他のも更新頻度上げとかんとなぁ・・・
早々に試合が終わり、一夏の様子を見に控室を覗いた千冬は、タオルで顔を隠したままベンチで横になっていた彼の姿に慌てて駆け寄ったが、穏やかな寝息を立てているのに気づき、安堵する。
「大分無理こそしたようだが、何とかシャワーから出て、椅子に腰かけるくらいの気力は残っていたか……」
シャワー室の扉が開いたままなことや、床に残る水滴から、彼が出てから直行して、そのままここで寝ていたことを察し、短時間でもせめて少し寝やすいようにと頭を持ち上げ、自身の膝に乗せ撫でてやる千冬。戦績こそ第1戦以降早々に棄権と振るわなかったが、その原因は厚かましくも
「ん……千冬姉……?」
「すまんな、起こしてしまったか。時間はまだ余裕があるから、もうしばらく寝ててもいいぞ」
そうしているうちに目を覚ました一夏が反応し、起き上がろうとするのを押し留め、撫で続ける千冬。そうしているうち、『グレート・ホワイト』の待機形態たる、上下にサメの牙を思わせる白い三角形が複数横に並んだ黒い眼帯の下、彼の眼球のない左目を見て、束のことを思い出す。
きっかけは箒が襲撃されてから間もなく、コーチに名乗り出た美雲とのスケジュール調整をしようとしていた所、酷く慌てた様子のクロエから入った連絡だった。曰く食事の準備ができ、
『あの、すいません先輩。そろそろ次の試合が始まりますので……』
「あぁ、了解した。すまん一夏、また行ってくる。試合の合間はその都度戻ってくるし、全部終われば迎えに来るから、ゆっくり休んでおけ」
そう諭し頭を持ち上げさせた一夏に、代わりと新たに取り出したタオルを枕代わりに差し出すと、千冬はゆっくり立ち上がり、また少し撫でてやってから部屋を去る。
「いやぁなかなか惜しかったな!まぁオルコット嬢に関しては、流石代表候補の面目躍如ってところか」
「嫌味は感じられませんから素直に受け取りますが、随分と軽薄な称賛ですわね。元々便乗がてら機体や社の宣伝が主目的でしたからで?」
「それもあるが、何分面倒事も多そうだしな。これ以上アイツ等との時間を削られてたまるかってんだ。その点アンタは、むしろそうした面倒事をやって評も上がりゃあ万々歳だろうしな。体よく任されてくれ」
良くも悪くも包み隠さず意図を述べる彼女に呆れた様子のセシリアだったが、意識を切り替え、終了に伴い同じピットに集結していた千冬達に向き直る。
「この度は皆様にお手数おかけしました。先生方も私の不手際にお付き合いいただき、感謝しますわ」
「巻き込まれた形になったコイツ等はともかく、私に関しては気に病むことはない。むしろ教師としては当然だからな。とりあえず今日の戦果と決定は、明日の朝礼で改めて発表しよう。これなら誰もお前のクラス代表就任にケチはつけまい……万が一難癖ぶつける奴がいれば、私が黙らせる」
組んだ腕の片方を持ち上げ、その親指を彼等に向けてから、「自分のことは気にするな」と宥めつつも、それでもなおこの結果に不満を漏らすなら、参戦に名乗り出なかった以上黙って受け入れさせようとする千冬の意図を、放たれる圧で察したセシリアは、軽く苦笑しながらも、ついでと事後報告する。
「それと速美さんに対しては、先程謝罪に訪れましたが、後日改めて謝罪の品などを用意したく……」
「待て、お前いつの間に速美の元に行った……?」
途端纏う空気を換えた千冬に、思わず戸惑い口がうまく回らなくなるも、下手なことは言えないと悟り、手短に伝える。
「え、えっと、次の試合、島津さんと五反田さんが戦っている間に訪れまして、お声がけしても反応はありませんでしたが、鍵が開いてましたので、様子を窺った際に……」
「そうか……まぁ詳しくは後で聞くが、別に代表就任を取り消したりはしないから、そこは安心しろ。それじゃあ山田先生、彼等を部屋に送り届けてください。私は速美を迎えがてら、鍵の点検などの後始末をしてきますので」
「あ、はい、わかりました。それじゃあ皆さん、今からお部屋に戻りますよ~。着いたらゆっくり休んでくださいね~」
ひとまず落ち着いた千冬に安堵した矢先、真耶に任され部屋へ送り返されそうなところにセシリアが待ったをかける。
「あ、あの!再度速美さんに謝りたいのと、クラス代表としてお手伝いしたいので私も同伴させていただきたいのですが、よろしいでしょうか……?」
「……まぁ同伴する分には構わんが、特に手伝ってもらうようなこともないし、途中から私情込みになるぞ?」
まさかの申し出に、思わず面食らう様に瞬きする千冬は、しばらく無言で佇んでいたが、軽く溜息を吐いてから、別行動の意図を話す。
「こちらこそ構いませんが、一体何をされるんですか?」
「なぁに、汚い連中の後始末だ」