【忍殺実況】ヤモト・コキ育成計画.mp0【完結】 作:いらえ丸
誤字報告兄貴もありがとナス! いつも助かっています!
世直しのこと……知らないんだな。革命はいつもインテリが始めるが、夢みたいな目標をもってやるから、いつも過激なことしかやらない! しかし革命の後では、気高い革命の心だって官僚主義と大衆に飲み込まれていくから、インテリはそれを嫌って、世間からも政治からも身を引いて世捨て人になる実況プレイはーじまーるよー。
前回は全力でヤモト=サンに娯楽を提供したところまででしたね。ウェーイ!
正直、あんなんで良かったのかと思わんでもないですが、ダイジョブだったようです。
その証拠に……。
ところで、ヤモトの成長グラフを見てくれ、こいつをどう思う?
すごく……大きいです……(V字回復)
このように、前回の娯楽提供前後ではヤモト=サンの成長率に凄まじい差がついています。まるでV字斬りみたいだぁ(直喩)
トレーニング初日から緩やかに伸び幅が減少してて、ちょうど娯楽提供前くらいから一気に落ち込んでいましたが、楽しくなってからは初日以上の成長率を見せています。
つまり、スパルタは良くないって事ですね。何事も程々が一番という事でしょうか。
どうでもいい事ですが、昔ぃ、とあるファームでシゴかれ過ぎて脱走したモンスターがいたらしいんですよ~。なぁにぃ!? やっちまったなぁ!(隙自牧語)
そんな訳で、楽しさ事件の以後はヤモト=サンの「楽しさ」を常時高値で保てるようトレーニングメニューを組みなおしました。
とはいえ、やっぱりトレーニング漬けなのには変わりないんですけどね。ですが、トレーニングの内容によっては「楽しさ」が回復する奴があるんですよ。そういうのを混ぜてみました。
それがコレ、カポエラ・トレーニングです。
画面にある通り、レイズちゃんとヤモト=サンにはクソデカジュークボックスから流れる音楽にノッて新宝島ステップを踏んでリズムにハァイ! してもらってます。これ、正しくは「ジンガ」っていうらしいですね。
こんな感じで、やると楽しくなるトレーニングをちょこちょこ挟みながら鍛錬しております。
はいジンガ終了。次はもぐもぐタイムです。
空腹ゲージがヤバくなってきたら軽食を食べます、以前は効率を考えて毎日スシでしたが、どうやらそいつは悪手らしいのでスシはやめました。
軽食の内容は毎日変更し、今日はお団子の三姉妹ですね。間に挟まれる二女ちゃんスッゲェ白くなってる、はっきりわかんだね。こういったおやつも「楽しさ」の回復に役立つようです。美味しいかぁYMT^~?
おやつを食べ終えたらまた鍛錬な。今度は「新スキル習得」です。
軽く説明すると、本作におけるスキルというのは、基本的に貯めた経験値を消費して入手するものとなっています。
が、それはあくまで基本的な入手手段に過ぎず、実際は色んな入手方法があります。
手段自体はまぁ色々あるので割愛しますが、ヤモト=サンにはそのうちの「トレーニングによるスキル習得」をしてもらってるところです。
これ、スキルの習得難度によっては凄まじい時間を消費する事になりますが、何だかんだ初心者向けの安全な手段となっています。なんたって、誰とも戦わないで良いんですからね。
まぁそれでもサツキみたいな隠しスキルとか、エコノミックカラテみたいな隠しカラテなどは自力鍛錬では無理なんですけど……。
で、今現在ヤモト=サンが習得しようとしているのは、ジュー・ジツの「サマーソルトキック」です。
ニュービーからすると柔術でサマソナンデ!? ってなるかもしれませんが。サマソはジュー・ジツ技であり、ガイルはジュー・ジツ使いです。もっと言うと強力な飛び道具である「ツヨイ・スリケン」もジュー・ジツですし、どう見てもプロレス技な「パワーボム」もジュー・ジツです。わかったか!
実際奥が深いのだジュー・ジツは。
そんなジュー・ジツ奥義サマーソルトですが、レイズちゃんはこれを既に習得済みなので、ヤモト=サンのサマソ鍛錬はレイズちゃんが教導している感じになっています。白髪赤目ロリが師匠面しながら腕組み仁王立ちでウンウン頷いてるのが分かると思います。
実際こうする事によって通常より早くスキルを覚える事ができるんですね。そろそろヤモト=サンもサマソを覚える頃でしょう。
◆「ヤモト・コキ」が「サマーソルトキック」を習得しました◆
おっ、サマソ覚えてくれましたね。
じゃあ次は「トモエ投げ」を覚えてもらおうかな。センセイがビンビンでいらっしゃる、メニューに咥えて差し上げろ。
サマソ習得が完了したら模擬戦です。
サマソを使ってくれるように上手い事立ち回りましょう。
まぁ普通のドージョーのイクサシーンをお見せするのも心苦しいので……。
皆様の為にぃ~。
ヤモト=サンの現状について、お話します。
現在、語弊を恐れずに言うとヤモト=サンのカラテは大体アデプトぐらいです。両方NPC操作の対戦でモスキート=サンと良い勝負ができる感じですね。
けっこう頑張って鍛えてはいるんですけど、まぁそんなもんです。作中設定的にもカラテというのは一朝一夕で得られるものではありませんし、ゲームである本作でもそうです。無論、ゲーム故の裏道なぞいくらでもありますが。
それというのも、ヤモト=サンが宿しているソウルにも問題……というか適性というものが有り、現在私が目指している「疑似ニンジャスレイヤービルド」はカラテ重点ジツはサブくらいの本来のソウルの適正とは大きくかけ離れた構成となっています。
ヤモト=サンが宿している「シ・ニンジャ」のソウルはジツによるカラテ・ミサイルやバフ・デバフ等で真価を発揮するジツ重点のソウルであり、カラテ重点で組もうというのは実際いばらの道です。
ですが、いばらの道とはいえ道は道、やってやれない事はありません。時間こそかかりますが、彼女には立派なカラテ戦士になってもらいます。
そして、現在ヤモト=サンが習得しているスキルは以下の通りです。
◆ワザ・ジツ◆
ジュー・ジツ
カポエイラ
サマーソルトキック(NEW!)
ポン・パンチ
メイアルーアジコンパッソ
フォーリャセッカ
サクラ・エンハンスメント・ジツ
オリガミ・ミサイル
こんな感じです。
本来、ヤモト=サンはシルバーカラス兄貴直伝のイアイドーを習得してカタナを振り回す女子高生ニンジャになるんですが、本世界戦ではイアイは覚えていません。まぁ彼の寿命が尽きるまではフラグは勃ち続けますので、やろうと思えば今からでも彼に教えを乞う事もできます、まぁやりませんが。
それと、セイシンテキの鍛錬こそしていますが、ジツの練習は一切しておりませぬ故、現在習得しているオリガミ技はタイマンでは実際封印安定の死に技となっています。如何せん足を止めちゃうのでね。やろうと思えばスライダーを投げれるけど実戦じゃ使えない投手みたいな感じでしょうか。習熟してなくても援護射撃に使えるくらいには強いのがオリガミなんですけどね。実際強力な。
とはいえ折角良いジツ持ってるんだから有効活用していきたいですね?
その為のグローブ?
あとその為のカラテ?
◆「ヤモト・コキ」に「アラクレのグローブ」を渡しました◆
「ありがとう。大事にするね」
そういう訳でヤモト=サンに強化アイテムを渡しました。
これはカタナとかブレーサーみたいな武装なので、装備しなきゃ意味がありません。ここで装備していけ。
この如何にも格ゲーキャラが付けてそうな指抜きグローブくんですが、これは店売りの品ではありません。裏でカジノ行って手に入れた景品です。ゲームのカジノってなんであんなに楽しいんでしょうね。
グローブの性能に関してですが、素手攻撃と近距離ジツ攻撃の威力を上げてくれるという中々優秀なモノとなっています。なにより、このグローブにはエンハンスを塗る事ができるので、せっかくのサクラ・エンハンスが腐らなくなりました。
じゃ、ちょっとヤモトくん、そこの木人形にポン・パンチくれてやりたまえ。モロチン、ジツを使ってね。
「はい。イヤーッ!」
おお^~、ええやん!(ご満悦)
火力に関しては申し分ないですねぇ。ジツを併用して攻撃スキルを使うと、今のヤモト=サンでもフジキドのストレートと同じくらいの火力が出ています。なお赤黒はそれを連発してくる模様。
それにヤモト=サンはまだまだニュービー。成長の余地は全然ありますし、基礎能力の向上により火力も向上していくので、その点については心配いりませんね。
そしてなにより、両手に桜色の光纏う女子高生ニンジャはやっぱ絵になりますね。いずれは足にもそれ用の装備をつけて光る足を実現させたいですね。実際装備はどっかにあるはずなので見つけ次第買うなり狩るなりしましょう。
じゃあ、今日のトレーニングはこれくらいにして、今日はもう寝ようぜ(魔術師)
「ううん、もう少し続けさせてほしい。ダメかな?」
アッハイ(脊髄反射)
美少女に「ダメかな?」って言われて断れるノンケはいねぇんだよなぁ。
ていうか、何ですかコレ? あ、チュートリアル出た。優しいすねセンセイ。
エー、あーはいはい。
要するにこれ、演出付きの特別な追加鍛錬のようです。この時のトレーニングでは通常より多くポイントがもらえるみたいですね。
で、選択肢は……。
◆1.カラテ重点◆
◆2.ジツ重点◆
◆3.イクサ重点◆
あーやっぱ固有の項目なのね。
正直、3はこれ何だって感じがあるので、せっかくだから今回は3を選んでみたいと思います。この追加鍛錬で出てるって事は通常のトレーニングとは少し違うものなのでしょう。上二つは分かるんですけど、イクサの練習って何さ? 模擬戦はいつもしちょるが……。
ん? 暗転しましたね。
おファッ!? 何やこの場所!?
何か選択し決定したらどっかよくわからんとこに飛ばされました。あ、右上に地名出てますね、「ネオサイタマ郊外」ってあります。ナンデ? ヤモト=サン準備体操して殺る気ナンデ?
あーんダメダメダメ! カウントがはじまっちゃったわ!
え? え? 戦えばいいんだよね? しゃあやってやろうじゃねぇかよ!(野球芸人)
イグゾォォォォォォ! オエッ!
「イヤーッ!」「イヤーッ!」
一度強く当たって、あとは流れで。
まぁコッポを体得したレイズちゃんの性能なら正面から叩きのめす事はできるので適当にやってそれで終わ――。
「イヤーッ!」「ンアーッ!」
おぉ痛ってぇ! ジツ使いやがってなテメェ!(油断)
もう許さねぇからなぁ!?(ジツ解禁)
もうお遊びはナシだ。そっちがオリガミ飛ばしてくるならカラテ以外も使わせてもらうぜ。オラ! デッカーガン!
「イヤーッ!」BLAMBLAMBLAM!「イヤーッ!」
ジャンプしたな! かかったな阿呆が! クロスサンダーオーバードライブ!(アペ・スリケン)
「イヤーッ!」「イヤーッ!」BOOOOM!
ほう、サクラパンチで凌いだか、経験が活きたな。けど残念、対空技は完備している。サマソッ!
「イヤーッ!」「ンアーッ!」
起き上がりが遅い遅い襲い遅い! そんなんじゃ虫も殺せねぇぞ! オルルァ! オルルァ! いいだろお前成人の日だぞ!(意味不明)
ホラホラホラホラ! どんどんイクぜ^~?(SGT兄貴)
「イヤッ! イヤッ! イヤッ!」「ヌゥーッ!」
さぁて、じゃあいい加減キメますか。けっこうコッポ掌打当ててるしそろそろスタン入ると思うんですけど……。
「ンアーッ!」
よしヤモト=サン痺れました。ちょっと刃ぁ当たんよ~。
「コォーッ!」
まず最短イロリ呼吸で血中カラテの回復とクリバフを入れ、技後硬直寸前にアペ・カラテで炎エンチャを塗ります。
で、スタンでがら空きのヤモト=サンの土手っ腹にダーカイ掌打を当てたと同時に大発火アペ・ジツを……ドリャアアアアア!(変態糞サイヤ人)
「イィヤァーッ!」BOOOOOOM!「ンアーッ!」
フィニッシュムーブ! 勝ちました。対あり~。
まぁ文字通り過剰火力ですよね。筋力不足でカラテ威力が弱く、モーション値の問題で威力の低いコッポドーでも、こんな感じでジツを遣えば実際口マンな火力が出るんですね。
はい、暗転して自宅に戻ってきまし……おファッ!?(本日二回目)
「やっぱりレイズ=サンは強いね……。全然手も足も出なかった」
なんてこった! ヤモト=サンぼろぼろじゃないか! 誰がこんな事を!(すっとぼけ)
いや私なんですけど、まさかダメージが残るとは思ってなかったんです。模擬戦では終了と同時にHP回復してましたし……。
とりあえずフートンで寝てるヤモト=サンを回復させましょう。スシ作ってくるから大人しく寝てろィ。
まぁ明日になれば治るでしょ。しれっと鍛えてた「ニンジャ薬学」で作ったお薬も使い所=サンですね。
熟達したニンジャ薬学持ちが調合した薬は市販品の薬より遥かに効果が高いので、ヤモト=サンのサポートに役立つかと思って覚えさせてたんですよね。こんな感じで使う事になるとは思ってなかったですけど。
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先のレイズとのイクサの翌日、ヤモトは全快した身体の調子を慣らすために一人で買い物に出かけていた。絶望の橋向に住まいを構えるオオヌギ地区の住民にはネオサイタマとは別種の活気があり、泥まみれの子供たちは水たまりを踏んではしゃいでいる。ヤモトは歩きながらすれ違う人々と奥ゆかしくアイサツを交わしながら、ショッピングバッグを手に歩いて帰路についていた。
レイズのジツによるダメージは深く、その身に宿すニンジャ耐久力を限界まで削り実際瀕死に近い状況になっていたが、すんでのところで手心を加えられた事により命に別状はなく、レイズ謹製だという軟膏とニンジャ薬と、手作りのスシの効果で今現在ヤモトの身体に火傷や怪我の跡は残っていない。ヤモトはまたも自身が人間ではなくなっている事を自覚した。
「ハァ……」ため息が出る。ヤモト自身、ある意味調子に乗っていたという自覚があった。思えば、ソニックブームとのイクサではレイズはカトンを操って戦っていたが、ヤモトとの模擬イクサでは無手のカラテだけで行っていた。そんな彼女相手に、ジツを用いた実戦さながらのイクサを挑んで善戦できるはずもなかったのだ。
歩きながら、先のイクサをリピートする。最序盤はやや優勢だったように思えた。オリガミを飛ばし一方的に攻撃した。だが、レイズはヤモトの集中力が途切れた一瞬を見切って懐の銃を発砲し機先を封じてきた。問題はそこからだ。
銃声にひるんだ隙にオリガミの入った鞄を撃ち抜かれ、跳躍回避した先に炎のスリケンを投擲された。咄嗟の判断でジツで凌いだものの、それすら読まれてその日に教えられたワザで迎撃された。サマーソルトキックの正しい使い方を伝授されたように思える。痛かったので、覚えられた。
その後はただ、無駄に足掻いてイクサの時間を引き延ばすだけであった。リーチを活かしたカポエイラは小さな身体を縮めて掻い潜られ、ウェイト差を活かしたジュージツはより高いワザマエの差でいなされてしまった。カラテの差であり、鍛錬の差であった。
終盤にはそれらの合間に挟まれ続けたコッポ・ドーによりカラテシャウトが封じられ、各関節の異常で身体制御が封じられ、一切抗う事もできずレイズのヒサツ・ワザを受けてしまった。実際死ぬほど痛かったが、今ヤモトは生きている。インパクトの瞬間、彼女の瞳には慈悲があった。
ヤモトとレイズにはそれほど長い付き合いはないが、ある程度同じ時間を共有していれば互いの人となりの一部は把握できるものだ。決して人間的とはいえないレイズという少女の本質の一部を、ヤモトは理解できずとも感得していた。
ヤモト視点、レイズには極端な二面性があるように思えた。片やイクサやカラテに対し極限までシリアスで、ドサンコの冬よりもなお冷徹なニンジャ性を表出させる面。方や背中越しにも分かるほど上機嫌でモーターサイクルを整備したり、何の脈略もなくクレープ販売用のバンをキャッシュ購入して妙に美味いクレープを振る舞ったりする面。
知り合った当初は二重人格なのかとも思ったが、カラテトレーニングの際などは前者の面を見せる中にも後者の断片のような面があったり、スシを握る際などは後者の面を魅せる中にも前者の面を覗かせている。それらは決して交わる事のないトモエパターンめいた二重螺旋構造の様であった。そう、それら全てがレイズという半神であり、少女なのだ。
「イヤーッ! イヤーッ!」ふと、玄関をくぐったヤモトは甲高いカラテシャウトを感知した。レイズの声だ、イクサのアトモスフィアはない。ヤモトは訝しみながら靴を脱ぎ、階段を上がって二階のドアを開けた。その時である!
「Wasshoi!」パァン! 広いリビングルームに力強いカラテシャウトが木霊し、次いで何か重量のある物体が叩きつけられる音! 一体なにが! ヤモトがキッチンの方を見ると、おお! ゴウランガ! そこにはソバシェフ・ウェアで一心不乱にウドンを打つレイズの姿が!
「イヤーッ! イヤーッ!」落雷の如きカラテチョップ! 哀れウドンブロックは無残に変形し、「Wasshoi!」専用の木板に叩きつけられる! おお、なんたるツキジめいた光景か! レイズの表情には鬼気迫るものがあり、もしモータルがその瞳を覗き込めば急性NRSを発症し、良くて気絶し最悪ショック死した事であろう!「イヤーッ! イヤーッ! Wasshoi!」
「レイズ=サン、ただいま」しかし、同居人のヤモトはモータルではなく半神的存在だった。NRSを起こす心配はない。「ドーモ」レイズは軽くオジギし、「イヤーッ!」ウドンを打つ作業に戻った。今や彼女のセイシンテキはうどん職人そのものであり、それ以外の何者でもなかったのだ。
ヤモトは洗面所で手指消毒し、諸々の洗浄を終えて最後に清潔なタオルで顔を拭い、小さく呟いた。「ウドンって食べた事ないや」ヤモトはうどん職人と化したレイズの邪魔をせぬよう自室に入り、メディテーションする事にした。「イヤーッ! イヤーッ!」が、壁越しに聞こえるシャウトが邪魔で集中できず、地下のドージョーの掃除をする事にした。
ドージョーの木床を雑巾がけしつつ、ヤモトはこの掃除用具もレイズに買い与えられた事を思い出した。文字通り、衣食住をまかなってもらっている、年下の少女に。「今度アタイが御飯作ろう……」ヤモトはレイズの作る美味な料理を思い浮かべ、負けてられぬと奮起した。カラテも料理も、謙虚に学ばねばならぬ。
ーーーーーーーーーー読み込み中なーーーーーーーーーー
ふぅ、何だかんだ結構楽しいですねこのミニゲーム。初めてやった割には良いスコアなんじゃあないか?
ええ、何か知りませんけどこのウドン作成はミニゲームになっています。
内容としてはさっきやってた通り、的確なポイントに的確なタイミングで的確なチョップを入れ、ゲージが溜まったら的確なポイントに的確な角度で的確な投げを入れるというモノになっています。意外と難しいんですよ。
そうして出来上がったウドンがこちら!
◆「カラテウドン」×2が出来上がりました◆
なんとこのウドン、食べるだけで相当量のカラテ経験値を得る事ができるんですよ。やっぱりニンジャってすごい、あらためてそう思った。
てなわけで、おうヤモっちゃん! 飯の時間だぜ!
「ズルーッ! ズルズルー!」「ズルッ! ズルッ! ズルー!」
ダイニングでズルッてるうちに少し解説すると、このウドン作成は普通にレアなスキルです。ていうか激レアです。
それというのも、ウドン作成スキルを獲得するにはネオサイタマの屋台に低確率で現れるザ・ヴァーティゴ=サンと遭遇し、彼のおつかいクエストをクリアする事によって獲得できるスキルだからです。
先日、傭兵ビズの帰りに薬の材料を買いにうろついてたらしれっとピンクじゃないメンポのニンジャが屋台に混じっててクッソびっくりしました。こいつは重畳といった感じに前述のイベを経て手に入れたという訳ですね。
レアスキルだけあってその効果も素晴らしい。あと、何気にレイズ=サンは憑いてるソウルの影響で料理にバフが付くのでさらに素晴らしい。
はい、二人揃ってエドテン。
今日はヤモト=サンのスケジュールは「休暇」にしてるので、自由に行動して楽しさとか色々整えてくれるでしょう。
ただ、一家の大黒柱たるレイズに休暇は不要。今から傭兵の時間だ。
傭兵ビズを受ける為のUNIXは専用の部屋にあります。金に物を言わせてスッゲェの買いました。ああ^~、もう部屋中機械まみれや。
それというのもまぁ、いわゆる身バレ対策……ハッキング対策ですね。たびたびこのUNIXをカタカタして拠点の「アブナイ」ゲージを減少させています。傭兵は自衛しないとな。
それはさておきミッションです。いいのあるかなーっと……。
もしヤモト=サンに渡したグローブより性能の良い腕装備持ってるニンジャがいたら嬉しいんですけどね。
おっ、バウンサーニンジャ排除ありますねぇ! これにしましょう。ぶっ殺してやる!(DKNS)
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草木も眠るウシミツ・アワー。大衆に忘却され、今やスカベンジャーすら見放した廃棄物集積所を一人のニンジャが息も絶え絶えに跛行していた。見れば、件のニンジャは右肘から先を喪失していた。否、切り取られたのだ。失った腕の断面は黒く炭化し、ノコギリで両断されたかのように粗い。尋常な手段によるものではない。
(((急げ、急げ! 奴が来る! 応援を呼ばねば、今度こそ死ぬ!)))連絡用のIRC端末はない、壊された。銃もない、奪われた。左足も、上手く動かない。残るは左腕と右足と、昔から当てにならないニューロンくらいか。満身創痍のニンジャ――インソムニアは途切れそうになる意識を継ぎ接ぎし、動かぬ片足を引きずって必死に逃走していた。
(((問題ない。手はサイバネ置換すればいい。イサオシは次だ。今はとにかく、生きねば!)))インソムニアは乱れるセイシンテキを落ち着けるべく、懐の羽根飾りに触れた。「ラバーズ=サン、俺に力を……!」その時である! KABOOOOOOM! インソムニアの進む先、ゴミ山壁面が爆炎を伴い弾け飛んだ!
黒のコート、赤の瞳。純白の長髪がゴミ溜めにあってなお輝かんばかりに美しい。掌の余熱を払うそのニンジャは、インソムニアの死神だ。だが、こうなってはただでは殺られぬ!「イヤーッ!」インソムニアは持てる力を全開し突貫! 左拳に雷を纏わせ、その顔面に突き出した! インソムニア全身全霊のカラテだ!
「イヤーッ!」「グワーッ!」おお、しかし……ショッギョ・ムッジョ。インソムニア史上最高のパンチは、死神の鎌ひとつ振るわせるに値しなかった。死神レイズは迫る拳を半身になって躱し、過ぎ去る腕を極めて地面に組み敷いたのである。あまりに流麗、あまりに機械的。そして、慣れた所作でカトン・チョップを振り上げた。「イヤーッ!」「グワーッ!」BOOOOM! 左肘炭化切断! レイズは刈り取った左上腕を矯めつ眇めつし、満足そうに頷いた。
「グワーッ!」両腕を失い、足蹴にされて身動きを封じられたインソムニアは標本にされる寸前の昆虫めいていた。標本ニンジャの生殺与奪権は死神の手にある。レイズは戦利品の腕からグローブを引き抜くと、残る部位を放り捨てた。ネオサイタマに新たなゴミが生まれた。「グワーッ!」仰向けに蹴り転がされたインソムニアの眉間に、デッカーガンの暗い銃口。尋問の時間だ。「カネモチ・インフェルノ事件について、知っている事を話せ」
「カネモチ……!?」インソムニアの目が見開かれた。知っている、という話ではない。インソムニアは当事者だった。レイズはインソムニアの両目を覗き込み、再度問うた。「カネモチ・インフェルノ事件について話せ」「くっ……!」インソムニアは愛社精神を発揮して歯を食いしばった。ラバーズの不利益になりたくはない。「ソウカイヤの犬め! 誰が話すか!」BLAM!「グワーッ!」左足首粉砕!
「話せ」「話すか!」BLAM!「グワーッ!」左下腿粉砕!「話せ」「話すか!」BLAM!「グワーッ!」左膝粉砕「話せ」「話すか!」BLAM!「グワーッ!」右足首粉砕!「話せ」「話すか!」BLAM!「グワーッ!」右下腿粉砕!「話せ」「話すか!」BLAM!「グワーッ!」右膝粉砕!
「アバ……アバババ……」死にかけのインソムニアは不屈の精神で耐えていた。その目には砕け得ぬ意思。マガジンが空だ。レイズはデッカーガンを仕舞うと、インソムニアの股間へ無造作に足を置いた。「グワーッ!」インソムニアの眼に怯えの感情が浮かんだ。レイズは突破口を見た。グイと体重を込めると、彼の意思が揺らぐのをハッキリ感知できた。「ヤメロー!」
「カネモチ・インフェルノ事件について、話せ」レイズの唇は、無意識に三日月めいた弧を描いていた。インソムニアは震える声で言った。「い、依頼だ! 誰かは知らんが俺らは依頼を受けてヤクザ共をけしかけて、それから目撃者を消した!」「で?」インソムニアは首をぶんぶん振った。「それ以上は知らない! 本当だ! 実際それだけだ!」
「それだけ……」レイズの双眸が、闇夜にあって紅く煌めいた。無意識に、足に入る力が増す。「グワーッ本当だ! 俺ァただ会社に従っただけだ!」「会社?」力が緩まった。インソムニアはチャンスと思って自己保身に走った。既に心は折れていた。「キラボシ・マーセナリーズ! 俺ァそこの下っ端だ! スカウトされたんだ!」「場所は?」「知らねぇ! 呼び出されるたび場所が違う!」「……頭目の名は」「ラバーズ=サンだ! いつも羽飾り付けてる!」「羽根飾り、帽子の……?」「ああ!」
沈黙、静寂。レイズは天を仰いだ。息を吐いた。インソムニアを見た。足を離した。半死人が安堵している。まだ、生きるつもりらしい。
それが、何より、腹が煮える。
「ラバァアアーズ!」KABOOOOOOOOOOOOOOM! 全身が発火し、足元のニンジャが爆発四散した。敵を殺した。爽快だった。横隔膜が震え、笑いが込み上げてきた。生まれて初めて、大口を開けて笑った。
絶対に殺す。何としても殺す。殴って、蹴って、刺して撃って焼いて殺す。死ぬまで痛みを与え続けてやる。あの世で両親に詫び続けさせてやる。「お父さん……! お母さん……!」レイズは涙を流した。歓喜の涙である。復讐を誓ってから幾星霜、逃がしはしない。インガオホーだ。親の仇を討つ。
さぁ――鬼退治の始まりだ。
◆忍◆ニンジャ名鑑#■■■ 【インソムニア】 ◆殺◆
キラボシ・マーセナリーズ所属のニンジャ。。元サラリマン。
カロウシの寸前にニンジャになった。ニンジャになってからは、ほとんど毎日歓楽街に通っている。