霍や豪族達と別れ早3年
吹雪散る雪原地帯を二人は歩いていた
「(前が見えない)」
そうしてこんなことになっているかというと、すぐに着いてしまっては旅の醍醐味がないので徒歩で色々見ようとデストロイアが言ったのが発端であった
だがこの年の冬は天候が安定せず、結果1メートル先が全く見渡せなくなるほどの吹雪に巻き込まれてしまった
「ほっんとなにも見えませんね……」
(といっても歩いてるのは私なんだけどなぁ)
現在、デストロイアはギドラ体、首を突き出した体勢で背中に妖子を乗せている
妖子は飛べない。だから大雪で埋まってしまいかねない為、周りへの警戒をしている……しているのだがお手上げ状態である
立ち止まってはすぐさま雪だるまになってしまうので右も左も分からぬまま歩き続ける他ない
暫く歩いていると妖子が何かを見つけた、というよりぶつかった
(なんだこりゃ?木で出来た壁みたいだけど)
「小屋……みたいな気がしますけど半分以上雪に埋まってしまっててなんだかわかりませんね」
小屋というよりかは前面以外が木製な箱のような感じであった。前が空いている為当然雪に埋まっている
(とりあえずは…引力光線使うから降りて)
「雪を吹き飛ばすのですか?小屋ごと消し飛びませんそれ」
(調節するから大丈夫だよ多分)
降りたのを確認したデストロイアは積もった雪に対して弱々しく引力光線を放った
放たれた光線は小屋を破壊することなく徐々に雪を溶かしていった
全て溶け切った場所には地蔵が鎮座していた
(あら、地蔵が出てきた)
「これは地蔵小屋ですね。ということは近くに集落があるのかも知れませんね」
そう、そこには8体の地蔵が立っていたが、10体置いてあった形跡がある。誰かに盗まれてしまったか壊されてしまったのであろう。ついでで溶かした小屋の前をよく見てみると人の手が加えられた道があるのがわかった
(今は詮索はよして、休もう)
空いてたスペースに二人は腰を下ろした
雪に関してはキングギドラのバリアーを応用して中に入ってくるのを防いでいる
ふと、デストロイアが首を右に向けると隣の地蔵が1体消えていた
(あれぇ?地蔵が消えてるけど妖子知らない?)
「知りませんよ……デストロイア踏んじゃったのでは?」
(そんなはずないとも言い切れない……う~ん)
「助けていただき、ありがとうございます」
「(!?)」
二人しかいないはずなのに三人目の声が聞こえた
いや……いた
さっきまで誰もいなかった正面に……少女が立っていた
「貴方は……それより助けたとは?」
「私は四季映姫と言います。ここで地蔵をやっています」
地蔵の四季映姫……地蔵も人とは本当に驚きが絶えない世界である
「実は、恥ずかしながら大雪のせいで身動き取れないところでした」
「それでデストロイアが雪を溶かして助かったと」
「そうなりますね。あ、後人の言葉が喋れなくともわかりますので大丈夫です」
(ほえー、この世界随分わかる人いるんですね)
流石地蔵お見通しといったところである
「で、人化したということはここで休んでいくのはなにかまずいのでしょうか?」
「いえ……ただ単に感謝の言葉を言うために人化したに過ぎませんよ。それにここ何年も通らない道ですから」
(通らない?でもこの道は明らかに人の手が入ったものじゃ)
「数年前にこの近辺の村が流行りの病で全滅しました……地蔵である私は人の生き死に干渉してはならない。見ているだけでした」
四季映姫はそれも仕方ないといった雰囲気であった
基本的に心のあり方は違うようだ
まあそれは人・神・妖怪にも言えることだけどね
「一つ忘れてました」
そう言うと四季映姫はデストロイアの正面に立った
「貴方の魂は不完全極まりない。それを解消しない限り天国にも地獄にも行けないというのは肝に銘じておくように」
忠告とも警告とも感じ取れる言葉にデストロイアは心当たりがないわけではなかった
(心……【私】ではなく【彼】なの……?)
いつの間にか四季映姫は消えており、吹雪はとっくのとうに止んでいた
次回、怪獣 家を建てる