添えられている数字は当時書いていた話数。
ゲームキャラのボディに憑依して異世界へ行く、という突発的な発想を形に深夜テンションで書き、ゲームの設定を考えるのが面倒くさくてPSO2の設定にしたろ! とか異世界とかわかんないからなのはにしたろ! ってなってできたのが「おっさんin幼女が魔法少女な世界で暴走する」になります。
TS物
1
困ったことになった。
視線が低い、体が小さい。つまりはガキンチョボディ。
つーか、これ……。
「女の子やん」
体を見て、確信していた。
・・・・・
状況を説明しよう。
死んで異世界に来た。以上だ!
よくある系な事なのでその辺は割愛する。
たぶん漫画にしたら半ページ行けるかってくらいでまとめてOKな感じで割愛していこう。そこは重要じゃない。
神様特典的な物としてゲームで使ってた自キャラになりたいと要求してみたんだけど、自キャラってだけでどのゲームか選んでないせいでちっこい
「うーん、どうすっぺかなぁ……」
頭の帽子をくるくる回して考える。
記憶が正しければ、これはとあるキャラクリメインのオンラインゲームで使っていた女キャラだ。身長は140cmちょいですっげぇ低いのに、ピシッとスーツと帽子を決めている。
懐にはしっかり文明の暴力であるハンドガンも備わってる。ここがよくある中世的異世界ならオーバーテクノロジーじゃなかろうか。
ともかく、要するに息子は消えついでにキャラクリ的に胸もない。
「まずは街に出にゃいかんが、まずここはどこよ」
スポーン地点が森とか。
開拓したいとか村を作りたいとかはちょっとは憧れるけど、何にせよまずは生活地盤を整え慣れければなるまいよ。
街を探して彷徨いたいところだけど、今は着飾っただけの女の子ボディ。
以前の体と比べると歩幅は大幅に違うし、それ故に移動速度も違う。と思う。
「森ってだけで移動コストかかるもんなぁ」
よし。
とりあえずまずはマイボディの性能を確かめよう。
カッミ曰く、見た目だけの特典だとポイント余っちゃうから色々便利に調整してくれているらしい。
というか、つまりはゲーム内の性能をある程度再現してくれているっぽい。
あのゲームでこのボディはほっそい見た目とは裏腹にタンクだった。
HPを盛りリジェネをつけ、不死身の何がしとして名をはせた。まぁ、耐久力より攻撃に盛れってゲームだったし耐久特化は地雷だけど。
で、マイボディの性能を確かめる方法だけど。流石にガチで不死身になってるか確かめるために自害する気はない。
やるのは身体能力の確認と、銃の弾数。
「ダッシュ、ジャンプ」
すげぇ!
ダッシュはスタミナ知らずの猛スピードだし、ジャンプは木々を軽く飛び越す。すげぇ!
すげぇけど、ボディに対するブレインがステイシスだからメモリーが不足してウォーターにダイブ。
つまりは、脳が追い付かずに池ポチャした。
「やっちまった……」
さっきまでの身体能力は全力のものだ。
普通に動く分には今のような惨めな濡れネズミとなる。
「最悪だぁー!」
せっかくのスーツも帽子もびっちゃびちゃだ。
「これで銃が撃てなくなってるなんてないよな?」
取り出してバーン。普通に撃てた。
「リロードは?」
ゲームじゃリロードのモーションは無くて、攻撃後にスライドを引くみたいなモーションがあるだけだった。
数発撃って、それに習いスライドを引く。
いつも聞いたシャキって音がした。撃ってみる。
「弾無限とかチートかぁ?」
リロードは必要だけど弾は無限チート。
うーん、ささやか。他のチート転生者共はもっと欲張ってたぞ。
「……服、乾いてね?」
こんな事に余った特典ポイントを突っ込むな。
もっと欲張っておけばよかった。
2
やぁ。特典のまとめだよ。
1 マイボディ少女化(
2 各種身体能力強化(すごい!)
3 弾薬無限(リロード必要)
4 洗濯&乾燥(この服を着まわせ)
うーん。微妙。
後で何かしら覚醒とかしない物だろうか。
個人的にマイボディ少女化は意外と辛い。
自分で言うのもなんだが、ジト目低身長にハードボイルドな格好をしたこの少女はかっこかわいい。特典4は服だけでなくボディにも適応されているようで、かわいいが持続する。
しかし喜ぶのは束の間。この格好、この顔は異世界ではどうなんだろうか。
文明レベルがよっぽど高くない限り、パリッとしたスーツなんて高貴な服を着ていれば当然目立つだろうし、顔立ちの良い少女ともなれば拉致も存在してきそう。
つまりは、
「街に行くのが怖くなってきた」
高まったボディ性能に脳みそを慣れさすべく、森を駆け巡り山岳を跳び超え高所から見下ろして街を見つけた際にこの結論に至った。
残念ながら視力までは強化されていなかったので人々の服装まではわからないけど、街の発展具合はそこそこ。というか、新しく町作ってるところだった。
うーん、建築の仕方っていうか。そっから見える限りは重機もないしやっぱりテンプレ中世か?
ちゃんと転生の折にその辺聞いとけばよかった。
「川辺の
シュミレーションゲームで言えば周辺に森と平野が良い割合で存在しているのでなかなか良い都市になりそうで何より。
現実逃避は置いておいて、しかしどうすっぺか。
果たしてこのままピシッとスーツを来た子供が「旅です!」なんて言って受け入れられる筈もない。
「テンプレ……テンプレ……」
その一。お嬢様かなんかが盗賊に襲われているところをジャジャーンと救出。お礼として町に入れてもらう。
その二。イケメンの俺ちゃんは上手い良い訳を考える。
その三。門をぶち破り都市と戦争。占拠する。
「都合よく1が来るわけないしなぁ」
やはり正面か?
しかしなぁ……。悩んでいる内にも腹が減ってしまうだろうし。
む。
「モンスター、か……」
ぎゃあぎゃあと後ろから鳴き声がして振り返ると、飛竜的なモンスターがいた。
なんだろうアレ。とりあえずよくわからんから小ワイバーンと名付けよう。
2匹の小ワイバーンは俺の事を餌とでも思っているのか、騒がしく嬉々としてやってきている。
「戦闘訓練だ」
かちゃりと銃を構えて正面へ。
ふふふ、小ワイバーンめ。これがただ連射できるものだと思うなよ。
「フルチャージ……」
連射は通常攻撃。なればこれはスキル技よ。
攻撃を貯めると貯めた分だけ威力と同時攻撃数が上がるマルチロックバーストよ。
ゲームでもこの世界でも初めて撃った時はマルチミサイルかと思ったし、挙動もそんな感じだ。
「──ぎゃあ! ぎゃあ!」
「俺の怒りを食らえ!」
どーんっ!
計6発のミサイル的な何かが小ワイバーンを襲う!
うん、流石は範囲殲滅技。雑魚的なら粉々だ。小ワイバーンはばらっばらになってしまった。
ダメだったら普通に射殺するつもりでした。
「罪悪感は無し。……しかし、モンスター有の世界か」
その辺の説明は受けていなかったので考察していくしかない。
あとは魔法と各種ギルドがあればテンプレ異世界確定だけど。
「ん? 待てよ」
リロードしてもっかい銃を構える。
試すのはさっきダメだった際に使おうとしたスナイプ。
ゲームだとこれは名前の通り狙撃も行えるため、スコープの機能が付いているのだ。
「見える見える」
ゲーム中だと色んな見た目の武器があって、マルチミサイルやスナイプをしても違和感のない見た目もある。しかし俺が使っているような実銃系の見た目でそれらでするととてつもない違和感でネタになるのだ。
つまり今、傍から見ると俺はハンドガンで狙撃を行う変態となっている。
けど実際見えてるんだし性能的にはちゃんと撃てるんだし。
3
狙撃モードで観察して気が付いたけれど、なんだか揉めているようだ。
貧相なボロ服を着たおっさんと騎士的なおっさんが言い争っているのが見える。
「方向性の違いか?」
そしてそのまま方向性の違いで解散と。
空いた土地は蛮族である俺がしっかり占拠してやるから心置きなくどっか行っていいぞ。
「……腹、減ったな……」
本当にどうしよう。
ダメ元で町に向かってみようかしら。
どうせこんな異世界だ。写真が残るわけでもないし、ダメだったらすぐ逃げればいい。
頭のおかしくなる身体能力で駆け抜ければ大丈夫っしょ。
「そうと決まれば」
崖を飛び降り、腕を組みながら上半身を一切ブレさせることなく森林を駆け抜ける。
その全力疾走で町の近くまでつけてなお息切れすることも、足がぱんぱんになることもない。
森に接している建物の裏から屋根へこっそり跳び、耳を傾ける。
言い争っている声を整理してみると、この辺りはモンスターの数が多く、土地自体はいいけれど危険が伴いすぎるとの事らしい。
しかし護衛防衛ににモンスター退治の専門職である冒険者が呼ばれているはずなのに今も来ていない、どういうことかと。
「今日も被害が出ているんだぞ! もうこれで7人が死んだ! 冒険者がこないならあんた達が巣を駆除してくれよ!」
「ダメだダメだ! 俺達が冒険者の仕事を奪っちゃいかんだろう」
「だからって見捨てるのかよ!?」
「見捨ててなんていない。だが、騎士は最低限の魔物退治しかできない」
「腰抜けが!」
うーん? 名称はモンスターじゃなくて魔物か。
そして、戦闘職は冒険者と騎士で別物と。
冒険者が魔物退治の専門家で、騎士は何だろう。国同士の戦いとか治安維持とか辺りだろうか。
まー確かに、国を守る騎士連中が魔物退治してて都市が手薄となられたらいけないし。
「な、なんだあんた!」
あ、やべ。建築中のおっさんに見つかった。
おっさんが騒いだせいで全員に見られちゃった。
まだ見つかっただけなので、素直に降りる。
上手い事ことを運べば俺の市民権が得られるかもしれん。
材料はさっき下の言い争ってるおっさんが話していた巣の駆除。
人がやられている辺り、魔物の巣と言った所か。
「通りすがりのガンマンさ」
「貴族の子供か?」
「ガンマン……?」
うん。ちぐはぐだよな。
「失礼。私は騎士隊長のマックスと言うものだ。君が何者なのか聞きたい」
「そんなことより、魔物でお困りかい?」
「……所属の明かせない者に話す事ではない」
アレっちは警戒しているが、おっさんは食いついてきた。
「そんなんだよ、魔物の巣ができててよ、ここに来てからもう何人も……」
「おい、余計な事を話すな」
「頼むよ、何とかしてくれよ……」
「黙れと言っている」
もー、硬いなぁ。
けどまぁ、マックスの言うこともあってるし立場もあるし仕方ない。
「君は何者だ?」
「ま、旅の冒険者とでも思ってくれていい」
ごめん。設定とかまだ考えていないんだ。
「……そうか。冒険者に過去はない。君のような身なりの良い子供に何ができるのかは分からないが、やりたいというのならやってみるがいい。案内に出る! 町は任せるぞ!」
マックスが折れた。
剣と鎧の位置を確かめ、他の騎士達に伝えてからついてこいと歩いていく。
歩幅が足りず俺は若干駆け足になるが。
森に入り少し経ったところで、マックスが歩きながらも話しかけてくる。
「君はどこかの令嬢であろう? 家出でもしたのか?」
「女に過去を聞くもんじゃないぜ」
「それは失礼。……ところで、女性であることを隠すために男装をしているのではないのか?」
「これは趣味さ」
主に性癖的な意味で。服装だけじゃなくて顔体型含め。
あと口調がどうしても気取ってしまう。ロールプレイ的に楽しい。
前の体だったらキモオタ乙だがこっちの世界ならこれでも受け入れられているってんだから異世界バンザイ。
でもせっかくなら銀髪イケメンでハーレム生成とかちょっとして見たかったかも知れん。絶対気疲れで鬱になるが。
「着いたぞ。ここだ」
マックスが崖になっているところに膝を立て、下を覗き込む。
俺も横に立ち下を見る。
なるほどあれは巣だ。アリの巣みたいな入り口からダブルヘッドイッヌが顔を覗かせている。
なんだっけあれ。名称は分からん。
「君はここで待っていたまえ」
「おいおいマックスさんよ。騎士は戦っちゃいかんのじゃなかったか?」
「本当はな。だが、今なら君の護衛という名目で戦える」
「……お手並み拝見だ」
なるほどなー。
マックスは倒したかったが仕事上、町を動くわけにはいかず。
そこへ家出貴族の世界を知らぬ魔物討伐英雄志願の子供が意気揚々と出てきたので、それをダシにして巣の討伐を行うと。
飛び出したマックスは剣を巧みに操り、ダブルヘッドドッグを斬り伏せシングルヘッドにしていく。
動きは……人間だ。この世界の住民がどんな動きをするか気になってたけど、この調子だと俺のような動きは化け物か変態扱いだな。
「おっと、出番かな?」
巣の中からトリプルヘッド……あー、ケロベロスだ。ケロベロスが火を噴いた。
マックスは剣で払おうとするも流石は地獄の番犬ファイア。騎士の鎧を焦がして吹っ飛ばす。
「射殺」
弾丸はケロベロスの眉間を貫き絶命させた。
うーん、結構距離あったんだけどな。実はオートロック付とか。
ん。おっと、ダブルヘッド×4の計エイトヘッドドッグの眼がこっちを捉える。
「に、逃げろ!」
そいつぁ無理だおっさん。
今の俺の足なら振り切るのは余裕だけど、一般ピーポーの脳みそは処理しきれず転んで死ぬ。
だったら、戦うしかないよね。
幸いにも相手は4体。最大6まで同時攻撃可能な俺に隙は無い。
「よっ、ほっ」
動体視力は強化されてないと思ってたけど、戦闘に耐えうる強化はされてた。
噛みついてくる口を払い、蹴って飛ばし、チャージの時間を稼ぐ。
警戒しているのか、ダブルヘッドは俺を囲むように唸っている。
だが残念。時間切れだ。
跳躍。俺の視界にイッヌの群れがすべて収まる。
「ふぁいあ」
眼下の全てが炎に包まれる。
「わっぷ!」
爆発してる途中に落下したせいで、俺も爆炎に飲まれた。
うん。あっつい。たき火に当たったかのようだ。
「やべ、おっさん無事か!?」
俺ですら熱いと感じるんだし、おっさんも無事じゃすまないぞ
声を出すと、盛り上がった土からマックスの腕が伸びた。
続いて地面をめくりながら這い出てくる、焦げつつも無事だったようで何より。
「誰がおっさんだ。誰が……」
そこなんだ。
「死ぬよりかは無事だ。……助けられたな」
「犬どもを爆殺したことについてはノータッチ?」
「魔法を使うなら言って欲しかったが、君を子供と侮った報いとして受けよう」
「せんきゅ」
流石は騎士様。寛大だ。
で、これからの予定は?
「巣を潰したらすぐ町に戻ろう。俺以外は新米だから不安だ」
そう言ってマックスは剣を構え、さくっと地面に突き刺す。
剣が光り、引き抜くと剣先に変な宝石的な物が。
「ほら」
「おっと。これは?」
「魔石だ。その内役に立つ」
「あんたが持ってなくていいのかい?」
「ふっ。俺はあくまで護衛だ」
続けて、どっちが守られたか分からないがなと付け足す。
町に向けて歩みを進めているのだが、どうもマックスの様子がおかしい。
うーん……。
「足でも折れたか?」
「かもな」
「おぶろうかい、ご老人」
「まだ26だ」
「もうじゃなくて?」
「……衰えたかもな……」
軽口には軽口でマックスは答えてくれる。
表情はすぐれないが、こっちが黙ると「どうした?」と話したいようだ。
「話すと気がまぎれるんだ。続けてくれ」
「死を悟ったみたいな言い方するなぁ。足折れただけだろ?」
「致命的だぞ。歩けなくなったらこの町も国もおしまいだ」
「国ごとぉ? 自信あるねぇ」
「冗談じゃない。この町を起点にして新たな国起こしをするのさ」
「国家転覆って奴?」
幸福度を蔑ろにする政治はそうなるか。
「暴君だよ。兄を殺し国王の座についてからはやりたい放題。俺がこの地に来たのも、新たに国を作るには良い土地だと思ってな」
それから息を詰まらせながらも、マックスはそれ機密じゃないのって話をしてくれた。
首都から遠く離れてかつ良い地形で町を作り、そこを拠点として独立。力を付けて他の都市を味方に付けていき、最終的に国王を倒す。らしい。
「魔物に関しては冒険者を派遣させることで対処しようと思ったのだが、ご覧の通りのありさまだ」
「察されて止められたか、割に合わんとやめたか」
「どちらかだろうな」
さて。
「マックス。剣をおろしてもらえないか? 怖くて話もできない」
4
「はは。流石だ。だから君も杖をおろしてくれ」
足の遅さを理由に俺の後ろを歩いていたマックスに銃口を付きつけつつ、剣先を警戒する。
そんな話をするくらいだからまさかとは思ったけど、脅してくるとは思わなかった。
「話をして、君の人柄は理解できた。だからこそ共感を得られると思ってこの話をした」
「じゃあそういえばいいじゃねぇか。女は気まぐれだってか?」
「いいや、そうじゃない。最後の確認だ」
「はあ」
「こういう局面においても落ち着き対処する器。それを確かめたかった」
うん。ごめん。
人を撃つ覚悟がなくて止まっただけ。
「で、判定は?」
「……ぜひ、我々に協力して頂きたい」
「貴族の娘じゃないぜ? コネは期待しない事だ」
「ふっ、コネなら俺も負けん」
ふたりで笑いあう。
思ったよりこっちの生活も楽しくなりそうだ。
「これが家です。狭いですが……」
「雨風しのげりゃ上出来よ」
「へへ、ありがとうございます」
町へ戻った後に待ち受けていたのは、おっさん共の熱烈な歓迎だった。
なんとマックスは恥もなく、あったことをそのまますべて話したのだった。
町民から騎士の評価は落ちたが、逆に俺の評価は爆上がりして一番良い質の家を手当てしてくれた。
食事も用意してくれているというので、余った時間でマックスの様子を見に行こう。
「お邪魔するぜ」
「よ」
簡易ベッドに腰かけたマックスが手を振る。
「足の具合はどうだい?」
「ぽっきりとな。もし魔物の襲撃があれば頼むぞ」
「そりゃあ私の生活かかってるんだし善処するさ」
「頼もしい。……何か用があったんじゃないのか」
思ったより元気そうだが、顔色は優れない。
一応治療はしているが、たぶん内部的なダメージが残っているっぽい。
「おい、まて、お前」
ぱんっ!
銃が火を噴く。
「……」
口をぽかんと開けたマックスは、わなわなと震えている。
当然、介錯に撃った訳じゃない。
これは回復弾。本来ならば内なる耐久レースに勝つタンクのスキルが一つ。
「なにを、した」
「さぷらーいず」
「……心臓に悪い」
「まだ足りないかい?」
「いやいい、結構だ。あとは安静にしてればすぐ治りそうだ」
様子を見るに大丈夫そうだ。
元々は気持ち回復する程度でヒーラーには及ばない、ないよりかはまし程度の性能だし期待はしていなかったけど充分らしい。
「君は、不思議だな」
「ん?」
「その歳で高火力の魔法と回復魔法を使いこなすとは……」
「すごいだろ」
「ああ、すごい。味方で良かったよ」
「感謝しろよ?」
「ああ、感謝する」
雑な返しになってきた。
「もし、だ。計画が順調に行ったとき、君はどうする?」
「といいますと」
「君の実力からしてどんな地位にでも収まれるだろう。英雄になれる」
「興味ないね」
本当に。
忙しい生活より、のどかなところで働かずだらだら過ごしたい。
「ははは! 面白い。過剰な力を持っておきながらそれを振りかざす事もなく、あくまで平穏な日常を望むか」
「いいだろ?」
「ああ、素晴らしい。国民すべてがこうして過ごせる未来が楽しみだ」
おっと、規模が広いぞ。
夕食に呼ばれたので言ったが、この世界の食事はクソまずいとは言い切れないけどおいしいとも言えないものだった。
まぁ調理法うんぬんよりも品種の問題だろうけど。
翌日。
品質:最高を保つ服と肌をしているので目覚めは最高だ。
「で、これはなんの騒ぎだい?」
家の前におっさんの群れができていた。
「い、いや、お嬢の……」「バッカ、黙ってろよ」
はっはーん。
まさか俺ちゃんに惚れたか?
いやぁモテる女子は辛いね。
5
それから数日。特に何事もない日常を過ごした。
流石にそれくらい経つと俺が女の子であることは周知の事実になっていて、しかし男装だからか気を使ってお嬢さん扱いする人は少ない。
「今日も今日とて平和なり」
ここまで書いて、やめましたので没小説へ。
ちなみにマックスさんはまた別の所へ流用しています。