悲しき再会
とある公共施設の一室。そこでは一人の少年が、同年代の少女逹数人から暴行―いわゆる集団リンチを受けていた。
「ほらほらぁ、いい加減何とか言ったらどぉ~?」
少女の一人が放った飛び蹴りを背中に受け、うつ伏せで倒れた少年に対し、おそらくはリーダー格と思われる少女が、少年の額を足先で小突き、暗く濁った
すでに少年は相当痛め付けられていて、体の各所には
「コイツいくら痛め付けてもほぼ無反応だから、全然面白くなぁい!」
「強がっちゃってぇ~!」
「泣き言の1つでも言ったら、少しはお情けかけてあげてもいいのに」
「もしかしてコイツドM!? うっわキッモぉ~!」
倒れたまま動かない少年を取り囲む少女逹に、彼を気遣う様子は一切なく、むしろ文字通り踏んだり蹴ったりするだけでは飽きたらず、思い思いの罵声を浴びせ始める。それでも録な反応がないと、ついにリーダー格の少女が少年の脇腹を蹴り上げ、仰向けにしたところに無防備な腹部目掛けて踵落としを放ち、そのままグリグリと踵を押し付け更に挑発する。
「アンタさぁ、プライドとか意地とかない訳ぇ? こんっだけボコボコにされてるのに、達観でもしたみたいにボケーっとしちゃって。何とか言ったらどう、なの、よっ!」
そのまま前髪を掴んで持ち上げ、他の二人に少年の両手を持たせて上半身を浮かせると、少年の胸元目掛け勢いを付けて蹴りを放つ。蹴られた少年は当然勢いのまま大きく身体を仰け反らせ、そして後方に堂々と直立する大型のパワードスーツにぶつかった。
直後、
「ぐっ、がああああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
なんとパワードスーツがぶつかった少年に覆い被さる様に倒れ、少年が今まで録に呻き声1つあげなかったのが嘘の様に苦痛に満ちた絶叫をあげだしたのだ。更に異常はそれだけでは止まらなかった。
「え…!? ちょっとアレ、どう言うこと!?」
「嘘…なんで…!?」
「なんで
そう、そのパワードスーツ、『インフィニット・ストラトス』――通称ISは、女性にしか扱えないはずの
突然の出来事に少女逹はパニックを起こすが、それは一見無反応の様にISを装着したまま、硬直した少年も同じだった。むしろISから脳内に流れ込んできた膨大な情報を整理すらできてない分、彼の方が動転していたとしてもおかしくはないだろう。
と、その場にいた誰もが混乱するばかりの室内に、新しく姿を現す者がいた。
「何をしている! 試験が終わったなら速やかに帰れと言…って…」
どうやら打鉄が起動した事を察知したらしい責任者の様だが、彼女もこの異常事態――正確には、
「一…夏?」
それはかつて、彼女が世界最強と祭り上げられていた頃、栄光の前に生け贄の如く見捨てられ、存在を闇に消されたはずだった最愛の弟。だがISを身に纏い、前方に30度程身体を傾けた少年は、その呟きに一切反応せず、沈黙のまま眼前の少女逹を見据え――
「グウォラアアアアアアアアアァァァァァァァァッ!!」
「「「「「ひっ、わああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」」」」
雄叫びを上げながら腕を振り上げ、床を強く蹴り少女逹目掛け突進しようとしたが、それは途中で止められる。
「おっ、落ち着け一夏っ! 私のことが分からないのか! 止めろ!」
正面から
この悲しき姉弟の再会が、後に世界を揺るがす騒動の火蓋を切ることとなった。
見直して思ったんですが、6年経ってようやく学園入学ってあまりの遅筆ぶりに自分でもウンザリしてます
せめて次回からはもう少し早く進めたい・・・