『逃がすな、撃ち落とせ!!』
墜落するデストロイア――人類――ゴジラ――[憎悪]という感情をムケテ――
「ガッ!?(ハッ!?)」
体にかけられいる毛布を押しのけ目覚める。今のは記憶?夢?手が震えている……
気分は最悪だ。呼吸も荒い……かく筈ないのに大量に汗をかいた気さえする。
まるで悪夢を観ていた――ここどこ?
「あら、ようやく目覚めたわね」
前から声をかけられたので顔を上げるとそこには赤半分青半分と奇抜なファッションの女性がいた。
辺りを見渡すとこの部屋、学校の保健室みたいなレイアウトだ。
「私の名は八意永琳、一応医者よ。貴方のことは姫様とあの悟り妖怪から聞いているわ、オキシジェンデストロイヤーより生まれし怪獣デストロイア」
彼女は八意永琳と名乗った。たしか……あの夜、月からの使者を裏切って輝夜側に着いた人も同じ服装だった筈だからあの時の人か!
しかし、彼女が
そんな私の疑問を察してくれたのか、永琳は語ってくれた。
「実際に怪獣を見るのは今回で合わせて2回。最初の遭遇は月に3つ首の金色龍が襲来したときだったわ――キングギドラって名前でしたっけ?あの時は追い返すので精一杯、全く情けない話よ。穢れを嫌い月に逃げ出し、大都市を築けるほどの科学力を持ってしても殺せないなんてとんだインチキね。おかげで機材はおろか大都市の半分以上が瓦礫の山とかしたのよ……記録もパーだし」
キングギドラは地球に来る前に月に姿を現していたなんて……でも地球で何があったか観測記録が残ってなさそうだし別に気にすることはないかな。
これで永琳が怪獣を知る出来事がわかった……のはいいけどほんとここどこだろう。さっきからキョロキョロしてるけど依然としてわからなかった。
「あなたの家で空いてた一室を改装したのよ。安心しなさいちゃんと許可はとってあるわ」
ここ私の家かーい!てか妖子に自宅に避難(案内)しとくように言っておいたのだからそうだけど変わりすぎでしょ!!
あの夜、私は自宅の前で倒れていたらしく数日寝ていたんだってさ。原因は過労って永琳は言ってたけど過労で倒れる怪獣とか抗核バクテリア撃たれたゴジラじゃあるまし。
とりあえず起きて妖子や輝夜に会いに行こう。心配させちゃったろうし。
部屋を出ようとしたところを永琳に呼び止められた。
「出かけるのだったら先に姫様に会っていきなさい、頼みたいことがあるそうよ。それと、後日貴方の詳細なデータ取らせてもらうから覚悟しておいて♡」
その笑顔は、まるで悪夢の続きのようだった……
輝夜から頼まれたこととは蓬莱の薬の確認だ。ちゃんと処分されてるかが気になったけど逃亡生活ゆえ動くことができないので代わりに見に行くという流れである。
今回は見るだけでいいので私一人で行動している。こういう時微小体やクロール体は隠密に向いてるから便利だ。
で、早速平城京内や屋敷をくまなく捜索しているんだけどそれっぽい物が一向に見つからない。
既に処分されてるならいいけど使用されたとなると不老不死が増えてしまう。輪廻転生に抗った生命なんて安易に増やしてはいけない、と私は考えてる。
まぁ怪獣となってしまってる私がそんな考えを抱いても説得力はないけど……ね。
しかし困ったなー、何か手がかりでも掴めればいいんだけど……おっ、ちょうどいいところに男二人組で話をしてるぞ。暫し肩を拝借っと。
私は二人組の片割れの肩に乗って盗み聞きすることにした、微小体で。
「――朝都中の陰陽師がかぐや姫の屋敷に招集されたって話」
「あぁ聞いた、なんでも岩笠様とどでかい山に行く為だとか。そんでも数が多すぎる気もするけどよぉ」
「変なこと起こんなければええけどな――」
ふむふむ、陰陽師を招集して山登りねぇ。これって富士の火口に蓬莱の薬を投げ入れたっていうあれだよね、竹取物語の締めの部分。
てことは今日処分される日だったのかー。うーん、どうせだし見物しに行ってみるかな。お日様の位置的に今はお昼だから間に合うんじゃないかな?よし!
飛ぶと発見される恐れがあるから幼体で追いかけてる。幼体であるが人間の徒歩よりは速い――もうすぐ集団が見えてくるはず!
草の根をかき分けてくと突然開けた場所に出た。どうやら焼けて広場が出来たようだ。それにしてもなんでこんな森の只中にこんな……!?
答えはすぐ見つかった。
焼き爛れた死体――切断された死体――数十と下らない死体があったからだ――どれもこれも陰陽師特有の服装をして。
こ、ここ、これは一体……
仲間割れ?いや、仲間割れだとしたら蓬莱の薬が無いのが変だ。としたら奇襲にあって奮戦虚しく全滅して持ち去られた……?
そして、この場には
岩笠らしき人物の死体が無いのだ。
「うわあぁぁぁぁぁぁー!」
男の悲鳴声!?
ここからそう遠くない位置から聞こえた。急がなきゃ。
発見されるリスクを顧みず完全体になって悲鳴が聞こえた場所に急いだ。
その場所には数分で着いた。着いたのだけど……そこには壺のような物を持った白髪の女の子しかいなかった。女の子の真後ろは崖だ、恐らくこの子が岩笠を突き落としたんだ。
「ふふ、あはは、これでかぐやに一泡吹かせることができる、あはははは、ざまぁみろだあはははははは」
目の前にいるのに女の子は私に気づいていない、なにやらトリップしてるみたいだ。
壺の中は空。この子が飲んだと見て間違いなさそう。
でも、この子が本当に不老不死になったんだとしたら……
『タメシテミルカ』
……!?
今、私は何を考えたッ――えっ……
意に反して体は勝手に動き、ヴァリアブル・スライサーで女の子の首をはねた――血の噴水が出来上がった。大量の血飛沫がかかる。
!?!?!?
今、私はナニヲシタ!?
思考がグチャグチャになる。手が震える。自分の行いを理解できない――今のは……誰だ?
『デストロイアのもう一つの心に気をつけろ』
『貴方の魂は不完全極まりない』
頭をよぎった言葉――これが四季映姫や豊聡耳神子が警告していたこと?
いくら考えても明確な答えを導き出せそうにないので、とりあえず殺してしまった女の子の様子を見ることにした。
しばらく見てると死体に変化が生じた。頭が首の切断面に引き寄せられてゆき、くっついた。肺や心臓が再び活動を再開してる様子がわかる。これは再生したということでいいのかな?しかし目を覚まさない。
ここに置いていくのもアレだし連れて帰ろう。永琳に診てもらえば何かわかるはずだ。
女の子をお姫様抱っこで運んで自宅に戻ってきた。ただ、両手が塞がってるので玄関をぶち破って入った。その後女の子を永琳に渡したのは良かったんだけど――
「あら、出かける前まで両目黄色だったのが今では右目が赤く染まってるわよ?」
と言われた。
どういう……ことだ……
[次回予告]
妖怪にも種族がある
そのカテゴリーは様々だが
どのカテゴリーにも属さない妖怪もいる
次回、境界線上の妖怪
[今回の設定集コーナー]
~オキシジェンデストロイヤー~
芹沢博士が発明した酸素破壊装置みたいな物だ!
劇中では水中で使用した為、付近一帯の酸素が破壊され無酸素状態となった。
有機物は触れると分解される。