神殺しとヒーローアカデミア   作:ハーメルン大好き

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実は数ヶ月前に、8~9割書けていたけど何故か筆が進んでいなかった。

仕事で嫌な事があったらガっと仕上がりました。

見直しはしたけど、寝かして見直しはして無いのでおかしい所があったら後日直しておきます。


ようやく、この世界に産まれる事ができた。

 

 目が覚めると、周囲は五体投地をしている、10や20人では足りない位の人数の現地人と思われる方々がいた。 土下座では無く、五体投地である、私の知識が確かなら仏教で最も丁寧な礼の作法であり、相手への帰依を表すものだったはずだ。

 

 それを、10歳の小娘に、見るからに高僧と思える方もちらほらと混ざって、行っている。私は混乱した!

 

 必死に旅行前に覚えた拙いタイ語と身振り手振りで、起きてくださいと伝える。

 

 すると彼等は、恐る恐るゆっくりと立ち上がった。

 その中でも特に貫禄のある老僧が言葉を発する。

 

 「この度は、新たな羅刹王のご誕生、我等一同お慶び申し上げます」

 

 このご老人、私の事を見つめながら羅刹王とかいう物騒な単語を出してきた。それともう一つ気になる事がある、私はタイ語は簡単な単語と定型文しか出来なかった、聞き取りとなると相手側がゆっくり喋ってくれないと聞き取れない程度だった。

 だけど、今はハッキリと相手の言語が理解できるし、自覚した今喋る事も問題ないだろう。

 これは何だろう?身体の気だるさと痛みから、信じがたいけど先の神話のような戦いが現実だとして、それに私が巻き込まれて、死にかけて、私の個性『超回復』が発動して現在に至る感じかな?

 それにしたって、死の淵から覚醒して言語理解能力が高まったって?……無いない、どんな少年漫画だというのだ、それに覚醒して得たのが言語理解能力とはこれ如何に?普通、こういったパターンでは戦闘能力向上がお約束だろうに。

 

 まぁ、それはそれとして、こんな不思議事象の詳細は、未だに畏敬と恐怖入り混じった、感情を私に向ける彼等に聞けば分かるかな?

 

 そんな訳で、未だ戦々恐々とした感情を向ける彼等に聞いてみるか。

 

 Q. 羅刹王って何?何でそんな物騒な呼称をこんな小娘にしているの?

 

 A. まつろわぬ神を殺した者が女神パンドラの大呪法によって、まつろわぬ神を生贄に転生した存在。羅刹王、他にもエピメテウスの落とし子、愚者の申し子、ラクシャーサ、堕天使、デイモン、混沌王、カンピオーネ、魔王、羅刹王、神殺し、魔術師の王等、様々な呼び名がある。

 

 羅刹王となった者は、殺した神から権能を簒奪し、それを振るう事ができる。

 野生の獣じみた直観力、人間離れした生命力と回復力、並外れた暗視力、骨格は大抵の金属より強固になり、筋肉はしなやかに千切れ難い。並みの魔術師の数百倍の呪力を持ち、心身共に直接影響を与える呪術や魔術は一つの例外を除いて一切通じなくなる。

 

 更には、千の言語と呼ばれる魔術を自動的に習得し、他言語を短時間で習得できるようになる。

 

 Q.まつろわぬ神って何?ただ単に神という呼称ではダメなのか?

 

 A.まつろわぬ神とは、人々が紡いだ神話或いは不死の領域から出てきた神々で現世に現れたさいに歪み、その在り方を変えてしまう。そうなった彼等はまさに、服を着た天変地異、自然災害が人格を持った存在であって真なる神とは異なった存在だ。

 

 Q.貴方方は何故、こんな小娘を恐れ敬う態度をとる?

 

 A.神殺しは何をしても許される。そこに例外など無く、戯れに人を殺したところでそれを咎めることは出来ない。その際に神殺しが負う義務は、まつろわぬ神が現れた時、人類を代表して戦う事。

 神殺しは往々にして破天荒、唯我独尊の気質が強く、下手な対応をしてどの様に爆発するかがわからないから、皆恐れている。

 

 

 話を聞けば聞くほどに、私の足場がガラリガラリと崩れていく音が聞こえてくる気がする。

 

 何なのこれは!どうすればいいの!?

 

 この世の理不尽を体験し、目が覚めたら自分が理不尽の側になっていた。

 

 (気張っても仕方ないよ、所詮この世は非現実が跋扈する地獄)

 

 だ、誰!?

 

 (()()は、あなたがストレスを限界まで溜め込んで聞こえ出した幻聴よ)

 

 へ?幻聴が自身を幻聴と自称する、何か可笑しくない?

 

 (何も可笑しくもないとも、あなたはこれまでよく耐えた。生まれながらに周囲と異なる価値観を持ち、生来の賢しさで周囲と合わせてきた。それも、もう限界。弾けていいんだよ。我慢しなくてもいい。あなたは、生まれてからずっとずっと溜め込みすぎて()みたいな声を聴いてしまう。この世が理不尽?不条理?いいじゃないかいいじゃないか、楽しい、愉しい。理不尽も不条理も目一杯愉しもうじゃないか。堅苦しい思いも、小賢しい思考も彼方に放り投げて、気楽になりましょう)

 

 その幻聴を聞き確かにそうだと思った。

 親や周りの大人達が楽しそうだった。

 周囲の子達が楽しそうだった。

 英雄(ヒーロー)達や(ヴィラン)が楽しそうだった。

 私も、そちら側に入りたかった。

 でも、私の中にある常識(ナニカ)がそれを阻んでいた。

 だけど、今は違う。私の中の常識は今まで以上にぶち壊されてしまった。

 

 嬉しいなぁ。

 

 羅刹王?魔王?いいじゃないか、とっても楽しそう(愉しそう)

 

 漸く、この世界に馴染めそうだ。

 

 折角、今なら心から笑えそうなのに、魅せたい相手(両親)はもういない。

 ならば仕方ない。日本にはあまり心残りは無いし。

 外国をゆっくりと観て回ろう。

 

 ああ!世界はこんなにも明るく輝いている。




今後は多分出てこないと思うので言っておくと、幻聴は前世の残滓的な奴です。
もう前世に囚われなくともいいよ(意訳)って言ってます。

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