マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート すずね☆マギカチャート(マギウスの翼チャート) 作:鰯のすり身太郎
グリーフシード貯金を作るRTA、はぁじまるよー。
本日も昼から散策です。魔女を探しながら、ついでに昏倒事件の情報を集めていきましょう。
アザレアイベントは終わったからもう昏倒事件の情報はいらない……とはならないのがなかなか面倒なところです。実のところ、アザレアクリアは昏倒事件の解決には至らないのでその後も継続して調査していく必要があります。
ここで情報を集めておかないと、後々やちよさんやアザレア組、その他神浜の魔法少女たちをマギウスに入る前から敵に回す可能性があるので気を付けましょう。
魔法少女ひとりひとりと信頼度をあげていくことができないチャートだから、こういうところがやっぱり……辛いねんな。
そして進捗は定期的にやちよさんにメールで送りましょう。
まあぶっちゃけた話、情報自体は何も手に入らないんですけどね。情報というより、集めていたことのアピールの方が肝心です。
サボってると調整屋経由なりなんなりでバレるときがあるので、形だけでもしっかりやっておかないといけません。
さて、一方の魔法少女事情ですが、もう会っておきたい子は今のところいないし、信頼度上げについてもみふゆさんはまだ病んでるので電話くらいでしかできないし、雫ちゃんも上げすぎちゃいけないしというわけでで絶賛虚無期間突入中です。
ゆきか? あいつは論外。ほっといても厄介ごとごと襲撃してくるのに、(わざわざ会いに行く必要は)ないです。
K(カウンター)! B(暴力)! S(節約)! K! B! S! って感じでぇ……
一応ベテランなので、デバフ入ってるかゆきかが引き寄せたかでもしないと苦戦することはありませんね。これくらいなら固有魔法無しでも余裕です。
ただやはり、魔法をケチると時間がかかるのは難点ですね。本走では燃費が悪いからと控えてましたが、今見返すと解禁して他のところを回っていた方が総合的には良かったかもしれません(ガバ)。
まぁマギウス未結成で魔女もまだ少なめな時期だから多少はね? グリーフシード事情もだいぶマシになってきたし、ちょっとくらい効率悪くても、かまへんか……。次行こうぜ。
……といいたいところですが、もう夕方ですね。学校の終わった魔法少女たちが町にあふれてくる時間帯なので、急いで撤退しましょう。
魔女と走者ははどいてた方がいいぜ! 今からこの街は魔法少女の戦場と化すんだからよ!
今の場所は水名区内なので、幸い拠点にも近いです。マギウス結成後なら、こんなにこそこそせずにみふゆさんと時間つぶすんだけどなぁ俺もなぁ。
他のイベント同様、マギウスの結成時期も例にもれず結構バラけるんですが、みふゆさんがある程度調子を取り戻して一緒に行動できるようになるにはマギウスの翼への加入が不可欠です。
なので早めに結成してもらえると信頼度的な意味では助かるんですけどねぇ。ただ早すぎると今度はあるイベントへの介入が難しくなるのでなかなか……難しいねんな。
この辺りに関してはリセポイントが早く来るのは早期結成の方なので、どっちかっていえばそっちの方がいい、って感じですかね。結局、総合的なリスクやタイムはあまり変わらないです。
路地裏から出て、大通りを歩き進み、水名では珍しいゲーセンの角を曲がって「あぁっ!? ホタルさんっ!?」その先をまっすぐ……まっすぐ……
構わんでええ(レ)いやむしろ構うな、寄るな、やめて許して、お姉さん許して、予定こわれちゃぁ~う!
いいから! バレたくないくせに制服のままでゲーセンに入ろうとしたのなんて見てないから! 見てたとしても誰にも言わないから! だからついてこないで! 来んな! ガバる!
「うわわわわわわっ! ちょちょちょ、どいてどいてーっ!」
なんだこのチャリンコ!?(驚愕)
オォン!(回避) アォン!(大破)アーイキソ……(タイム)
……ハァ~~~……あ ほ く さ。やめたらこのRTA?
これだからゆきかは嫌なんだよ! わけわかんないトラブルにも普通に巻き込んでくるから! どうして急にエンカするんですか? どうして……
まあ、まあ、まあ、まあ。まだ、まだ今回は大丈夫です。
今回のトラブル要因は魔女や使い魔でなく、さっきチャリが壊れた彼女……『天音月咲』でしょう。
彼女は以前触れたとおり、マギウスの翼でも初期から中心として活躍してくれる魔法少女です。つまりこうして会ってしまってもガバにならないってことです。やったぜ。
ピーヒョロ姉妹として親しまれている彼女とその姉の月夜ですが、月夜は習い事、月咲は家事を周りに強制されている苦労人の面も持っています。マギウスに入ってもおガキ様やら芸術家にぞんざいに扱われているので、そういう運命なのかもしれんな……。
特に月咲は東の工匠区出身ながら、買い物を安く済ませるために神浜市内を駆け回っていたりするので他の区でもエンカすることがあります。今回はゆきかの体質が彼女の事故に作用したんでしょうね。
ではここでオリチャー発動! 月咲の買い物を手伝ってあげましょう。
ついでに信頼度上昇も狙う……というか、ここで見捨てたら第一印象が最悪になって、後々マギウスに入ってから信頼度が伸び悩んで不足するはめになりかねません。ゆきかの信頼度も下がるし。
実質他に選択肢はないに等しいですね。
そうと決まれば早速、イクゾー! おいお前ら、スーパーについて来い。おうあくしろよ。タイムのためにもそれが一番なんですって。
「すみません……元はと言えばウチが前を見てなかったからなのに……」
大丈夫だってヘーキヘーキ。こっちも自転車に気づかないで前に出たわけだしどっちもどっちです。ゆきかもそう思うよなあ?
「は、はい……というか、そもそもわたしの体質のせいでこうなったんだろうし、むしろ謝るべきはわたしの方といいますか……」
(謝罪合戦はロスなだけなので)キャンセルだ。話を逸らすついでに月咲の愚痴でも聞いておきましょうか。
なんでこんな急いで買う必要なんかあるんですか(正論)と聞けば、そのまま家事やら何やらをやらされているという話を聞き出せます。そうして溜めているものを吐き出させれば、信頼度も一緒に上昇するって寸法よ。
はあ、工匠区には男が仕事を守って女が家を守る文化が残ってる? だから家事やら家計の管理やらを全部やらされてる? なんだそれは……たまげたなあ(すっとぼけ)。
そもそも文化があるからと言って子供に全部押し付けるのはおかしい、はっきりわかんだね。親の屑がこの野郎……(憤怒)
というわけで、困ったらいつでも相談に乗りますからね。気軽に電話してきてください。
……いやー、しかし楽ですね! 信頼度上がっても困らない魔法少女は本走ではやっと二人目、しかも一人目は現状ほとんど動けない人ですから。
上がりすぎによるガバにおびえることがないっていうのは気持ちがいい! どうせガバで魔法少女呼び出すなら今回みたいにマギウス所属のやつにしてホラホラ。
「今日はありがとうございました! もう家まですぐですし、あとはウチが持ってっちゃいます」
「えぇっ? いいですよ、今回の一件はわたしのせいですし……。ぜひ最後までやらせてくださいっ」
「あー……気持ちは嬉しいんだけど……ひょっとすると、お父ちゃんに友達と遊んできて遅れたって誤解されちゃうかもだからさ……。だからウチだけでやったほうがいいかなって」
だったら手伝わない方がかえっていいですね。でも荷物もったままひしゃげた自転車ひいていける? 大丈夫?
「……壊しちゃったことは、実は初めてじゃないので……」
さいですか。そういやママチャリ十号機っていうんですもんねそのチャリ。まあ毎日学校終わって神浜中爆走してたらすぐ壊れますよねぇ、そりゃ。強く生きろ……(レ)
では帰りましょうか。いやしかし、ゆきかにしてはだいぶ無害な方でしたね。
普通なら魔女なり何なりと戦う羽目になるのが大半で、その上一歩間違えたら詰みになりかねないようなものばかりなので、今回のように平和なのは本当に珍しいです。
魔法少女と出会うイベントを引いた上で、命に関わるトラブルの判定が自転車事故に出たんですかね。なんにせよ平和でいいことです。
今回みたいなトラブルだけならそこまで恐れなくていいんですけどねぇ。どうして生の実感を願ったらこじれた物事に突っ込んでいくようになるのか、コレガワカラナイ。
なんにせよ、今回のことで月咲とも交友をもてましたし、今後何かの折に彼女ら姉妹とも信頼度上げをしてもいいかもしれませんね。
チャートに組み込んでいないので少し怖いですが、後々の不安要素を減らせるチャンスでもあり「月咲、今まで何をしてたんだ?」ますから……うん?
「お、お父ちゃん……」
「お父ちゃん……となると、あの人が月咲さんのお父様……でしょうか」
やっべえ、ロス要因じゃん……。
変に会話が挟まると無駄に時間を食う羽目になるから、やめてくれよな~頼むよ~。オラゆきか、とっとと撤収するぞ!
「ち、違うんだって! 遊んでたとかじゃなくて、この人たちは自転車が壊れちゃったウチの買い物を手伝ってくれただけだから!」
「ふん……どうだか……。……なあ月咲、お前もなんだな……。お前もあの女のように俺を見捨てて……」
「お、お父ちゃん……?」
「な、何か様子がおかしいですっ! まさか……!」
ははは、いやまさかそんな。気のせいでしょう、そんな様子がおかしいなんて。今回は何もなく買い物を手伝って終わり、それだけです。だから帰りましょう? ね?
「いいだろう……だったら俺も好きにさせてもらうからな……」
「な、何を……」
「工房はもう終わりだ……月咲、お前はせいぜい俺たちを捨てて自由を楽しめばいい……」
「やっぱり……魔女の口づけですっ!」
あ゛あ゛あ゛あ゛も゛う゛や゛だ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛っ゛
大ガバが発生したところで今回はここまでです。御視聴ありがとうございました。
〇 〇 〇 〇 〇
5、4、3、2、1、0。
授業の終わりを知らせるチャイムが響く。周りの子たちが動き出すよりももっと早く、ウチは教室の外へ駆け出した。
先生の廊下を走るな、という声もすっかり慣れっこだ。それに今日は補習がないし、なんとかタイムセールに間に合いそうなんだもの。いつもよりも急がないと!
ウチの実家、天音竹工房は工匠区にあるそこそこ伝統のある工房だ。
お父ちゃんのほかにも、お弟子さんが何人か住み込みで修行してたりしてる立派なところ。
でも、伝統があるってのはいいことばかりじゃない。
”工匠区の工房を守る女は男が仕事を守る代わりに女が家を守らなければならない”
工匠区にはそんな枯れはてたような文化があって、ウチの工房はそれを今でもずっと守ってる。
そして、ウチの家はお母ちゃんが出て行って女はウチ一人だけ。料理も洗濯も全部、ウチがやってる。もちろん家計を握ってるのだってウチ。
ただでさえ予算も限られてるんだもの、切り詰められるチャンスは逃せない!
今日のお目当ては水名区のスーパー。ほかの店よりも安い時が多いからよくお世話になってるけど、今日はもっと安くできる。
ママチャリ十号機を飛ばして、スーパーまでびゅうんと一直線。
工匠区から水名区までは電車でだって何駅間もまたぐ距離。のんびりしてたらとてもとても間に合わない!
チャリを漕いでいる途中、ふと月夜ちゃんと出会った日のことを思い出した。
そういえばあの時も、同じスーパーへ向かってた。補習を受けて、そのまま買い物に行って、帰ってみんなの服の洗濯をして……そうそう、それで夕飯をつくってたら、お父ちゃんたちが帰ってきてそのまま喧嘩になっちゃったんだよね。
怒って家を飛び出して……そのままウチは水名神社へ向かってた。
イライラしたり、悲しくなったりしてウチが自分をわからなくなった時。そこで篠笛を吹くとウチは自分を取り戻すことができた。
小さいころから持ってる一本の篠笛。半円の印がついてるそれは、月夜ちゃんの笛と合わせることで満月の印になる、二人を結びつけてくれる証。
まあその時はウチに双子の姉がいるなんて知らなかったし、印のことも長いことたくあんか何かだと思ってたんだけど……まあそれはそれ。
とにかく、その日にウチらは出会い、紆余曲折を経てお互いが双子の姉妹だってわかったんだ。
そんなことを考えてたら、だんだん水名神社に顔を出したくなってきた。
いやいや、ダメダメ。そんなことをしてる暇はない。急がないとタイムセールが終わってしまう。ここで逃す羽目になったらきっと後悔する。……でもでも、神社に行きたいって思ってるのはウチだけじゃなく、月夜ちゃんも同じかもしれない。電話はしてるけど、最近直接は会えてないし、いや別に会えるとは限らないわけで……
……こうして考え事に熱中してしまったのが運の尽きだ。気づけば目の前に金髪の水名の女の子がいて、慌てたウチはそのままゲームセンターの壁へ突っ込んだ。
「す、すみませんすみませんっ! わたしのせいでこんなことになってしまって……」
「ほんっとごめん! 怪我はない? 病院へは……」
「そんな、大丈夫です! むしろ謝るべきなのはウチの方ですから!」
ウチのところに二人の人が駆け寄ってきた。一人はさっきひきかけてしまった水名の子。もう一人は黒いジャージを着た年上っぽい女の人。
どうも二人が一緒に歩いてたところにウチは突っ込んでしまったらしい。……すごく申し訳ない。怪我が無いか聞いてくれたけど、むしろそれはこっちのセリフだ。謝られるのも胸が痛い。
お互いにしばらく謝り続けてるうち、ふとジャージの人の方がこういった。
「そういえば、随分急いでたみたいだけどなにか用事があったんじゃないの?」
そうだ。そもそもウチはタイムセール狙いで水名まで来てたんだった。
でもこんなことをわざわざ言うのもなぁ……って思ったんだけど、二人の心配そうな視線に気づいたので白状することにした。隠してますます心配されるのも悪いし……。
そうすると、金髪の子がこう言いだした。
「だったら、せめてお買い物を手伝わせてくださいっ!」
「えぇっ!?」
普通轢かれかけた相手にこんなこといわないでしょ?
驚いちゃったんだけどジャージの人もうんうん頷いて
「私も手伝うよ!」
って言うもんだから、そのまま二人の圧に押されてスーパーへ行くことになった。本当に申し訳ないよぉ……。
「すみません……元はと言えばウチが前を見てなかったからなのに……」
「いやいや、それを言うなら私たちも話に夢中で注意ができてなかったから、お互いさま。そんなに謝んないでよ。ね、ゆきかちゃん?」
「は、はい……というか、そもそもわたしの体質のせいでこうなったんだろうし、むしろ謝るべきはわたしの方といいますか……」
で、結局買い物も付き合ってもらっちゃったし、荷物持ちまでしてもらうことになってしまった。なんでこうなったんだっけ……。
えぇと、ゲームセンターと目当てだったスーパーは近かったから、ギリギリセールには間に合ったんだ。
ただ、スーパーへ行く前、自転車のフレームがすっかりひしゃげてしまってるのをふたり……七瀬さんとホタルさんというらしい……が見た。それでますます燃え上がってしまって……
「うわぁ……これは乗ってけないかも。本当に怪我ないんだよね? 嘘だったら怒るよ?」
「ほんとに大丈夫ですから、心配しないで……」
「あのっ! せめてわたしが修理代を……!」
「ほんとにいいからぁ!」
……そうだった。結局引かないからどうにか荷物持ちだけやってもらうことになったんだ……。
どうしよう……。はたから見たら完璧にウチが悪者だよぉ……。水名だから月夜ちゃんもいるかもだし、こんなとこ見られちゃったら……。
……水名? あれ、待ってこの金髪の子も……。
「そういえばゆきかちゃん、さっきから口モゴモゴさせてるけどどうしたの?」
「えぇっ!? わたしそんな分かりやすかったですか!? ……その、もしかしてなんですけど……月咲さんって明槻センパイの関係者の方だったり、します?」
月夜ちゃんってやっぱり有名なんだなぁ……。ウチもちょっと嬉しいかも……魔法少女の契約をする前だったら素直にこうは思えなかったかな……ふふ……。
……もー! どうしようどうしよう!
適当になんとかごまかして……でもここまでされて、さらに嘘つくのもなぁ……。
「つ、月夜ちゃんは、その……親戚?」
「親戚の方だったんですね……あんまりにも似てたので、実は姉妹だったりするのかなぁって……」
「まさかぁー……」
すごく胸が痛い。嘘ではないけどいろいろと痛い。
ごめん、姉妹です。正解。あぁ……なんかまだ微妙に疑われてる気がしてきた……。
しかも、それだけじゃ終わらなかった。七瀬さんの質問の後、ホタルさんも同じように質問してきたんだ。
「でさ……私もひとつ気になってることがあるんだけど、いい?」
「い、いいですけど……なんですか?」
「じゃあずばり。月咲ちゃんって魔法少女だよね?」
「えっ」
「えっ」
「いやほら、指輪」
七瀬さんの視線がウチの手に向く。
ウチの視線が二人の手に向く。
そこには魔法少女の証の指輪。
……ウチもう分かんないよ。月夜ちゃんたすけて……。
話を聞くと、ホタルさんはもともと自転車で壁に思いっきり衝突したのに無事だったからもしかして、と最初から思っていたらしい。それで、買い物の時に指輪を確認して確信したんだとか。
一方の七瀬さんはと言えば、全然そんなこと考えていなかったみたい。ウチも全然気づかなかったし、そっちが普通……なのかな? ウチらが魔法少女になってそう経ってないっていうのもあるかもだけど。
それからは少し話しやすくなった。
魔法少女だってことは普通のともだちにはなかなか言えないし、逆にそれを共有できるとちょっと変わった仲間意識ができる気がする。ついついいろんなことが滑って出ちゃう。
「にしても、月咲ちゃんセールだからって随分買い込むんだね。これだけあれば2週間くらい買い物しなくていいんじゃない?」
「うーん、そうでもないです。うちは工房なので、お父ちゃんだけじゃなく住み込みのお弟子さんたちもいるから……2日3日でなくなっちゃうかなぁ」
「そ、そんなに早いんですかっ!?」
「まあうちが特殊な気もするけどねー。男が仕事、女が家事なんてもう古くさいって!」
「……ひょっとして、月咲ちゃん一人で家事やってる?」
「まあ、そうですね……ウチが何かしないと、男連中は何もしてくれないし」
「そっか―……大変だよね、家事」
「あれ、ホタルさんも分かる?」
「お弟子さんとかは流石にいなかったけどねぇ。洗濯したらティッシュ入ってて大変なことになったり」
「あー! そうなんですよ、最近またリョウさんがいれっぱにしてて!」
「……わたし、ひょっとして仲間外れですかね……?」
ホタルさんは旅をしてるっていうから、そういう関係でいろいろやってたのかも。家事のあるある話で盛り上がって、いろいろ愚痴とかを聞いてもらっちゃった。七瀬さんが置いてけぼりになっちゃったのはちょっと申し訳ないけど……。
「どうだろ、そろそろ着く?」
「うーん、もう少しだけお願いしていいですか? あとちょっとなので」
「りょーかい。しかし、ゆきかちゃん残念だったね。これじゃあ帰りにメダルゲームは難しそうだよ」
「ちょ、ちょ、ちょっとホタルさん!? 見てないって言ってたじゃないですかぁっ! 乙女の密かな嗜みなんです、秘密にしてくださぁいっ!」
「いや、別にメダルゲームくらいそんな隠さなくてもいいと思うけど……」
「そんなことありませんってばぁっ!」
くつくつとホタルさんが笑う。
ちょっとの間だけど話してて分かったのは、七瀬さんは本当に根っからのお嬢様……というか、すごい毒気がない人ってことと、割とホタルさんはお茶目というか、からかったりするのが好きな人ってことだ。七瀬さんはまあ、イメージ通りだけどホタルさんはちょっと意外かも。あまり年上っぽくない。今の時代に旅人やってるんだからまあ、変わってる人なのは当然なのかもだけどね。
「いやー……月咲ちゃんの言うとおりだって。というか魔法少女仲間なんだもん。すぐバレちゃうよ」
「え? なんでですか?」
「そりゃゆきかちゃんの格好がバニー……」
「わー! わーっ! 秘密! 秘密ですっ!」
「バニ……?」
そんなことを話していると、とうとう工房が見えてきた。随分長く付き合ってもらっちゃったけど、そろそろ終わりだ。
今日はいつもより遅くなっちゃったし、もしこの光景をお父ちゃんに見られたら、家事をすっぽかして遊んできたと思われかねない。
「今日はありがとうございました! もう家まですぐですし、あとはウチが持ってっちゃいます」
「えぇっ? いいですよ、今回の一件はわたしのせいですし……。ぜひ最後までやらせてくださいっ」
「あー……気持ちは嬉しいんだけど……ひょっとすると、お父ちゃんに友達と遊んできて遅れたって誤解されちゃうかもだからさ……。だからウチだけでやったほうがいいかなって」
「……そっか。じゃあゆきかちゃん、あと任せちゃって帰ろっか」
「えぇ? でも……」
七瀬さんはちょっと渋っていたけど、結局ホタルさんが説得したようだった。
またね、と言おうとした、その時。
「月咲、今まで何をしてたんだ?」
「お、お父ちゃん……」
ヤバい。見られた。
お父ちゃんの機嫌がいいならいいけど、たぶんまだ帰っていないことに気づいてるしそうはならないはずだ。なにかごまかす方法は……。
「ち、違うんだって! 遊んでたとかじゃなくて、この人たちは自転車が壊れちゃったウチの買い物を手伝ってくれただけだから!」
「ふん……どうだか……。……なあ月咲、お前もなんだな……。お前もあの女のように俺を見捨てて……」
「お、お父ちゃん……?」
……変だ。お父ちゃんは滅多にお母ちゃんの話なんてしない。今まで怒ってた時だって、一度だって話に出すなんてしなかった。
「な、何か様子がおかしいですっ! まさか……!」
カバンに手を突っ込んでいるホタルさんの顔色が青ざめる。七瀬さんが慌てた様子でお父ちゃんに駆け寄っていく。
「いいだろう……だったら俺も好きにさせてもらうからな……」
「な、何を……」
「工房はもう終わりだ……月咲、お前はせいぜい俺たちを捨てて自由を楽しめばいい……」
「やっぱり……魔女の口づけですっ!」
首筋にはウサギを模した不思議な模様が一つ。
大変なことになった、とどこか他人事のように考えた。
Archive
〇天音竹工房
月咲の実家の工房。
姉妹の持っている笛はこの工房の主である父親の手作り。
〇ママチャリ十号機
このたび殉職した月咲の相棒。
原作でも最初から十号機なので、月咲の壮絶な戦いの跡が見て取れる。かも。
〇これRTA?
通しでクリアすればRTAなんだよ上等だろォン!?