ストライクウィッチーズ 空戦魔導士の追憶 作:水無月 双葉(失語症)
赤城の中央で激しい光が発せられる、広がって行く巨大な赤紫の魔法陣。
「何だ! 何が起こっているんだ!」
初めて見る魔力陣とその強大さに私は思わず息を呑んだ。光が納まると赤城から赤紫の光を撒き散らしながら何かが私達の方に向かって来る、私は刀の柄を握り直した。
「坂本さん! 何ですか、あれ!」
「分からん、だが宮藤、油断はするな」
パニックになりかけた宮藤に声を掛ける。くそっ、こんな時ミーナが居てくれれば……いや、無い物強請りをしても仕方がないか……内心のイラつきを抑えつつも眼帯をめくりあげ迫ってくる何かを確認しようとしたが、ネウロイがビームを発射し視界を防ぐ、目を細め私の視界に入った物は宮藤にも負けない程の強力なシールドを展開し防ぎ切る姿。
「何て強大な魔力、何だ……あいつは、まさか、そんな馬鹿な!」
「北条!」
「輝さーん!」
踝の辺りから光の羽を生やし飛んで来る北条、ストライカーユニットも使わずに飛んで来たその姿を確認して、嬉しそうに手を振る宮藤を横目に私は少し言葉を失っていた。
「芳佳! 坂本少佐!」
「坂本少佐、俺も戦います」
「北条、お前その姿は……」
いぶかしむ私に北条は険しい表情を浮かべる。
「後でちゃんとお話しします、でも今は、あのネウロイを、クッ」
ネウロイのビームを咄嗟に左手を差し出しシールドを張り私達を守る北条、杖を持った右手をシールドの方に差し出す。
「輝さん!」
「大丈夫だ、シュートバレット!」
北条の右手に魔力が集まって行くのが分かる。
「シュート!」
放たれた魔力弾がネウロイに直撃し確かなダメージを与える、が、直ぐに再生が開始された。
「北条、ネウロイはコアを破壊せねば倒す事は出来ん、コアの位置は中央の膨らみに中にある」
先程宮藤に教えたと同じように刀の切っ先でコアの位置を指し示すと、北条は鋭い眼光でネウロイを睨みつけながら頷く。
「私が牽制を掛ける、止めはお前達に、何だと!」
ネウロイの中央部に赤いラインが走ったと思ったらネウロイが二つに分裂を開始した。
「二体! 少佐! 翼に牽制を掛けます! 芳佳と本体に止めを!」
「おい、北条!」
「行きます!」
私が止めるのも聞かずに北条は赤紫の残照を残して、切り離された前部に接近して行く。
「あの馬鹿! 戻ったら説教だ! 行くぞ宮藤、着いて来い!」
「はい!」
「ずぅおおりゃあぁぁぁ!」
ネウロイ本体に深く切り込んで行く、手応えは感じるがコアには届きそうもない、だが。
「宮藤ぃ!」
「うわああぁぁぁ!」
宮藤の九九式機関砲が火を噴きネウロイの装甲を削って行くとコアが剥き出しになり肉眼でも確認された。
「当たれえぇぇ!」
宮藤の絶叫と共に何発もの弾丸がコアに吸い込まれる様に命中をして砕く、途端に爆発四散するネウロイ、光り輝くネウロイの破片が海へと落下して行く。
「宮藤、良くやったぞ」
「芳佳! 初戦果じゃないか! おめでとう」
「え、あ、ありがとうございます」
落ちて行く破片を見ながら私は違和感を感じる、おかしい……手応えが無さ過ぎる、分裂したから弱くなったのか……それにしたって……落ちていた破片がピタリと止まると空中に舞い戻り再生を始めた。
「再生だと、馬鹿な!」
眼帯を持ち上げ魔眼でネウロイの内部を透視する。
「そうか、そう言う訳か、アイツ等は別れたんじゃない、元々二体がくっ付いていたんだ、前の部分には極小のコアを持っていたんだ!」
「でも、何で再生を!」
私の言葉を聞き北条が大きな声を張り上げた。
「分からん! だが、倒すには同時にコアを潰すしか有るまい」
「そ、そんな、坂本さん……」
狼狽する宮藤。新人二人でこの状況は流石に不味い……
「少佐、もう一度やりましょう」
「策も無く戦えば浪費するだけだ、許可できん」
血気盛んな北条を嗜めたが……援軍が向かっているらしいが、このままでは……
「でも、坂本さん!」
宮藤にまで伝染しているじゃないか、いや、似た者同士ってとこか。
「少佐、有効か分かりませんが、ひとつ方法があります」
「方法だと?」
「はい、上手く行けば、一体ですが数秒動きが止まります」
北条の真剣な眼差しに、宮藤のすがる様な視線、全くこいつ等は……
「話してみろ」
私の一言に北条の表情は引き締まり、一度大きく深呼吸をした。
「あそこを見て下さい」
北条が有る一点を指さす、そこには北条の放って居たのであろう光弾がひとつだけ浮いていた。
「あそこに後の部分を近づけて下さい、数秒ですが動きを止められます、それに合わせて俺も前の羽のコアを潰します」
「話は分かったが……宮藤まだ行けるか?」
私達の側で荒い息を吐く宮藤に目線を向ける。
「はい、大丈夫です、まだ、飛べます、坂本さんこそ大丈夫ですか」
「お前、この状況でも私の事を……」
荒い息をしながらも私の事を気にかかる宮藤、無理も無い初めての飛行に初めての実戦、体力魔力共に限界か……
「芳佳、本当に大丈夫か? 魔力はまだ残っているのか?」
「輝さん、みんなを守るために、私は……」
その言葉に頷く北条は宮藤の肩に手を置いた。
「芳佳、良く聞いてくれ、少佐はコアに攻撃をしないといけないから、もう余計なシールドを使う訳にはいかない、だから、芳佳が少佐をネウロイに送り届けるんだ」
「北条! そんな事させる訳にはいかないだろう! 魔力も限界なんだぞ!」
私の言葉に一瞬目を伏せた北条は、手に持っていた杖を私達に向ける、杖の赤い宝玉から北条の赤紫の魔力が溢れ出し私達の体に入り込む。
「北条、お前何を? ……魔力が回復しただと……」
「輝さん凄い!」
「残りの魔力をきっちり三等分、これで倒せなかったら、救援が来るまでネウロイの前をチョロチョロして嫌がらせでもしますよ」
「何をばかな事を……しかし、北条! 話は後できっちりと聞かせて貰う。だが、今は!」
此処までお膳立てされたら後はもうネウロイを倒すだけだ。
「お手柔らかにお願いします。でも、まずは!」
「みんなを守るために、私にできることを……坂本さん! 輝さん! 行きます!」
真っ直ぐ突き進む宮藤にネウロイのビームが殺到する、顔の前で腕を交差させバリアを展開する宮藤。
「このっー!」
ネウロイを強引に追い越し目的の場所に向かう、私達が通過したのが気に入らなかったのかネウロイはビームを撒き散らしながら私達を追って来る。
目的地に付いた宮藤は直ぐに急制動を掛け、その場に待機し強大なシールドを展開する、攻撃しながら迫って来たネウロイが目的地に入った瞬間、幾つもの赤紫のリングに捕えらえた。
「今だ! 宮藤ぃ!」
「うわあぁぁ!」
宮藤が絶叫しながら機関銃を乱射すると、ネウロイの装甲が削られ少しだけコアの存在が露わになった。
「後は任せろ!」
最大戦速で刀を構え刀身に魔力を注入する、北条の魔力も感じられ少々くすぐったいが悪い気はせん!
「食らえぇぇ!」
私が気合を吐きながらネウロイを一刀両断すると同時に、海面付近から大空に向かって赤紫の光の帯が伸びて行き、もう一体のネウロイのコアを貫いた。
501のメンバー(数名)になのは系のデバイスを持たせるか?
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持たせる
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持たない
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どちらでも良い