【忍殺実況】ヤモト・コキ育成計画.mp0【完結】   作:いらえ丸

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誤字報告兄貴いつもありがとナス! 今度こそないやろ思って投稿したら普通にありましたね、誤字脱字。申し訳ナス!

それと、今話から終わりが始まります。そろそろ最終話という事。ちょっと駆け足な。


#16「ヤモト・コキ育成計画.mp16」

 ノキアミの秘密地下施設ヒャッキ管制室は、さながらオーボン・フェスティバルとネブタ・パレード・フェスティバルが同時に開催されたかの様な狂乱状況にあった。「アイエエエエ! ディフェンス・ハッカーひとり死にましたー!」「いいぞヒャッキ・ムシャ! ウィーピピー!」「キャメラマン急げ急げ! いい角度撮るんだよ!」「合体! 合体重点!」「ホワイトファング=サン! ガンバレー!」「トドメオサセー!」そんな熱狂エンジニア達を眺めながら、ノキアミは満足そうな表情で腕組み仁王立ちしていた。

 

「ふふふ、ヒャッキ・ムシャ。この土壇場で成功させるとは……さすがはホワイトファング=サンだ」ノキアミは腕組み姿勢を解き、少し歩いてオペレータ席のマイクをオンにした。「ノキアミだ。ホワイトファング=サン、そのニンジャはどうかね?」戦術的価値のない問いである。ヒャッキが絡むとノキアミは何よりも自身の満足を優先するようになるのだ。「ドーモ。実際すばしっこいので手こずっています。が、良い慣らしになってますよ」返ってきたホワイトファングの声はあくまで平常である。彼はラバーズ以外に心を開かない。

 

「うむ。予算が降りればアンタイ・トンボ装備の開発にも着手しようではないか」ノキアミは満足そうに頷いた。「それは楽しみですね」ヒャッキのカメラアイには縦横無尽に動き回る白黒の女ニンジャが映っている。「……ゲームに集中したいので、そろそろ切っていいですか。切りますね」通信が切られる。実際シツレイだったが、この場にそれを咎める人間は存在しなかった。

 

 ノキアミはヒャッキの状態を示す文字列を眺め、電子戦中のハッカーたちを眺め、「ウオー! 潰せー!」「ジャンプしたぞ! なんてワザマエ!」「あんな動き、僕のデータにないぞ!?」管制室で熱狂するチームメイトを眺めやった。自慢の仲間達だ。

 

 ふと、ノキアミの視界の隅に管制室を出ようとしているラバーズの姿が映った。ノキアミはエンジニアの邪魔をせぬようラバーズに接近し話しかけた。常のノキアミではあり得ぬ振る舞いである。「見ていかないのかね?」「ええ。ちょっと、野暮用ができまして」振り返るラバーズの眼には抑えきれていない歓喜の感情があった。ノキアミのニューロンに冷たい感覚が過った。「わた……」

 

「ご安心ください。ホプロマクス=サン達を置いていきます」ノキアミの言葉を遮り、ラバーズは出口に向かい歩みを進めた。「彼のワザマエの程はご存じでしょう?」「ああ、そうだな」ノキアミは彼のニンジャのカラテを思い出し、身震いした。お陰で、ヒャッキの装甲に磨きがかかったのだ。「それでは、オタッシャデー!」後ろ手に手を振るラバーズの背中は、自動ドアの向こうに消えた。ノキアミは、得体の知れない虚しさを覚えた。「「「ヒャッキ! ヒャッキ! オームラー!」」」エンジニアの熱狂が管制室に轟いた。

 

 

 

◆ーーーーーーーーーー◆ーーーーーーーーーー◆

 

 

 

「イヤーッ!」「ピガガガーッ!」ヤモトの全力カラテストレートを受け、つい先ほどまでオオヌギ住民を追い立てていたヒャッキ・ヘイは火花を上げて沈黙した。「あ、ありがとうヤモト=サン、何てお礼を言えば……」「いえ、それより早く避難を」窮地を救われた中年男性に奥ゆかしく返答したヤモトは、次なるヘイを斃すべく疾走した。

 

 色付きの風となったヤモトは通り過ぎ様に残虐無人兵器を次々沈黙させていく。オリガミを使い果たした今は己のカラテのみで事を成していた。(((アタイ、前より強くなってる……!)))ヤモトは拳に宿る力を自覚しつつも努めて自制し沸き上がるニンジャ性を抑え込んだ。今はただ、無辜な善き人たちを守るのだ。「イヤーッ!」

 

 ヤモトのケリ・キックが炸裂し、何故か停止していたヘイを破壊した、その時である。KABOOOOOOM! 遠くで爆発めいた局地的地震。ヤモトはニンジャバランス感覚でカラテ姿勢を維持したが、隠れていたオオヌギ・モータルは一様に腰を抜かして尻もちをついた。ヤモトはニンジャ聴覚とニンジャ感覚により震源を察知し警戒したが、一旦保留して眼前のヘイに注意を払った。

 

 だが、視線の先のヘイはヤモトに銃口を向けるでもなく、カメラを向けるでもなく、何事か拝聴するようにその無機質なカメラアイを点滅させていた。訝しむヤモト。すると、突如としてヘイのカメラアイの色がイエローに変化し、「重点! 重点な!」バイオイナゴめいて飛び上がりその場から離れていった。

 

「なに……?」見ればプレハブ小屋の隙間にいたハンマー・ヘイや隠れていたドリル・ヘイ達も一目散に退避していくではないか。「「「重点な!」」」彼ら無慈悲な無人兵器が見せた挙動。まさか無意味であるはずがない。ヤモトは跳躍して最寄りの高所に立つと、ヘイの行く先を確認し、瞠目した。

 

 鉄の巨人がいる。ヤモトの目線では巨人と思しきモノの側頭部しか見えなかったが、明らかにヘイとは格が違う機械的暴威の化身がそこに立っていた。否、ただ直立しているだけではない。巨大鉄鬼は鈍重ながら力強いカラテを駆使し、足元の敵対存在を排除せんとカラテ機動している。

 

 ヤモトは直感した。今あの巨人と戦っているのはレイズだ。思うが早いか、ヤモトは両足にカラテを込めて跳躍すると、着地と同時に全力スプリントでメンターの元へ向かった。疾走の最中、ヤモトは自身の走力に強い苛立ちを覚えていた。未だ成熟していないヤモトはその理由を言語化できない。

 

「ドーモ、フレイムドアです」疾走ヤモトに並走ニンジャがアイサツ。「ドーモ、フレイムドア=サン、ヤモト・コキです」「「イヤーッ!」」激突! ヤモトの眼前にカトン壁形成!「攻められまい!」「イヤーッ!」「グワーッ!」あまりにぬるい! ヤモトのサクラ・パンチがカトンガードもろともフレイムドアの顔面を破砕!「サヨナラ!」フレイムドアはしめやかに爆発四散した。ニンジャを殺したヤモトの胸中には、膨らみ続ける焦燥の念だけがあった。(((急がなきゃ! 急がなきゃ、嫌な事が起こる!)))ヤモトは瓦礫を飛び越え加速した。

 

 やがて、決して広くはないオオヌギ地区の中心で。ヤモト・コキは見た。雄々しい鉄巨人の足に蹴り上げられ、ボロクズめいて宙高く舞い上がるレイズの姿を。その装束の至る所に傷や穴が開き、純白の髪や美貌に乾いた血が付着している。ヤモトの眼前で、人が死ぬ。ヤモトはまだ無力なままだった。

 

「イィヤァーッ!」ヤモトは咆哮した。足元をジツ爆破し天高く跳躍。やがて自由落下を始めたレイズを抱きかかえ、うなりを上げて迫る鉄拳をドウグ社製フックロープを用いて回避する。膝を曲げて着地の衝撃を逃がし、腕の中のレイズをゆっくりと横たえさせた。

 

「コンボ中の割り込みはシツレイだぞ! 貴様もニンジャならアイサツして謝罪しろクズ!」巨人兵器の外部スピーカーから、年若い少年の声が響く。ヤモトは挙動ひとつひとつを確かめるようしっかと立ち上がり、やや俯き加減で振り向いた。艶やかな黒髪に潜む双眸が、カメラ越しに操縦士の目を射貫いた。「スゥー……コォー……」ヤモトは震える身体を抑えるべく呼吸を整えた。メンターのように、上手くはできない。

 

「ドーモ、僕の名前はホワイトファングです!」ハウリング混じりのアイサツ。対するヤモトは両手を合わせ丁寧にオジギした。「ドーモ、ホワイトファング=サン、ヤモト・コキです」

 

 アイサツ終了後の、その時だ。迷わず攻撃動作をコマンドしようとしたホワイトファングの指が震えだした。握りしめられた操縦桿がカタカタと音を立てる。「な、なにが……!?」巨大なカメラアイの先、ヤモトはアイサツ姿勢のまま静止している。その表情は前髪によって隠れ、うかがい知る事はできない。だが、その身体からはグツグツと煮え立つような感情のマグマが。あるいは嵐の前の静寂めいたアトモスフィアが感じ取れた。

 

 ゆっくりと、ヤモトはオジギ姿勢を解き、顔を上げた。前髪に隠れていた双眸が、サクラ色に染まった。瞬間、ヤモトの身体から静謐なキリング・オーラが滲出した。ぼうと浮かび上がった桜色粒子が輪郭をなぞって舞い踊り、彼女のスカーフメンポが双頭ドラゴンめいて鎌首を上げる。ゆったりと、されど力強く構えられたのはメンター直伝のジュー・ジツ。指向性を持った感情の奔流に反応し、ヤモトの奥ゆかしいニンジャソウルが少女の未熟なカラテ位階を引き上げていた。

 

「この! 女ァ!」ヒャッキ・ムシャの拳が唸る。だが遅い! 瞬きの間にカメラから消えたヤモトは、既に鉄鬼の肘関節に取りついていた!「イヤーッ!」「グワーッ!」そしてそのまま! おお、ゴウランガ! ニンジャ的カラテ運動が作用し、人間工学に基き設計されたヒャッキは仰向け転倒!「ヌゥーッ!」各部バーニアを吹かせ瞬時に姿勢を整えるホワイトファング。ダメージは軽微。何も問題はないはずだ。獲物を捕捉すべくカメラを回し、ソレはすぐに見つかった。

 

 ヒャッキ・ムシャの右肩。強風に煽られ、少女の髪がなびいている。ヤモトはレイズめいた無の構えで立っていた。至近距離でサクラの瞳とカメラアイが交錯する。ヤモトの口元が微動し、声は風に流された。しかし、収音マイクに頼らずニンジャ聴力を研ぎ澄ませていれば操縦士ニンジャにも聞こえたであろう。ヤモトの唇から漏れた、死への呼びかけが。「シ・ニンジャ……!」

 

 

 

◆ーーーーーーーーーー◆ーーーーーーーーーー◆

 

 

 

 カラテはカラテだよ、イアイドーもカラテでしょ。この街では違うの? な実況プレイはーじまーるよー。

 

 前回は疲れからか黒塗りの便意に衝突されてデカブツの一撃を食らっちゃったところまででしたね。レイズは紙なので実際ひんしです。便意には気を付けよう!

 

 で、今なんですけど、画面の通り私が操作しているのは倒れたレイズではなくヤモト=サンを操作……しているように見えるかもしれませんが、実際見てるだけです。

 ただただTPSめいてヤモト=サンを観戦してる感じですかね。できる事と言ったらカメラをぐるぐるさせたりとか……あっ、なんか指示出せるみたいですねぇ!

 興奮してきたな……さっそく使ってみよう。

 

 えーと? と、とりあえず「攻撃」で……(曖昧)

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

 どうやらタイムラグこそあれちゃんという事は聞いてくれるみたいですね。ホラホラもっと攻撃してホラ! かっ飛ばせー! Y・M・T!

 

 いやー、にしてもこんな事あるんですね。アプデ前はこういうの無かったので実際新鮮で遥かに良いです。こうやって弟子の成長を確認できるのは嬉しいゾイ。

 それにうちのヤモト=サンは素直な性能をしてるので、動きがとてもキレイで見ていて飽きません。何事も無難にこなせていますね。ヤモトは何でも倒せるな。良い師匠に恵まれたんやろなぁ。

 そして何よりうちのヤモト=サンはサクラ・パンチの火力が高く、一撃でこのヒャッキ・ムシャの追加装甲を剥がせるので実際爽快です。おう、同じとこに追撃や!

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

 こう、剥がれた装甲のとこに強P叩き込んでくれりゃ、面白いくらいダメージが加速するのだ。ええぞ! ええぞ!(レ)

 どうやら一度剥した部位は追撃後のダメがやや減少していたっぽいので、上手い事バランスよく各部位を破壊してプチプチいくのが効率良さそうですね。

 てなわけでそのふくらはぎにドーン! 追撃ドーン!

 

「グワーッ!」

 

 おっ、ヒャッキが片膝つきましたね。ヤッピー知ってるよ! もう片方の足壊せば転ぶんでしょ!

 そこやヤモト=サン! いてもうたれ!

 

「イヤーッ!」「グワーッ転倒!」

 

 なんて分かりやすいボスなのだ(明治の文豪)

 

 またも仰向けに倒れたので頭に無慈悲な追撃をブチ込んでやりましょう。おうヤモっちゃん、その頭にパンチくれてやれや。うお……急にすげぇダメージ! 塔の騎士かな? 正体見たりって感じだな。

 

 で、起き上がりバタバタは……避けてますねぇ! こういう細かい指示は出せないみたいなんですけど、自動で避けてくれました。鍛錬の成果じゃな。

 

 おや? 肩攻撃したら右腕のガントレット? みたいなのが落ちましたね。そして脱落したパーツにこれ見よがしなズーム演出。

 

 落ちた武器に少なくなってる体力……来るぞ遊馬!

 

 とにかくガントレットに近づきましょう。あのオブジェクトに近づくんや! よぉし、良い子だ。あとで角砂糖をやろう!

 近づいたら、おぉ! 何も指示してないのに持ち上げましたねぇ! すっげぇ筋肉だぁ……(恍惚)

 明らかに自分よりデカくて重い物を持ち上げる平坦女子高生……フィヒ!(性癖開示)

 

「イィヤァーッ!」「グワーッ!」

 

 おほ^~!(特大ダメージ)

 

 このボス戦、すんごいでっけぇパーツを鈍器めいて振り回せるパートあるんですねぇ! FOOO! 気持ちいい^~! 次周では自キャラでやりたいぜ。

 ……けどこのイベントの出現方法わかんねぇのよな。そもそもこれ何のイベント? コールドスティールイベじゃないの? ドクロくんはどこ……ここ?

 

 まぁ細けぇ事ぁいいんだよ! とにかく「攻撃」だヤモト=サン! お前のカラテを見せてくれ!

 

 オルルァ! オルルァ! おう打って来い打って来い! お前は俺のオモチャでいいんだ上等だろ(後方AKYS面)

 

「アバーッ! くっ、動けヒャッキ! まだやれるはずだ!」

 

 ダメです(無慈悲な追撃)

 

 ん、フィニッシュムーブきましたね。もう指示出す必要もないかな。やぁーっておしまい!(DRNJ)

 

「イィ……ヤァーッ!」

 

 高々と掲げたガントレットで……殴る! 殴る! 叩きつける! 最後にぃ~、投げつける!

 

 う~んヴァイオレンス。これヤモト=サンでやるとちょっとシュールですけど、フジキドがやると途端にサツバツになったんやろうな~って。

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

 工事完了です……。

 こういう、デカい人型兵器が機能停止する時のカメラアイが消える演出すき。そのあとパーツがボロボロ落ちる演出もすき。プスプス煙上げてるのもすき。ああ^~、たまらねぇぜ。

 

 にしてもヤモト=サン強いっすね。ぶっちゃけまだまだヒヨッコと思ってたトコありましたが、存外上手く立ち回れていましたね。これは何回も練習試合してAIくんが学習した成果かな。対デカブツは予習してなかったはずなんですケドネー。

 

 ん?

 

 ファッ!? ヒャッキの背中から何か飛び去っていきましたね。これは脱出装置じゃな? なんてこった、忍殺世界にあるまじき人命重視機構。まるでナイトメアみたいだあ(直喩)

 

 おファッ!?(連続)

 何か画面端にいたレイズ=サンが勝手にバイク乗って脱出したパイロット追っかけて行っちゃいました。

 

 えっ? なにこれなにこれー?

 

 おぅふ、唐突に視点がレイズに切り替わりましたねって、エェ!?(PRGS)

 ウッソだろお前www全然ゆる体力じゃん!www笑えんなお前www

 

◆逃げるニンジャを追いかけてスレイ!◆

 

 何か新しい指令出てるし、なにこれ強制?

 多分これ、ヒャッキに自キャラだけで勝ってたら体力残した上で連戦だったんでしょうね。で、今回は無理だったのでボロボロでプレイと。ナルホドね。

 

 ん、まぁ、やりましょうか(殺意充填)

 こういう連戦系って、追いついたらもう成功みたいなトコありますからね。普通にチェイスで引き離されないよう上手に走りましょう。コーナーで差をつけろ!

 こういった追跡ミッションは大概焦って急ぐとミスってピチュるので慌てず騒がずお静かに……おっぶぇ! 急なQTEはやめろぉ!(本音) ナイスゥ!(建前)

 

 はい、追いつきました。斜め上にカットビングしてたニンジャも緩やかに落ちてきましたね。フックロープで引っ掛けて接近しましょう。おいゴルァ! 降りろォ!

 

「なっ! しつこいクズ! ゲームセット! 僕の負けでいいからアッチいけ!」

 

 フィヒ! 実際イケショタ! 空のランデブー! 巻き取り機構で足にしがみついて……グサァ!(ナイフ刺突)

 

「グワーッ! 放せこの!」

 

 馬鹿野郎お前俺は放さねぇぞお前!

 おっ、そろそろ着地しますね。ここでジュー・ジツを上手い事使って彼を下にします。そんなカラテでニンジャ名乗るとか各方面にシツレイだよね。オラ! 紅葉下ろし!

 

「アバババババーッ!」

 

 ん? コイツまだ生きてるのか。アバ出たからもう死ぬものとばかり。

 じゃあね、死ぬまで殴ろうね。起きろ朝だぞ~。

 

「アバ……僕を殺しても、ラバーズ=サンが必ず……!」「……死ね!」

 

 知るかバカ!(右ダーカイ掌打)

 そんな事より!(左ダーカイ掌打)

 0721だ!(ビヨンボ・バスター)

 

「グワーッグワーッグワーッ!」

 

 ふぅ、最後にカトンでトドメを……しようと思いましたが血中カラテが無いのでダメみたいですね。

 普通に殴って殺すしかないデスネー。ホラホラホラホラ!(コッポ連打)

 

「グワワワワワワワワーッ!」

 

 ちょっと破ぁ当たんよぉ……(溜め動作)

 堕ちろ!(ボールブレイカー)

 

「アバーッ!」

 

 堕ちたな……(死亡確認)

 

「アバ……アバババ……」

 

 ……シバかなきゃ(使命感)

 

 まぁでも流石に死に体でしょう。ハイク詠ませてカイシャクしてあげましょ、そうしましょ。

 

 ん? なぜかカイシャクボタンにバッテン付いてて決定できないんですけど。

 まぁいいや。残り一本のナイフでね、首をね。ナイフだぁーッ!(唐ジョホ特)

 

「グワーッ!」

 

 おっと低体力ペナで動きが……。狙いがズレて肩に刺さっちゃいましたね。カワイソウニ、カワイソウニ……。

 今度こそトドメを……。

 

「グワーッ!」

 

 あれ、いやいや、今度こそトドメをだね。

 

「グワーッ!」

 

 今度こ――。

 

「グワーッ!」

 

 ……しゃらくせぇ!

 やっぱ殺しの華は首絞めよなァ!?

 

「ンググゥーッ!?」

 

 フィヒ! ショタの首絞め映像フィーヒヒヒ! キモティカ? キモティン・ダロ?(古代ニンジャ文明)

 俺の心の傷がどんどん癒されていきますよ!(性癖開示)

 

 っと……首絞めしてる最中にカトン一発分の血中カラテが溜まりましたね。どうせだし美少女による首絞めプレイで天国味わってもらってるうちに01んでもらいましょうか。

 じゃあな!(大発火)

 

「イヤーッ!」BOOOOOOM!「サヨナラ!」

 

 ヨシ!(ニンジャネコ)

 

 ふぅ、今度こそクリアですね。ミッション帰りの突発クエとかきついッスわ。もう体力もスタミナもカラテも空っぽよ。空っぽすぎてカラカラになったわ。

 

「レイズ=サン!」

 

 おうヤモト=サン、オッスオッス!

 相当な距離バイクで走ってたと思うんですけどよく追いつけましたね。実は俊足キャラな?

 

 この通り現行犯は殺したのでもう脅威はないよ。早く家に帰ってオナニーでもす――。

 

「レイズ=サン、血が!」

 

 血? あぁこれ返り血なので無問題です。なのでダイジョブじゃないのは衛生ゲージですね。顔中ショタの返り血まみれや。はやくシャワー塗れになりたいぜ。

 

 あっ、そうだ(唐突)

 どうせならこのまま効果の良い高級セントーに行って、ついでにヤモト用のバイクでも買いに行かねぇか?

 

「ダメだよ! ちゃんと安静にしてないと! レイズ=サン死ぬところだったんだよ!」

 

 怒ってんの? しゃぶってよ(条件反射)

 

 まま、ダイジョブだって安心しろよ~。ヘーキヘーキ、平気だから。減った体力はもうレイズ謹製の薬飲めばすぐ治るから。うん、OC!(イチゴ味)

 

 それより、リジェネ中の暇を潰す為にセントーでも……。

 

「もう、お願いだから無茶はしないで……。アタイだって、少しは強くなったんだから……!」

 

 まぁ実際今回のMVPはヤモト=サンですしね。

 なんかこのまま出かけるのは無理っぽいですね。たぶん、ドラクエめいて「そんな、ひどい……」が連発すると思うので。

 帰るか(提案)

 

「うん……」

 

 じゃ、指笛吹いてバイク呼んで、おう後ろ乗れや。

 

 このイカしたバイクは改造に改造を重ねたマジでやべーバイクだからよ、お前もこれに乗ればイチコロよ。後ろらへんのごーちゃごちゃしたところも沢山改造したんだよ。

 

 着くぅ^~(停車)

 はい帰宅しました。ぬわぁぁぁぁぁん死にかけたもぉぉぉぉん! シャワー浴びたらビールっすよ先輩!

 

「レイズ=サンは休んでて。アタイはこれ食べたら近所の人たちの手伝いに行ってくるから」

 

 優しいっすね先輩……好きッス!(大告女特)

 ていうかこのオオヌギ襲撃イベ、まだ続きあるんスね。けっこう長い系の奴なのかな?

 

 んー、やっぱ続きがあるならワイもやりたい。クリア報酬も「虹色の羽飾り」とかいうフレーバーアイテムやし。三つ目やけど何に使えるんこれ。ちゃんとした報酬も欲しいんよ~。

 

 おうYMT、やっぱワイもついてくで! ニンジャ手はいくつあってもええやろ!

 

「ダメ。レイズ=サンは休んでて」

 

 えっ、いや報酬……。

 

「ダメ。レイズ=サンは休んでて」

 

 いやだからクエストの続きを……。

 

「ダメ。レイズ=サンは休んでて」

 

 アッハイ(諦め)

 

 もともと体力最大値の少ないレイズ=サンは満タンになるのも早いのでもう少ししたら全快するんですケドネー。そこまで言うならお言葉に甘えて休息もらいましょうか。

 わぁーったよ。メシ作って待ってっからよ、ごはんの前には帰って来いよ。

 

「うん、じゃあ行ってくるね」

 

 あっ、おい待てぃ(江戸っ子)

 どうせならクロイヌ乗ってくといいゾ。ちゃんとヤモト=サンが乗れるように設定しといたでな。

 

「わかった、アリガトね。レイズ=サン」

 

 ま、相棒だし多少はね?

 

 

 

◆ーーーーーーーーーー◆ーーーーーーーーーー◆

 

 

 

 ブッダは今日も眠っている。ネオサイタマという近代都市は煌びやかな外観とは裏腹に、ごく一部の区画を除き人間にはあまりに生きづらく設計されている。だからこそ多くの市民は金や学歴、暴力や権力で武装し、生存の為の競争を続けるのである。

 

 だが、ネオサイタマは絶望の橋の向こう側。この世全ての希望を捨て去った先のオオヌギ地区には、カネモチ・ディストリクトやカスミガセキ・ジグラットに蔓延している様な人と人との競い合いはあまりに希薄だ。むしろ、排斥されし人の堕ちる下層にこそ人と人との繋がりや温かみが奥ゆかしく存在していた。これもまた、マッポーの世の生存戦略なのだ。

 

「Wasshoi!」オオヌギ地区の中心やや外れ。先のオムラ社による暴虐の傷跡が生々しく残る瓦礫集積地帯にて、一人の少女が一台のスクラップ寸前冷蔵庫を重機めいて軽々運搬していた。「「「ワオーッ!」」」見ていたオオヌギ住民は驚きの歓声を上げる。冷蔵庫を持ち上げた力強き者の名はヤモト・コキ。その痩躯に似合わぬ頑強さは彼女に宿るニンジャソウルと日ごろの鍛錬ゆえだ。「ヤモト=サン、スゴイ!」そんなヤモトの事情を知らないオオヌギ生まれの子供は無邪気に賞賛した。

 

「鍛えてるからね」ヤモトは純粋な瞳で見つめられ、照れくさそうに茶化した。「ヤモト=サンってニンジャみたい!」「はは……」子供の観察眼は往々にして鋭いものだ。ヤモトは旧時代ポテト・ジャージの下のニンジャ装束を意識し、苦笑して次なる肉体労働に勤しんだ。何にせよ、自身の忌むべき異能が誰かの役に立っているという実感は、ヤモトの自我に優しい温かみを与えていた。

 

 復旧作業に従事しつつ、人気のない所に来たヤモトは先のイクサの事を想起する。激しい怒り。焦燥。悲しみ。あの時だ、眼前でレイズが倒れたあの時、あらゆる負の感情が燃料めいて燃え上がり、自身のカラテを何段階も押し上げた。ヤモトはそれを、コワイと思った。自身の制御を離れた力の暴走を、恐れなければならないと思った。かつても同じ事を思ったが、知らず知らずのうちに心に余裕と安心が生まれ、隙になってしまったのだ。

 

 ヤモトは自戒する。今回は上手く収まっただけだ。義理こそないが、被害者も出ている。切り捨てられるものか。次はない。次は、誰も理不尽な目に遭わせるものか。「アサリ=サン……」今は遠き友人に思いをはせた。必ず再会すると誓った。それまでには、己のニンジャソウルと向き合い、なにより生存せねばならない。その為の方法は、レイズが教えてくれているのだ。焦るな、勝ち取れ。急いだヒキャクがカロウシする。ヤモトは人気のないところに行き、ゆっくり呼吸を整えた。

 

 そして、冷たい汗を拭い、ヤモトは息を吐いてオオヌギの空を見た。雨は止んでいるが、もうじきまた降るだろう。黒く分厚い雲が近づいている。ヤモトはレイズの事を考えた。本当の名も知らぬ、恩師の事を。いつも無理や無茶をして、暴力や殺戮を躊躇わない、けれど心優しい少女の事を。そうして、ふと気が付いた事があった。

 

 ヤモトは、レイズの事を何も知らない。知ろうとしない。何故? 今のこの関係性が心地よいから? 踏み込み過ぎると奥ゆかしくない。レイズもそれを望んでいる。本当に? ヤモトは心に隙間風が吹いた様に感じた。答えが出たはずの問いが、前提から崩れた。アンコシチューめいた懊悩の沼がヤモトのニューロンを埋め尽くした。

 

(((レイズ=サンの事、ホントに何も知らない。アタイは、それでいいの……? そんな気持ちで……? レイズ=サンとアタイは、いったい……)))

 

「ちょっとそこなオゼウ=サン、ひとつ道を訊きたいのですが……」「アッハイ」思考の隙間を縫うように、ヤモトの耳朶に澄んだ美声が入り込んだ。反射的に返事をしたが、ヤモトはニンジャ故の迅速なマインドセットで取り繕った。気配がなかった事を失念していた。「何処に行きたいんですか?」

 

「ええ、ドウグ社という会社があると伺いまして……」歌劇スターめいた美声の持ち主は、中性的なアトモスフィアの麗人だった。男とも女ともつかぬ美貌の下半分は防煙マスクで覆われ、切れ長の両眼は一振りのカタナの様。その瞳には、あまりにも妖艶に過ぎる魔性の魅力があった。何故か、既視感があった。疲れているのだ。

 

「ええ、ドウグ社でしたら……」ヤモトは目の前の人物の美貌から目を背けるように身体を逸らした。頭が変になるところであった。ヤモトがドウグ社のある方向を指さした、その時である。「ええ、ドーモ……」プツリと、ヤモトの首筋に冷ややかで鋭い感触。注射か、あるいは針で刺された様な感覚だった。即座に各種感覚器官が鈍化していき、やがて意識を失った。瞼が落ちる寸前、ヤモトの視界に虹色の羽根が映った。

 

 崩れ落ちるヤモト。その身体を謎の美しき人が優しく支え抱く。「ドーモ、ヤモト=サン、キラボシ・マーセナリーズのラバーズです」意識の無いヤモトの耳元に、意味の無いアイサツ。美しきニンジャ・ラバーズは、口元を覆っていた防煙マスクを息苦しそうに取り外した。そこから現れたのは、ゾッとするほど整った鼻梁と、艶やかに濡れた薄い唇。「またお会いしましたね」

 

「エー、聞こえるかなハッパギシ=サン。こちらラバーズ。プリンセスを確保したので馬車の用意を頼むよ」ラバーズはヤモトを抱いた逆の手でIRC通信し、事務的な連絡の後にしばし仲間と親しげに談話した。やがてIRC端末をしまうと、またも息苦しそうに胸元のジッパーを下ろした。白くきめ細やかな肌が露わになる。その胸は平坦であった。

 

「さてさて……彼女の王子様は如何にして現れ、如何にしてドラゴンを打ち倒すのか」ラバーズは眠れる少女を姫めいて抱き上げると、軽やかな足取りで仲間のいるポイントに向かった。「願わくば、邪悪なドラゴンなどに倒されぬよう。くれぐれも、ね……レイズ=サン?」口の端を歪め、振り返る。視線の先には、ヤモトが乗っていた漆黒バイクがあった。今はもう、彼の愛した存在ではない。

 

 

 

◆ーーーーーーーーーー◆ーーーーーーーーーー◆

 

 

 

「ええ、ええ、ダイジョブです、問題ありません。ええ、家を出た形跡はありません、ハイ。勿論です、抜かりはありません。ハイ、黒髪の方にも気づかれた様子はありませんでした。ハイ、ハイ、かしこまりました。ヨロコンデー!」

 

「では、爆破します」

 

 KABOOOOOOOOOOOOOOOM! オオヌギ地区の一角。四角いトーフ型建築の一戸建て住宅――レイズとヤモトの家が過剰炸薬によって爆破解体された。「「「アイエエエエエエエ!?」」」爆発の余波を免れたオオヌギ住民がクモの子めいて逃げ去っていく。

 

「良い爆発だぁ……」プレハブ小屋の屋根の上。炎上し黒煙を上げる元レイズ宅を眺め、爆弾魔のニンジャ――ハッパギシは恍惚とした表情で達していた。「やはり、爆発はこうでなくてはな……」ハッパギシが涎を拭った、その時である。

 

「エ?」ハッパギシの腹から、小さな手が生えている。「エ?」否、ハッパギシの背中から腹部にかけて、ニンジャの手刀が貫通しているのだ。「エ?」振り返るハッパギシ。誰もいない。見下ろす、誰かいた。真紅の瞳と目があった。その双眸は、共感性に乏しいハッパギシにもはっきり読み取れる程の、憤怒の炎が燃えていた。

 

「サヨナ――」BOOOOOOM! ハッパギシが爆発四散する寸前、レイズのオーバーカトンがその身体を焼却処分した。ハイクを詠ませる気分ではなかった。レイズは、遠く燃え盛る家を見つめた。重く、薄く、息が漏れる。

 

「……ヤモト=サン」レイズの小さな呟きは、風に紛れて消えていった。




◆忍◆ニンジャ名鑑#■■■ 【ホプロマクス】 ◆殺◆
 キラボシ・マーセナリーズ所属。「キラボシ・アウン」の片割れ。
 古代ローマカラテの使い手であり、そのワザマエは実際タツジン。ラバーズとは旧知の仲。
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