マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート すずね☆マギカチャート(マギウスの翼チャート)   作:鰯のすり身太郎

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Part.6/x

 

 イベント解決を目指すRTA、はぁじまるよー。

 

 前回はどうにか昏倒事件の情報を得られたところからですね。想定よりも早かったですが、おかげで余裕をもって動けます。

 ゆきかありがとー! フラーッシュ! だからお前のことが好きだったんだよ!(特有の手のひら返し)

 

 ではまず、昏倒事件の被害を受けていないか知り合いの魔法少女に確認しましょう。今回はみふゆさんと13歳組、それに葉月ですね。ゆきかは情報を得た時に一緒にいたので大丈夫です。

 これをしておくだけで、犯人扱いされてロスる可能性がだいぶ減ります。今回は、特に重要なななか組とアザレア組にもアピールできてうまあじ。

 

 では早速。みふゆさんオッハー! 昏倒してない? 大丈夫? ならいいです。もう切りますね。

 事件の確認の電話は要件を伝えた時点で信頼度上昇が発生するので、長々と話すだけロスです。今日は最速でかこちゃんのところへ行きたいので(長電話と昼寝は)キャンセルだ。夏目書房へ行きます。

 

 

 着きました。まだ学校の時間なのでかこちゃんはいませんが、店内で待っていましょう。ついでにメールで、話したいことがあるから店内で待っていると伝えておきます。

 

「こんにちは……あの、話したいことって何ですか?」

 

 来たわね。さっそく昏倒事件について話します。

 

 この辺にぃ、ヤバい魔法少女、来てるらしいっすよ。じゃけん夜気を付けましょうね……。

 

「そんな……! 市外からの魔法少女ってことは、ホタルさんかあやめちゃん達が犯人って誘導しているようなものじゃないですか! 誰がそんなことを……」

 

 まま、そう焦んないでよ。今回は結構情報入手が早かったので、かこちゃんも初耳だったみたいですね。普段は先にうわさを知っていることが多いので、少しレアな感じです。

 ではこのまま、あやめと葉月を呼んでもらって二人にも知らせましょう。

 

「そうですね……。一旦今日はななかさん――私たちのチームのリーダーに報告して相談してみます。そして明日、改めてその内容も踏まえてお二人にお伝えしようかと」

 

 おぉっと? そうなるんですね……(ガバ)。

 これは仕方ないですね。無理やり今日伝えさせたら、かえって大きなガバを呼びそうです。一日の遅れを含めても現在まだまだ黒字の範囲ですし、今日は引きあげましょう。また明日!

 

 

 そんなこんなで夜のパトロールのお時間がやってまいりました。現在、その間に魔法少女と出会ったのはゆきかとモブ二人のみ。交友は少なく抑えられていて、現状かなり好調といえます。

 

 というわけで今日も出かけていきましょう。この調子だと、たぶんまだやちよさん襲来までかかりそうな感じですかね?

 みふゆさんに情報は渡したのでそっち経由で情報がいかないとは言い切れませんが、試走では病みふゆさんがやちよさんに連絡を取ることはほぼなかったので、おそらく今回も伝えてないと思います。

 

 どうしましょうかね……これなら今日は出かけなくてもいいかな? 変にエンカしたくもないですし。

 そうですね、うん、そうしましょう。最近はまじめに魔女を狩っていたので、グリーフシードもまだ危険域ではありません。数日くらいサボっても……かまへんか。

 

 ではここでオリチャー発動。今日はとっとと寝て一日を終わらせ…

 …おや、メールですね。かこちゃんから? なになに……

 

<夜分遅く申し訳ありません。実は、例のうわさの件をななかさんに話したところ、ホタルさんに一度会ってみたいということでした。

 できるだけ早いと良いとのことだったのですが、いつなら都合がつくでしょうか。急なことで申し訳ないのですが、どうかよろしくお願いします。>

 

 えぇ……(困惑)

 今回は交友が少なくていい、と言った矢先から何でこうなるんですかね。

 

 一回落ち着いて考えてみましょう。こうなったのは普段よりも早い時期に事件の情報を入手できたからで、うわさを知っている魔法少女に早い段階で出会えたから。そして出会えた原因はゆきかによる被襲撃イベントだから……

 

 結局あいつの仕業じゃねえか! どうりで試走より動きが変なわけだ! 実際、いつもならかこちゃんに情報渡しても組長召喚まではいかないですからね、たぶんそうでしょう。なんてことを……(憤怒)。

 

 しかもこれ、リセットしても意味ないでしょうね。するならもう昨日からまるまるやり直さないといけません。さすがにそんな大ロスするくらいなら素直に会うほうがまだマシです。

 

 というわけで向かうことにします。早速今から会いたい旨を伝えましょう。明日の昼はアザレアの二人に情報を渡しておきたいし、夜やもっと後にしたって今日会うのと変わりません。諦めてとっとと済ますことにします。

 

 ……お、返事がかえってきました。どうやら参京区のファミレスに行けばいいみたいですね。お邪魔させてもらいましょう。

 

 

「急な申し出にも関わらず、お越しいただいてありがとうございます。私は常盤ななかと申します。そしてこちらが……」

「純美雨ヨ。こっちは志伸あきら」

「かこちゃんから聞いたよ! 最近仲良くなった魔法少女のお姉さんがいるって。ボクも仲良くできたら嬉しいな」

 

 やっぱり凄まじいですね、このチーム。別に敵対しているわけでもないのになんでこんなに緊張するんでしょう?

 

 彼女たちがかこちゃんの属する魔法少女チーム、通称ななか組です。敵対すれば最後、知略も武略も駆使してこちらを追い詰めてきます。マフィアか? 

 そういうわけでこのチーム、何を隠そうメインストーリーに参戦されたら終わりのチーム筆頭です。お姉さんゆるして、シナリオこわれちゃ~う。

 なので正直、接触は最低限にとどめておきたかったんですが……まあ、過ぎたことです。ななか組はそれぞれ誰と最初に会ったかごとに動きを用意してあるので、それを応用します。

 

 とはいえ、やることはそう複雑でもありません。無害無罪を真摯にアピールするだけです。自分の固有魔法、それと事件について知っていることや知った経緯を説明します。

 ななか組長は自分の固有魔法で敵の判別ができるので、そうすればあっさり納得してくれます。かこちゃんもかばってくれるので万が一もそう起きません。

 注意としては、たまに発生する勧誘イベントは全力で拒否ることです。メンバー入りは、組長の監視下みたいなもんやし……。利用しようとすると確実に詰みます。してはいけない(一敗)。

 

「ええ、かこさんが仰っていた通り信頼できそうな人のようで。念のため直接会って確認させていただきましたけれど、私の魔法も反応しませんでした。不躾な真似をしてしまい、申し訳ありません」

 

 ええんやで(ニッコリ)。危惧していた勧誘も来なさそうで一安心。ついでにアザレア組とのことも確認しておきましょう。

 葉月と組長が手を組んでしまうと、本イベントはバッドエンドが確定します。必ず阻止しなければいけません。

 

「ああ、前会った……一度会ってそれきりかなぁ。ねえななか?」

「はい。それきり接触はありませんが……」

「まさかあの三人、疑ってるネ?」

「そんな! あやめさんも葉月さんも、そんなことをする人じゃないはずです! きっとこのはさんも……」

 

 (疑って)ないです。どう思ってるかが聞きたかったんです。

 

 ……あの三人ならそんなことをするまでもない? むしろ作為を感じる?

 ヨシ! 大丈夫そうですね。現状バッドエンドのフラグは立っていなさそうです。

 

 それでは、あやめと葉月に明日警告することだけ伝えて退散しましょう。これ以上長居すると信頼度が変に上がってしまいます。

 

 

 

 オッハー! 早速葉月とあやめ、あとついでにフェリシアを呼び出します。

 今一番怖いのは葉月です。あやめがこちらに疑いをもったパターンは今まで見たことがありませんが、葉月は乱数や信頼度次第でこっちを犯人とみて動くことがあります。

 そうなると最悪アザレア組と対立、よくても大ロス不可避になります。イベント成功も怪しくなるのは言うまでもないですね。やめてくれよ……

 

「市外の魔法少女、ねえ……。これ、ホタルさんにも当てはまりますよね? どうしてわざわざ警告なんてしたんですか?」

 

 おっと、これはいい感じですね。こうやって疑念を直接ぶつけてくるときは、むしろあまり疑われていないときです。本当にヤバいときはそのまま帰っていきます。

 ここは素直に二人が心配だからと答えておきましょう。下手に理屈をこねるとかえって悪化します。

 

「そう、ですか……すみません、変なこと聞いちゃって」

「……葉月、もしかしてホタルのこと疑ってる?」

 

 あやめも援護してくれましたね。いいゾ~コレ。とりあえずこの二人からこっちに飛び火する危険はもうなさそうです。

 何か進展があったときに互いに連絡しあうことだけ決めて今日は解散。もう帰っていいよ!

 

 

 

 さて、というわけであとはやちよさん待ちです。

 

 アザレア組……というか『静海このは』が昏倒事件の調査に乗り出したやちよさんに会わなければイベントは進展しません。

 そもそもの話、この昏倒事件は基本的に嘘っぱちなんですが、唯一確実に被害が出るのがやちよさんの前でももこが襲われるイベントです。

 一応他の魔法少女にも被害が出るときはあるんですが、だいぶ乱数に嫌われないと起きない気がします。もし起きたら本チャートだとリセの危機ですね。

 

 脱線しました。とにかく、そうして疑われていることをこのはが知ることで葉月が本格的に調査に乗り出し、イベントが進むので、今できることはやちよさんが早く出てくれることを祈ることだけです。

 こっちでもいいから早く出てきてくれないかな……。

 

 

 

「あなた、少しいいかしら」

 

 来た、来た、来たなぁ!? 待つこと数日、やっとやちよさん襲来です。これでようやく魔法少女からの襲撃におびえなくて済むようになります。

 さて、件のやちよさんですが、犯人とホタルちゃんの魔力パターンが違うことに気づいてすぐにこちらの疑いを解いてくれるので、話は適当にながして大丈夫です。

 

 やちよさんオッス! 何の御用ですか? 昏倒事件? 仲間が被害にあった? なんてことを…(憤怒)犯人ぜってえ許さねえ!

 

 ……これでよし。魔力パターンのこともあってやちよさんが他の魔法少女ともども疑いを晴らしてくれます。

 そしてここからが本題。アザレア組と会っているかの確認と、被害者のももこと会う約束の取り付けです。

 アザレア組と会っているかの確認は、葉月がこっちに協力してくれているかのチェック。もしアザレアと先に会っていれば、現在葉月から何も連絡がないのは信用されていないからということでリセ案件です。今回は手ごたえがあるので大丈夫と思いますが、念のため。

 

「3人組の魔法少女……ええ、あなたのことと一緒に追っていたわ。まだ会えてはいないけれどね。それよりも、ももこと会いたいっていうのはどういうこと?」

 

 ももこは事件の被害者、ホタルちゃんもあらぬ疑いをかけられた被害者。だったら被害者どうし、事件について探りあわねえか? ってことでですね……。

 え? いい? ありがとナス! このあともう一人増えるので、日程は余裕をもって決めておきます。

 

 というわけでこれが狙いでした。

 そもそも魔法少女の襲撃にしたって、実はこの時期に魔女を狩らなければ何の問題もないね? 案件です。それでもリスクを負ってやちよさんと会いたがっていたのは、ひとえに葉月とももこを確実に接触させるためでした。

 葉月とももこが協力しないとクリアできないくせに、ハードだと連絡取れるかすら低確率っておかしいだろそれよぉ! 二人の初コンタクトは下駄箱に手紙という超前時代的なやり方がきっかけなので、介入しないとなぜかここで運ゲーが始まります。多少のリスクを負ってでも、ここだけはどうにかしないと精神が持ちません(いっぱい)(HHEM)。マインドシーカーやってるんじゃねえんだぞ!

 

 それでは、あとはアザレア組とやちよさんが接触するのを待ちましょう。早ければ今夜のうちにあちらとも接触してくれますが、一日二日かかるのが普通です。

 それでも一応、確認のため明日、昼から夕方のうちに葉月に今日のことを連絡します。夜にするとこのはに知られてガメオベラすることがあるので、してはいけない(戒め)。

 しかしなんだっていつもあやめに被害がいくんですかね。前これをしでかした時も当然のようにあやめが退場してました。呪いか何か?

 

 ではでは今日は帰りましょう。もう起きているメリットはないです。

 

 

 

 オッハー!(HMは2度刺す)

 

 二度寝していたのでもう昼です。そろそろ連絡しましょう。

 あ、葉月さんですか? ええ、昨日七海やちよっていう西の最古参がですね。たぶんそっちにも行くと思うんで、その時は連絡よろしくお願いします。

 

 これでもうやることやりましたね。ちなみにやちよさんの情報ですが、今回は事前にみふゆさんから仕入れておけたので先日の襲来ともどもすんなりいきました。

 あとはやちよさんが接触してくれるまでの数日、13歳組と戯れています。これが後に生きてくるので、寝ないでちゃんと行動しておきましょう。これからは夜に魔女狩りに行かなくていいので、そのときにたっぷり寝ます。

 しかし子供と遊んで寝るだけってこいつ本当に魔法少女か? ままええわ。グリーフシードもよっぽど追い詰められない限りまだ足りますしね。魔法少女業は一時休みです。

 

 

 

 う~タイムタイム。

 今タイムを求めて走っている僕はごく一般的な魔法少女。しいて違うところをあげるとすれば解放に興味があるってことカナ――

 そんなわけで13歳組と遊ぶために公園に来てみると、ベンチに一人の金髪のイケジョが座っていた。

 

「ホタルさん、ちょっといいですか……」

 

 ウホッ! いい女…

 

 というわけで葉月が13歳組のところに久々にやってきました。来なかったのは1か2(日)くらいですかね……全然久々じゃないな?

 

 葉月はこのはに気づかれることを恐れて、こうして電話せずに直接やってくることがあります。そのとき楽に対応できるようにするのが13歳組につきっきりだった理由の一つですね。

 

 さて、こうなれば話は早いです。葉月がこうしてやってきたということは、やちよさんと接触が済み、神浜脱出BADルートを回避し、ももこと協力して噂を調査しようとしているということです。トゥルーエンド街道を順調に進んでいるといえるでしょう。

 ここからももこと会えるかという謎の運ゲーが発生するところでしたが、そこはしっかり対策済み。ホタルちゃんに同行するという形で会わせられます。チャート通りに物事が進むのは、あぁ~たまらねえぜ。ちょうど会う予定は明日なので一緒に会いに行きます。

 

 

 

「ええと、朝倉ホタルさんに……遊佐葉月さん?」

 

 来たわね。彼女が『十咎ももこ』、暫定今回唯一の被害者かつ、メインストーリーで散々お世話になる魔法少女です。ホタルちゃんにとっては敵としてですけど。

 とはいえ今、ホタルちゃんがやるべきことは協力です。葉月と一緒にももこを説得しましょう。

 このとき、ももこはまだ疑いを晴らしたわけではないと強調してきますが、ここで葉月が説得を諦めるとまたガメオベラです。諦めず説得させましょう。

 

「……よし、信じた! あんたらが嘘をついてるようには見えない。正直に腹割って話してるよ!」

 

 OK。OK牧場。これでももことの協力を取り付けられました。早速今日から3人で情報収集します。2日だけ。

 

 というのも、この先の進行フラグを立たせるには最低でも3日以上調査を続けてこのはにストレスを溜めてもらわないといけないのですが、逆に言えば3日目以降は常時イベント進行の恐れがあるということでもあるからです。

 正直なところ、調査は参加するメリットがあまりありません。今回の黒幕の混沌さんは聞き込みとかでは分かりませんし、必要な『被害者がいない』という情報は勝手に判明します。

 

 それならば、イベントクリアを盤石にするために備えておいたほうがいいです。具体的には13歳組と遊びます。またか。

 

 この時期、13歳組は3人で公園に集まって遊び、ある程度したら解散という動きをします。その後あやめはこのはと合流して夕飯、かこちゃんは帰宅、フェリシアは公園で昼寝にはいるのですが、イベント進行は必ず、あやめとこのはが一緒にいるときにレナちゃんと会うことで起きます。要するにあやめが遊び終わったあとに起こるってことです。

 ホタルちゃんの仕事は、これらのうちかこちゃんの帰宅とフェリシアの昼寝を遅らせて、イベントが進行したときに即座に二人を連行することです。理由はおいおい説明しますね。

 

 とりあえず2日目の終わりに、13歳組が真犯人に狙われないか心配だから見張る、情報収集はみんなが学校へ行っているうちにできるだけやる、と言えばOKです。なかなか断られません。

 

 

 

 調査開始から5日目です。すみませ~ん、走者ですけど、ま~だ時間かかりそうですかね?

 割とこれまでハイペースだったのですが、この調子ではその分の余裕がなくなりそうです。このはに葉月の動きがばれたらリセになりますし、現在ちょっと焦り気味です。

 

「……あ、時間だ。あちし、そろそろ帰るね」

「おぉ? もうそんな時間か。最近あやめ、帰るの早えよな」

「まあ、いろいろ大変な時期ですし……」

 

 いい加減そろそろ、ツンデレとふゆうのコンビに遭遇してほしいですね。

 ちなみにですが、二人がアザレア組と接触するよう誘導するのは本チャートだと無理です。ツンデレの方こと『水波レナ』が突っかかってくるのがこちらになって、最悪クリアフラグ自体が折れます。絶対に会ってはいけません。

 

 ともあれ、今できることはただただ進展を待つだけです。葉月からいつ連絡が来るか、内容はTRUE行きなのかBAD行きなのか。何度走ってもここはドキドキします。

 

 

 ……もうじき日が暮れます。また今日もダメみたいですね? どうしてくれんのこれ。

 

《ホタルさん! 今何してる!? かこちゃん達は!?》

 

 ファッ!? 葉月から念話が届きました。普段は電話なんですけど、たまたま念話の届く範囲内だったみたいですね。危うく驚いて腰抜かすところでした。

 この慌てぶりからするとついに来たみたいですね。このはが神浜の魔法少女全員を叩き潰そうとしはじめたようです。水名神社にこのはがいることを聞き次第、突撃します。

 

 かこちゃんヨシ! フェリシアヨシ! グリーフシードヨシ!

 ではさっそく変身し、二人を抱えて『瞬間移動』を連打しましょう。

 

「どうしたんですか? 急に変身して……きゃあ!?」

「うおあぁ!? おま、離せー!」

 

 完全に『空間結合』の劣化としての使い方ですが、こうすることで一応、ある程度の距離ならかなり早く移動することができます。

 問題はやっぱり魔力消費。今回の公園から水名神社まではそんなに離れていませんが、余裕で貯蓄のグリーフシードが吹っ飛びます。

 ついでに言うと、酔うらしく同行者の信頼度も下がるのですが、本チャートに関してはかえって好都合なので気にしなくていいです。

 

 ここまでして急いでいる理由ですが、クリアのため、あやめが自分に友達がいることをこのはに伝えて説得してもらう必要があるからです。

 このとき、かこちゃんやフェリシアがいると説得の成功確率はぐんと上がります。

 しかし、あやめが友達をカミングアウトしなかったり、このはが自分で勝手に納得してアザレア組が内部崩壊したりすることもまれにあるので、とっとと友達を連れて行ってあやめが説得するのを確実にしなければいけません。そのためのサボり、あとそのための瞬間移動?

 

 

 さあ着きました。

 ちょうど葉月が着いてすぐくらいのタイミングかな? いい感じですね。

 そして今回のグリーフシード消費は3つかな? 悪い感じですね。もうストック切れそうなんですけど。どうしてくれんのこれ?

 

「あなたたちは……!」

「うぇえっ!? かこにフェリシア、それにホタルも? なんで?」

「……すごい気持ち悪いぞ」

「えと、すみません。少し深呼吸してもいいですか……」

「あの……アタシが呼んでおいてなんですけど、これ大丈夫なんですか……?」

 

 まあとりあえずあやめです。このは説得して、どうぞ。二人がグロッキーなのは気にしなくていいから。

 

 

 ……説得が終わったようです。さあ、判定やいかに。

 

「……ふふ、そう。ねえ、お二人とも。これからもあやめをよろしくね」

 

 成功したみたいです。これで安心だぜ!

 

 

 

 というわけで逃げます。(魔法の)使いどころさん!? 

 このあと関係者で情報交換会が始まるのですが、呑気に残っているとそれに巻き込まれてタイムはロス、信頼度はガバということになります。何も得しません。

 ケアはこのあと適当にメールでもしておけばいいです。

 

 

 それでは拠点へ戻って、今回はここまでです。御視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 〇 〇 〇 〇 〇

 

 

 

 

 あちし、三栗あやめ! 葉月とこのはっていう二人の魔法少女と一緒に暮らしてる。

 

 あちし達は小さいころ、『つつじの家』ってところで出会って、それからずっと一緒!

 楽しいこと、うれしいこと、辛いこと、悲しいこと。ぜんぶ、一緒に分け合ってきたんだ。

 

 

 あちしがつつじの家に入ったのは、3人の中だと一番後。どこだかで親に置き去りにされて保護されたらしい。

 なんとなく、手を引かれているような記憶はあるんだけど……まあ、正直よくわかんない。あちしが1歳とちょっとくらいの時だもんね。

 

 あちしが施設に入ってから、二人はいつも一緒にいてくれた。

 院長先生はそんなあちし達をいつも暖かく見守ってくれていて、今思い出してもとっても幸せだった!

 

 けど、幸せなのはずっとじゃなかったんだ。

 ある日、院長先生が倒れちゃって……それからすぐに死んじゃった。

 ほんと突然すぎて、はじめはよく分かんなかったけど……このはも葉月も泣いちゃって、あちしもそれを見て大泣きしたのを覚えてる。悲しくて悲しくてたまらなかった。

 

 しかも、状況はいつまでも泣いていさせてはくれなかった。だって、つつじの家が無くなっちゃうっていうんだから!

 二人からそれを聞かされたとき、すっごく怖かった。院長先生も死んじゃって、その上つつじの家もなくなって、みんなとも離れ離れになっちゃうなんて……

 

 それからこのはと葉月は、つつじの家を守ろうってすっごく頑張ってた。それでも結局ダメだったんだ。

 やっぱりつつじの家はなくなっちゃうことになった。

 

 

 

 でもね、なくならなかったんだ! それはあちし達が、キュゥべえと契約して魔法少女になったから。

 つつじの家で過ごす最後の日。どうしても寝られなくって葉月と一緒に歩いてたら、キュゥべえと話してるこのはに会ったんだ。

 

 契約すればどんな願いだって叶う。このははあちし達になっちゃダメっていったけど、このは一人だけに危ないことさせたりなんてしないもんね。あちしも葉月も一緒に魔法少女になった。

 

 そうしてつつじの家は守れたんだけど、結局あちし達はそこから出ていくことになった。魔法少女になったら普通じゃなくなっちゃうから、って周りからあちし達の記録を願いで消したの。

 嫌だったけど……でも、二人の言うことも何となくわかったし。魔法少女になったらきっといろいろと変わっちゃうんだって思うと、仕方ないかなって思ったんだ。

 

「でも変わらないこともあるわ……私たちは、これからも一緒よ……! 何があっても、私たちだけで! 私たちだけで生きていくの……!」

 

 頭の中はぐちゃぐちゃだったし、寂しかったし悲しかったけど、このはのその言葉だけで大丈夫って思った。あちし達はずっと一緒だって。

 

 それからは神浜の外にも出て、とにかく色々なところへ行った。魔力が尽きたら何があるかわからないからって、魔女を探して倒すことを一番にして……。

 でも、最近神浜に魔女が増えてきたってことを聞いて、あちし達は久しぶりに戻ってきた。神浜市に!

 

 

 

 そうして戻ってきてからも、あちし達は魔女を倒し続けててた。そんなある日だった。他の魔法少女達とたまたま会って……ええと、なんだっけ……なんとかかんとか……まあいいや! 

 とにかく、なんか怪しい感じの魔法少女がリーダーのチームと会ったの! それよりも大事なのはこっち。かこがその一人だったってこと。

 

 その時あちし達はその何とかとかいう魔法少女に勧誘されたんだけど、そもそもあちし達はずっと一緒にやってきてて、他の子と手を組む気なんてなかった。

 それは葉月もこのはも一緒だったと思う。その時は葉月が対応して、とりあえず解散の流れになったんだ。

 

 だけどかこが、いきなり私も13歳なんです、とか、同い年の魔法少女なんて嬉しい! とか言い出して、最後にはまた! とまで言われちゃった。

 そしたらなんだか気になっちゃって、ずうっとかこのことが頭の中に残り続けてた。

 

 

 そうしてたらある日、街中でばったりかこに会った。

 

「およ? 何? かこちゃんのお友達?」

 

 その時かこは黒いジャージの人と一緒に歩いてた。ホタルっていうらしいそいつは、あちし達が話してるのをしばらく見てた後、あちしとかこの手をいきなりつかんで歩きだしたんだ。

 

「ひゃぁ!? ホ、ホタルさん!?」

「ちょ、ちょっとアンタ、何すんのさ!」

「ふふふー。いいからいいから、お姉さんについてきなさいって!」

 

 そういってあいつは、あちし達を無理やり公園に連れてきた。しかもその後、じゃああとは仲良くね! なんて言ってそのまま帰っちゃうし。

 怒る間もなくて二人でぽかんとしてたら、そのうちなんだかおかしくなってきて、気づけばそのまま一緒にしゃべりはじめてた。

 

 そうしてぽつぽつと二人でしゃべってるうち、かこがお友達になりましょうって言いだした。

 このはに言われた言葉が頭をよぎったけど……断れなかった。

 けど、これはあちしなりの『じょうほうしゅうしゅう』なんだ!

 

 だって次の日、かこのところへ行こうとしたら葉月に見つかっちゃったんだけど、そう言ったら会ってもいいっていってくれたし!

 

 

 そんでかこのいるだろう公園に行って……葉月も着いてきたんだけど……でもかこはいなかった。そして何故か、昨日のホタルってやつが代わりにいた。

 

「あー! アンタ、昨日かこと一緒にいたやつ! なんでかこじゃなくてアンタがいるのさ!」

 

 当然怒ったよね……! だって昨日はいきなり引っ張ってかれたし、今日だって何されるかわかんないもん。かこだって何かされたかも知れないし。

 

「おー! 待ってたよー、えーと、三栗あやめちゃん、だっけ? それと……」

「遊佐葉月っていいます~……それで、あなたは?」

「あ、そっか。自己紹介してなかった。……おほん、私は朝倉ホタル! 世界を旅してる魔法少女で、今日はかこちゃんのお姉ちゃん役です。よろしく」

 

 胸を張っていきなりそんなことを言い始めるから、あちしも葉月も驚いた。というか、昨日かこは一人っ子って言ってた気がするし。

 なんかよく分かんなかったけど、もうちょっと話を聞いてみたら、かこがあちしに友達を紹介するため呼びに行ったから代わりに待ってたってことみたい。

 

 ホタルが言ってた通り、かことフェリシアってやつはちゃんと来た。

 フェリシアも魔法少女で同い年だから、ちゃんと紹介したかったんだって。

 かこはフェリシアをすっごく強いなんて言ってたけど、あちしのほうが絶対強いと思う。今度勝負してはっきりさせてやる!

 

 

 それからもまた何度か一緒に遊んだ。

 かこもフェリシアも、ふたりとも一緒にいるととっても楽しいんだ。

 

 そういえば、ホタルはやっぱり、かこのお姉ちゃんではなかった。

 かこはそれを聞いて驚いてたし、嘘じゃん! って言ったら、気分的なものだよーって返された。わけわかんない。

 

 でもホタルもあちしは面白いと思う。

 いつもはあちし達を見てるだけなんだけど、たまに旅先の話とか変なことを教えたりとかしてくれる。

 

「……なあ、それ本当にうまいのか?」

「いやー、正直、いまだに信じらんないんだけどねー。それからお祭りの名物になったらしいよ、納豆焼きイカ」

「イカの中にぎっしり納豆が詰まってるとか、あちしはちょっとやだなぁ……」

「というかホタルさん、試作に付き合ってたんですよね? なんでそれにしちゃったんですか?」

「他の候補がね……ちょっと……」

 

「この木、ここからおがくずが出てるでしょ? これを叩くとね……ほーら出てきた!」

「うわっ、でっか!」

「立派でしょ、カミキリの幼虫。こいつを捕まえられる子はなかなかいないよ~」

「おーし、オレも探すぞ! かこ、あやめ、誰が一番先に見つけられるか……かこ?」

「私はいいです……」

 

「私、家からお菓子を持ってきたんです! よければ食べませんか?」

「食べる!」

「オレも!」

「おぉー、豪華! ありがとうかこちゃん!」

「よかった! ……あの、葉月さんもどうぞ!」

「え、いいの? 悪いね~」

「……うーん、おいしい! もう一個食べよ!」

「あ、オレも! ……ってあれ? もう無いぞ?」

「ふっふっふー。一足遅かったね二人とも。こういうのは早い者勝ち……って痛い! 噛まないでフェリシアちゃん! ごめんって! 痛い!」

「何やってんですか……」

 

 ホタルは葉月とか、このはよりも年上らしいけど、あんまりそういうのは意識しない。自然にふらっと混じってくる感じで、つつじの家にもいなかったタイプ。

 

 かこもフェリシアもホタルも、一緒にいて悪い予感なんて全然しない。

 葉月はあちしの勘を信用してるって言ってたけど、それならみんないい人で、でもこのははあちし達3人以外、誰も信じるなって……。

 

 そう考えてたら、このはに呼ばれてるのに気づいた。

 葉月は食器出すの手伝ってって言ってるし、かなり長く考え事をしちゃってたみたい。すっかり家にいたのも忘れてた。

 

 ……ねえ、このは……あちし、もっとみんなと一緒に遊びたいんだ。

 ダメかなって、そんな言葉は出なかった。……言い出せなかった。

 

 

 

 ある日、かこから連絡があった。

『いつもの公園で会いたい』『葉月さんも一緒に』

 

 ……これは勘がなくたって分かる。なんかあるんだろーなーって思った。

 

 公園には、かこのほかにもフェリシアとホタルがいた。

 3人があちし達に気づくと、すこしひりついた空気が流れてきた気がした。

 

 

 聞かされたのは『市外の魔法少女が他の魔法少女を昏倒させてる』って噂。ホタルがそれを聞いてきたらしい。

 

「市外の魔法少女、ねえ……。これ、ホタルさんにも当てはまりますよね? どうしてわざわざ警告なんてしたんですか?」

「……この噂を信じてる魔法少女は、たぶんこれからもっと増える。私がこのことを知ったのも、そういう子に襲われたからだしね。だから知っておいてほしかったんだ。二人がそうやって襲われたら嫌だから」

「そう、ですか……すみません、変なこと聞いちゃって」

「……葉月、もしかしてホタルのこと疑ってる?」

 

 葉月は噂を聞いてすこし身構えてたけど、あちしにはホタルがこれに関係してるとは思えない。葉月も結局同じように考えたみたい。

 だからこそ、これを流した誰かに腹が立った。あちし達は何も悪いことしてないのに!

 

 その日はそのまま解散した。葉月とホタルは何か少し話してたけど、それくらい。なんだかさびしい日だった。

 

 

 それから数日。この事態がまた進んだ。

 

 夜、あちし達が魔女を探していると、青い服の魔法少女に出会ったんだ。

 

 『七海やちよ』っていってたその人――歳をなぜか気にしてた――は、昏倒事件について話があるっていう。

 だからあちしたちはやってないっていうと、あっさり信じてくれた。犯人の魔力パターンと違ったんだってさ。

 よかった、って思ってたんだけど、ほんとに大変だったのはそれから。

 

 

 ……その次の日、このはが神浜市を出よう、って言ってきたんだ。

 

「神浜市を出ましょう」

「私たちは3人だけでやっていく……それが大前提であり全て」

「私はこれ以上、周囲が私たちに干渉するのを避けたいの」

「新しい町でリセットして仕切り直しをしましょう」

 

 家へ帰ってきて、このははそう言った。そして最後……あやめはどう思う、って。

 

「あ、あちし……? あちしは……」

 

 神浜からいなくなる。そう考えた時、思い出したのはかことフェリシアのこと。楽しかった思い出……。

 そうしてこのはに賛成してくれる、って聞かれたとき、つい神浜にいたほうがいい、って答えちゃった。

 どうして、って聞かれたときは困ったけど、葉月が助け舟を出してくれた。このはも納得してくれて、なんとか神浜から出ずに済んだんだ。

 

 

 そんで葉月は、このきっかけになった疑惑を晴らすために動き始めるようになった。

 あちしも手伝おうか、って言ったんだけど断られた。でも何か、今まで以上に動いてるのは分かる。

 遊びに行くとき着いてきたと思ったら、真剣な顔でホタルと話したりしてたし。

 

「ホタルさん、ちょっといいですか……」

「ん? どしたのー……あぁ、うん。あっちで話そうか。たぶんそっちのがいいでしょ?」

「そうですね、お願いします」

 

 二人はあちしたちから離れて何か話し始めた。何を言ってるかは分かんなかったけど、何となく昨日のことだと感じた。

 気づいたら、かことフェリシアが話しかけてきてた。ずいぶんぼーっとしてたみたい。

 

「おいあやめ、風邪か? さっきから何言っても反応しねえし」

「大丈夫ですか? 具合が悪いなら今日は……」

「……! あぁ、大丈夫だって! ほら、こんなに元気!」

「その……もしかして、あの噂のことで何かあったんですか?」

「噂って、あのコントージケン、ってやつか? お前らがやったんじゃねえんだし、そんな考えすぎんなって」

「それはそうだけどさ……葉月もホタルも……」

 

 ふと二人の方を見ると、一通り話し終わったのかこっちに来てた。

 その後はふたりともいつも通りのようだったけど、違う。葉月は少し緊張しているようだったし、ホタルも少し変な感じだった。

 

 その日から葉月の帰りは遅くなった。疑惑を晴らすためにいろいろと調べてるんだ。ホタルも利用して……

 

 

 それから二日。あちしたちはいつものように遊んでたけど、ホタルも葉月も来なかった。

 葉月はいつも来てたわけじゃないけど、ホタルが来ないのは珍しい。だから二人も変な感じだったみたい。

 

「なー、今日も来ねえのかな?」

「噂の調査……なんですよね? やっぱり大変なんでしょうか……」

「……たぶんね……」

 

 そうしたら突然、後ろから聞き覚えのある声がした。

 

「なになに~? 私の話? どうせなら一緒にしようよ」

「うおおおっ!?」

「きゃああっ!?」

「のわあぁ! ちょ、ホタル! 急に出てこないでよ!」

 

 ホタルだ。近くまできてたのに、全く気付かなかった。

 

「あはは、ごめんごめん。ちょっと驚かせてみようかと思って」

「ほんとだよもう……。って、葉月と調査してるんじゃないの?」

「あー……、そうね。そうなんだけど、まあ助っ人を見つけたというか……」

「あ、分かったぞ!」

「フェ、フェリシアさん?」

「ずばり、役にたたねえって追い出されたな!?」

「……え、私そんなアレに見える? ひどくない?」

 

 ねえ、と聞いてきたその顔はいつも通りのようで。けど、あちしの勘はそうじゃないといってるような気がした。

 たぶんだけど、あちしたちのところへ来たのもそれが原因なんだろう。それが何なのかはわからないけど、このはが関わってるのかな、なんて思ったりもした。

 

 

 

 また三日たった。葉月もこのはも、どこか焦っているような気がする。少し重くなってきた空気から逃げるように公園へ向かう。

 かこもフェリシアも変わらない。あの日から少し早く帰らなきゃいけなくなったけど、それでも今のあちしはこの時間が大切だ。

 

 二人と遊ぶ。たまにホタルがふらっと入ってくる。最近こうなったばかりのはずなのに、どこか日常のような時間。

 気づけば、もう帰る時間になっていた。

 

「……あ、時間だ。あちし、そろそろ帰るね」

「おぉ? もうそんな時間か。最近あやめ、帰るの早えよな」

「まあ、いろいろ大変な時期ですし……」

「気を付けて帰んなよ。……それと、葉月ちゃんにあまり思いつめないよう言っといてほしいな」

 

 

 そんな話をして公園を出て、そしてこのはと合流する。

 葉月が調査をしてる間、あちしたちはお弁当だ。あちしはいつも、大好きな焼肉弁当!

 ……けど、5日もそれが続いてると、葉月の作ったご飯が……いや、みんなで楽しくご飯を食べる時間が恋しくなる。

 

 そうして行ったスーパーでお弁当を見ていると、いきなりあちしたちの名前を叫ばれた。

 

「静海このはと三栗あやめ!」

「……!?」

「ふわぁ! は、はい!」

「見つけた……アンタたちね……!」

 

 水波レナと名乗ったそいつと、もうひとり、秋野かえでってやつは、前会った七海やちよってのが言ってた被害者……十咎ももこの知りあいだっていう。

 あちしたちはそのまま神社へ連れてこられて、そんで戦えって言い始めた。さすがに腹が立ったからあちしがやっつけてやろうとしたけど、このはが私に任せて見てろっていう。しょうがないからあちしはこのはの応援だけすることにした。

 

 勝負はこのはが優勢だった。そうして戦ってるうち、前会った七海やちよが来て勝負を止めようとしたけど二人はそのまま戦ってて……

 そして、レナってやつがこのはに目くらまししたとき、急にクラっとして倒れちゃった。石畳にそのまま頭を思いきり打っちゃって痛かったけど、でもあちしは平気だったんだ。

 

 

 でも、それからこのはの様子がおかしくなった。

 3人にあちしを攻撃したかって聞きだして、そして最後にあちしに葉月を呼ぶよう言った。

 ヤバいって思って慌てて念話で呼んだけど、このははさらに予想外のことを言い始めた。

 

「……葉月が来る前だけど、先に始めるわよ、あやめ……まずはこの人たちからね……」

「始めるって……何を……?」

「私たち以外の魔法少女を全員叩き潰す……!」

 

 このはは冷静だって言ってたけど、どう見たってそんなことない。葉月はまだ来ないだろうし、どうにか止めないといけない。

 

「……どきなさい、あやめ」

「こんなの……やめようよこのは! あちし達以外の全員と戦うなんてそんなの……なんか……ううん、絶対違うよ!」

 

 どうにか説得しようとしたけど、このはは止まらない。立ちふさがったあちしを『幻惑』の魔法ですりぬけていく。

 振るわれた槍はやちよってやつが止めた。けど、このはは止まらない。そのままそいつと戦おうとした、その時。

 

「ちょっと待った!」

「……来たわね……葉月……」

「葉月!」

 

 葉月が来てくれた。しかも、昏倒事件の被害を受けたっていう、十咎ももこまで連れて……

 

「……どうしてその人と一緒にいるの、葉月!」

「……犯人探しに協力してもらってるんだ。ここ最近ずっと一緒に調べている……」

 

 ホタルがいってた助っ人っていうのは、そのももこだったらしい。てっきり助っ人なんて嘘だと思ってたから驚いた。

 だけど、そんなことを聞いてこのはが怒らないはずがないよね。怒って問い詰めるこのはに、葉月はこういった。

 

「このはに伝えたいんだ。……最近、アタシが思ってることを」

「アタシら、もっと外と向き合うべきだよ」

「……確かにアタシら、小さいころから周囲の事情に振り回され続けてきた」

「でも、信じられる人間って本当に自分たちだけなの?」

「三人だけになって、昔は本当に心を許せる人が周りにいたってこと、忘れかけてたんだ……」

「だったら今もいるんじゃないの?」

「院長先生やつつじの家の仲間みたいな、信じられる人が……!」

 

 信じられる人、心を許せる人。ふいに、二人の顔が思い浮かぶ。かことフェリシア……あちしの、友達。

 ホタルだってそうだ。たまに何考えてるかわかんないけど、でも悪い奴じゃない。

 

 このはは泣いていた。もう私にはあなたたちしかいないって。だから三人の輪の外と繋がるのが、また大事なものが理不尽に壊されるのが怖いって。

 

 けど、伝えるべきだって思った。信じられる、心を許せる人がいるんだって。

 そう思ったとき、石畳の上に何かが降ってきた。

 

「ま、間に合った? 葉月ちゃん、どう? ……うっぷ」

「あなたたちは……!」

「うぇえっ!? かこにフェリシア、それにホタルも? なんで?」

「……すごい気持ち悪いぞ」

「えと、すみません。少し深呼吸してもいいですか……」

「あの……アタシが呼んでおいてなんですけど、これ大丈夫なんですか……?」

 

 それは変身したホタルと、抱えられたかことフェリシアだった。全員顔が真っ青だったけど……。

 

 少し辺りを見回してから、片手で口をおさえたホタルが、あちしにこっそりとサムズアップした。

 ……たぶん、伝えろってことだ。あちしに、友達ができたって。

 

「……このは! あちし、このはに黙ってたことがあるんだ……」

「……あやめ……?」

「できたんだ。この町で、友達ってやつが……」

「……あやめまで……私に黙って……!」

「で、でも! きっと、大丈夫なんだよ! あちしは、信じられるって……」

「あやめ……」

「……ねえ、このは。あやめがさ、自分の意志で友達を作ったんだよ。いつもアタシらのあとをついてきた、あのあやめがさ……」

 

 だんだんなんて話せばいいかわかんなくなっちゃったけど、葉月も援護してくれた。

 葉月だけじゃない。やちよって人も、その場のほかの魔法少女も。

 

 そして、やっと落ち着いたらしいかことフェリシアも。

 

「ふぅー……あのっ! 私、夏目かこっていいます! あやめさんの、お友達をさせていただいてます!」

「オレは深月フェリシア! オレもあやめの友達だ!」

 

 それを聞いて、このはが笑った。そして。

 

「……ふふ、そう。ねえ、お二人とも。これからもあやめをよろしくね」

「このは……!」

 

 そう言ってくれた。つまり……認めてくれたんだ! あちしたちの輪の外、かこも、フェリシアも、あちしの友達を!

 

「ありがとう、このは! かこ、フェリシア! ……握手しよ!」

「握手? なんだよいきなり。初めましてってわけじゃないのに……」

「ちょっと、フェリシアさん……!」

「いいから、手だせって! ほら、握手握手!」

「……うふふ……! はい、握手!」

「……ははっ! 握手~!」

 

 一緒に輪になって飛び回る。うれしくってうれしくってたまらない!

 そのまま遊びに行こうとしたら葉月に止められたけど、それでもいい。明日でも明後日でも笑いあえる。だって、あちしたちは友達なんだから!

 

 

 

 

 

「……そういえば、ホタルさんは?」

「あやめたちと遊んでくれたり、情報収集に協力してくれたりしたんだっけ? 一度ちゃんと話してみたいわね」

「いや、かこちゃんとフェリシアちゃん連れてきてくれたんだけど……いないね」

「あら? メール……ホタルさんからね」

「ほんと? やちよさん、なんて書いてあるのさ」

「えっと……

〈魔法を使いすぎて酔いました。気持ち悪いので今日は帰ります。みんなによろしく! 追伸。代わりにかこちゃんとフェリシアちゃんに謝っておいてくれると嬉しいです。〉……だ、そうよ」

「えぇー……」




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〇つつじの家
  神浜市の孤児院。アザレア組が育った施設。
  参京院教育学園(3人の通う学校)以外の学校だと施設の子と顔をあわせるらしいので、そこそこ大規模っぽい。

〇酔い
  ドゥエ。
  一般人に見られないようルートも滅茶苦茶なので信頼度低下もやむなし。
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