マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート すずね☆マギカチャート(マギウスの翼チャート)   作:鰯のすり身太郎

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Part.7/x

 

 第一関門を突破したRTA、はぁじまるよー。

 

 

 今日は路地裏でなく、普通に市街地を探索していきます。

 

 というのも、次のイベントまでに会っておきたい魔法少女にいまだ出会えてないからですね。

 

 ではなぜ、今まで通り魔女狩りついでに遭遇を狙わないかというと、これには2つの理由があります。

 

 まずひとつ、これまでアザレアイベントクリアのために利用した魔法少女……13歳組とかには、これから極力会わないようにしないといけないこと。

 これは単純、信頼度の上がりすぎの防止のためですね。魔女狩り中に助太刀してくれる魔法少女は既知であることがザラなので、今魔女狩りで呑気にエンカを待っていたら捕まる危険性が高いのです。

 ついでにこれからは、魔女戦もスピード勝負を心がけなければいけません。まあこの辺りは固有魔法のおかげでだいぶ楽ですが。

 

 そして二つ目、ホタルちゃんの燃費。

 なぜか試走以上に燃費が劣悪なので、単純に魔女一体一体に時間をかけている余裕がありません。

 とっとと会っておいて、しばらく魔女狩りに専念したいところです。

 

 幸い、目当ての魔法少女は現在、そこまで交友が広いわけではないので、直接会いに行っても交友ガバは起きにくいです。アザレアの準備中、遭遇できなくてもスルーしてたのはそういうわけですね。

 

 

 それで、次に備えるイベントですが……実のところ、ホタルちゃんはろくに絡めません。

 治安の悪い東側で起こるイベントなので、家なしの、言ってしまえば不審者のホタルちゃんに気づかないほど呑気な土地柄じゃないこと。

 信頼度をあげずに干渉できるイベントでもないのに、イベントの中心の魔法少女が、マギウス入りを阻止してくれる防波堤的な魔法少女と特別親しいでもないということ。

 

 そういうこともあって、完全にチャートとかちあっているんですね。

 例えば13歳組は、やちよさんにこのはに葉月、ななか組長とマギウス否定側になりやすい魔法少女が保護者枠としていてくれるので割と安心できます。

 一方次のイベントの魔法少女は、ニュートラルなら高確率で否定してくれても、信頼度が高い魔法少女がマギウス入りすると流れてしまうことがままあります。

 

 

 ではどうするか? 答えは簡単、試行回数を稼ぎます。

 今から会いに行く魔法少女は、後にマギウス関連でイベントがあるので比較的信頼度の許容幅が広い子です。そして、次のイベントが無事クリアできたかの判別にも利用できます。

 なので、その子を経由して無事イベントクリアできたのか判別するのが本チャートになります。ダメだったら再走です。うせやろ? 

 

 この区間、正直かなりつらいです。修羅の国神浜に、さらに磨きがかかったのが難易度ハード。ここで重要イベントに何ら介入しないというのはクリアを自ら放り投げるようなものです。

 

 体感、突破率はだいたい4割いかないくらいでしょうか……(30敗)。これでも本イベントは他イベントよりだいぶ確率高めな方なのが怖いですね。

 この区間を走るときのコツは、ゆきかガバよりマシと自分に言い聞かせることです。実際再走回数はヤツのものより少ないです。

 むしろ、イベントよりも多く再走させてくるヤツが異常なだけな気もしますが、まあそれはそれ。気にしてたら、走る意味を……失う!(レ)

 

 

 

 解説している間に着きました。ここが目当ての喫茶店……なんですが。肝心の魔法少女のほうは、外から見た感じですがいなさそうですね?

 これまで走ってきた中で、この時期に契約していなかったことはなかったですし寄り道とかですかね。時間帯的にまだ学校ってこともないでしょうし。

 

 とりあえず適当に時間をつぶしましょうか。しかし魔女の反応も無いし、どうもロスい感じですね……。こんなんじゃRTAになんないよー。

 

「あのー……何してるんですか?」

 

 ヘァッ!? ゆきか!? もう再走ラッシュはいやです許してくださいなんでもしま……

 

 って違うだルルォ!? お目当ての魔法少女と遭遇できました。ここにきてよかった……(レ)。

 しかし、背後からの声をゆきかのものと考えてしまう癖は何とかしないといけませんね。掴みがアレだと再走案件が多い気がするので警戒しちゃうヤバいヤバい……(疑心暗鬼)

 

 

 まあそんなことはおいておいて。今重要なのはこっち、『保澄雫』ちゃんです。

 彼女はたびたびお話してきた、『空間結合』という固有魔法を持つ魔法少女です。ホタルちゃんのだいたい上位互換ですね。

 一応本来なら、『瞬間移動』はクールタイムのほかに燃費でも勝ってるはずなんですけど、ホタルちゃんはなんか魔力が少ないのか燃費が悪いので……。いやー(相互互換というには)きついっす。

 

 そして彼女、後の黒羽根です。黒羽根になるとはいってもあくまで洗脳によるもので、最終的に脱走してもらう必要はあるんですが……それでも他の子よりだいぶ信頼度上限には余裕があります。だいぶ安心して交流し続けられますね。

 ちなみにチームみかづき荘や見滝原組とものちのち知り合ったりしますが、だいたいこっちはその時期、マギウスの仕事で手一杯なのでそこからガバることはないです。徹頭徹尾このチャート、このRTAの味方といえるでしょう。開発はこのRTAを想定していた……?

 

 

「とりあえず、入りますか? ここ、私の家でやってるお店なので……」

 

 あぁ~、いいっすねぇ。雫ちゃんは他魔法少女よりも信頼度が上がりにくく設定されていますが、彼女の過去や悩みに関連してかホームのない魔法少女や、旅をしている魔法少女に対してはその限りではありません。

 つまりホタルちゃんはドンピシャです。進行スムーズでいいゾ~これ。

 

 ではしばらく会話して信頼度を稼いでおきましょう。ついでに『毬子あやか』と接触しているか聞き出すことを狙います。

 

 このあやかと雫ちゃんのコンビは、次イベントに関連する魔法少女……『桑水せいか』とイベントが成功したときのみ知り合います。

 なので、雫ちゃん経由でせいかが確認出来たらRTA続行、しばらくしても確認できなかったら再走というのが本チャートです。

 

 ……しかし、どうも知り合ってなさそうですね。まあそれならそれで大丈夫、せいかが二人と遭遇するまでには必ず面識を持ってくれるので。たまに会いに来るなり電話するなりすればOKです。

 

 

 じゃあ今日はこの辺でおいとましましょ。では諸君(一人)、サラダバー!

 

「じゃあまた……っ! ホタルさん、これ……!」

 

 おおっと、魔女ですね。まさか別れ際に来るとは。

 しかしこれはおいしいです。パパパッとグリーフシードを回収させてもらいましょう。雫ちゃんもいるので独り占めはできなくても、現段階の濁りを無くせるだけでも十分うまあじですし。

 では魔女退治、イクゾー!

 

 

 

「おぉっ!? 助太刀の魔法少女参戦、しかも二人なんて! これはもう、勝ったね! おっしゃー! 魔女、覚悟ー!」

 

 なんだこの魔法少女!?(驚愕)

 

 というわけで、彼女が件の『毬子あやか』です。雫ちゃんとあやかは魔女戦で出会うんですが、たまたまそのタイミングにかぶったみたいですね。

 そしてこの雫ちゃんとあやかの初遭遇の魔女戦、タイムリミット付き戦闘となっています。PCが介入しなければオートでクリアしてくれるんですがまあ、しょうがないね。

 

 さて、タイムリミットは17時、現在時刻は……16時40分。余裕ですね。

 この戦闘、地味に面倒なのが早く終わらせすぎてもいけないというところです。45分以降に終わらせないとあやかと雫の中が深まらず、疎遠になるときがあります。

 そうなると洗脳されてからも雫ちゃんが脱走せず、結果的にマギウス側強化、みかづき荘壊滅ということが起こります(1敗)。もろちん17時を過ぎても同じです。

 

 今回はそのどっちにしてもちょうどよさそうな時間ですね。魔力を節約して戦えば十分な塩梅になりそうです。時間が押してたら魔法連発する羽目になってたので一安心。

 

 

 さて、時間が空いてしまったので、ここでみなさまのためにぃ~……二人の戦闘面の解説をさせていただきます。

 

 まず『保澄雫』。固有魔法の『空間結合』が何といっても強力な魔法少女です。武器のチャクラムの特性もあって、自分の得意な距離、相手の苦手な距離での戦いを強いることができる万能型と言えるでしょう。

 正直(弱点らしい弱点は)ないです。強いて言うなら若干瞬間火力で劣るかな、というくらい。信頼度上げもかねて戦闘に連れまわすのが通常プレイではおすすめです。最悪敵から逃げる時にも使えますからね。

 

 そして『毬子あやか』は『冗談』という固有魔法を持つ、近距離型の魔法少女です。えっなにそれ(固有魔法)は……。

 しかも武器は巨大なピコピコハンマーや、シルクハットから出る星型のエネルギー弾というもので、戦闘スタイルも冗談じみています。

 しかし、『冗談』は相手の行動を本気でなくしキャンセルさせるというもので、ワルプルギスの夜の攻撃すらやめさせられる地味にトンデモな魔法だったりします。耐久に振らない育成のときに彼女がいると、ミスしてもリカバリーしやすいのでありがたかったり。

 

 そして今回の魔女、イベント関係じゃない割には強いんですが、それ以上に二人が強いので割とどうにでもなります。時間だけ気にしといて、あとはちょくちょく援護するくらいで十二分です。いつもこうならいいんだけどなー俺もなー。聞いてるかゆきかァ!

 

 

「なーっはっは! 思い知ったかー! 魔女めぇ!」

 

 ……というわけで終わりました。グリーフシードも落ちた、時間も16時47分、全部完璧にいってあぁ~たまらねえぜ。

 では一回使わせてもらったら雫ちゃんにあげちゃいましょう。これからお笑いライブに間に合わないあやかを雫ちゃんが連れて行ってあげるイベントが起こるのですが、ここで2人きりじゃないと仲良くなってくれないときがあるので、同行する理由をとっととなくしちゃいます。

 

「――っ!? ごっ、ごっ、ごっ……5時ぃいいいいいッ!?」

 

 あ、始まりましたね。

 なになに? ニードルローラーのライブ? 間に合わない?

 このへんにぃ、余裕で間に合わせられる魔法少女、いるらしいっすよ。じゃけん送って行ってもらいましょうね。

 

 よしじゃあ後は任せた雫ちゃん! 後ついでにこれグリーフシードです。もうこっちは使ったので後は二人で分けてね。まだ浄化できる量に余裕ありそうですし。

 

 

 二人が消えたのを見送って今回はここまでです。御視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 〇 〇 〇 〇 〇

 

 

 

 

 その日もまた、いつものように頼りない時間を私は過ごしていた。

 学校が終わって、友達と寄り道して、一緒に話して、笑って。そしてそんな私を、もう一人の私が感慨もなく見下ろしている。

 

 ……両親も、友達も、何もかにも問題なんてないはずなのに。夢も好きなものもない私の足元は不安定でおぼつかない。

 

 

 

 魔法少女になってから、もうそれなりになるのだろうか。あの人……ふーにいが亡くなってからも。

 

 ふーにいは旅人だった。ここでなら骨を埋めてもいいと思える場所を探して色んなところを旅していた旅人。

 自分が揺らがずに立っていられる場所を探しさまよっているようなそのさまは私と同じようで、私はひとりひそかにシンパシーを抱いていた。

 

「……じゃあ、一緒に探そうか、ふたりで。ここで死んでもいいって思えるような場所を……」

 

 あるとき、そう声をかけられた。

 それはどこか救いのように聞こえて。将来の自分の姿は見えなくても、たわむ床を歩くような生き方でも、ふたりでならば良いのかもと考えたりもした。

 

 けれど、それは叶わなかった。ふーにいが事故に遭ったからだ。

 

 

 私がキュゥべえと契約したのはその時。

 ふーにいのことをよく思っていなかった父は、私を病院へ行かせてくれなかった。このまま彼は孤独に死んでいくのだと、そう思って絶望に沈んだ私の前にキュゥべえは現れた。

 

「叶えたい願いがあるのかい?」

 

 夢か幻か、分からなかったけれどそれでも、無我夢中だった私は願った。今すぐふーにいのところに連れて行って、と。

 

 気づけば私は病室へいた。本当に願いが叶ったんだ。

 ……けれど、ふーにいは死んでしまった。

 一生ここにいたいって思える場所を。ふたりの居場所を一緒に探そうって約束したのに。ふたりでならと思ったのに。私は、置いていかれてしまった。

 

 ……その時だ。いつ訪れるかわからない終わりの時が来る前に、私の居場所を見つけようと誓ったのは。

 

 

 

(……で、なに、この人?)

 

 そうだ。今日も友達と寄り道して、帰りでクレープを買って食べて。そして私の家の喫茶店に帰ってきた。

 見慣れた純喫茶風のクラシックな内装、大きなガラス窓。そして中をのぞいてため息をつく黒いジャージの女性。言うまでもないがこっちは見慣れていない。知らない人だ。

 

 盗みの算段を立てている強盗か何かかと思ったが、どうにもそれにしては邪気がないというか、所在なさげというか。

 それに何かそういう悪いことを企てているなら、もっとこっそりやるのではないか。今は中のお父さんが気づいている様子はないが、正直奇跡的だと思う。もうじきバレて追い払われるだろう。

 

 ただ、しかし、どうも。それは寂しいな、と感じてしまった。彼女にはなにか、懐かしい雰囲気を感じる。それが何なのか……。とりあえず、話しかけてみることにした。

 

「あのー……何してるんですか?」

「うひゃぁ!? い、いや、違うの。悪いことしようとしてるんじゃなくてね、こう、すてきなお店だなぁーってね?」

「はぁ……それは、どうも……?」

 

 弁明にしては、むしろ致命的なような言葉をしどろもどろに彼女は繰り出した。ある意味かえって安全な気すらする。本物ならばこうはしない。

 

 どうしたものかと考えていると、ふと予想外の言葉を彼女は発した。

 

「あ、その指輪……」

「指輪、ですか?」

「そう、それそれ。あなた、魔法少女だよね? 私もおなじ魔法少女なんだー」

 

 ほら、と言って見せてきた手には、確かに魔法少女の証の指輪があった。まさか魔法少女だなんて思ってもみなかったから驚いていると、彼女はペースを取り戻したのか呑気に自己紹介し始めた。

 

「私は朝倉ホタル。世界を旅する魔法少女。よろしく! それで、あなたの名前は?」

「え? あ、あぁ。保澄、雫、です」

 

 呆気にとられたまま返したが、よくよく咀嚼すれば気になるフレーズがあった。

 ”世界を旅する”という枕詞。それはふーにいを思い出させるものだった。

 

 だんぜん、話をしてみたくなった。なんであれ、こうして出会ったことにはなにか意味があるように思えたからだ。

 

「とりあえず、入りますか? ここ、私の家でやってるお店なので……」

「あー、その、なんというかね……懐が厳しくて……」

「そこは一応私、身内なので。気にしないで入ってください」

 

 少し強引かと思ったが、どうにか店へ入れられた。まあ店の前にいたんだし、入って嫌だということもないだろう。

 私たちに気づいた父の目から逃れるように店の奥へ案内する。

 

 

 代金はいいです、というと年下におごられるのは……としばらくうなっていたが、最終的にあきらめたのかトーストとカフェオレを注文した。

 

 しかし連れてきたはいいものの、何を話そうか。そう思っていると、彼女は勝手にいろいろと話し始めた。どうもだいぶおしゃべりな部類だったらしい。気づけば魔法少女としてのアドバイスから彼女の旅の話まで、いろんなことを聞くことになった。

 

「でも、あれですね」

「何が?」

「世界を旅する、ってわりにそこまで遠い距離は行ってないような」

「う゛う゛っ」

 

 そうだ。何なら私の方が遠くまで行っている。とはいえ、それは私の固有魔法ありきではあるが。

 ただ、そのまま顔をそむけて、歩きでの旅だし……とか、ちょくちょく長居してるから……とかとぶつぶつつぶやいている彼女を見ると、ふーにいとは違うと思いつつも、また別に親しみやすい人柄を感じるような気がした。

 

「そ、そんなことよりさ。雫ちゃんの話もしようよ、ね? ほら、ほかにどんな魔法少女の友達がいるかーとかさ、何かお悩み相談とかさ、そういうこと話さない? 私ばっかり話してるし」

「はぁ……」

 

 露骨に話を逸らす彼女は、意外と話すだけでなく聞くのも上手なようで、ふと気づけば、ぽろりとこぼしてしまった。

 私の感覚。悩み。……居場所を探しているということ。

 

 

「居場所、かぁ」

「はい……ここにいたい、いていいって思える、居場所。……ホタルさんには、ありますか?」

 

 ひょっとすると、私と同じように探しているのか。だとしたら、なにか光明を見出せるのではないか。そんな淡い期待を込めて聞いてみた。

 

「……まあ、あった、のかな。いていいって思えるようなところ……居場所は」

「……それは、どういう?」

「私はね、出てきちゃったんだ。その居場所から。いや、無くなっちゃったというのが正しいのかな……まあ、ともかくそんな感じ。でもね。それでもわたしは、まだそこにいるんだろうな……」

 

 ……なにか、よくわからない。はっきりしない。

 けれど、その言葉は茶化しているようなものにも見えなかった。きっと彼女の本心なのだろうと思う。

 

「……ごめんなさい。なんというか、よく分からなくて……」

「あはは。まあ、きっと分かんないほうがいいよ、これは。けど、ごめんね。どうも参考にはならなかったみたいだ」

「そんなことは……」

「いーんだよ、気なんてつかわなくて。でも、困ったらいつでも相談してね。どれくらい力になれるかはわからないけど……まあ、話すだけでも少しは楽になるよ」

 

 そう言って電話番号を書いた紙をホタルさんは私に握らせた。

 私が探しているものには近づけなかったが、しかし悪い時間ではなかったかなと思う。この番号にかける時が来るかは分からないが。

 

 

 

 じき、ホタルさんが帰ろうとした。

 そして私もお礼を言って、彼女を送り出そうとした、その時。

 

「じゃあまた……っ! ホタルさん、これ……!」

「魔女だね。雫ちゃん、もう少し付き合ってもらってもいいかな?」

 

 そうして魔女のもとに向かった私たちだったが、そこでまた魔法少女と出会った。今まで魔法少女と出くわすことはそうなかったのに、今日になっていきなり二人も出会うのは、どこかそういう流れのようなものがあるのかもしれないと思わせる。

 

「おぉっ!? 助太刀の魔法少女参戦、しかも二人なんて! これはもう、勝ったね! おっしゃー! 魔女、覚悟ー!」

 

 ついでに言えば、どこか変わったような人なのもそう感じさせる要因だ。

 だからホタルさんはこっちを見ないでほしい。変わった子だね、みたいな目を向けないでほしい。正直変な人具合ならあなたの方が上だった。

 

 魔女は普段戦っているものよりも数段強かったが、どうにか倒すことができた。

 攻撃があまり通っていないようで少し焦ったけれど、ホタルさんの呼びかけやシルクハットの子の明るい言動のおかげでペースを保てたのもよかった。初対面なのに相棒と呼んできたりするのはよく分からないが……

 

 そういえばホタルさんはといえば、的確に魔女の攻撃をさばきつつ着実にダメージを与えていくような安定した戦い方で、なるほど確かに魔法少女になって長いというだけのことはあった。

 固有魔法だという『瞬間移動』も私の『空間結合』に近いものがあるので、参考になるところは多い。戦い方のお手本としてはこれ以上ないだろう。

 

 

「なぁーっはっは! あたしのポジティブハートの前には、どんな敵も落ち武者だね!」

 

 この子も凄い。魔女はどれだけ攻撃をあてても全然ひるむ様子がなかったのに、それを気概で押し切ってしまった。ホタルさんと私だけではここまで早く終わらなかったと思う。最悪逃げられてしまったかもしれない。

 

「いやぁ、アタシがいる限り、神浜の平和は約束されたも同然! ……なぁ~んちゃって! それはさすがにいいすぎかーっ!」

 

 こうして延々と一人で話しているのもある意味凄い。私には到底できないことだ。

 

 

 そんな彼女だったが、ふと話をやめてすごい勢いで時間を聞いてきた。

 もうすぐ5時だと答えると、すごくショックを受けた様子だった。

 

「”ニードルローラー”のライブ! もう開演しちゃうぅ……!!」

 

 ニードルローラー。聞いたことはないが流行りのパンクバンドか何かだろうか……?

 ともあれ、それに間に合わなさそうということに彼女はショックを受けたらしい。この2週間、それを楽しみに生きてきたという彼女を見ていると、ものや程度に違いはあるだろうがそれでも、ふーにいに会いたくて奇跡を願った私の姿を思い出す。

 

 だからか、自然と私はこう言おうとした。 

 自分ならそれに間に合わせることができる、と。

 しかし、それよりも早くホタルさんが彼女に話しかけた。

 

「……あなた、名前は?」

「え? 毬子あやか、ですけど……」

「じゃああやかちゃん。ライブ自体はまだ開演してないんだよね?」

「は、はい。5時なので一応……」

「じゃあ大丈夫! 魔法ですぱーっとそこまで行ける! 余裕で間に合っちゃう!」

「えぇー! ほ、本当ですか! 本当の本当に本当っ!?」

「本当! 私じゃなくてそこの雫ちゃんの魔法なら!」

「えっ」

「ライブ会場でも! 遠い島国でも! 北欧の国々でも! まだ私が行ったことがないとこでも! あっという間に! 行けちゃう!」

「すっごーい!」

 

 ……たぶん善意で彼女に私の固有魔法のことを教えてるんだろうけど、微妙に私怨が混じっているような気がする。『瞬間移動』は『空間結合』と違ってあまり遠くには行けないと言っていたし、うらやましいのだろうか……。

 

 まあいい。どうせ私から言いだそうとしていたことだし、断る理由もない。

 あやかというらしい彼女は、寝坊とかもチャラにできちゃうの!? とはしゃいでみたり、でももう13分前だよ? と不安がってみたりとせわしない。

 さんざん煽っていたホタルさんはじゃあよろしく、と言って帰ろうとしているし。

 

「……ホタルさん帰るんですか?」

「いや、だって私いても邪魔じゃない? どうせならこれをきっかけに二人で仲良くなってもらうほうがいいかなぁーって」

 

 魔法少女友達、大事! といって親指をぐっと突き出す様はなんというか、子供っぽい。

 さすが旅の魔法少女だ何だというだけあって奔放だ。私よりよっぽどあやかちゃんと気が合う気がする。

 

 

「じゃあまた……」

「うん、それじゃあ……って、そうだそうだ、グリーフシード。私はもう使っちゃったからあとは二人で分けてね。まだ結構使えそうだし」

「あ、はい。ありがとうございます……?」

「じゃあホントにさよなら! その……ヘビメタ? かなにかの感想、また会うことがあったら聞かせてねー」

「へ? いや、”ニードルローラー”はヘビメタじゃ……むわーっ!?」

 

 そうして手を振るホタルさんを尻目に、私たちはライブ会場の八の字ホール前へとんだ。

 あやかちゃんは随分と喜んでくれて、私も魔法の使いがいがあったなぁと思えた。随分と疲れたというか、濃い人たちだったけど不思議と悪い気はしないなぁって。

 

 

 

 ……ちなみにこの話は少し続きがある。

 

 このあと、あやかちゃんにお礼がしたいといわれた私は、その”ニードルローラー”というお笑いコンビのライブを一緒に見ることになった。

 しかしまあ、なんというか。笑っているのは彼女一人だけだった、と言えばその人気や面白さは分かってもらえるだろうか……?

 

「次はホタルさんも誘って一緒に見たいね!」

 

 そう言って笑う彼女に、私は何も言えなかった。

 

 

 




Archive
〇名前負け
  だいたい本人が一番気にしている。
  優しく見守ってあげよう。

〇ニードルローラー
  あやかの一押し漫才コンビ。
  彼女が寿司をギャグのネタにすることが多いのは彼らの影響か。
  その面白さは、雫がどうして芸人になったのか気になるレベル。

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