ストライクウィッチーズ 空戦魔導士の追憶 作:水無月 双葉(失語症)
少し整備の不足している自転車の音が聞こえ、道に目を向けると郵便配達員がこちらに向かって来た。
玄関先を掃いていた俺は邪魔に成らない様に道を譲ると、配達員の自転車は診療所の前で止まる。
「郵便です」
「何時もご苦労様です」
軽く頭を下げ差し出された封筒を受け取ると、配達員も軽く会釈をしてから自転車を走らせて行く。
何となく見えなくなるまで背中を見送ってから封筒に視線を落とすと、海外からのエアメールだった。
「誰からだ?」
何の気無しに手首を捻り封筒の差し出し人を確認した瞬間、俺は大きな声を張り上げる。
「芳佳ちゃん! 先生! 大先生! 大変です!」
庭の掃き掃除をしているであろう芳佳ちゃんの居場所に走りながらも、俺の心臓は別の意味で早鐘を打っていた。
「如何してお父さんから手紙が!? お父さんは死んだんじゃなかったの!」
目を見開き少しパニック気味に先生に詰め寄る芳佳ちゃんの肩を掴む。
「芳佳ちゃん、気持ちは分かるけど少し落ち着こう」
「輝さん……」
俺を見上げ一瞬泣きそうになった芳佳ちゃんは、慌てて顔を背けた。
「ブリタニアから投函されているわね」
ブリタニア……って事はイギリスか……あれ、確か坂本少佐はブリタニア方面軍だったよな……
封を切った先生が中身を確認すると、一瞬目を伏せてから中身を芳佳ちゃんに手渡す。
「ウソ、お父さん……」
嬉しそうに受け取った芳佳ちゃんは手紙を見るなり小さく呟く、声を上げた芳佳ちゃんの後ろから手紙を覗くと、それは写真だった。大きさからメッセージカードか何かと勝手に思っていたのだが、どこかの岬から撮られたであろう写真の中の表情は、やや硬く疲労の色が濃い。
「あ、もう一枚……えっ」
もう一枚入っていた写真を見て俺達は息を呑んだ、その写真は工場か研究室と言った感じの室内の写真で、中央にはストライカーユニットが写っており、芳佳ちゃんのお父さんと白衣を着た数名の研究員、そして何より俺達を驚かせたのは柔らかな笑みを浮かべて立っている一人の少女。
「坂本少佐……」
小さく呟いた俺に言葉に芳佳ちゃんは厳しい表情を浮かべ頷いた。
俺と芳佳ちゃんは軍港に併設されている軍施設に向かっている。
「この地図だとソコの角を曲ったら門が見えるはずだ」
「輝さん、有りました門ですよ、門!」
小走りで角に走って行った芳佳ちゃんが門を見つけ嬉しそうに手を振って来る、地図をしまいながら少し足を早めて芳佳ちゃんに追い付くと大きな道路を挟んだ先に軍の鉄門が見えた。
「来たな、いや、良く決心してくれた」
仁王立ちで笑顔の坂本少佐が立っていた、来ることは一切伝えて居なかったのに何故だか待ち構えていた、これだから魔女は……
「自分の力を生かす気になった様だな」
「少佐、別件です」
俺は少しだけ大きな声で出来るだけ簡潔に言い切った。
坂本少佐が折角だからと赤城を間近で見て行けと案内を買って出てくれた、道すがらすれ違う軍人達が直立不動で敬礼をしてくるので否応なしに軍隊なんだなぁと実感する。
「え、宮藤博士からの手紙……」
小さく驚きの声を上げ、右手で顎を触りながら視線を彷徨わせる坂本少佐。
「あの……坂本さんは、お父さんの事……」
縋る様な目付きで坂本少佐の背中を見つめる芳佳ちゃん、坂本少佐は小さく息を吐くとこちらに振り向いた。
「博士は恩人だ、博士の研究が有ったから私は今ここに居られる」
大切な思い出を思い出す様に言葉を紡ぐ坂本少佐の瞳の色は柔らかい。
「お父さんは生きているんでしょうか」
「……それは、分からん。だが、確かめてみ」
「連れて行って下さい! ブリタニアに、行ってお父さんの事、確かめたいんです」
「芳佳ちゃん無理言うな! 最前線だぞ!」」
突拍子もない事を言い出した芳佳ちゃんの肩を掴んで声を荒げると、芳佳ちゃんは涙目で俺を見上げる。
「だって、だって、お父さんから手紙が! 私!」
坂本少佐が芳佳ちゃんの腕を掴んでいた俺の腕を力強く掴んで来た。
「分かった、連れて行ってやる、明後日出港だ」
「少佐!」
咎める様な視線を向けると、坂本少佐が口元に笑みを浮かべる。
「心配するな、お前も連れて行ってやる」
少佐違います、そこじゃありません!
多少の悶着は有ったが無事船上の人になった俺と芳佳ちゃん。
「芳佳ちゃん、輝さん、頑張ってね!」
「みっちゃん! 元気でね」
出港の見送りに来てくれた美千子ちゃん、先生、大先生に大きく手を振る。
「体には気を付けるんだよ!」
「輝、芳佳の事頼んだよ!」
心配そうな視線を向けて来た大先生に出来るだけ大きく手を振った。
「先生! 大先生! 芳佳ちゃんの事は任せて下さい!」
「……お母さん、おばあちゃん……行ってきます!」
501のメンバー(数名)になのは系のデバイスを持たせるか?
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