【忍殺実況】ヤモト・コキ育成計画.mp0【完結】 作:いらえ丸
一に修行! 二に修行! 三、四が無くて五に修行! な実況プレイはーじまーるよー。
はい、前回はイキりヤクザくんを成敗したところで終わりましたね。余談ですが、あのネームドはデッカー並みに強い一般通過モータルです。最近のヤクザはカポエラのひとつもできないといけないのか。
「イヤーッ!」ボッ!「イヤーッ!」ボッ!「イヤーッ!」ボッ!
で、今は見ての通りジツの練習中です。
寂れた廃工場でひたすら発火呪術を使いまくる幼女。明かりはゴミ捨て場にあったランタンひとつってな。
「イヤーッ!」ボッ!「イヤーッ!」ボッ!「イヤーッ!」ボッ!
えー、訓練を初めてから、かれこれ二週間ほどでしょうか。合間合間にバイトしたりヤクザ狩ったり筋トレしたりと色々より道してたにしろ、さすがにこんくらいやってたらそりゃ程々のカトン使いにはなってくれる……はずです。
はずなんですが、熟練度が3になっても4になっても威力も範囲も上がってないように見えるのは私だけでしょうか?
一応、状態異常の発生頻度は地味に上がってるみたいなんですが……。
「イヤーッ!」ボッ!「イヤーッ!」ボッ!「イヤーッ!」ボッ!
通常、スキルツリーを伸ばしたい場合はイクサなりイベントなりで経験値を貯めてポイントで購入するもんなんですけど、何かこのアペ・ジツ派生のスキルはどうやら条件で解放するらしくて、条件を満たしていない現在はその詳細を知る事ができないんですよね。
なので、条件にある「派生元スキルの熟練度が最大」を満たすべく朝な夕なひたすらゴミを燃やしてる訳ですね。ああ^~。床中灰まみれや。
ついでに灰被りと化したレイズちゃんの衛生ゲージがそろそろレッドになりそうです。レッドになると如何にもなオーラを纏い、周囲のモータルが鼻をつまんで一部店舗では出禁を食らうようなそんな状態になってしまいます。
そういった「衛生」とか「空腹」のゲージは減り次第回復させてあげないと効率が落ちるんですよね。なのでこの工場にもお風呂を設置しております。
そう、あそこにある五右衛門風呂ですよ。ゴミ捨て場漁ってDIYしました。残念ながらニンジャをカマユデにする事はできませんが。いや出来ても困るんですけどね。
さぁ、もうちょっとでお風呂だ。頑張ってくれ未来のメンター!
◆「アペ・ジツ」の熟練度が最大になりました◆
◆新たにスキルを獲得できるようになりました◆
ヨシ!(現場猫)
これで派生先のスキルを確認できるようになり、経験値も足りてるようなので取得もできるみたいですね。さっそく見てみましょう。
◆アペカラテ◆
アペ・ジツの応用カラテ。
素手での攻撃ヒット時に炎属性の追加ダメージを与え、確率で「炎上」の状態異常を付与する。
◆アペ・スリケン◆
アペ・ジツでスリケンを生成する。
着弾時に炎属性の追加ダメージを与え、確率で「炎上」の状態異常を付与する。
また、アペ・スリケンは着弾と同時に爆発し、消失する。
取りますねぇ!(食い気味)
正直かけた手間暇の割に合わない使い勝手の悪そうなジツなりワザなりが来たら最初からやり直すつもりでしたが、これはなかなか良い感じじゃあないでしょうか。
ポイントには余裕があるのでどっちもいただキンカします。
さて、試しにさっそく使ってみましょう。
まずは「アペカラテ」から、えーと……これどう使うんだ?
あ、これカラテとかいう名前のくせに時限強化スキルみたいですね。とりまスキルをセットして、オォン!
「イヤーッ!」BOM!
フムフム、ごく短いジツ使用モーション後に各種攻撃に前述の効果が付くみたいですね。拳があちーぜ!(決め台詞)
試しにいつものドラム缶くんを殴ってみると、普通のパンチのダメージの後すぐにジツのダメージが出る仕様らしいですね。
あっ、効果切れた。早くなぁ~い? 効果時間はだいたい5秒くらいですかね? お~はえ、もう終わりましたわ!
だいたいわかりました。これアレですね。ダクソ3でパリィ致命取る直前に松脂塗る感じで使うスキルですね。炭松脂の薬包じゃんね。
これもカラテありきだなぁ~。鍛えなきゃ(使命感)
続いてアペ・スリケンも使ってみましょう。まぁどんなのかは大体わかるんですけどね。
「イヤーッ!」
まぁこれは普通に想像通りの炎纏ったスリケンですね。
ちょっと弾速が遅いかな? これはジツの仕様かレイズちゃんの貧弱さ故かはわかりませんが、見た感じ威力はまぁまぁですね。あまりけん制向きではなさそうな。投げる時にいちいち足止めるのは仕様でしょうね。
使用感としては某ガンダムゲーのバズーカ系武装を使う感じでしょうか。生当ては難しそうな。
ま、バカとカラテは使いようです。上手い事使ってみせますよ、たぶん。
ついでにそれぞれの派生スキルもあるみたいですし、今後取得するスキルで戦法はいくらでも変化するでしょう。
おや、見てみたら新しく「イロリ・ジツ」から派生スキルが生えてますね。詳細は隠されてますが、条件は開示されています。条件は……「一定以上の奥ゆかしさ」!?
まーた面倒臭そうな……。
やりますけどね!
はい修行編はここまで、ここからは18禁だ(暴力描写)
カラテもジツも鍛えたところで使わないと意味がない。これはゲームだし遊びなのだ。ガンガン使ってドンドン強くなろう!
そして目的はあくまでもヤモト育成、あくまでもバディ! 快適な拠点の確保の為に金策はし過ぎて損はありません。
手っ取り早く金を稼ぐならば、やはり暴力を売る(至言)
なので傭兵ミッションを受けます。拠点に置いてあるUNIXに近づき、「傭兵ビズ」を選択します。
するとその日受けられる日替わり自動生成ミッションが一覧で出てくるので、良いのがあったらそれを受けたいと思います。ミッション名の隣に重点マークがあったらそれはイベント付きの奴なので今はやりません。
エート、今あるのは……。
◆回収◆記憶素子の回収
◆護衛◆銃器密売の護衛
◆輸送◆違法マグロ粉末の輸送
……良いのがありませんね。
アイテム回収系のミッションとか面倒臭すぎますし、護衛も時間がかかる割に報酬が渋い。マグロ粉末の輸送は報酬が美味しいですが、輸送用の足がありません、徒歩だと非効率です。
アー、武器揃えたら乗り物も欲しいな~。それを買うにも金がないとな~。金金って言うんじゃねぇよニンジャのくせにオォン!?
◆襲撃◆ヤクザ集会の襲撃
良いのあんじゃん(鉄華団の悪魔)
報酬も……ええやん!
襲撃ミッションはやる事がシンプルで大変よろしい。ちょうど今のレイズちゃんのカラテも試してみたかったところです。渡りに船とはこの事。当時は若くお金が必要でしたって感じでモロチン受けますねぇ!
あっ……(ミッション説明欄確認)
文末に「ヤバイ級用心棒の影あり」って書いてあるじゃん。
これニンジャいんの確定じゃん。
スゥーッ! ハァーッ!(深呼吸)
ま、まあ? 何とかなるでしょ(慢心)
受けちまったモンはどうしようもねぇ。ぶっちゃけキャンセル料払うと借金する事になるし、レイズちゃんの歳で借金生活とか可哀想すぎるでしょ。
ちなみにですが、このゲームはどこぞの悪徳狸と違って借金をすると一定期間内に一定額の返済をしなければヤクザが取り立てにきたりします。それでも踏み倒そうとするとソウカイヤが出張ってきてスカウトしてきます。なので、最速でソウカイヤに入りたい兄貴はあえて借金漬けになるのもアリですよ。
さらなる余談ですが、ヤクザに負けたりニンジャに負けたりすると強制労働コースに入り借金返済まで延々とバイトミニゲームをさせられます。ミニゲームの内容は色々ありますが、運次第でオイランにさせられたりします。男でもです(迫真)
んー、可哀想なのは抜けないのよね。なので是が非でも成功させるしかあるめぇ。
(なうろーでぃんぐ)
はい目的のビル前まで来ました。こういったビズの場合目的地までファストトラベルしてくれるんですよ。してくれないミッションとかもありますがね。やっぱ長距離移動用の足がほしい(遠い目)
じゃ、ビズの時間です。乗り込む前に作っておいたスシを食べましょうか。よし、都合よく「ニンジャ野伏力」が上がりましたね。まぁ突っ込むのであんまいりませんが。
それじゃ、ヤクザ狩り行ってみよー!(幸運女神)
まぁ何だかんだ言いますけど、世の中で一番興奮する時ってのはヤクザを皆殺しにする時ですよね(導入)
おっ、二階のトイレの窓空いてますね。興奮してきたな……さっそく侵入していきましょう。
こうやって、こう、侵入成功。おっ開いてんじゃーん! 上手い事パルクールすればロープとか無しでも同じくらいの速さで登れるんですよ。
ていうかここ男子トイレじゃん。不潔でしてよ(迫真お嬢様)
んー?
おや? 個室に落書きがありますね。ラッキーです。こういう落書きにはたまにDIYのレシピとか何かしらのパスワードとかが書いてある事があったりなかったりするんですよ。主観モードにして捜してみましょう。
え~っと、どこかなどこかな~?
「ザッケンナコラグワーッ!」
っぶねぇーッ!
落書き見るのに集中してエネミーの接近に気づくのが遅れてしまいました。幸いアラートが鳴る前に始末できたので何とかなりましたが。危ないところでした。
落書きにも大した事書いてないし、もうマヂ無理、壁壊そ。
ついでにこのクローンヤクザ死体を調べてみて……。
ありましたね、集会の場所。ガバくな~い? マップに表示されました。さっそく行ってみましょう。幸先がいいですね、これは短く済みそうだぁ。
どうやら集会はもう始まってるみたいで、解散すると一匹一匹プチプチ潰すハメになるので集まってるところにエントリーして派手に殺りましょう。この手に限る(シュワチャン・インストール)
カカッと走ってシュシュッと参上~! おっ、ニンジャじゃーん!
ドーモ、貴方の首にナイフをお届けに参りました。ナイフドーゾ!
「イヤーッ!」「「グワーッ!」」
はい警備ヤクザ排除からの飛び蹴りエントリーでドーン! ヤクザたちぽかーん! チャカドバーッ! お遊戯の時間だよ(厚底)
「イヤーッ!」BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!「「「「「「ザッケンナコラグワーッ!」」」」」」
どんどん出てくるクローンヤクザも、出てきた傍からカラテで排除していきましょう。ジツの使用は血中カラテが心配なのでニンジャ戦にとっときます。
オラ! クソ雑魚パンチ食らえ! ついでに座布団投擲も食らっとけ!
「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」
はい全滅。FOOO、気持ちぃ~。戦いに酔ってるんだよ俺はぁ!(液体)
するとムービーからの用心棒ニンジャエントリー。知ってた。ヤクザがいなくなるまでスタンバってたんですかね?
「ドーモ、ロックソルトです。ドッソイ!」「ドーモ、ロックソルト=サン。レイズです」
なんだこのおっさん!?(スゴイ・シツレイ)
見た事ないニンジャくん、自動生成ニンジャくんかな。こういうのは大概あんま強くないです。なんだ、ビビって損したぜ。クロスカタナのマークも見当たらないし、ソウカイヤとは無関係っぽいのも非常にグッドです。
とはいえアイサツは大事、古事記にも書かれてるってそれ一番言われてるから。
はいニンジャ戦開始です。どうやらオスモウモーションの様ですね。当たり判定と削りダメージに注意しましょう。
とりあえず見るからに鈍足そうなので遠距離からアペ・スリケン投げて様子を見ましょうか。アツゥイ!
「イヤーッ!」BOOOM!「ドッソイオラーッ!」
うおっ、スパアマ持ちかい! 危ねぇ炎スリケン気にせず突っ込んでくるとか巨漢ニンジャこっわ!
スパアマ持ちとはいえダメージは通ってるはずです。炎上はついてないようですが、弾速の遅いアペ・スリケンも十分当てれますね。突進避けつつスリケン投げときゃそのうち倒せるでしょ。ホラホラホラホラ!
ちょっと火ィ当たんよ~? ホラ口開けぇホラ! もっと下(段ガードを)使ってホラ!
「イヤーッ!」「ドッソイグワオラーッ!」 「イヤーッ!」「ドッソイオラグワーッ!」「イヤーッ!」「ドッソイドッソイドッソイオラーッ!」
なんやこの耐久ぅ!?
しかも血中カラテがもうほとんどない!? アペ・スリケン燃費悪いっすね。
まぁ熟練してないジツなんてそんなもんでしょう。ちょっと怖いですが近接に切り替えていく。イクサ続行じゃい。かかってこい!(星狐アピ)
「イヤーッ!」「ドッソイグワーッ!」「イヤーッ!」「ドッソイグワーッ!」「イヤーッ!」「ドッソイグワーッ!」「イヤーッ!」「ドッソイグワーッ!」
……長いな。
このままだと長すぎて長門有希になるので……。
皆さまのためにぃ~。
ヤモト=サンの育成方針についてお話します。
そもそも発売前情報しか頭に入れてない私ですが、曰く「君好みに育てたニンジャと一緒にイクサだ!」という文言からしてまぁまぁある程度は私好みのカラテに弄る事はできるんでしょう。
その大まかな方針として、ヤモト=サンにはカラテ重点の星の白金系女子になってもらう予定です。いや、ムキムキにはなりませんけど。
理由は単純で、ノー・カラテ・ノー・ニンジャだからです。つまりこうだ、女版ニンジャスレイヤーになれば最強じゃね? っていう。
これは決してディスでもネガキャンでもないんですが、本作におけるヤモト=サンの強さはちょっと普通……3点って感じです。
PVP界隈ではキャラ人気のおかげで使用率自体は安定していますが、その勝率に関してはナオキです。なにせ3部ヤモトまでしか収録されてませんからね。
ゲーム的に言ってもあまり優遇されている訳ではなく、オリガミ・ミサイルは威力の割に予備動作と技後硬直がキツく、近接における戦闘力もいまいちなイアイドーで自分から攻めていける性能ではありません。
遠間では行かれぬから=サンやゲスドに圧殺され、中距離では一定のスピードを持つニンジャに呆気なく接近され、近接はほとんどのニンジャに劣ります。対武器持ち性能は高いですが。
キャラ人気と研究の結果、現環境のヤモト=サンのキャラランクはD上位となっています。
参考までに本作における現環境での他キャラのランクを記載すると……、
・S=ラオモト、アガメムノン等(リアルファイト不可避)
・A=1部フジキド、イグゾーション等(普通に強く、あらゆる敵に不利がつかない)
・B=パーガトリー、アースクエイク等(不利な相手でも明確な強みがあるのでワザマエ次第だよ)
・C=ドラゴンベイン、シルバーカラス等(平均的な強さで有利不利どっちもあるよ)
・D=シャドウウィーブ、アズール等(強み自体はあるけど、不利な相手だとかなりキツいよ)
・E=ネザークイーン、モスキート等(明確な上位互換がいるので、使用には愛が必須だよ)
・F=ヤクザ天狗、ビーハイヴ等(ミスター・サタン枠だよ)
現在のキャラランクはこんな感じです。未プレイヘッズの兄貴達に言っておくと、これはあくまでゲームの中のPVPにおいてのランクだからね。
実際、PVPでは弱いけどストーリーではクソ強いシノビ・ニンジャクラン憑依ニンジャだったり、タイマンじゃない多対多PVPだと活躍できるニンジャとかもいるからね。
その点、ヤモト=サンはタイマンよりは多対多イクサに向いたニンジャと言えます。
先述のランクを見てもらうと分かる通り、やっぱ最強キャラってのは何でもできるしいつでも強いモノです。そうとなっちゃあ、我らがほんへ主人公をリスペクトしたビルドにしていこうってな塩梅です。
まぁドラゴン系とかは置いておくとして、だいたいの指標はニンスレって事で。
おっと、そろそろイクサも終わりですね。
何回もローキック食らったロックソルトくんの足がガクガクで突進後に転びかけています。じゃ、いい加減死んでもらおうかな。
「ド、ドッソイオラーッ!」
はいはい突進テッポね。ギリで避けてキック。
「イヤーッ!」「グワーッ!」
転んだらジャンプして背中ストンプ。
「イヤーッ!」「グワーッ!」
トドメにアペカラテ縫って、かわらわり!(威力75)
「イヤーッ!」「アバーッ!」
まだまだァ! 頭掴んでアペ・ジツでフィニッシュ! ジュージューになるまで焼くからなぁ?
「イヤーッ!」BOOOOM!「サヨナラ!」
ロックソルトは爆発四散! これインガオホーなのん?
にしても堅いニンジャでしたね。カラテはうんちでしたが、序盤で相手をしたい類のエネミーではありませんでした。チャカも弾切れまで使っちゃいました。
こりゃあ、まだまだ鍛える必要がありそうやなって。
今回は狩りやすいのが出てきたから良かったけど、オールマイティな奴が来たら負けてたかも。ニンジャ戦こわいなー。
てなわけで修行もできる金儲けもできるビキビキビキニ123で美味すぎてウマになるヤクザ襲撃ミッションは今後も優先的に受けちゃいましょう。それ以外はポイーで。
今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。
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「ひでぇな、こりゃ……」惨劇の大広間を見て、熟練デッカーのシモムラは無意識に呟いた。ヤクザの集会と思しきタタミ張りの宴会場は、視界一面血と死体と硝煙に満ち満ちていた。「まさにアビ・インフェルノ・ジゴクって奴ッスねー」シモムラの隣、エノスケはヤキトリ串を頬張りながら未整理の死体の列を見た。「他のマッポは?」「居ないッスねー」
「ったく、何やってんだか……」シモムラは濁った瞳で熟練の観察眼を働かせた。死体ヤクザの握るチャカ銃口に発砲の痕跡はない。撃つ前に撃たれている。それぞれ頭部に一発ずつ、職人芸的なワンショットキルだ。隅で倒れているヤクザは首に切り傷、周囲のタタミに大きな血のシミを作っている。相当無慈悲な殺戮が行われたのは明らかである。襲撃者のワザマエは尋常ではない。
「シモムラ=サン、ここ見てくださいッス」シモムラの背後、しゃがみ込んだエノスケが黒く焼け焦げたタタミを指差した。「バーベキューッスかね?」「んな訳ねーだろ」シモムラは注意深く焦げタタミの周囲を観察し、ソレを発見した。重く大きなスモトリの足跡と、軽く小さな子供の足跡……どちらもカラテのタッシャの踏み込み跡である。(((スモトリとガキの殴り合い? んな訳ねーよな?)))
経験豊富なシモムラには犯人の凡その結論が出ていたが、口に出したくもない。一般人はヤクザには勝てないし、ヤクザはニンジャには勝てないのだ。「またコレかよ」シモムラは半神の所業を見る度、過去を想起して鬱屈した気分になる。N案件の都度、いつもどこからかストップがかかってくるからだ。「オウ! シモムラ=サンじゃない!」このように。
血の宴会場に現れたのは死んだ目のマッポ達を引き連れた馴染みの不良デッカーだ。シモムラはこの男が嫌いだ。「久々の調査で張り切ってるトコ悪いけどね、今から此処はオレらが仕切るって事になったから、シモムラ=サン達は帰っていいよ?」そう言うなり、デッカーはマッポに指示してヤクザ死体を撤去させ始めた。「オイオイオイ、まだ調査隊も来てねぇんだぞ!?」反射的に怒鳴るシモムラに対し、不良デッカーは頭をボリボリ掻きながら返答する。「いいからいいから、どうせクズ同士の殺し合いでしょ? まともに調べたってなーんも良い事なんてないですって」
「テメェそういう問題じゃ……!」シモムラは不良デッカーの胸倉を掴み上げようとしたが、エノスケに静止された。「まぁまぁシモムラ=サン。クラダ=サン、後の事はお任せしますね?」二人を見る不良デッカーの眼は冷たい。やがて、不良デッカーはふにゃりと相貌を緩めてこう言った。「ええ、お任せ下さい」その声には温度が欠けていた。
「ブルシット!」ビル外に出たシモムラは道端の空き缶を蹴って悪態を吐いた。「気に入らねぇぜ全く!」「なーんか、最近増えてません? こういうの」エノスケが言う通り、昨今のネオサイタマ市警の間ではヤクザ関連の殺人事件が急増していた。その程度、ネオサイタマのチャメシ・インシデントだとしてもシモムラにはどうにも引っかかる。「あれの犯人はニンジャだ。それも単独」「ワオ、シモムラ=サンってばカトゥーンとか視るんスね。自分も好きッスよ、サムライ探偵」
「ケッ……」シモムラはエノスケの言葉を無視し、ポケットから最近また吸い始めたタバコを取り出した。咥えたところで気が付く、「火が無ぇ」「カトン・ジツ!」ボッ、とタバコの先端に火が付いた。エノスケのマジシャンめいた指に一本のマッチ・ボー。「実は自分、ニンジャなんスよ」エノスケは火のついたマッチをくるくる回しておどけてみせた。「そうかよ」シモムラは紫煙を吐き、少しだけ笑えた。
登る煙の遥か上、遠く歓楽街の街頭モニタにいつものように過激なニュースが流れていた。政治家の汚職。連続カラテ拉致監禁事件の犯人逮捕。そして、オムラ・インダストリーの企業買収。テロップに表示された会社の名は、「ユズリハ・タノシイトイズ」。
テック&カワイイで幅広い層に愛されていた企業「ユズリハ・タノシイトイズ」は、この瞬間オムラの支配構造に組み込まれる事となった。晒し首めいて並ぶスーツ姿の男たちを記者群の連続フラッシュが覆いつくす。感情のないコメントがシャッター音にかき消される。会見中、前CEOの名を出す者は誰一人いなかった。
◆アペカラテ◆
発動後、一定時間「素手」による攻撃時に炎属性の追加ダメージを付与する。
また、確率で「炎上」の状態異常を付与する。
アペ・ニンジャのカラテは時に山火事の様に苛烈で、時に揺れる焚火の様に幻惑的であったという。