「自分が、IS学園に……ですか?」
「その通りだ、ボーデヴィッヒ
ドイツ軍IS操縦部隊――通称『
「りょ、了解しました。しかし、優秀な成績を残している代表候補生は多数いるはずですが、なぜ軍属予定の、それも訓練生では下から数えた方が早い自分が……?」
当人の語る様に、ラウラの成績はお世辞にもよくはない。当然厳しい訓練をこなす分、本人が思い込んでいるよりは一般的な代表候補生に比べ身体能力は高く、才も発しているものの、他の訓練生や、上位の代表候補生に比べれば、当人の語る通り見劣りしてしまうことは拒めない。
「確かに現在でこそ、記録上貴君を上回る実力の持ち主は多数存在する。だが上層部は以前の実績と、織斑教官が教員として在するとのことから、貴君との関係に目を付けたようだ」
「教官が!?」
どうやら軍や政府の上層部は、実力より
元々ラウラに限らず、訓練生の多くは、『
脳への視覚信号伝達の爆発的な速度向上に加え、超高速戦闘状況下における動体反射の強化を目的とした、肉眼へのナノマシン移植処理、『
元々『無事に生まれればそれだけで十分成功』と、生体として完成すれば――性能の優劣は観察や調査の一環として記録すれど――一切気に留めない彰彦に対し、要望規定に満たなかった前世代に当たる試験体達を、勝手に処分しようとした主導者達の関係は、ただでさえ冷え込んでいた上、彰彦が否定的だった強引な後天的調整でこんな事故が起きたとあって、一気に悪化したものの、計画の
教官として就任したことを聞いた訓練生達は、『ブリュンヒルデの妙技が間近で見れる』と湧き立ったが、紹介された千冬は、たった1日間を開けただけで、スクリーンを独占していた彼女と同一人物かと疑われる程に活気を無くしており、いざISを前にすれば、怯えるように蹲って体を震わせ、ひたすらに誰かへの謝罪を繰り返すばかり。あまりに進まず、業を煮やした上層部に無理矢理搭乗を決められれば、指先が触れただけで立つこともままならず、掠れたような呼吸で吐瀉物が付かないよう顔を上げ続けるのがやっとの有様は、教官の任どころか、今やISを中心に回る――むしろ振り回されているとさえ言える――世界では、日常生活でさえとても、と思えるほどに弱々しいものだった。
最早指導を受けるはずだった訓練生達はおろか、おなじ
『今のあなたを見ていると、
『…………弟が、な……いたんだ』
事情は事前に資料で知っていたことから、深くは訊かない代わりに、生気がなく、吸い込まれてしまうような闇を感じさせる眼を明後日の方角に向け、ボソボソと語り出す千冬。
『弟……ですか』
『あぁ。お前みたいに、いくら努力をしても、世間からは私を引き合いに出して、「不肖」などとされずにいたが、ある日突然親に捨てられた私にとって、唯一の家族だった。あいつを見ていると、分かると思える時があったんだ。強さとはどういうものなのか、その先に何があるのかを……。だが所詮、分かった気になっていただけだった』
『私は何も分かっちゃいなかったんだ……。何がブリュンヒルデだ。何が世界最強だ。どこにいるかもわからない束1人のご機嫌取りだけのために、世界規模の茶番で持ち上げられ、八百長試合に
『きょ、教官!?大丈夫ですか!?落ち着いてください!』
『あ、あぁ、すまない。また情けない様を見せてしまったな……』
咄嗟に「このままではまずい」と判断したラウラが、少々乱暴ながら声をかけるとともに揺さぶったことで、何とか思考の底なし沼から脱することができた千冬は、眼に生気はないものの、いくらか意識ははっきりしたようで、ラウラに詫びる。
『まぁ、なんだ。人間なんて、大事にしているものを無くせば、容易く壊れてしまう程に
結局それから間もなく、千冬は「1選手の自分には、もう軍人の方々に教えることはない以前に到底ついていけてない」と教官としての限界を悟り、本来2年間だった就任期間を、わずか半年と大幅に短縮した上で帰国。モンド・グロッソにおける自身の成果を「八百長」と否定の末、急な引退宣言で混乱する世間を尻目に、無気力の余り食事どころか水分の補給すら忘れて生死の境を
勿論『兵士』や『兵器』としての成長、完成を望んでいた主導者達にしてみれば、わざわざ再度
「おそらく貴官が断ったところで、他の訓練生を代表候補生として転入させるつもりだろうから、折角だし久々に顔を合わせてきてはどうだ?」
「……了解しました。ラウラ・ボーデヴィッヒ、今回の任を受領させていただきます」
正直2年経った現在でも千冬の話を理解できたとは思っておらず、がむしゃらに体を鍛え、訓練を繰り返すことでしか己を誇示できない自身では、果たして再会するに相応かと聞かれ、自身を持って頷くことができずにいた。しかしだからと言って辞退したところで、向かう人員を摩り替えるだけで終わるのなら、誰とも知らぬその相手に任せ、泥を被せる結果となるなら、端から期待されず、「出来損ない」と疎まれる自分が浴びに行こう、と思うくらいには、他の訓練生達への仲間意識はあった。
その様子に若干の罪悪感を胸に秘めながらも、以前なら自信なさげに辞退していただろう案件を――多少諦観も込めてだが――自ら了承したことに彼女の成長を感じるクラリッサ。
「そうか、すまぬな。ところで先日、日本からまた新しいアニメの
しかし直後クラリッサが背後の机に乗っていた段ボールの小箱を開け、中身を見せようとした矢先、ラウラは一礼してそそくさと部屋を後にしてしまう。
クラリッサは指揮官、
「さて、まずは代表候補生の振る舞いを聞きに行かねばな。確かIS学園は分類上軍事専門学校ではあるものの、日本においてISは軍事への敬遠もあってさながらクレー射撃用の銃器や、アーチェリーの弓矢に近いらしいから、あまり対応が厳しいと孤立しかねんし、どちらかと言えば実直さより華やかさを求められるそうだが……」
正直言うて「コイツホンマ大丈夫か」とか「馬鹿なの?」としか言いようがない(そのせいでヘイト集めてギャグ・シリアス問わず槍玉に挙げられ碌な目に遭わないことも多い)同じ作られた命ならある意味『ジュラシック・ワールド』のインドミナスとか『ディープ・ブルー』のサメの方がまだしっかりしてるんじゃねぇかってくらいフォロー不能な振る舞いにダントツチビなプロポーションで到底好みとは程遠かったんで、多分ヒロインでもトップクラスに内外問わず魔改造しました