないパターンなんですが……まあこれまでの試走で知らなかったことは一度もないから大丈夫だってヘーキヘーキ。
やちみふの二人のようにあの年まで知らないことの方がレアケースなんじゃないですかね、多分。一応経歴で確認できるんですが、魔法少女歴長いのもあっていちいち見るのもロスいですし。
他魔法少女からの電話についてですが、基本的にこれは何かしらのイベント発生を知らせるフラグであることが多いです。
散花愁章の昏睡イベントとかがわかりやすいですね。ある程度信頼度が高い魔法少女からヘルプの電話が飛んできます。
あとはその魔法少女によってかけてくるイベントも変わります。
例えばみふゆさんなら以前の調整屋の件のように魔法少女の力関連、かこちゃんなら13歳組で何かしら……例えばフェリシアとあやめの競争がヒートアップしたり、それこそ散花愁章であやめと連絡がつかなくなったりというようなことがあったときみたいな感じですね。
ほか、信頼度を上げすぎるとデートに誘われることもあります。これに関しては完全にこのチャートではほぼほぼ無縁なんですが。
というのも、みふゆさんはまずマギウスの翼結成までそんな余裕はないです。そんでもって、結成してからみふゆさんのメンタルがある程度安定する頃にはこちらの余裕がまず確実になくなります。
そして他の魔法少女ともそこまで信頼度は上げてないですし、マギウスの翼に入れば組織外の魔法少女との交流に制限が入るようになるので、必然、デートイベントのようなほとんどのイベントが発生しなくなります。
イベント発生の抑制もマギウスの翼チャートの利点と以前言いましたが、こういう仕様も追い風だったりそうじゃなかったりします。
というのも、少しの信頼度ならこれでイベ抑制が働いてくれるんですが、高すぎると以前お話ししたように本筋に積極介入してくるようになるからです。でもぼっちプレイだとアザレアなどで詰んだりするし、これがなかなか……難しいねんな。
……ちなみにマギウスの翼内のキャラだとイベント発生フラグは残ります。信頼度を上げてもメインシナリオに影響がないからと言って調子に乗って上げすぎるとこのチャートの利点が潰れるので注意しましょう。
そしてどこぞのバニーガールもマギウスの翼なのでヤツの危険性は普通に残っています。ヤツをマギウスの翼にしないよう動くことも一度検討しましたが、そもそもあいつが翼に入らないこと自体イレギュラーなのでガバフライエフェクトが発生します。しました。(2敗)。
ほんと……ほんとあいつ……。一番美味しいのはこっちの知らないうちに勝手に退場してくれることなんですけどね。まず自分は氏なないですからねあいつ。しかももう知り合ってるから今更氏んでもこっちに悪影響でるし。
お前のチャートってゆきかの影響大きすぎないか?
……まあ今はそんなことはどうだっていいんだ。重要なことじゃない。
この時期でのみふゆさんからの電話というと、まず確実にマギウスの翼への勧誘と考えていいと思います。ほぼ毎日地道に電話をかけて信頼度を稼いでいた甲斐があったってものですね。
そんなわけで飛んできました水名区。電話で言ってた事からすると路地裏のこのあたりにいるはずなんですが、さて。
……お、いたいた。相変わらず寒そうな格好してますねみふゆさん。オッス元気か!
「……魔法少女の真実を、運命を……知っていますか」
思った通り、マギウスの翼勧誘イベントですね。
他に羽根を連れていないのでちゃんと結成初期のようで一安心。ここまで来て駄目だったことは試走でもないですが、このゲームのハードはたまによく分からないことが起こるのでどうしても緊張します。
……お、ホタルちゃん駆け寄りましたね。これは魔女化のことをちゃんと知っているパターンです。
ここで以前のキャラメイクの時にした性格設定が生きてきます。
ホタルちゃんの『お人好し』はこうした重要な選択となる行動をとるとき、付き合いが深い子に味方しやすいよう補正が入ります。今回は多分信頼度トップがみふゆさんなので、マギウス側になりますね。
選択権は最終的にプレイヤーにあるのがほとんどなので言ってしまえば小細工なのですが、マギウス入りを迷う子だとランダムイベントでチャートより早く勝手に裏切るときがあり(一敗)、チャートが崩壊します。
ほか、そもそも最初っからマギウスに懐疑的な立場をとるからマギウスに入った後も敵対フラグを建てまくるやつもいたり、(一敗)逆にヒャッハーしすぎて羽根たちにドン引きされた末見捨てられるヤツだったり(二敗)。
やたらリアルに作りこまれているが故の弊害が容赦なく走者に襲いかかります。なんつーゲームだ……。
『お人好し』は何度もの試走の末導き出した、このチャートでの最適解に近い性格です。序盤は魔法少女の救いのためにと動けて、後半になれば非道な行いに走るマギウスにはもうついて行けないと裏切りやすい。ついでに仲間思い扱いになるのか、羽根からの信頼度上昇幅が高め。なんだこの完璧なチャートは、たまげたなぁ……(自画自賛)。
さて、勧誘イベントですが、最初期と言うこともあってみふゆさんの切実な感情やらをがっつりぶつけてきます。これにはホタルちゃんも同情不可避。
ただまあ、これは彼女の過去語りとかホタルちゃんの反応とかも入って怠いのでじゃ、流しますね……(無慈悲)。
……と、いうわけでお話が終わりました。
勧誘に対する答えはもちろんYESです。当たり前だよなあ?
「……ありがとうございます。魔法少女の運命、その呪縛からの解放のため――一緒に戦いましょう。ホタルさん」
いいぞ。(ジャンボ尾崎)
これでひとまず今日の活動は終わりですね。帰って休ませてもらいましょう。帰るって言っても廃墟ですが。
さて、当面の目標だったマギウスの翼への所属ができたので、このままこれからのおおまかな流れも説明させていただきたいと思います。
さっきみふゆさんから聞いたことによると、今のところは他に魔法少女を勧誘してはいないようです。ホタルちゃんが下っ端一番乗りですね。
この先、みふゆさんから月夜、月夜から月咲へというようにマギウスの翼が増えていきます。解放の輪が広がってないか?
もっとも、このうち誰かが欠けたとしても代わりの魔法少女が役割を担うようにはなっているんですが、基本的にこのルートを通るのはハードでも変わらないです。
他にここが変わるとしたら、プレイヤーがマギウスの翼関連の誰かしらに過去で絡んでいた場合ぐらい……だと思います。試走ではすべてこのルートでしたし。
さっきのみふゆさんとの会話で、ほかに勧誘するアテがあるのかも聞いておいたので多分大丈夫です。この段階での彼女のアテはまず間違いなく月夜だけのはずですし、ホタルちゃんだけ勧誘して終わり、ということも避けられたはずです。うん、大丈夫大丈夫。たぶん。きっと。メイビー。
そしてこれからの動きなんですが……実際のところ、ここから大きく状況が変わるまではもう少しかかります。
というのも、マギウスの翼のメンバーはピーヒョロ姉妹が加入してからしばらく、増加しなくなるんですね。
一応この段階でも、信頼度イベントは勧誘に置き換わるので発生しなくなりますが、ある固有イベントが発生するまでの間は他の魔法少女との交流の制限がそれ以外には掛からない状態になります。
そしてこの間に、一つ消化しておきたいイベントが残っています。これの発生フラグは建てているので必ず処理しなくてはいけません。
ちなみにですが、(これを発生させないという選択肢は)ないです。そうしたが最後、すべてが地雷原と化したと言えるくらいに予測不能なガバの温床に叩き込まれます(一敗)。
で、この処理したいイベントというのが、『散花愁章』ですね。
結構重要なイベント故、先駆者兄貴たちの走りを知っておられる方からすれば「やっぱりな♂」というところでしょうか。それでも一応、初見兄貴もいらっしゃるかもしれないので軽く説明をば。
『散花愁章』は以前介入したりお祈りしたりした、『そしてアザレアの花咲く』『バイバイ、また明日』とのつながりが強い……というか、それら二つのクリアが条件で発生するイベントです。
以前にも言ったかもしれないですが、正直に言えばチャートのうまあじを消す故、これらイベントには介入したくなかったのです。お祈りポイントも増えるし。
しかし幾度もの再送を増やすことになっても、このイベントを、正しくはこのイベントの元凶を処理しないという選択肢はとれなかったのです。
というのも元凶の魔法少女、更紗帆奈。こいつがこのイベントを起こさないと裏で暗躍しまくったあげく、ストーリーを完膚なきまでぶっ壊す最低最悪の破壊者になり得るからです。
こいつの固有魔法は『暗示』。いやまあ、厳密には違うんですが基本そうです。
これは口を開いて命令を聞かせれば、どんなことだろうと強いることができるというトンデモ魔法。行動操作に限らず、記憶消去、幻覚、隠蔽工作、その他諸々エトセトラの万能性。しかも魔力コストもお手軽。インチキ効果もいい加減にしろ!
そして『散花愁章』はこいつを確実に表舞台へ引っ張り出せる最初で最後のチャンス。ここを逃さず、きっちり仕留める必要があります。
さもなくばマギウスの翼が内部崩壊したり、逆に対抗勢力が根こそぎ消えた末にラストで救済がパア、みたいなことが起こったりします。こいつのせいで。
強力な分、仲間にすると相応のうまあじもあるのですが、本チャートではそれは行いません。
というのも信頼度管理がこいつは面倒な上、手なずけてもマギウスの翼が『暗示』なんて手に入れたら最後、みかづき荘の面々などがなすすべ無く無力化されるためです。ワルプルギス討伐をゴールとする以上、マギウスの翼を過剰戦力とするわけにはいかないのです。
逆にマギウスとして救済を叶えるルートなら、仲間にするのは積極的に狙った方が良いかと思います。マギウス側なら『暗示』の使用に制限をかける必要も無いわけですからね。なんなら別レギュに分けるのも考慮した方が良いくらいかと。更紗帆奈はそれくらいの劇物です。
今の今まで、マギウスに与しない魔法少女と信頼度ガバのリスクを冒してもなお交流を持たざるを得なかったのもすべてはこいつがため。このイベントのクリアをもって真にマギウスの翼チャートは開幕すると言っても良いでしょう。
……余談オブ余談ですが、似たような魔法を持ってる魔法少女は他にもちらほらネームドにはいたりします。まあ彼女らはろくすっぽ神浜に介入はしてこないので対策はいらないんですが。こういうのを考える度、魔法少女の世界はおっそろしい修羅の世界だなあと思います。こなみ。
話がそれました。このあとしばらくしてから、初期メンバー……基本的にみふゆさんとピーヒョロ姉妹……に招集がかかります。顔合わせですね。
これが件の交流制限をかけるイベントで、ここにホタルちゃんも追加で入るわけです。
それまでの間に『散花愁章』を発生させ、クリア。更紗帆奈を始末し後顧の憂いを断ちます。
で、肝心の『散花愁傷』をそれまでに発生させる方法ですが……お祈りです。
うん。「また」なんだ。済まない。仏の顔もっていうしね。クソチャートって言われても仕方ない。
でも、この言葉を聞いたとき、君はきっと言葉では言い表せない「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
……いや、言いたいことは本当に分かります。すみません。でもどうしようも無いんです。
このゲーム、発生フラグこそあれどその時期はランダム。完全にこれを制御しようとすれば、乱数かなにかで状況再現するしか無いでしょう。
本当であれば、こうしてマギウスの翼に入る前に発生してくれるのが理想だったのですがもはややむなし。
拠点についたらセーブをし、みふゆさんから招集の連絡が来るまでに『散花愁章』が発生するまでひたすら寝て起きてを繰り返してのリセマラを敢行します。
現在のペースですと……おそらく許容回数は三回。これをオーバーすれば再送となります。
地獄の覚悟をしたところで今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。
○ ○ ○ ○ ○
「……そ、れは……」
彼女の声が空に響くようでした。
その声は普段のそれとはまるで別で。ふと、砂漠の旅人はこんな声だろうかなんて考えてしまったり。
こんな時なのにどこか抜けた事を思う、自分の頭を不思議に思いました。……いや、だからこそでしょうか?
……いや、何だって良いことです。今はそんなことを考えているべき場面ではないのですから。
彼女の顔は暗がりで見えない。……見ようとも思わないですが。ただきっと、ひどい顔をしているのでしょうと思うだけ。お互いに。
そういえば、化粧も何もせずに出てきたことを今更ながらに思い出しました。以前もそうだったでしょうか? こうして彼女と顔を合わせるのは未だ三度目。
幾度となく思いました。それだけの相手にこんなことを言うなんて、と。けれどそう思わせるものが彼女にはあるのです。
惹かれるものを感じた、なんて。そういえば聞こえは良いけれど、そんな綺麗なものでは無いでしょう。
ワタシと彼女を繋げていたものは……。
「やはり。知っているんですね、魔法少女の運命……魔女の真実を」
最初からこれでした。
「みふゆちゃん、混乱、してる? その、魔女化のことを知って……」
「いいえ。ワタシが魔法少女の真実を知ったのはそう前のことでは無いですが……かといって知ったばかりというわけでもありません。ワタシが貴方と初めて会ったときには、すでに知っていました」
「じゃあ、なんで……」
ぽつ。ぽつ。ぽつ。
しゃがれた声が浮かんで消える。
錯乱じゃない? 魔女? 使い魔? いやそれとも、
「魔法少女の……」
「ホタルさん」
自分でも驚きました。その声があまりに冷たかったから。
彼女が混乱するのも無理の無いことでしょう。それは他ならぬワタシ自身のそれが何よりの証拠でした。
魔女の代わりに自らから這い出た怪物……ドッペル。そしてそれを当たり前のように眺め、あまつさえ魔法少女の解放すら謳う里見灯花と名乗る少女。
でも。ホタルさんが来る前まであったはずの迷いが無いことに気づきました。
気づく、気づく……そう!
もし、それがワタシの幻覚、夢だと……そうしてためらって何になるでしょう!
今の希望はそれきりです。さもなくば何もかもに未来は無い。ワタシの持つべきでなかった恋も、絶望と悲嘆に沈むやっちゃんの未来も、何もかも!
そして。
やはり。
彼女なら、それに付き合ってもらえると……そう思ったのは間違いじゃありませんでした。
呼吸が響く。
から回るようにあふれるそれが次第に減って、そして止まる。
そうして彼女の発した言葉はそれまでとはまるで違っていました。
「……詳しく、聞かせて。あなたの言う、救済について。魔法少女の運命を変えられるなら……わたしは」
なんだってやってやる。
声が空気に沈んでいく。笑い混じりの聞き慣れたものとも、さっきまでのか細いものとも違っていて。
それはワタシの声よりもずっと……冷たくて寄る辺の無いものでした。
ワタシは話しました。知る限りのことを……ドッペル。里見灯花という少女。交わした言葉。それだけでなく、ワタシの過去も、思いも。すべて。
……要らないことも入っていました。救済にワタシ個人のことなど、当然ながら関係ない事です。それでも話してしまったのはただ、話すうちに頭に血が上ってしまっただけでした。何もかも考えずに、心でせき止めていたものを取りこぼしてしまっただけ。
それでも彼女は相づちもせず、ただ黙ってそれを聞いていました。
そうして、話し終えて。またの静寂が破られたのは、言い終えたワタシもまた同じように黙ってからしばらく経ってからのことでした。
「……う」
ひとこと。何かがこぼれたようでした。
……しかし、それにどんな思いが籠もっていたか、そも何を言っていたかも分かりません。次の瞬間には彼女はその場へ倒れ伏したのですから。
思わず駆け寄ろうとしたそのとき、気づきました。
彼女は笑っていて。彼女は泣いていて。そして聞いたことの無い音が聞こえました。
……倒れ込んだのが暗がりだったのは、果たして良かったのか悪かったのか。
「――――――――――――――――!!」
言葉じゃない声が漏れ出ていました。叫びとも違う、何ともしれない声が。
……それが止むまではきっと長かったでしょう。ワタシがはっと気づいたときには、それが嘘のように彼女は立っていたけれど。
見たものが幻でないと分かったのは、街灯に照らされた目元に確かに涙の跡があったから。
「ホタルさん……?」
「あぁ……いや……ごめん」
あはは、と笑う声がしました。さっきまでのとは違う、聞き慣れたもの。
「ダメだねぇやっぱり、わたし……はは、ほんと、ごめんね」
「それはどういう……」
「あはは、色々? ……でもさ、そんなのは今はどうでも良いんだ」
冷たい声が弾んでいて。自然と、ワタシの視線がそれたのを感じました。……あの顔を見るのが怖い?
「正直に言えば、まだ頭では信じ切れてないんだ。魔女になるっていうのはどうやったって避けられるものじゃないって、これまで思ってきたからさ」
「でも、言っていることが嘘だっても思えない。みふゆちゃんが見た幻覚だとも。それに、うん。もしそうだとしたって、わたしは」
声が詰まっている。それでも口から音が漏れている。
「やらずには、いられないなあ!」
笑いが漏れていた。涙が漏れていた。
……ワタシは、何も言えませんでした。何かを言うべきだと。そう叫ぶ頭に反し口は開かずに。
……もっとも、何を言えば良かったのか。それだって分からないことですが。
その後の話をしましょう。
少しして、彼女ははっとしてからまた謝り始めました。
そしていつも通りに笑う彼女は、いつもの電話のように話していて。ただ、違うのはその中身。
他愛のない日常のことを話していたのが、ほんの少しの時間で遠い昔のように感じられるようでした。
そのうち話が終わり、彼女が去って行きます。
それを見ていると、ふと猛烈にいやな予感に見舞われました。
取り返しのつかないことをしてしまった、というような悪寒。けど、また顔を上げればその背中は見えなくなっていました。
「……」
何かを言おうとした口が空回りました。言葉にならないものを飲み込み、目を閉じます。
……魔法少女の解放。
きっと正しいはずの淡い淡い夢物語。
でも
「ワタシは……」
はっと。言葉を発さないように急いで口を閉じました。
頭を振り、家への道を走っていく。
予感、感覚、なにもかにもをごまかすように。
空は変わらず暗いままで、ちらちらと照らす明かりがひどく寂しく思えました。
……ああ、何故。どうして、ワタシは。こんな夢のようなものを。
始まってしまったなどと思ってしまったのでしょう――――?
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○性格設定
キャラクターの基本方針を決めるうちの一つのステータス。
『お人好し』は珍しくも無い性格のうちの一つ。
○イベント処理
信頼度イベントがプレイヤーから起こせる勧誘へと置き変わる。
マギウスの翼の拡大に応じて、その他制限が増えていく。
メインストーリー開始時期には基本組織外との信頼度上昇は不可能。
○ホタルちゃん
急に頭おかしくなった。
ここで走者がなんとも思わなかったのは、マギウスイベントで
特殊行動が起こるのは試走でもよくあることで珍しくないから。
織り込み済み。