マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート すずね☆マギカチャート(マギウスの翼チャート)   作:鰯のすり身太郎

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Part.15/x

「最強魔法少女、由比鶴乃けんざーん! やちよと一緒に協力に来たよー!」

「!? ……! ……」

「あちゃー……せいか、大丈夫?」

「鶴乃! もう……どうして一人で走っていっちゃうのかしら」

「待ってたよー。全員揃ったかな、これで」

 

 調整屋のドアが開かれ、騒がしい足音と声が響いた。

 言うまでも無く、今はとてもひっ迫した状況だ。そんな時にそういう音を聞くと、安心できるような、むしろ焦ってしまうような、不思議な気持ちになる。

 

 最後、間延びした声がすると、それに今入ってきた女性(七海やちよさん)と、大人びた赤髪のひと(常磐ななかさん)がうなずく。

 声の主、ジャージ姿の彼女(朝倉蛍さん)がソファに目を向けると、そこに身を埋めていた十七夜さんが起き上がって声を発した。

 

「……よく来てくれた。自分も七海たちに同行したいところではあるのだが……いかんせん、体力の消費が激しい」

「気にしないで。あなたのおかげでその犯人に迫れるんだから。……それで、その正体は」

「瀬奈みことではない、真の敵がいたと……そういうことでいいんですね」

「そうだ。……事態は非常に深刻だ。心して聞いてほしい……」

 

 そうして語られるのはこの事件の黒幕、暗示の魔法少女の正体。私達はすでに聞いた真実。

 すなわち、この事件の影に潜むのはもともと『暗示』を持っていた瀬奈みことさんではなく、それをコピーしたサラサハンナという魔法少女であるということ。

 一足先、一緒に真実を聞いたホタルさんの横顔を見る。けれど照明の影に隠れたそれからは、表情を読み取ることは出来なかった。

 

「『暗示』の強力さは見ての通り。自分の痕跡の隠蔽までしていたことを考えると、急いで対処しないと。さもなくば、何をされるか分かったものじゃない」

「同感だわ。十七夜がここまで消耗するなんて……」

「魔力以上に、精神力をもっていかれたわ……ホタルさんの言うとおり、相当強力な魔法よ」

「……そして、サラサハンナの本当の固有魔法は『上書き』だ。こちらの魔法をコピーされる恐れもある」

 

 十七夜さんが話し終えると、空気は緊張で張り詰めていた。ホタルさんが呟いたひとことですら、いやにあたりに響きわたる。

 

「……コピーする、魔法」

「……予想以上に厄介ですわね。下手に魔法を見せるわけにもいかない。いや……」

「最悪、すでに把握されている可能性もあるわね……」

 

 敵は自分の気配を消すことが出来る。調査の時に聞いた言葉を思い出した。

 

「……みんな、自分の固有魔法は分かる? こっちも把握しておかないとまずいことになるかも」

 

 その言葉にぼつぼつと答えが返る。

 魔法少女ひとりに固有魔法はひとつ。故にこそ強力な切り札。たとえば私なら、傷などの回復もできる『浄化の炎』。

 それが擬似的にでも複数使えることの脅威は、まだ魔法少女になって日の浅い私でも分かることだった。

 

「最後、七海は……」

「……ごめんなさい、言えないわ。ただ、万が一コピーされても脅威にはならない……」

「……ふむ」

「昏倒事件が囁かれ始めてから、それを使ったことはある?」

「……ない、はずよ」

「だったら、相手も把握してはいない……かな?」

「それに、嘘を言っているわけでもなさそうだな……」

「であれば、特に『上書き』の対象として警戒すべきなのは……美雨さんの持つ『偽装』でしょうか」

 

 話がどんどんと進んでいく。私はそれになにか言うこともできず、蚊帳の外で待たされているようだ。

 一緒にいるみととせいかの方を見ると、どっちもひどく不安そうな顔をしていた。きっと私も同じような顔をしているんだろう。

 

「このはさん達の隠れ家の場所は把握してるわ。作戦の詳細は移動しながら詰めていかないかしら」

「私は賛成。みんなは……」

「異論ありません。我々がこうして集まっていても異常が無いということは、下手人は彼女たちの周りに潜んでいる可能性がある……急ぐべきかと」

 

 ななかさんらの言葉から一拍おいて、私を含めた他の魔法少女にも動きがあった。

 うなずきや賛成の言葉。様々なそれがみな、同意を示しているのは明確だった。

 

 

 

「自分も回復次第そちらへ向かう。その前に大事にならなければいいのだがな……」

 

 十七夜さんの言葉を背に、私達は調整屋の建物から表へ、ぞろぞろと姿をあらわした。

 (伊吹れいら)達が調整屋へ、十七夜さんにかけられている『暗示』の魔法をといてもらうため訪れたときには、空は水色だった。しかし今は夕日も落ちて紺色に満ちている。隠れ家へ着く頃には、きっと黒々とした夜の空になっているだろう。

 

 歩きながらでも、言葉が飛び交うのはさきほどまでと変わらない。言葉を発す人は増えたが、私達は黙り込んでいるままだ。

 混じろうにも、何を言うべきなのか。魔法少女としての経験、戦略だとかの知識……私にはそういうものはない。嫌な予感のようなものがあるだけ……。

 そのうち、それに従い気持ちを落ち着けるのに専念することにした。何かが起きるのは確実だと、それだけは不思議と確信できたからだ。

 

「あぁー……その、3人とも大丈夫?」

 

 そうしていると、急に横からホタルさんの声が聞こえてきた。作戦の話し合いをしていたから少し離れた所にいたと思ったのだけど、気づけば真横を歩いている。

 驚いたのは私だけでなかったようで、みとはわぁ、と小さく悲鳴を上げ、せいかは顔をこわばらせ口をぱくつかせる。

 

 もともと、今日こうしているのには……昏倒事件や、私達が住んでいる団地で以前起きた失踪事件について調べていたのは、彼女がせいかに協力を頼んだのが始まりだった。

 十七夜さんが団地で調査をすると聞いて、であればそこに住んでいるせいかに手伝って貰えればスムーズだと思ったと……そう言っていたけれど、内心せいかにそういう知り合いがいたことに驚いたのは内緒だ。案外、彼女のようなぐいぐいとくるタイプのほうが相性が良いのかな?

 

 それはそれとして……そんなホタルさんが言うには、戦闘になったときの大体の作戦が決まったので伝えに来たとのことだった。

 とはいえ、私達に関してはそこまでなにか気をつけることもないのだという。また彼女自身、私達のフォローもするらしい。

 

「なにせほら、他の子よりもほんの少しだけとはいえ、れいらちゃん達との付き合いは長いからね。……それにみんな、それぞれチームで戦ってたから……ぶっちゃけ仲間はずれなんだよね、私!」

 

 彼女はそう言ってけらけらと笑っていた。だから混ぜてくれない? なんて言葉が続いて自然、緊張も解けてくる。

 

「そうそう、それくらいの方がいいよ」

「えっ?」

「少し顔色が良くなったからね。こういうとき、いくら緊張したってなーんもいいことは無い」

 

 顔をのぞき込まれる。私、せいか、みと。彼女は順にくるりと見渡した。

 

「大丈夫。私が全力で手助けする。それに……」

 

 そう言って私達の後ろに回ると、どんどんと肩を叩かれた。陽気な手が私達を元気づける。

 気づくとこのはさん達がいるらしい隠れ家はすぐそこにあった。

 

 ……だから、私達は続けた言葉を聞かなかったんだ。それは幾分か小さかったし、意識もそこへ向けられなかったから。

 

「それに……実のところ、魔法少女相手のほうが得意だからね、わたしは」

 

 

 

 隠れ家の中には、聞いていたとおりにこのはさん達がいた。私達が魔法少女になって最初に出会った他の魔法少女だって事もあって、なんとか無事でいる姿を見てほっとした。

 そんなこのはさん達は、急に入ってきた私達を見て驚いたみたい。変身までして警戒していたけれど、最初から彼女らと協力していたやちよさんが事情を説明している。

 

「黒幕に突入がバレたくなかったからね。事前に連絡はしないで直接乗り込もうって話になったんだ」

 

 ホタルさんの言葉が終わったのと同じくらいに、やちよさんの説明も終わった。

 『暗示』を操る魔法少女、サラサハンナ。そう言い放たれた途端、空気が変わったのを感じた。

 

「警戒してください! ここにもう一人、誰かがいます!」

 

 魔法少女姿に変身したななかさんが警戒を呼びかける。

 一拍遅れて、私達も変身し構えを取ろうとした。けどその前に、「しゃがんで!」という声が響く。ホタルさんだ。

 

 声の主を見ると、武器をこのはさんへ投擲しているところだった。その身の丈ほどの杖は、先端の刃も相まって槍のよう。

 突然のことにあっけにとられる中、辛くもこのはさんがそれを躱したのが分かった。

 

 けれど驚いたのはそれだけじゃない。投げられた杖がこのはさんの後ろの何もないはずの空間にはじかれたんだ。

 

「なっ……!」

「っ、みんな、広がって包囲を!」

 

 そこには、まばたきをしたって何も見えない。

 本当に何かがいるんだろうか? もしかして、壁か何かに当たっただけなんじゃ? 

 ……そんな疑念はすぐに払われた。

 

「……あっは……! あっはあっはあっはははあっはあは! あっははははははあっはあっはあっは! あひはははははあっはあっははあは!」

「な、なになになに~……」

「なんて嫌な笑い声……!」

 

 ひどく耳障りな笑い声が一帯に響いて、恐怖から思わずつばを飲んでしまう。その場にいた誰しもが笑い声の主を警戒し、顔をこわばらせているのが見えた。

 

 そして。悪意に満ちた何者かは、無邪気を装って声を張る。

 

「じゃじゃーん! やーっとあたしのこと見つけることができたね! え~、あたしがお目当ての……更紗帆奈だよ~っと!」

 

 言葉とともに、文字通りに彼女は姿を現した。今の今までは何も見えなかったのに……。

 

 驚きながらも、いざ帆奈本人が現れると疑問もわいてでる。

 ホントに事件の犯人なのか、ななかさん達を以前から襲っていたのか、消息不明の瀬奈さんの行方はどうなったのか……。

 私たちがぶつけたそれに、彼女は自分が犯人だと返し……そして信じられないようなことを言い出した。

 

「んじゃ~、こうしてみんな集まったことだし~……あたしと”鬼ごっこ”しよー!」

「ふざけないで! 冗談じゃない!」

「冗談みたいなもんでしょ、魔法少女なんてさ~……。それもとびきりたちの悪い冗談……!」

「っ……! 逃がすとでも……!」

 

 杖を構えたホタルさんが飛びかかる。振り下ろされたそれを更紗帆奈は、自らも杖を作り出して防御した。

 

「おっと! 早とちりしないでよ~……。……()()()()()()()()()()()()()

「! これが『暗示』……!」

 

 その言葉を聞くと、自分の身体がピクリとも動かなくなる。戸惑う私たちを尻目に、悠々と彼女は逃げ出した。

 

 

 実際に百まで数えさせられて、ようやく身体が動くようになる。その頃には他の魔法少女達は帆奈を追跡し、隠れ家はまた静けさを取り戻していた。

 

「参ったね。考えた作戦の半分くらいパアになっちゃったよ。私としたことが、情けない」

 

 一人ホタルさんは残っていた。聞けば「みんなの手助けをするって言ったでしょ?」と笑う。

 でも、と続けると、驚くくらいに落ち着いた声でこう言った。

 

「直接見てよく分かった。あの子はきまぐれに……他人を殺せる子だ。だから、正直に言えばここで帰った方が良いと思う。もうみんなは十分過ぎるくらいに手伝ってくれた。誰も文句なんて言わないよ」

「それは……」

 

 それは、その通りだ。私たちは魔法少女になってからも経験が浅いし、実際に彼女と戦えるかも分からない。

 ホタルさんはこちらを見ないで、みんなが出て行った外を見ていた。帰ります、と言ったらすぐにでも飛び出していくのだろう。

 

 どうすればいいのか。ここで帰って解決を待って……それが一番楽なのだとは思うのだけど。

 

「でも……! 私は……嫌です。鞠子さんが……師匠が襲われて。それなのに、何もせず逃げるなんて……」

「そうだよ! なんていうか……ここで帰るのは、嫌だ」

「私もです! だから……帰りません!」

 

 それは嫌だった。もちろん怖いのは事実だけど、逃げるのはもっと嫌だと思うんだ。

 そして、それはきっとせいかもみとも同じ。

 

 それを聞いたホタルさんはため息をついたけれど、気合いを入れるように顔をパンパンと叩いてこちらを向いた。

 

「仕方ないか……。私も覚悟を決めよう。でも、今から追うのは結構厳しそうだよ。一人なら『瞬間移動』でなんとかなったけど……」

 

 その言葉を聞いて、ひとつ思い浮かぶことがあった。

 それは二人も同じだったみたいで、思わず笑みがこぼれる。

 

「だったら……」

「一発、ヤマを張るしか……」

「うん……!」

 

 その閃きを私たちは彼女に伝える。確実ではないけど、もしかしたらがある思いつきを。

 

 

 

 

 空は夜だった。

 

 墨のように黒いはずのそれは、町明かりに照らされてかすかに灰が混じり、中途半端な暗闇を示す。

 朝倉ホタルにとって、それは青空よりも慣れ親しんだ空だった。

 

「ほんとに、ホタルさんは変身しないんですか? 何かあったら……」

 

 伊吹れいらが彼女にそう、小さく声をかけた。彼女の格好は不死鳥を思わせる、いささか奇妙な……つまるところ、魔法少女としての姿だ。

 その横で相野みとも桑水せいかも、浮かべる表情こそ違えど、どちらも同意を示すように頷いた。

 

 変身した3人とは裏腹に、朝倉の格好は普段どおりのジャージ姿だ。

 拳の中に赤いソウルジェムを握ってこそいたが、不用心に映るのは仕方がない。

 なにせ今は、先ほど一度すでにしてやられた魔法少女を追跡……いや、待ち伏せをしている最中なのだから。

 

「だってねえ、変身した私の服は、ぴかぴかまぶしくって仕方ないんだもの。着ている本人だって目に入るとちかちかするからね、あれは。待ち伏せするのにそんなので見つかったんじゃ、台無しもいいところだよ」

 

 そう言って笑う。4人の間に漂う空気はひどく緊迫したものだが、癖のように笑い声はあった。

 

 更紗帆奈の追跡に出遅れた彼女たちが選択したのは、もしかしたら訪れるかもしれないような場所で待ち受けるという、確実性に欠ける選択肢だった。

 あるいは『瞬間移動』という奇跡を操る朝倉は、無理矢理にどこにいるともしれない帆奈を探しだすのも可能であったろう。

 しかし、長距離の移動は魔力をひどく消費するし、追いついたとしても慣れないうちは強い酔いに襲われる。そんな中で3人を守り切るのは不可能だと判断するのは当然の帰結であった。

 

 潜んでいる物影にソウルジェムの赤がきらめく。そこは神浜大東団地のある屋上。封じられていた和泉十七夜の記憶の地だ。

 

「けど……ほんとにここに来るかなぁ……」

「もうちょっと探してみようよ!」

「追うのは難しいだろうしね……」

 

 そう言いながらもれいら達は、あたりをひたすらに探る。なにも潜んでいるここへ来なくても、近くに立ち寄る可能性はあるのだから。

 戦闘音であるとか、人影であるとか……そういうのを一切逃さないように、五感をとがらせるのだ。

 

 横目にまぶしそうに、朝倉はそれを眺める。そして自らもと視線を動かし、そして息をのんだ。

 

「みんな、静かに……。来てるよ、更紗帆奈が」

 

 その言葉の効果は絶大だった。赤い帽子、紫のローブ。ほのかに照らされたそれらは、先刻姿を現した(魔法少女)のもの。各々がそれを目に捉え、その身をこわばらす。

 

 朝倉の格好もいつしか、魔法少女のそれになっていた。

 名前どおりの黄色い外套。夜の闇にはとりわけ目立つ蛍光色だが、もはや身を隠す必要はない。ピアス(ソウルジェム)をいじりながら、深く息を吸い、吐く。

 

 普段の魔法少女としての彼女の姿とひとつ違うのは、その手にあるのが普段の槍のような杖でなく、2つの登山杖というところだった。

 身体を支えるようにしていたそれらを軽く上へ放ると、トンファーのように握り直す。

 

「……みんなはせいかちゃんの魔法で離脱して、近くの他の魔法少女を探して。他のみんなも更紗帆奈を追って近くに来てるはずだから、ここまで呼んできて欲しい」

「それじゃあ、ホタルさんはどうするんですか?」」

「私はここで足止めする。できたら無力化するけど、万が一もあるからね」

「でも、それならせいかはともかく、私たちは……」

「いや、行って。気持ちは嬉しいけど、かえって邪魔になる」

 

 それは、彼女にしては珍しくとげのある言い方だった。無造作に切られた髪に隠れて、その表情は分からない。

 

「私が飛び出したら、それを合図にして。そして、できれば……」

 

 攻撃の構えをとる。振り下ろすべき相手はいまだこちらにも気づいていないし、離れた場所にいるのに。

 

「……見ない方が、いいよ」

 

 空へ腕を振り下ろす。瞬間にその姿はかき消えた。

 

 

「あぐっ!? ――っ!」

 

 振り下ろされた杖は、それでも違わず敵を捉えた。つまるところ、『瞬間移動』の使い方のひとつ。

 『瞬間移動』は高速で移動する魔法ではない。ごく短距離の直線間に限ったワープ、というべきものだ。攻撃に移動で生じた運動エネルギーを乗せる、なんて芸当は出来ない。魔法を発動した状態のままに場所が移動するだけ。

 しかし、振った武器が確実に相手に直撃する地点へ跳び、擬似的に不可避の攻撃を行う、くらいは不意打ちなら出来る。完全にその意識の外から、帆奈への攻撃は直撃した。

 

 それでも。帆奈はそれだけで戦意を喪失するわけでも、混乱して為す術もなくやられるような魔法少女でもない。得物である、マンキャッチャーで即座に応戦する。

 なにせ歴戦の魔法少女である静海このはや七海やちよ達でさえも、有利な状況であったという前提があっても一方的に翻弄してきたのだ! 力の衰え始めた一人の魔法少女など、物の数であるものか!

 

 事実。全くの事実だ、それは。

 攻撃力、防御力、持久力、スピード。朝倉のそれらはすべて帆奈に劣る。そして決定的なのは固有魔法。ひとたび彼女が口を開けば、朝倉の敗北は確定する。

 しかしどうだ! 状況は拮抗し、未だ戦いは続いている。

 

「――! 『動……っ!」

「し――ィッ!」

 

 帆奈の武器は振るわれない。それが勢いづく前に、杖が先んじてぶつけられて止められるからだ。

 帆奈は仕切り直す事もあたわない。マンキャッチャーから放たれる雷撃はその切っ先をずらされて無為に終わる。

 帆奈は『暗示』を使えない。絶えない連撃は、息を吸い、言葉にするという2つのステップすら許さなかった。

 

 読まれている。彼女がしようとする全てが先んじて潰される。

 焦燥が帆奈の脳裏を焦がす。彼女は、朝倉が魔法少女としてだいぶ弱っているということを、隠れ見てすでに知っていた。それなのに、何故自分は押されているのか……?

 

 そして思い至る。

 なるほど、確かに押されてこそいるが決定打にはなり得ていない。このままならば先に息切れするのは相手の方。自分は他の魔法少女の乱入に気を配りつつ、時間を稼いでいればいい。有利なのは自分の方だ……。

 

 そう思い至った内心、ほくそ笑んだ。

 それを、相手が。帆奈を上回る戦闘技術の持ち主が、気づいていないはずがないというのに――。

 

「――っ!?」

 

 マンキャッチャーが空を切る。事前に阻止される、という形で失敗していた攻撃が、当たらなかったとはいえ成功した。その事実がかえって思考を空白にする。

 朝倉は紙一重でそれを避けたらしい。そう頭が認識したとき、その拳が突き出された。

 

 それは帆奈ではなく、その武器を狙った物。トゲに手が切り裂かれ、鮮血が散る。視界が赤に塗りつぶされた。

 かすかに残った視界、目の前の影を狙い雷撃を放つ。紫のそれが焼いたのは、外套だ。脱ぎ捨てられたそれは囮。本人は煙のようにかき消えたのだ。

 

 ならば、と帆奈は思考する。また不意を突いて仕留めようというのなら、それを潰すまで。『暗示』を警戒しているのなら、間髪入れずに攻撃を行うはず。

 背後から響く風切り音を聞いて内心ほくそ笑む。武器を振るい、弾き……驚愕した。それを握り振るう、朝倉はいない!

 

 背後からの攻撃は失敗した。しかし帆奈を襲ったふたつの武器、それは投擲された物。

 視界を潰してから『瞬間移動』は3度行われた。ひとつ、外套を脱ぎ捨てて上空へ。ふたつ、帆奈の後方、空中よりふたつの杖を投げる。そしてみっつ。

 

「あぐぁっ――は!」

 

 帆奈のすぐ隣。放たれた拳がその喉を潰す。

 『瞬間移動』は発動後も、それが発動した時の状態が保たれる。だから落下しながら使えば、落下したままに場所だけが移る。

 3度目は数拍遅れて発動したのだ。拳を構え、落下しながらの転移。そのエネルギーを持った攻撃は、本来の彼女の力よりも強烈だ。

 横っ飛びした身体が、アスファルトの壁にたたきつけられる。言葉は出ない。咳き込むのがせいぜいだった。

 

 伏せる帆奈へ朝倉が近づいていく。手に持つ杖は普段どおりの物。ひとつ振ると、しゃん、と刃がその先端より飛び出した。

 

「あ――がはっ、はっ――」

 

 左手であえぐ帆奈の髪をつかみ、無理矢理立ち上がらせた。右手の杖の切っ先は喉元へ。その顔は帆奈にすら見えない。

 

 ……勝敗は決した。誰もこの光景を見ていなかったが、もし見ているものがあれば誰もが逆転は無いと思ったろう。

 

 ……だが。

 

(あんた……()()()()()()?)

「っ――!!」

 

 念話。魔法少女にのみ許された、口を介さぬ意思疎通。一瞬、刃が止まる。

 その隙を見逃さず、帆奈は彼女を蹴り飛ばし距離を取らせた。

 

「しまっ――」

「がふっ、ふ、あはぁっ――『ストォーップ』――!!」

 

 ここに逆転は成立した。朝倉の動きがいびつに硬直する。薙がれたマンキャッチャーが、その身体をフェンスまで吹き飛ばす。

 

 夜の屋上にふたつ、咳き込む音が響く。一人はよろめきながらも立ち、一人はそれすら許されない。

 それが『暗示』の力。ことばにして放たれた命令は、聞き手の意思を問わずそれを強制する。複雑な物であれば手間はかかるが、動きを止める程度ならば造作もない。

 

 帆奈の口が鋭くゆがむ。横たわるその手を串刺しにしても、朝倉は身じろぐことすら叶わない。なんて優越! 苦渋を舐めさせられた怒りや屈辱の一切が溶け出していく。

 

「げっほ……いやあ、随分苦労させられたよね……あの神社の時から……」

 

 何も答えは返ってこない。しかし、流れ出た血が少しずつあたりに広まっていくのを見て、ますます帆奈はその気分を高揚させる。

 

「あの3人と……あんたが互いに疑いあってつぶしあってくれるのもさぁ……期待してたんだけど、うまくいかなかったっけ……」

 

 それでも楽しめたけどね、と続け、嗤う。潰された喉をかきむしるように狂笑が暗がりに響く。咎める者はいない。

 

「そんで……あっは、今回だってさあ……あんたを疑わせようかなあっても思ったんだよ……。でもさあ、一ヶ月近く! ずっとなーんにも動かないで、寝てるだけなんだもん! 流石に諦めたよねえ……。試しに魔女をけしかけたって逃げられちゃうしさ……」

 

 しゃがみ込み、頭をのぞき込む。まだ『暗示』は続いている。動けるはずもない。

 

「教えてよ……。そんな長い間、何考えてたの? ひょっとしてぇ……今まで殺してきた奴らのこととか……?」

「……一緒にしないで」

「はぁ……?」

 

 濁ったソウルジェムが目についた。

 

「……忘れることなんて、無い。その、顔も……声も……名前も……。何もかも踏みにじってきたんでしょ? あんたは……」

 

 思わず息をのんだ。だって、その顔は、あまりにも。

 

「あっは……いや、きっと似てるよ、あたしらはさあ……。でも、う~ん……」

 

 手に突き刺していた得物を引き抜く。その切っ先が向くのは、耳のソウルジェム。

 

「やっぱ、一人は退場した方が、緊張感も出るって思わない? ちょっと名残惜しいけど……」

「……今死ぬのは、駄目なんだけどなあ……」

「じゃあやめたげる! ……なんてさあ、言うと思う? それじゃ、お疲れ様……!」

 

 (ジェム)を砕かんと赤い軌跡がはしる。横たわったまま動けない朝倉に、それを避ける術はない。あるのは一瞬のあとの死だけだ。

 

 けれど、それは何も無かったらの話。二人の間に、巨大な矢が飛来する。あと一歩、そのところで帆奈はとっさに飛び退いた。

 

「ま、間に合った……?」

「みと、ナイス!」

「ホタルさん!」

「なに~? もう、しらけるな……」

 

 億劫そうに3人の助っ人を見る。知っていた。最近契約したばかりの仲良しトリオ。どうやっても負ける道理はない。

 が、それもこの3人だけだったときの話。助けを呼んでくるように、と言われて戻ってきたのに、誰も来てないなんて事こそありえない。

 

「そこから、離れろぉ!」

「やっと追い詰めたネ……!」

「うお~っとぉ! ずいぶんじゃないの……」

 

 ふたつ、拳が飛ぶ。志信あきらと純美雨の、影よりの奇襲。手の杖で受けきってもなお、たたらを踏んでしまうほどの力。見れば、もう一人……夏目かこもその場へ降りてきていた。

 

「ちょっと多過ぎでしょ~……。仕方ないなあ、ここは逃げだよね!」

「逃がすと思うカ……!」

「学習しないよねえ、っと! 『200数えてから』追ってきな!」

 

 攻撃を弾き、帆奈が叫ぶ。彼女の膂力は『暗示』で増強されている。ただ、力で競っては二人がかりでも押し負けうる。そして放たれた言葉がまた魔法少女達を縛った。

 

「くそ、また……!」

「さーてと……あぁ、そうだ!」

 

 思いついたように振るわれた得物は、朝倉の両足の腱を裂き、両肩をへ穴を開けた。流れた血がその外套にしみていくのを見れば、面白いくらいに笑いがこみ上げる。

 

「あっは! あんたはお休み! 殺さないだけ感謝してよね……こんな大勢にあたしらの『命』のこと……教えちゃうのもつまらないしさぁ!」

 

 そしてわざとらしいほど大仰に、帆奈は周りを見渡し宣言する。

 

「いったん仕切り直し! また頑張って追いかけてきてね……あっはー!」

「この……待て……っ!」

 

 闇夜に消えた帆奈を、また遅れて追跡する。その場に残ったのはまた4人。

 

 

「……まいったね、また取り残されちゃうとは……」

「そんなこと言ってる場合じゃないですって! 今治しますから……」

 

 屋上の一角は血にまみれていた。ずいぶんやってくれたね、と他人事のように呟く。

 

「ま、大丈夫だって……。魔法少女だもの、これくらいで死ぬもんか」

「いいですから! 動かないでくださいね……」

「大丈夫、動けないからね」

「そういうことじゃないよ……」

 

 れいらの出した七色の炎が傷口をあぶる。彼女の魔法少女としての経緯に影響されたそれは癒やしの力を持つ。火によって傷が癒えていくそれは、まさしく神秘の光景だ。

 

「炎、か……」

「れいらの炎はこういうこともできるんだー。まさに魔法! ってかんじだよね」

「……失礼。少しよろしいでしょうか」

 

 座り込む4人の上へ影が落ちる。言葉の主は常磐ななかだ。

 

「あー……ななかちゃん。追っかけなくてもいいの?」

「大丈夫、ということはありません。しかし、無策に戦えばいいというわけでもないでしょう」

「……なるほど、確かにね。まあ、結局負けちゃったわけだけどもそれでいいなら」

「かまいません。どんなことでも……」

 

 深く息を吐く音がした。青白い顔に血の赤が反射する。

 

「……ま、喋らせないうちに無力化する、しかないんじゃないかな……。あとは何言われても気にしない、とか……。……急いだ方がいいよ。だいぶ消耗させたけどさ、冷静じゃないまま勝てる相手じゃないし……」

「……そうしますわ。じきに他の方々もここへ来るでしょう。それまで……」

「早く行きなよ……。間に合わないのはさ、辛いからね」

「っ……。失礼!」

 

 夜の闇にまた一人、魔法少女が消えていく。着物の紅はほんの一瞬で溶け失せた。

 

「しかし……なんでこうも、思い出させるものが多いのかな、今日は……」

「……ど、どうかしましたか?」

「あー……いや、なんでもないよ。血がずいぶん出たからさ、ふらふらするんだ……」

 

 疲れを隠すようにてのひらで顔を覆う。その口元にもう笑みはない。

 

「ツバキ……」

 

 言葉は空にかき消える。誰にも届かず、ただ(ソウルジェム)を濁らせるだけ。

 

 

 

 

 ○ ○ ○ ○ ○

 

 

 

 

 いい加減片をつけるRTA、はぁじまるよー。

 

 長らく時間を使わされた怨敵、更紗帆奈に付き合うのもこれで最後。きっちり処理して後顧の憂いをきっぱり断つのじゃー。

 

 

 というわけでさっそく突撃! ……とイキたいところなのですが、そうすると帆奈の情報の説明が何度も挿入されて結果的にロスが生じます。

 なので調整屋にななか組とやちよさんを呼んで、一緒に十七夜に説明してもらいます。こうすることで説明回数を削減できるんですね。実際のタイム的には待機時間もあってどっちもそこまで変わらなかったので、好みで良いと思います。操作ミスが怖かったので、今回は待機パターンなり。

 

 十七夜は情報を獲得するまでに著しく消耗するので、散花愁章の決戦には普通参加できないのですが、ごくまれにぎりぎり戦えるくらいまで回復して同行してくれることがあるので、それも狙っています。試走でも一回もなかったレベルでレアなので、あまり期待はしてませんが。

 

 戦力というと、ここまで来るとまず確実にアザレア組、ななか組、団地組、やちよさんと鶴乃と共闘する形になります。魔法少女になったばかりの上ろくにレベリングもしてない団地組はともかく、他はかなり強力なメンバーが揃っているといっていいでしょう。

 が、それでも一筋縄でいかないのがハードモードであり、ボス補正であり、更紗帆奈です。

 

 ノーマルモードでの更紗帆奈戦は、各グループが追跡、戦闘を行って消耗させ、最後にななか組長が決着、という形になにもしなければ収まります。

 今回も原則それに従う形にしたいのですが、ハード補正で強化された帆奈だと、消耗させるのが不十分で組長が負ける、消耗させる途中で団地組が退場する、ということがまま起こります。

 なのでその辺りの補填をホタルちゃんにはやってもらいます。詳しいことは実際その場面になってから。オラッ! 説明終わったならとっとと乗り込むぞ!

 

 

 移動しながら作戦会議をしますが、このとき大事なのは、団地組と一緒に行動できるようにしておくこと。

 他グループはまあ、歴戦なのもあって負けてもなかなか死にませんが、団地組は一蹴されますしそのまま退場させられかねません。追加戦力でカバーしても良いのですが、本チャートではプレイヤーが補助することで乗り切ります。

 

 あとは『偽装』をコピーされるとそっちに乗り換えられて生存する場合があるので、しっかり注意しておきましょう。

 『偽装』は簡単にいうと、条件が揃えば事実を広範囲にまるきり誤認させられる固有魔法です。殺したはずなのに生きてる、みたいなことが出来る魔法なので、帆奈に持たせてはいけません。『暗示』に負けず劣らず厄介なのが生まれます。

 持ち主はななか組の一人、美雨なので、理想は彼女を戦闘に参加させないことです。しかし戦力が今回は最低限なので、それをするとななか組から退場者がでかねません。

 『暗示』を使うそぶりが無くなったら『偽装』を疑う、美雨は絶対魔法を使わせない、くらいしか対処法がないので、せめてそれぐらいは共有しときます。固有魔法のことは会議中に聞き出しましょう。

 

 あ、それと十七夜はやっぱり駄目でした。いればちょっと楽になったんですが、仕方ないね。

 

 

 

 では突撃、いざ鎌倉。

 

「七海やちよに朝倉ホタル、それに……常磐ななか!?」

「待って。彼女たちは味方よ……。一度、話を聞いて貰えないかしら」

 

 はいしどうどう。このはは組長を見ると警戒しますが、やちよさんが抑えてくれるので大丈夫です。というか説明も聞かずに暴れるような人では無いですし。

 ここで今回の事件の裏側の説明がまた入りますが、いい加減面倒なのでキャンセルだ。突入タイミングなどでこの説明を聞かないようにも調整できますが、だいぶ本来のイベントをキャンセルしてきているので、まあ多少(のロス)はね?

 

 この説明の間に、潜んでいる帆奈を警戒しておきます。

 帆奈はほぼ確実に、このとき隠れ家のどこかへ潜んでいますが、『暗示』で容易には認識できません。

 しかし、説明が終わるとそれを緩めるのでなんとか探知が可能になります。可能になり次第最短であぶり出すため、すぐ変身出来るようにしておきましょう。

 

「警戒してください! ここにもう一人、誰かがいます!」

 

 マチカネタゾ! 今回の場所は……このはの後ろ! 食らえ投()

 

 弾かれましたが、攻撃ではなく、姿を出させるのが目的なのでこれで大丈夫です。

 帆奈の隠れ場所は何パターンかあるのですが、基本いくつか決まっている内のひとつなので、そこを見れば発見は用意です。特に今回は一カ所目で見つけられたのでだいぶラッキーでした。

 

「……あっは……! あっはあっはあっはははあっはあは! あっははははははあっはあっはあっは! あひはははははあっはあっははあは!」

 

 うるせぇ! こんなデカい笑い声出して、肺活量とかどうなってんですかね。魔法で増強してたり?

 

 それはそれとして、このあとは通常だとやちよさん達から帆奈を質問攻めにして時間がかかるので、話が始まる前に攻撃します。別に質問させたからといって何か情報が出るわけでもないので、安心してかましましょう。

 

 攻撃しましたが防御され、そのまま『暗示』を食らって逃げられてしまいました。うーんこの。

 ですがチャートどおりです。ここの暗示は確定で100数えさせられるものなので安全なんですね。

 何もしなければ、順繰りに各チーム追跡を初めてくれます。団地組は大体ビリッケツなので、他のみんながいなくなるまで待っていましょう。

 

 

 ……待ちました。無事行ってくれたので、このタイミングで説得を仕掛けます。

 

 団地組は育てれば強いですが、バニラだと相応の弱さです。まず追跡させても役に立たないといっていいでしょう。

 ここで帰宅させられれば、退場の危険はぐんと下がるので大変安心できます。成功率は五分程度。どうだ……!?

 

「でも……! 私は……嫌です。鞠子さんが……師匠が襲われて。それなのに、何もせず逃げるなんて……」

「そうだよ! なんていうか……ここで帰るのは、嫌だ」

「私もです! だから……帰りません!」

 

 駄目みたいですね(不満)。

 説得できていたら、『瞬間移動』を活かして一気に前線に追っつき加勢する戦法がとれたのですが、仕方ありません。プランBでいこう。

 

 じゃあプランBはなんだ? あ? ねえよそんなもん。……というわけでもないです。

 そういうわけで、団地組の行く先に付いていくのじゃー。

 

 

 

 というわけでやってきました神浜大東団地。正確には十七夜の記憶にあった屋上ですね。今回はホタルちゃんも一緒に記憶を見ていたりします。

 

 帆奈の思い出の地であるここは、団地組が待ち伏せを行うと確定で帆奈がここにやってくるようになっています。ノーマルだとその一連の流れが確定なので、イベントフラグがハードでも生きてるんでしょうね。

 

 プランBはここで一緒に待ち伏せして、単独で帆奈を仕留める作戦です。ここで間違っても団地組と一緒に戦ってはいけません。間違いなくかえって難易度が上がります。

 リスクこそ大きいですが、成功すれば相応の対価が見込めます。ただし安定性では合流ルートの方が上なので、そちらがプランAとなっています(タイムより安定を優先するチルドレンの鑑)。

 

 

 それと、待ち伏せ中ホタルちゃんは変身を控えておきます。

 というのも、魔法少女の衣装が蛍光イエローなので、夜中だとかすかな光を反射するのでアホみたいに目立つからです。結構レアな色なんですけど、なんだって本走に限ってそういうのを引くんですかね……。

 

 そんなんで潜伏がバレて、団地組の待避が間に合わなくてチャート崩壊とか笑い話にもなりません。最低限すぐ変身出来るようにだけしておきましょ。

 それに、この潜伏は相手に気づかれなければ不意打ちで戦闘開始できるので、だいぶ戦いが有利に始まります。それでも一手間違えれば負けとかいうクソゲーなんですけどね、うへへ。

 

 

 帆奈と戦う上で、一番に問題になるのは『暗示』の存在です。とっさには複雑な命令は出来ない、というものの、戦って勝つだけなら複雑な命令も何も要らないですからね。

 

 固有魔法でこれを封じる、というのが勝ち筋としては一番確実です。

 PCの固有魔法でなくとも、市内の魔法少女でなんとか出来るキャラもいなくはないです。本チャートでも天音姉妹の『音波操作』で声を届かせなくする戦法を検討しました。ただ、2人の取れる動きが限られてしまうのでそれを守りながら戦うことを強いられ、戦闘難易度はそんなに下がらず。それプラス、2人の育成の手間もあってあえなく没となり申した。

 

 そんな帆奈戦ですが、ホタルちゃんの固有魔法は願い優先のため『瞬間移動』。『暗示』を封印することは到底できません。

 しかし『瞬間移動』はそもそも戦闘向きの固有魔法。勝算はあります。区間練習の成果、見せてやるぜ!

 

 

 

 ……よし、来ましたね。この様子ならこっちに気づいてはいないようです。

 団地組の3人には、他の魔法少女を呼んでくるように言いましょう。一番穏便に撤退させられます。せいかの固有魔法が『水から水への移動』なのもあって、離脱は用意です。

 それでは『魔法少女 更紗帆奈』戦、イクゾー!

 

 さっそく小技。気づかれないうちに攻撃を振って、モーション中に『瞬間移動』で接近することで、初撃を確実に当てられます。この一撃は大したことがないようで、結構重要です。一瞬でも攻勢に回れなかったらイコール死になりかねないですからね。つかみは大切です。

 戦いはノリのいい方が勝つって、それ一番言われてるから。

 

 不意打ちを決めたら、そのままひたすら連続攻撃。

 これもまた面倒で、更紗帆奈は『暗示』で自分のステータスをブーストしているので、まともに打ちあったら、バランスタイプの出来損ないみたいなステのホタルちゃんは余裕で吹っ飛ばされます。

 ただし、武器が長物なので攻撃の発生がわりかし遅いです。なので、武器がちゃんと振られるまでに先んじて攻撃を行い、相手の攻撃をひたすら失敗させ(潰し)ます。

 これは普段使っている杖だと手数が足りず出来ないので、2本の登山杖に武器を変えています。武器にバリエーションがあるのは以前確認してましたね。

 

 

 こういう対魔法少女戦だと、ホタルちゃんのあんまりRTA向きじゃない振り方の、しかもだんだん劣化していくステが逆に役立ちます。

 過剰火力で殺しかねない、とかは無いのでね。他でしわ寄せががっつり来るのはご愛敬。

 

 そしてある程度削ると、電撃攻撃や『暗示』、ダガー攻撃を使うようになります。

 電撃攻撃は相手の杖からしか出ないので予備動作に注意して先んじて杖をそらして対応。『暗示』は帆奈がきっちり呼吸(発声)できないと撃てないので、連続攻撃で暇を与えないことで擬似的に封印。ダガー攻撃は遠距離専用なので、ずっと超至近距離にいれば関係ありません。

 

 ……そう! 息をする、しゃべらせる暇も与えないことで使わせない。これが『暗示』の対応法です。脳筋にもほどがある。

 『暗示』が発動に言葉を介するのは一度食らえば抜ける情報なので、ノーマルモードだと組長も同戦法で対処してますね。

 

 

 それでこの戦法、使ってる側も負担が大きく、具体的には体力がだんだん減っていきます。まあ無呼吸で殴り続けてるようなもんだし多少はね。なので長期戦になると削り負けかねません。

 そこでとどめに『瞬間移動』を使用します。削り中に使えばもう少し消耗ペースを抑えられたのですが、あえて使わなかったのは警戒されるとこれが決まらない恐れがあったからです。

 

 帆奈の杖攻撃に合わせて魔法を発動します。紙一重でかわせるラインぎりぎりに移動して回避。

 そしたら相手の杖はやったらめったらトゲトゲなので、これを利用しましょう。ここをトンファーでなく、手で攻撃してあえて出血します。

 

 『瞬間移動』は自傷行為と相性がいいんですが、今回はそういう使い方ではありません。目潰しです。どうだ! この血の目潰しはッ!

 そうしたら外套を脱ぎ捨て囮にし、『瞬間移動』。背後の頭上へ跳んで武器を投擲。落下しながら再発動。

 跳ぶ先は帆奈の隣! 大本命の攻撃、喉元パンチをくらえ! うおっしょぼい。

 

 

 ですがこれで十分。『暗示』が言葉を使う以上、喉を潰せれば安全です。

 ただ、あくまでパンチですし魔法少女なので割とすぐに回復します。しばらく動けないくらいのダメージは入ってるので、喉を裂いて発声を完全に封印しましょう。

 

 なにうずくまってんだよ、じゃあ俺が立たしてやるか! しょうがねえなぁ~。

 このときですが、帆奈のソウルジェムは首のアクセサリーにあるので、間違えて破壊しないよう注意しましょう。自分で頃すと面倒なことになります。ではしばらく、サラダバー!

 

(あんた……何人殺したの?)

 

 あっ、攻撃止まりましたね。そのまま吹っ飛ばされましたね。『暗示』で動き止められましたね。負けです。草。

 

 ……あああああ!! てめえええ! なにしてんだああああ!

 これだからプランBなんですよ! 区間練習しても没ったってのはこういうことなんですよ! こんなクソゲー仕掛けてくるボスが本編開始前に出てくるの、やっぱおかしいと思うんですけど。

 

 

 話せなくても念話は出来ます。念話が出来れば『暗示』が出来なくても精神攻撃が出来ます。精神攻撃が決まれば動きが一瞬止まります。お前のそこが隙だったんだよ!

 

 まあベテランなので、同族殺ししたことがあるのは今までにも若干ですがありました。でもだからって今、それでやられるなんてのは想定してませんでした。どうして……(現場猫)。

 

 落ち着いて現状を整理しましょう。

 ホタルちゃんは『暗示』で動けない状態。帆奈は多少話しにくそうでもまだ戦闘可能。仲間は一人もいない。

 これは……詰みじゃな? ばんなそかな。

 

 

 ま、ままままままだだ……まだあわわわわわてるような時間じゃななななない……。嫌だー! ここでリセットしたらもう再走ですよ、再走!

 

 こういうときのためのお助けイベント! 信頼度の高い魔法少女がピンチだと助けてくれることがあるので、それに期待しましょう。

 えーと、信頼度が高いのはみふゆさんで、みふゆさんは本編開始前にやちよさんとは出会わないようになってて、散花はやちよさんが確実にいるから……駄目みたいですね(諦め)。

 

 なんか喋ってますがもう知ったこっちゃありません。ホント、ハードモードは地獄だぜ!

 それでは次の走りまで、さよなら、さよなら……。

 

「ま、間に合った……?」

「なに~? もう、しらけるな……」

 

 このクローバーの矢は……みとちゃん様!? ホいつの間に!

 

 なんとか団地組が戻ってきてくれたみたいですね。でも他に援軍いないとそのままやられかねないんですけど……。あ、ななか組も連れてきてますね。ナイスでーす(レ)。

 

 どうだ! ホタルちゃんはまだ動けないけど形勢逆転だぞ!

 へへへ、みなさまやっちまってくだせえ。

 

「『200数えてから』追ってきな!」

 

 はい。まあそうなるよな……。

 

 あっまってなんで武器構えてるんですかぐえー。

 両肩と腱に穴開けられて逃げられました。体力も真っ赤っかです。これもう無理ゾ。

 

 魔法少女なら回復系の固有魔法でなくとも傷は治せますが、燃費は悪いです。

 ここまでの大怪我だと、消耗で戦闘継続は駄目みたいですね……。

 

 

 れいらの固有魔法で治してもらいますが、レベリングしてないので治りも遅いです。消耗させることは十二分にできたのでプランAと同じような物だし、まあ……かまへんか……。

 そんなことより今は生存を喜びましょう。生きてるゥ~↑!

 

「……失礼。少しよろしいでしょうか」

 

 おっと、組長オッスオッス。

 

 ななか組が先行してるのに組長が残ってる場合はノーマルモードの時と同じで、あっちが消耗させて本命を組長が決める、という風に進行するときですね。

 

 『暗示』が口を開かせないことで無効化できる事を伝えてせかしましょう。削りが足りていれば、あとはこれで勝ってくれるはずです。

 

 

 あとの問題は帆奈が逃げ延びないか、にあります。『偽装』をコピーされてないかですね。

 

 これは彼女の遺体を確認してチェックします。『偽装』も何でもありではないので、その場にいない人から何まで改変できるわけではありません。

 

 組長が先行してますが、この先やちよさんとこのはも追いかけていき、そこで遺体を見てくれるはずです。

 『偽装』発動ポイントはここで、遺体があって処理された、と三人に仕掛けられます。

 

 なので、そこから遺体が処理される朝までに遺体を確認しに行くことで『偽装』を食らったかは確認できます。

 もしほんとにコピーされてたら? リセだよリセ!(本日2度目の危機)

 

 とはいえ、だいぶ口酸っぱく注意してたので大丈夫でしょう。ノータッチの時ならともかく、警戒させた組長の目はなかなかごまかせませんし。

 

 では気絶します。本来ならやちよさんとこのはがここへ来て会話イベントが入りますが、気を失うことで省略できます。赤ゲージまで追い詰めてくれてそこは助かりました。

 では、サラダバー!

 

 

 

 夜中ですがおはようございます。

 

 クォクォハ……調整屋の中みたいですね。どうした組長! 十七夜! ずいぶん複雑そうな顔してるな!

 

「……気づきましたか。更紗帆奈が……自ら命を絶ちました」

 

 ようし、散花愁傷はクリアされたみたいですね。

 しかしここで安心してはいけません。まずは他の魔法少女が頃されてないか確認しましょう。

 

 ……大丈夫? ならばよし。では死体の事を聞きます。

 

「……彼女の遺体はまだその場にとどめてあります。もっとも、あとで場所を移して発見されるようにするつもりですが……」

 

 結構。では念のため直接見に行きましょう。ちゃんと確認できれば……ンアーッ!

 

「そんな顔色で無理をするな。常磐君から『偽装』のことは聞いている。自分が代わりに確認してこようではないか」

「そうよ……今は休んでいた方がいいと思うけど」

 

 好意は嬉しいですが、謹んで遠慮しましょう。

 こういうときに自分で確認していないと、あとから思わぬ形で足をすくわれますからね……(数敗)。

 

 足を運んで死体を確認して、今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。




Archive
○ソウルジェム
  魔法少女の魂。砕けば死。無事なら死なない。
  変身後は衣装の装飾になる。朝倉のものはピアス。
  帆奈はこれを砕いて自殺した。

○帆奈の武器
  ロッドなのかマンキャッチャーなのか、どっちが正しいのだろうか。
  杖とするとややこしくなるので、マンキャッチャー表記。

○朝倉の武器
  ステで負けてるなら攻撃失敗させ続ければいいじゃない理論。
  通常は身の丈ほどの長杖だが、それだと攻速で押し負ける。
  なお小細工しても負けた模様。


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