幻想に誘われし破壊の怪獣   作:TPC

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今回大部分は輝夜視点です。

15/8/24
大部分を修正かつ話を付け足しました
1528→2202字に増加


十五話 月の姫様

屋敷を立てて早30年近く――周りに竹が無数に生い茂り、都や通りかかる人からも中を確認できないほどになったその一帯はいつしか迷いの竹林なんて名前で呼ばれるようになっちゃた。そんな中で私達二人は都の調査(陰陽師がいるため複数の微小体を潜伏)をしつつ暮らしている。

 

「どうです調子は?」

 

ある屋敷の前に長者の列、いやはやすごいねこれは。噂のかぐや姫をひと目見ようと貴族が金銀財宝を貢ぎに来てるよ。

 

「ははは……ではそろそろ5人の求婚者が来て無理難題を押し付けられる時期が…」

 

近いね。ちょっとかぐや姫の顔を拝んでくるわ。

 

「一人でですか……」

 

陰陽師に気づかれると厄介だからね。私だけなら大丈夫だから。

 

「まあデストロイアなら心配ないとは思いますけど……必ず帰ってきてくださいね?」

 

なんだかフラグのように聞こえるよ。

 

という事で、妖子を留守番とし、私は体を完全体から微小体へ変えて、かぐや姫存在せり平城京へ向かった。

 

「あっ、通訳は……行っちゃったか」

 

妖子が何か言っていた気がしたけどまあ大丈夫でしょう。

 

 

 

 

 

「では、私は部屋に戻らせていただきます、お祖父様」

「輝夜よ、こういってはなんじゃが……何が不満なのじゃ?来る人来る人断って……」

「…………」

 

私はお祖父様の問いに答えず立ち去った。

 

絶景の美女と賞されてる私こと蓬莱山輝夜は自室で一人耽る。毎日毎日見たくもない顔を見せられてうんざりもするわ……まったく、お祖父様もお祖母様もわかってないわね、あいつらって金で物を言わせる、私の外見しか見ていない輩なのよ!!早く求婚者探して欲しいっていう気持ちもわかるけどちょっとは私の気持ちも考えて欲しいわあぁ、退屈。

 

ウダウダ言っててもなんの解決にもならないので仕方なく不貞寝しようかと思った矢先、視線を感じ天井を見上げた。だがそこには何もいない…?……気のせいかしら。確かになにか居た筈なのよねぇ。陰陽師の式神か賊かしら?う~ん……気配はするが姿見えずね……いっそカマかけてやろうかしら。

 

「誰かしらぁ?さっきから人のことコソコソと覗いてる輩は」

 

私は外に漏れないよう言葉にした。しかし出てくる気配はない。

 

「あら、随分と用心深いのねぇ。ここにはあなたと私の二人だけ。出てきてもいいんじゃないかしら?」

 

瞬間、閃光が走る。私は思わず袖で目を隠した。腕を下げていくと、何もいなかった筈の正面にナニカがいた。瞳は黄色・頭には大きな角が一本・全身がゴツく赤い・強靭な脚と尻尾・鋭く尖った牙・巨大な翼・悪魔のようなフォルム――

 

「それが、あなたの正体。なりは化物じみてるくせに穢れを一切感じないなんてね。まだ地上に穢れなき生物がいるなんて……私の暇つぶしになりそうじゃない♪」

 

そんな化物を目の当たりにした私の目は輝いていた。なお、後半部分が相手に聞こえない音程で喋っていた、意図的に。

 

「あなた言葉は話せて?」

「ガァア」

「無理のようね……ちょっとこっち来なさい、命令よ」

「ガァウ!?」

 

私は化物の短い腕を強引に引っ張って中庭に出る。家の者に見つかるとエライ事になるからそこら辺は能力の応用でちょっちょいと。

 

 

「はい」

「ガァ?」

「この枝を使って地面にあなたの名前を書いてちょうだい。それくらいなら出来るでしよ?」

 

私が蓬莱の玉の枝を渡して書くように命ずると、なんだか弱々しく書き始めた。腕力弱いのかしら?

 

「えぇと……デストロイア?変わった名前ね」

「ガア!!」

「そうね、そっちの名前も知れたことだし、私も名乗らなきゃね。私は蓬莱山輝夜。巷ではかぐや姫~なんて呼ばれてるけど気にしないでちょうだい」

 

デストロイアはこくんと頷いた。言葉が認識できるならそこらの下級妖怪よりかはアホじゃないみたいね、よし。

 

「わかってもらえた所で単刀直入に言うわ、デストロイア!!私の遊び相手になりなさい、命令よ」

「!!?!?」

 

デストロイアは目をぱちくりさせていた。いきなり過ぎて理解が追いついていないような感じに見える。でも、千載一遇とでも言うべきかしらね……退屈してたとこにタイミング良く暇つぶしができそうな要因が転がり込んでくるなんてね。月から迎えが来るまで逃がさないわよ……ふふふふふ♪

 

 

 

 

 

デストロイアと戯れること数日が過ぎた。今日は残念ながら三日月の夜。今は並んで縁側に座っているわ。

 

左に座るデストロイアを見る。あれからいくつか判明したことがあるけど、怪獣という種族は月にいた頃に少しだけ聞いたことがあった。大昔に地球に生息してた超大型の生命体とか言ってた――そうには見えないのよね~。そもそも人間サイズだし。まあいっか、楽しい時間もあと少しで終わりを迎えてしまうのに余計な詮索なんて無意味。ここいらで話しておかないと……ね。

 

「私ね、あの月にいたの」

「グォ?」

「そこで厄介事をやらかして地上に追放された罪人なの」

「ガァア!?」

 

ふふ、ビックリしてるしてる♪その反応はほんと楽しくてしょうがないわ♪

 

「次の満月の夜、私は月に返される。おそらく人体実験の被験者か永久幽閉かなんかにされるんじゃないかしら。でもいいの。地上であなたのような不思議な生物に出会えただけでも価値はあったもの」

「ガァウ……」

 

そんな悲しそうな声を出されたらこっちが困るっての!言葉は喋れずとも喜怒哀楽は豊富――ほんと不思議。

 

そういえば永琳は元気でやってるのかしら?結果的に月に置いてく形になったけど。はぁ……会いたいなぁ……

 

 

 

 

 

[次回予告]

彼女は自らを罪人だと言った

そして運命の日

作戦は決行される

次回、反逆・覚醒




補足
輝夜の能力は永遠と須臾を操る程度の能力。この能力の全貌は不明で、考察すればするほど答えが出てくるタイプです。ていうか東方キャラ全員に言えるんじゃ…

なので今回の使い方は、周囲の時をずらし、かち合わないようにした、ということです。
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