面倒ごとを押し付けないで!   作:小鈴ともえ

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昨日初めて個人宛てのメッセージが来ていたのですが、「お久しぶりです」というタイトルを見て昔非ログインで感想をくれていた人なのかなと思っていたわけです。
ですが開いてみるとなーんかわけの分からない出会い系サイト云々の話が書かれてましてかなり困惑しました。
ブロックユーザーにする前にメッセージ消されてたのでもうどうでもいいですが、ID見る限りは登録して間もない人のようです(お気に入りも投稿も無かった)。

無差別かもしれないので()()()稿()()()()はお気を付けください


私はマジックだ

   ~八雲紫~

 

 

「まったく、急に何処かへ行ってしまうから驚いたわ。何を話していたの?」

 

「いや何も。アリスは気にすることでもないでしょ? それよりも我が愛しき従者たちは?」

 

どうやらレミリアと話している時間は体感時間ほど長くなかったようで、スキマから出てもまだレミリアのスペル中だった。比較的弾速の速いナイフと大弾。軌道は案外正直だから、あの弾速にさえ気を付ければあの子たちなら避け切れるだろう。

 

それよりも気になるのが先のレミリアの発言だ。さとりが自分の記憶から最凶の弾幕を引き出せるならば、確かに強い相手と戦えば戦うほど彼女も強くなる。強いから戦うではなく、強くなるために戦うでもない。戦うから強くなる。

実質さとりの相手ができるのは彼女に心を読まれない者だけになる。私かこいしか閻魔か、もしかしたらまだ他にもいるかもしれない。それでも数は非常に少ないだろう。

 

彼女の能力を躱せるのは純粋な力を持つ者ではなく、それに対抗できる能力を持っている者だけ。強大な力を持つ鬼も、神としてでさえ絶大な隠岐奈も、規格外の頭脳を持つ永琳もさとりの能力に抗う事はできない。

心を読まれてしまえば、それだけで内に秘めた恐ろしい弾幕を再現されてしまう。トラウマで増幅された弾幕がさらにトラウマを植え付ける。さとりに心を読まれながら勝てる者がどれほどいるのだろうか。心を読まれなくても厄介だというのに。

 

『おやおや、これは流石に効果が薄かったようですね。そちらのメイドにはよく効いたみたいだけれど……自分を偽るのが上手な事ね。噓偽り塗れで生きてきた、そんな貴方を最も変えたのは吸血鬼のお嬢様だったのかしら? 迷える貴方に正しい道を……さあ答えを差し上げましょう。その結果に恐れ慄くがいいわ。  想起”二重大結界”』

 

これが真実だとするならば、咲夜にとってこれほど目を背けたい事は無いだろう。レミリアが見ていることを彼女は知らない。それでも今見せられているものは誰にも見てほしくなかったものであろう。

 

完全で瀟洒と謳われ、今や吸血鬼の棲まう館のメイドとして名の広がった十六夜咲夜。レミリアに屈し、レミリアに服従を誓った彼女を最も変えたのが主人のレミリアではなくいち友人である霊夢であると、いったい誰が予想できただろうか。

 

『こんなのは嘘よ。私を変えたのはレミリアお嬢様。間違いないわ』

 

『生憎私は滅多に嘘など吐かないわよ。地底には鬼がたくさんいるから。自分を変えてくれた友人がすぐそばにいるというのにそれを否定するの? 主第一。それも良いでしょう。でもまずは自分の事を知りなさい、大事にしなさい。自分の心を偽っているだけの人間の言う事など誰も信じてはくれなくなるわよ? そう、私以外はね』

 

非常にずるいやり方だがやっていることは妖怪としては正しい。厳しく言っているように見せているが、実際は彼女の事を思っての発言だろう。

食い入るように戦況を見つめているレミリアにはどう映ったのだろうか。

 

「何? 咲夜は本当に霊夢に変えられたかって? そうね……主としては恥ずかしいけれど私もそう思うわよ。咲夜は否定しているけれど、あの妖怪が言っていることは事実だと思うわ」

「何故かしら? もちろん根拠があるのでしょう?」

 

「えぇ。昔、雇ったばかりだった頃のあの子は私に対してとても反抗的だったのよ。働いているのも衣食住のために嫌々だったでしょうね。紫も多少は知っているんじゃないの? でまあそんなあの子が変わるきっかけになったのは、間違いなく私たちの起こした異変だった。妖怪ばかりの紅魔館でただ一人の人間。あの子も自分が強いとは思っていたんでしょう」

 

どこか寂しげに、でもどこか嬉しそうに懐古するレミリアは炬燵に入っているのもあってお婆さんのようだ。仄暗いせいで背格好もだいたい同じだし。

 

「強いと思っていた自分が同じ人間に呆気なくやられたんだから……そりゃまあ驚いたでしょう。そのうえ霊夢は私をも撃ち堕としたんだもの。あれ以降あの子は随分と丸くなったわね。他とは違う、一人だけ異質である、という焦燥感から解放されたからだと思うわ」

 

解放させたのが霊夢だったというわけか。確かに昔のようなとげとげしさはあまり感じなくなったように思う。さとりを毛嫌いしているのもレミリアの害になると判断したからだろう。今はもう個人的に嫌っているだけのようだが。

 

それでも彼女を変えたのが霊夢であることは主人公認で真実らしい。となると咲夜にとっては余計に厄介なことになる。さとりの発言から確実にレミリアの弾幕が来ると予想していた二人と、バレてほしくなかったことをバラされて焦っている咲夜。

動揺は伝染する。その気が無くともいつの間にか焦りは冷静さを失わせる。三人が三人とも動揺してしまった今、弾を避けきるのは相当に難しいに違いない。

こうなることを確実に予測していたであろうさとりだけが冷静に振る舞うことができる。

 

『汚い手段だとでも思いましたか? 妖怪とは元来そういうものなのです。貴方の主人も含めて。騙される方が悪いのと同じ、些少の事で狼狽えてしまう貴方たちが悪いのよ。

近づこうにも近づけない。どこまで行っても結界に触れることはかなわない。これは博麗の張る大結界なのだから。精々足掻きなさい』

 

人間に嫌われて当然である妖怪が、人間の好む正攻法で勝負する義理など何処にあろうか。ここまであからさまにする者もまた珍しいが。

妖怪の中でもさらに嫌われている種族だから吹っ切れているのだろうか。なんというかあの精神力だけは人間に近いように感じる。妖怪の力に人間の精神力、なんてとんだ化け物だが。

 

 

   ~古明地さとり~

 

 

いつやられるのかとヒヤヒヤしながらもなんとか八枚目まで漕ぎつけた。それにしても咲夜さんに最も影響を与えた者がレミリアさんではなくて博麗の巫女だったとは。まあ私としてはそちらの方が助かるというのが本音だ。

レミリアさんの弾幕は私の知っているものか、巫女、魔法使いのどちらかが曖昧に記憶しているものから取って来るしかない。対して巫女の弾幕ならば彼女自身がはっきりと覚えているものなので再現しやすいのだ。

 

曖昧なイメージよりははっきりしたものの方が思い出させやすく、再現するときにもあまり深く考える必要が無い。だから助かる。そもそもレミリアさんの弾幕を見たのが(人間にとっては)昔過ぎてあまり覚えていないらしい。可哀そうに。

 

それにしても咲夜さんの扱いやすさは尋常ではない。少しでもレミリアさんの話を持ち込めば動揺する。私に対する冷淡さは捨てないようだが、初めのような毒舌は影を潜め、心の中で激しい憤りをぶつけてきているだけになっている。

これが完全なメイドと呼ばれる所以だろう。心の中でいくら相手を罵倒しようとも顔には一切出さない。私にも秘訣を教えてほしいくらいに表情と中身は一致していない。

 

まあ今は避けるのに必死なようだから私の事を考える暇はないようだけど。妖怪の天敵でもある博麗の技だからと言って特別再現できない、という事は無い。

多少違っても見た目さえ似ていれば同じように見える。籠められている力を気にしないのだから人間というものはつくづく不思議なものだ。

 

今展開している二重大結界も本物は幻想郷と外を隔てる博麗大結界と同じような構成になっているらしい。いくら近づいても結界を超えることは絶対にできないんだとか。紫さんや博麗の者でもない私は結界術が苦手なので、今の私のものは簡単に超えられると思う。

そもそも近づいてこないように撃っているのであまり問題にはならないと思うが、もし結界を超えられるようなことになればかなり不味い。撃っている間は基本的に無防備になるからだ。適当に煽って正常な判断ができないようにするのも手だ。

いくら人間と同じように思考し、行動する生き物であっても人間でなければ非人道的行為という言葉は効力を発揮しない。人外が人道を外すのは至極当たり前だと私は考えている。

 

「想定外というのは常に身の回りで起き続けることよ。それに対処もできない人間がそれより弱い人間を護る? 主人を護る? できるはずがないわね。世界はそう甘くない…………」

 

まったく危ない。これも強引に終わらせる気か。ほとんどまともに攻略してくれないのは何故なのだろうか。トラウマが己の恥じだとでも思っているのだろうか……別にそんな感じはなさそうだが。だとすれば余計に分からない。避けきった方が確実に力になるし、得られる経験値も多い。

それにも拘わらず無理に削ろうとするのは何故なのだろうか。

 

「ったく、少しでも驚いてほしいわね。こんなマジックを見せて驚かなかった妖怪はいなかったわよ? 驚いた者は漏れなく首が飛びましたが」

 

本当に人間か? このメイド。時間停止をされるタイミングはバッチリ分かる。何処に投げてくるかも大体予測できる。それでもすべてが私に向けて正確無比に投擲されているわけではなく、私の避けそうな場所にも配置されていたりする。

相当に頭の切れる人間だ。または培ってきた経験か。パニックに陥った時の者の動きは人妖問わず似ているから、そこから逆算すれば確かに効率的にナイフは配置できる。怖いのはその正確性と不気味に積まれた経験か。

 

「十分に驚いているわよ。目が飛び出ていないかしら。心配だわ…………口が減っては舌戦もできないでしょう? それよりも今のでそちらのは五枚目、かしら。いよいよこちらの余裕も無くなってきたようね。それでは次。  想起『生者必滅の理 -魔境-』」

 

これも彼女たちが見たのはもうかなり前だ。恐らく萃香や勇儀が馬鹿をやった一年後辺りになるのだろうか。この辺りから急に地上関係の問題が舞い込んでくることが多かったからか、妖怪の私からしても長く感じる。

 

今回のものは随分昔に会った幽々子さんの弾幕らしい。彼女の優雅さに加えて体温の無い者の冷酷さ、非情さも感じられる弾幕だ。

 

「生きとし生けるものは必ず死ぬ。妖怪か人間か、それはただ死ぬまでの長さによって区別されることもある。死なないというのは生きていないことと概ね等しい」

 

人間は死ぬ。穢れをその身に纏ったから。

霊は死なない。既に死んでいるから。

妖怪は死ぬ。永く生きられるだけだから。

原始の神は死なない。存在を人間に依存しないから。

神は死ぬ。人間に生み出されたから。

蓬莱人は死なない。成長を止めることは生を捨てることだから。

妖精は死ぬ。自然は永遠ではないから。

月人は死なない。寿命を生み出す穢れを捨て去ったから。

 

穢れているとは生きていること。生きているから穢れが溜まり、穢れが溜まるから寿命がうまれる。寿命があるから生物は死ぬ。

 

「さあ、貴方たちもこの魔境(地の底)で、大地を支える土として滅んでみない?」




十枚目は完全なオリジナルというわけではないですが、原作には出てこないものになります。漸く終わりが見えた

異変が終わった後のさとり様を思うと胸が痛みます(ゲス顔)



新作見ました? まさかまさかの猫娘ですよ。虹・龍・鈴……まあ九分九厘関係ないでしょうね
ちなみに私はチケットも買いましたが今回は行けない事になりました。悲しい
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