マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート すずね☆マギカチャート(マギウスの翼チャート)   作:鰯のすり身太郎

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 マギレコ3周年おめでとうございます。


Part.5/x

 いよいよイベント突入のRTA、はぁじまるよー。

 

 今回は、かこちゃんを送っていったら『三栗あやめ』と遭遇したところからですね。

 

 『三栗あやめ』はイベント『そしてアザレアの花咲く』の主要メンバーの一人で、本イベントクリアのカギとなる魔法少女です。

 彼女とかこちゃん、フェリシアとの友情パワーがなければ、最終的にあやめ属するアザレア組が内部崩壊するか、何故かあやめが氏ぬかして後々のイベントが軽く詰みます。だから定期的に夏目書房へ行って状況確認する必要があったんですね。

 

 そして今、あやめがいて、かこちゃんもあやめを知ってるくさいということは、すでにアザレア組とななか組の接触イベントがあったということです。

 普通なら、これの後にかこちゃんはあやめと友達になりたいと悩むようになるので、それでアザレアイベントの発生時期を測るつもりだったんですが…

 

 まあこれが起きなかった理由は大体予想できます。フェリシアとの遭遇がほぼ最遅で起きたせいで、そっちの処理が優先され、悩んでいる様子がうかがえなかったのでしょう。いわゆるクソ乱数です。

 

 …あっぶえ! この状態で一週間後にかこちゃんのところへ行っても、完全に手遅れになっていたに違いありません。セーブもしてなかったし、あやうく再走でしたね…。

 

 

 ただまあ、事前にそれを防げたわけなので結果オーライです。大事なのは結果、はっきりわかんだね。

 

 というわけで、あやめとかこちゃんの友情の橋渡しをしましょう。君可愛いね、年いくつ? かこちゃんの友達? てか魔法少女やってる?

 

「え、えぇっ!? と、友達…」

「あぁ、ホタルさんっ! その、お友達にはなりたいんですけど、まだ言い出せてないっていうか、ええと、ちょ、ちょっと待ってください!」

 

 ごくごくまれにですが、かこちゃんが友達になろうと言い出さなかったり、あやめが了承しなかったりするので、こうして誘導します。大事なのは流れです。同い年の魔法少女の友達という誘惑をいちはやく突き付けてやれば、まずそれに彼女らは抗えません。

 

「あ、あの、あやめさん! もし良ければ…もう少し、お話ししませんか…? それで、その…ほんとに、お友達になれたらいいな、って…」

「友達…あちしと…」

 

 いい流れですね。このまま押していきましょう。

 では、さっそく二人を公園へ連行します。じゃあオラオラ来いよオラァ!

 

「ひゃぁ!? ホ、ホタルさん!?」

「ちょ、ちょっとアンタ、何すんのさ!」

 

 二人とも友達になりたいんだルルォ? そのためには落ち着いて話したり遊んだりできることが大事って、それ一番言われてるから。

 経験則ですが、二人が公園で二人きりになると確実に友達になってくれます。なので無理やりにでも連れて行って二人きりにさせましょう。若干信頼度が下がるときがありますが、このチャートだと痛くもかゆくもないのでヘーキヘーキ。

 では諸君、サラダバー! 

 

 あとは帰って寝るだけです。そろそろ魔女退治を夜にもするようにするので、ホタルちゃんの早寝遅起きもじき終わりですね。

 

 

 

 オッハー! 今日からはアザレア用の動きへシフトします。セーブもこまめにとりましょう。最悪詰みます。

 

 今日はまず、昼にかこちゃんのところへ行って昨日の確認をします。あやめが来ればいうことなしですね。魔女退治もこれからは夕方から夜に行うようにしましょう。

 なので早速二度寝します。ホタルちゃんは廃墟暮らしで、健康状態が基本常時悪いので、寝られるときに寝ておくのが大切です。そういうわけでおやすみなさい…。

 

 

 オッハー!(本日二度目)では夏目書房へ行きましょう。かこちゃんに昨日のことを確認します。

 

「ホタルさん! 昨日はどうしてあのままいなくなっちゃったんですかぁ…本当にびっくりしましたよ」

 

 なぜって? ホタルちゃんがいるとあやめが警戒して成功率が下がるからです。それより仲良くなれたか教えて、どうぞ。

 

「あの後ですか? はい! おかげさまで…っていうのも変な感じですけど、いっぱい一緒にお話しできて…。今度、フェリシアさんのことも紹介したいなぁ…」

 

 よかったよかった、大丈夫そうです。万一にでも友達フラグが折れてたらおしまいでしたからね。

 次は早速、フェリシアとあやめをとっとと引き合わせるよう誘導しましょう。二人の初対面の時、あやめと一緒に『遊佐葉月』も付いてきてイベント進行のフラグが成立します。そこからさらに何日か必要になるので、発生は早ければ早いだけうまあじです。

 

「…そうですね! 思い立ったが吉日、なんて言葉もありますし、早速今日、おふたりにお互いを紹介したいと思います!」

 

 エネルギッシュですね…。今日もあやめと会う約束をしていたみたいで、紹介するために今からフェリシアを呼びに行くみたいです。13歳のパワーはすごいわね。

 このあと公園に全員集合するはずなので、先に行って待機していましょう。さもなくば事故ります。

 

 

「あー! アンタ、昨日かこと一緒にいたやつ! なんでかこじゃなくてアンタがいるのさ!」

「まあまあ、落ち着きなよあやめ…あの~、それで、あなたは?」

 

 やっぱりかこちゃん間に合いませんでしたね。ああやって急に会わせようとすると、このようにあやめたちが先に来てしまうことがあります。もしあやめが公園へ行っても誰もいなかった、なんてことになったらイベントクリアは不可能です。だからついていかずに公園で待機しておく必要があったんですね(2敗)。

 

 ちなみに今あやめと一緒に来た魔法少女、『遊佐葉月』はアザレア組の一人で、今回のイベントでは一番解決に奔走してくれる人物です。彼女に疑われるとクリアがかなり難しくなるので、これからは、より立ち回りに気を付けなくてはいけません。

 

 さて、とりあえず事情を説明しましょう。かこちゃんが友達をあやめに紹介するために呼びに行った、といえば大丈夫です。あやめだけならともかく、葉月もいますからね。いったん待ってみるくらいはしてくれます。

 

 

「すみませんあやめさん、遅れちゃいました…! あれ、そちらの方は…」

「ん~? オレに紹介したいやつってひとりじゃないのか、かこ?」

「あ、かこ! それに…アンタがフェリシア?」

 

 おまとうま! 無事到着してくれましたね。しびれを切らされて帰られてたらもう一回公園で待つところからやり直しだったので良かったです。

 とりあえず、これでしばらくは大丈夫でしょう。今日からはほぼ毎日ペースで13歳組に付き合います。ホタルちゃんは市外出身補正で疑われやすいので、これからイベント終了までは完全に13歳組の保護者に徹し、無害なことを葉月やあやめにアピールしなくてはならないんですね。

 

 

「それじゃ、アタシらはそろそろおいとましますね~。ほら、あやめも」

「う、うん! それじゃあ…」

「おう! またな!」

「はい! またいっしょに遊びましょうね、あやめさん!」

 

 (友情の芽生え)感じるんでしたよね? 結構関係は良好になっている気がします。フェリシアとかこちゃんの遭遇が遅かったから少し不安でしたが、問題なさそうですね。

 それにしたって面白いくらい順調です。これならあやめが神浜脱出に同意するBADルートにもいかないでしょう。あらかじめ釘を刺しておく手間が省けました。

 

 あとは拠点へ帰って都合のいい時間まで時間をつぶします。今日は今のうちに、みふゆさんに電話しておきましょう。隙間時間をこうして信頼度上げで埋められるのは電話のいいところですね。効率は悪いですが。

 

 

 

 こんばんはー。それでは、夜になったのでパトロール開始です。

 こうやって、他の魔法少女に会うかもしれないリスクを負ってまで時間帯を移したのにはもろちん理由があります。

 

 アザレアイベントが発生すると、じきに昏倒事件のうわさが流れ始めます。これは『魔法少女が競合相手となりうるほかの魔法少女を狙ったモノ』であるとして、新しく神浜で見るようになった魔法少女、つまりアザレア組が犯人として疑われるようになります。本来ならば。

 

 …本チャートでは、神浜市外出身のためにPCも犯人として疑われることがあります。このうわさを流した犯人である某混沌さんは、基本的にアザレア組の内部崩壊を狙ってこれを起こしていますが、だからと言ってこちらに被害が及ばないようしてくれるかといえば当然、そんなことはありません。

 なのでこの期間中、夜に散策していると遭遇するやちよさんに、ホタルちゃんの無罪を証明してもらわないといけません。さもなくば最悪、犯人と完全に勘違いされて他の魔法少女から襲撃を食らいます。

 やちよさんとの遭遇とは別に、かこちゃんからも昏倒事件の情報は得られるのですが…その後の動きのためにもやちよさんとの接触は不可欠になるので、どのみち遭遇は必須です。うわさを聞いてから時間帯を変更するのも一つの手ですが、手遅れになっていることがままあったので安定を重視して早めにシフトするようにしました。

 

 

 というわけであとは昼は13歳組、夜はパトロールと同じことの繰り返しなので昏倒事件のうわさを聞くまで、じゃ、流しますね…(倍速)。

 夜のパトロールも現在、ネームド魔法少女と接触することもなくいい感じです。豪運でガバをひかないRTA走者の鏡(自画自賛)。この調子でどんどん行きましょう。

 

 …なんで等速に戻す必要があるんですか?

 

「あ、ホタルさんっ。ホタルさんパトロール中なんですか? 実は今、魔女を見つけて追ってる途中なんですっ。よければ手伝っていただけませんか…?」

 

 ヒエッ…なにも水名から出る前のタイミングに遭遇しなくとも…。

 これはゆきかのトラブルに巻き込まれましたかね…。御存じの通り、それまで好調のようでも全て吹っ飛ばす核地雷がこいつです。やべえよやべえよ…セーブだいぶ前だよ…(ガバガバ)。

 

 落ち着きましょう。落ち着きましょう。こいつと会ってトラブル発生を確認してしまった時点で、すでに放置すれば危険な状態になってしまっています。

 むしろここで放置したほうが、ゆきかからの信頼度や、トラブルに他の魔法少女が巻き込まれかねないということで後の危険度は高くなります。

 

 …覚悟は決めました。こいつに付き合います。考えようによっては、グリーフシードも狙えるしいいんじゃないですかね……。駄目? そんなー。

 

 

「見つけました、結界ですっ! いきましょうホタルさんっ!」

 

 着きました、結界です。これは見た感じ…ゆきかにしてはだいぶ弱い奴ですね。とっとと片付けましょう。

 いいよ! こいよ! 命かけて命! はい瞬間移動。あとはそのまま攻撃を一気に叩き込みます。終わり! 閉廷! 以上、解散!

 

 …とはいかないやつですね。ゆきかのトラブルの厄介なところは、魔女が弱いと他のトラブルが発生することです。時期的に今回はたぶん…

 

「…ハァァーッ!」

「わわっ!? な、なんですかっ!?」

 

 やっぱりな♂。魔法少女からの襲撃イベントです。今回はネームドがいないので楽な部類ですね。『竜城明日香』とかだったらもっと面倒でした。話聞いてくれませんから。

 それじゃあパパパッとやって、終わりっ! この場合、黒羽根程度の強さの奴しか出てこないので、無力化は簡単。ソウルジェムに攻撃しないようにだけすればいいです。固有魔法も大したことないですし。

 

 おうねえちゃん達、何でこんなことしたんや? 素直に言ってみいや。

 

「っ、あなたたちが噂の昏倒事件の犯人なんじゃないの…? 市外から来た魔法少女たちが他の魔法少女を襲って昏倒させてるって…」

「え、えぇっ!? 昏倒ってそんなことが…って、違いますよっ! ホタルさんはそういうことはしないですし、そもそもわたしは神浜の魔法少女ですっ!」

 

 というわけで、昏倒事件の情報を手に入れました。ゆきかはイベント中、それに対応したトラブルを引き寄せてくることがあります。アザレアならほかに、アザレア組やななか組と遭遇することもありますね。

 ではとりあえず、彼女たちに自分は関係ないことを説明しつつ噂の詳細を聞き出します。無罪アピールのため、できるだけ親切に接しましょう。疑いをこちらからアザレア組に向けてくれるようになります。

 

 …これで万事オッケーだわ。あとはこのまま帰宅し、明日からに備えます。昏倒事件の情報が入ってきたということは、これから事態が大きく動くということでもありますので。

 

 今回はここまでです。御視聴ありがとうございました。

 

 

 

 〇 〇 〇 〇 〇

 

 

 

 …思うに。この神浜という土地はなかなかに数奇な運命とか、そういうのを引き寄せるところではないだろうか。特に、私たち魔法少女にとっては…。

 

 

 神浜市はざっと人口300万の新興都市。けれど、そこには歴史の影がまとわりついている。

 その代表格はやはり、市内でも東側と西側で、いまだに格差や対立が残っているということだろう。全体として、西側は東側より優れてるとか、東の人たちはどこか粗暴で怖いとか、そんな。実のところ、その印象はそう間違ってないと思うけれど。

 ともかく。それが不当かどうかとかは置いておいて、市内でも格差や対立があるということは事実だ。昔、西と東の間で結婚をし、格差をなくそうとしたお金持ちたちがいたらしいが結局、失敗したらしい。

 その昔の人が夢破れた東と西の対立の是正は、いまだ誰も成し得ていない。どこであってもそれはついて回る。それは例えば仕事であっても、学校であっても、恋愛であっても…そして、魔法少女であってもだ。たぶん例外は無い。

 

 

 私がキュゥべえと契約し、魔法少女になったのはだいたい、今から1年前くらい。実のところ、契約や魔法少女のことを本当のこととも思えなくて、適当な願いで契約した。だって、あんなマスコットみたいな生き物や、魔女なんてものが本当にいるなんて思わないでしょう? 

 それが真実だったと分かった後は後悔もしたけど、仕方ないと割り切った。というのも、そのとき私には魔法少女の仲間ができていたからだ。

 

 彼女は私よりもほんの少し、契約したのが早い子で、私が初めて魔女の結界に入ってうろたえているとき、助けてくれたのが出会いだった。

 その子も私のように、何も考えずにキュゥべえと契約した子で、どうにか魔女を倒した後、私たちは二人でたくさん話しあった。魔法少女のことから、学校のこと、好きな音楽のこととか、とにかくいろんなことを。

 

 そしてすっかり意気投合した私たちは、一緒に魔法少女として協力し合うことにした。どっちも新米だったけど、一緒なら魔女だって怖くないように思えたんだ。

 

 それから私たちはずっと一緒だった。ある時は一緒に戦って、ある時は一緒に笑って。あの子が告白して玉砕した時は、一緒に泣いたこともあったっけ。ともかく幸せな日々だった。

 

 

 …それが砕けかけたのはいつだったか。ほんの少しだけ前のことだったようにも、ずっと昔のことだったようにも思えるけれど。

 

 キュゥべえいわく、神浜は魔法少女が多いらしい。魔法少女には魔女を狩るテリトリーがあるが、そのせいでか私たちは、とりわけそれが細かく別れているという。

 ざっと見て、神浜の東側、西側、そして中央。さらに、そのなかのいくつかの区でまた別れ、そして区のなかでもチームや魔法少女ごとの縄張りがあった。私たちもいっぱしのチームとしてテリトリーをもっていたし、それに他のチームが困っていたり、逆にこちらのグリーフシードが足らなくなったりした時は、互いに助け合っていた。

 しかしあの頃、神浜は魔女不足というべき状況になっていた。もはや助け合いなどと呑気に言っていられる余裕はなく、私たちも日がなテリトリー内を血眼で魔女を探しまわるようになった。

 

 ある日、私たちは魔女を探しに歩いていた。グリーフシードにもう余裕はない。

 中央区へいけば確保できる、と知り合いの魔法少女は言っていた。中央区は完全に中立地帯と協定で定められ、地元の子たちのテリトリーも保障されているが、いくらかどの魔法少女のテリトリーでもない空白地帯もある。そこで魔女を狩っても、何を言われることもない…穴場だ。私たちがそこに手を出すのは時間の問題だったろう。その日の狩りは中央区だった。

 

 そのうちソウルジェムに反応があった。結界だ。魔女だ。グリーフシードがないと…ソウルジェムが濁っていると、身体も心もふるわなくなるし、魔法だって使えない。グリーフシード飢餓だった私たちは、何も考えず、喜び勇んでとびこんだ。

 

 そうして入った結界内、使い魔を倒しているといきなり、あの子に私は突き飛ばされた。何かと思って振り返ると、知らない魔法少女によって、肩を深々と切り裂かれている彼女の姿が見えた。

 

「そんな! …あなた、一体だれ!? どうしてこんなことを…」

「わたしぃ? わたしはあなたと対立する区の魔法少女。どうして、なんてもう、言わなくていいよね?」

 

 そういうってことはつまり、彼女たちは東の魔法少女ということだ。私たちは何もルールに抵触することはしていない。グレーではあるだろうが、中央区の子ならともかくとして、東の子にそれを言われる筋合いは、ましてや襲われる筋合いなどは全く無い。東側っていうのは、こんなに卑怯で酷いやつらがいっぱいいるんだと思った。

 しかし、そのまま食い下がって困るのは私たちだった。使い魔との戦いで疲弊しているうえ、不意打ちで随分おおきな怪我もしてしまった。万に一つも勝ち目はない。歯を食いしばりながら結界を出た。

 

 

 そうした後に私たちが泣きついたのは、西側を取りまとめる魔法少女であるやちよさんとみふゆさんだ。彼女たちはそれまでトップとして私たち西の魔法少女を守り、調停してくれていた。東の魔法少女に襲われたという事件、助けてくれるのは彼女たちしか思いつかなかった。

 

「そうですか…やっちゃん…」

「ええ、分かっているわ…。ありがとう、必ず対処する」

 

 どこか焦燥したような、疲弊したような様子の彼女たちだったが、そういって事態への対応を約束してくれた。その時はきっとこれから、少しは良くなるだろうと能天気に思っていた。あの二人なら何とかしてくれると。

 結局、そうはならなかった。何もよくしてくれなかった。

 

 

 それから数日が経ったが、状況は好転するばかりか悪化していく一方のようだった。別の知り合いの魔法少女も東側の子に襲われた。西の中でも、自分のテリトリーを守ろうと近くに近づいた魔法少女を攻撃する子や、逆に他の子を倒してでも魔女を奪おうとするような、東の子のような動きまでも見えてきた。

 そのうち、あの二人に期待していた自分たちが間違っていたと考えるようになった。中央区へは行くな、という指示は出たが、そんなことに従っている余裕なんてない。そもそも、私たちが行かなければ中央区は東側が占拠するだけだ。それを黙って見ているなんてばからしい。

 

 中央区では東の子と争うこともあったが、そのリスクを加味しても魔女を狩れるだけ上等だった。いつしか中央区も私たちの新たなテリトリーになっていった。

 魔女だけでなく、魔法少女とも戦う日々が続いた。…しかしそのうち、そういうことはなくなった。とりあえず、対立の原因が分かったというからだ。

 

 いわく、今回の対立の深刻化の理由は、魔法少女をコピーする魔女が私たちの対立が激化するよう煽ったからだという。

 この一件以降、東、西、中央のテリトリーはより厳しく分けられるようになった。そして、中央区へ行っていた魔法少女には罰則も課された。私たちもその例外でなく、グリーフシードをいくつか没収されることになった。中央区の魔法少女への賠償とするらしい。

 誰のテリトリーに入っていたわけでもなく、争っていたのも東側の魔法少女だけだった私たちは当然反対したが、聞き入れられなかった。納得はできなかったが、いつまでも逆らっていてはよりひどい目にあうかもしれない。そう思って渋々ながら従った。

 

 

 

 そして、今。それからというもの、もとのテリトリーで細々と魔女を退治する日々に私たちは戻っていた。グリーフシードにそこまで余裕があるわけでもなかったが、だからといって足りなくなるわけでもないという程度までにどうにか最近は落ち着いた。中央区へは行っていない。行けないというのが実のところだが。

 なんであれ、幸せな日々はどうにか戻ってきた。変わったのは厳しくなった規則と、私たちの考え方だ。

 

 中央区の魔法少女は、結果的により強固なテリトリーを得た。鏡の魔女と呼ばれる、あの魔女を倒すことができる魔法少女なんていない(東と西のトップさえ、魔女にたどり着けないというんだから!)。それが中央区との交渉の条件であるということは、実質的な中央区の完全独立だろう。規則もあって、東や西の魔法少女が中央区でいさかいを起こせば一発アウトだ。

 私たちはそれが不満だった。中央区で他の魔法少女を排してまで魔女を狩っていた子たちが次に目を向けるのは、西の中だ。場所を変えた抗争が起こらないと誰が言える? せめて私たちのテリトリーは害されないようにしなければならない。そう決意した。

 気づけば私たちが魔女やグリーフシードの融通をしなくなって久しい。しかしそれが魔法少女の本来あるべき姿なのではないだろうか? 私たちは間違っていない。

 

 

 そのうちこんなうわさを聞いた。『魔法少女が昏倒させられている。競合相手を疎んだ、市外の魔法少女の仕業だ。見かけない魔法少女に気をつけろ』

 それを受けてより警戒を強めた。やっぱり不安は的中したのだ。

 

 …魔女を探していると、見知らぬ魔法少女二人を見た。蛍光色の外套をきたのと、バニーガールのような恰好の子。もしや、と思った。この二人が昏倒事件の犯人に違いない。

 

 彼女たちは魔女を追っているようだった。行く先は私たちのテリトリーではなかったが、放ってはおけない。話し合い、そして結界から出てきたところを叩くことに決めた。

 

 

 少し待つと、結界から二人が出てきた。チャンスだ。

 

「…ハァァーッ!」

「わわっ!? な、なんですかっ!?」

 

 バニーのほうはすっかり戸惑い、混乱しているようだった。彼女だけなら楽に倒せたことだろう。自慢ではないが、先の抗争の折でそれなりに力を付けた自信はあった。勝算があったから挑んだのだ。

 …しかし、そうはならなかった。もう一人、外套のほうは、少し驚いたようだったがすぐに対応してきた。こちらは二人がかりでしかも不意打ちだったのに、どちらの攻撃も持っていた杖ではじいてしまい、彼女はそのまま視界から消えた。

 

「な…」

 

 唖然としていると、そのうち横からドサリ、という音が聞こえた。振り向こうとしたその時、首に衝撃が走る。杖で殴られたのだと気づいたとき、私は意識を失った。

 

 

 目を開くと、そこにはさっきの二人がいた。私のパートナーのほうはいまだ意識を失っているようだ。それでも殺されていないことに少し安堵していると、外套の女が話しかけてきた。

 

「その…なんで襲ってきたの? 私たち、あなたたちのテリトリーに入っちゃった?」

 

 よくもしらじらしい、と思ったが、私たちのテリトリーでないことも確かだ。内心に沸き上がった羞恥や怒りから目をそらすように話をずらす。

 

「っ、あなたたちが噂の昏倒事件の犯人なんじゃないの…? 市外から来た魔法少女たちが他の魔法少女を襲って昏倒させてるって…」

「え、えぇっ!? 昏倒ってそんなことが…って、違いますよっ! ホタルさんはそういうことはしないですし、そもそもわたしは神浜の魔法少女ですっ!」

 

 二人とも、私の言葉を受けて驚いた様子だった。それが嘘なのかどうかは分からない。ただ、外套の女…ホタルというらしい、は真剣な顔でこう言った。

 

「ごめん、嫌なタイミングに来ちゃったね。でも、よければそのことについて教えてもらえないかな」

 

 …断ったとして、事態が好転するとも思えない。私は知っていることを話した。といっても、うわさについて知っていることなんてほとんどない。少し聞きこめばわかるような内容だけだ。

 そして話し終えると、外套の女は予想だにしないことをした。あろうことか、私たちのソウルジェムを浄化したのだ。

 

「っ、あなた、どうして!? 私たちはあなた達を襲ったのに! 不意打ちでまでして倒そうとしたのに!」

「いやー…まあ、事情は分かったしさ。私だって、そんな話聞いてたら警戒しちゃうもの。だから責めるつもりはない。それに、ほら。浄化は教えてくれたお礼、的な?」

 

 衝撃だ。こんなひとのいい人が居ただなんて。

 どこか冴えたような頭が呆然とする。ホタルさんはハッとすると、慌てたようにもう一人の子に謝り始めた。ごめん、勝手に使っちゃった、という彼女に、そんな、気にしないでくださいとまた慌てたようにして返す。

 くすりと笑みがこぼれた。…いつからだったか、私たちがまわりを見なくなってしまったのは。自分たちのことばかりで、手をさしのべることを忘れたのは。

 気づけば、こんな言葉が口から洩れた。

 

「あの! …私たちにも、できますか」

 

 困ったような笑顔。そして、ひとこと。

 

 ……私ができているなら、きっと。

 

 ああ、それだけで十分だ。

 また、やり直そう。あの子と一緒に立ち止まり、辺りを見渡そう。

 

 そして私たちも、彼女のように。

 




Archive
〇モブの子
  一般魔法少女。たぶん思い込みが強い。

〇ゆきかトラブル
  だいたいゆきか一人だったらひどい目にあう(死にかける)ようなレベル。
  難易度はピンキリだが基本ゆきかは生還する。
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