ありふれた連盟の狩人   作:静岡万歳!

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大分遅れてしまいました。


おお狩人よ!

階段側から放った光輝の一撃は眼前にいたトラウムソルジャー達を次々と巻き込みながら聖職者の獣へと向かっていった。

 

 

それは射線上に居たハジメを巻き込み、遂に聖職者の獣に大きなダメージを与える事が出来たのだ。

 

 

恐怖で再び錯乱していたクラスメイト達はその一撃を見た瞬間、まるで正気に戻ったかの様に次々と光輝へ振り向いて行く、瞳に希望を宿して。

 

 

「天乃河...」

 

 

「天乃河くん...」

 

 

「みんな!俺が来たからにはもう大丈夫だ!さっきの一撃であの魔物はかなりのダメージ負った筈だ!みんなで協力すれば確実にあの魔物を倒す事が出来る!」

 

 

光輝は聖剣を指揮棒の様に前に突き出し、意識したのか否か、耳ざわりの良い言葉をその場で演説するかの様に言い放った。

 

 

するとどうだ、状況に絶望して悪くなっていた彼らの顔色は徐々に良くなっていき、その瞳に希望をしていく。まるで"物語の名場面"の様に。

 

 

「光輝!貴様っ⁉︎」

 

 

「メルドさん⁉︎なっ、何を!」

 

 

しかしそんな"名場面"に水を差す様な人物が現れた、それはメルドだ。彼の顔は憤怒に歪み、激昂した様子で光輝の首を掴むとその場で壁に叩きつける。

 

 

「貴様っ!天翔閃を何故放った⁉︎射線上には南雲の坊主が居たんだぞ!坊主はお前のクラスメイトじゃないのか⁉︎」

 

 

「メルドさん!今は"南雲を気にしている場合じゃありません!"それよりもあの魔物を倒すべきです!今弱っている内に叩かないと!」

 

 

「そうだぜメルドさん!天乃河が一発ぶち込んで弱らせた今がチャンスだ!みんなで掛かればあんな奴怖くねぇ!」

 

 

光輝の言葉に檜山が同調した、今の彼は正に有頂天そのものだった。自分の恋路の邪魔をしていたハジメに魔法を放って妨害し、それに加えて光輝が放った一撃に巻き込まれる様子を見たのだ。

 

 

檜山の中では最早ハジメはもう死んだも同然、そう確信していた。何せ光輝は魔力も火力もトップクラス、銃と可笑しな武器と服装をしているだけのあんなキモオタが生きてる筈が無い、そう考えていた。

 

 

「きっ...貴様ら...」

 

 

メルドはワナワナと震えながらそれ以上言葉を発する事が出来なかった、それは感動しているからでは無い、ある種の義憤からだった。

 

 

気付かなかったのかは定かではないが、同郷の知人を攻撃で巻き込んでおきながら心配すらしないその姿に怒りすら覚えた。

 

 

「嘘でしょ...嘘...」

 

 

「天乃河....アンタ!!!」

 

 

それを聞いた香織は絶望の顔でその場でへたり込んでしまい、優花は激昂した様子で殴り掛かろうとするも、龍太郎によって止められる。

 

 

「っ!離して!離しなさいよ坂上っ!!」

 

 

「落ち着けよ園部!メルドさんの声に南雲が気付いて避けた可能性だってあるだろうが!」

 

 

「龍太郎の言う通りよ!南雲くんが声に気付けて避けられてるかもしれないわ!だから落ち着いて!」

 

 

龍太郎も雫もできる限り傷付かない言い方で2人を宥めようとする、がしかし言い方は良くてもその内容は唯でさえ精神状態が不安定だった2人にとっては良くない物だった。

 

 

「どうやって...?」

 

 

「えっ?」

 

 

2人の放った言葉に対し、香織は絶望に染まりきった表情と声色で雫に問う。

 

 

「どうやって南雲くんが避けられるの...?唯でさえみんなが滅茶苦茶に魔法を撃ち込んで、南雲くんがそれを避けながら魔物と戦ってた所を

光輝くんが仕掛けて...その射線上に背中を向けて居たんだよ?どうやって避ける事が出来るの...?ねぇ...ねぇ!」

 

 

「香織...」

 

 

声を荒げる香織に雫はどう声をかけていいかわからなかった、光輝とメルドはお互いに言い争い、龍太郎はもがく優花を必死に止める。

 

 

それを他のクラスメイト達は不安げに見つめ、騎士達は周囲を警戒しながら剣を構えてる最中、橋の方から再び魔物の甲高い悲鳴が聞こえた。

 

 

声を聞いた全員が橋の方を見るとそこには片膝を地面に着かせた左手を欠損した大型の魔物と、武器を持った男たちが攻撃を仕掛けている。

 

 

その中には光輝の攻撃に巻き込まれて負傷したであろうハジメも居た、しかし何故かハジメはまったくと言っていい程傷を負っておらず、

無傷でその姿を彼らに晒していた。

 

 

最も、服はボロボロだったが。

 

 

そしてそんな彼を見た2人の少女は歓喜の声をあげる。

 

 

「南雲くん!」「南雲!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香織と優花が歓喜の声をあげた一方、

 

 

無傷なハジメの姿を見て喜んでいる彼女達とは対照的に、ハジメの心は酷く冷めきっていた。

 

 

「クソったれが...攻撃を仕掛けておいて何を安心してやがるんだか」

 

 

流し目で安堵している様子のクラスメイト達を見ながら、相当苛立った様子で普段の口調を崩しながら悪態をついた。

 

 

彼が苛立ったている原因は3つだ、1つは戦闘中の自分への誤射。2つめは自分ごと巻き込んだ光輝の一撃、そして3つめは......

 

 

「...チッ」

 

 

それはハジメにとって自分と共に悪夢を切り抜けてきた相棒と言っていい程、良く使い込んでいた銃、エヴェリンが壊れてしまった事だった。

 

 

あの時誰かが撃ち込んだ火球によって落としてしまい、その挙句に背後から一撃を貰って重傷を負うもヘンリックの手を借りて何とか輸血液で回復が出来た。

 

 

そしてLANCELが落としたエヴェリンを拾って持ってきてくれたが、エヴェリンは見るも無惨な姿になっていた。銃身はひしゃげて曲がり、機関部は潰れて最早水銀弾を装填する事すら出来ない。

 

 

銃把だけは唯一無事であったが、今の彼にとってそれは何の慰めにもならないのは確かだ。

 

 

そんな姿となったエヴェリンをハジメは腰に提げると、懐からヤスリの様な物を取り出す。

 

 

「あまり使いたくは無かったけど...」

 

 

ハジメは仕掛け武器を獣狩りの斧からノコギリ鉈へ変えると、その刃にソレを当ててマッチ棒に火を灯す様に擦る。

 

 

するとどうだ、ノコギリ鉈の刃はまるで松明の灯りの様に炎が纏い、燃え上がる。

 

 

ハジメが先程使ったのは発火ヤスリと言うヤーナム狩人の狩道具の1つだ、医療教会という名の組織が作ったソレは狩人の仕掛け武器に一時の間炎を纏わせる事が出来る。

 

 

炎を嫌う獣にとって発火ヤスリはまさにうってつけと言えるだろう、最も、その高価さ故に調達が難しいのが唯一の欠点とも言えるが。

 

 

(本当ならこれを使わないで3人でさっさと狩って離脱する筈だったのにクラスメイト(あいつら)の邪魔のおかげ最悪な目にあった)

 

 

クラスメイトに誤射され、自分ごと技に巻き込まれて重傷を負い、挙句の果てにエヴェリンが壊れてしまった。

 

 

それに加えて彼等は階段で固まって自分を見て驚いた様にこちらを見つめていた、いつまでたっても離脱すらしない彼等にハジメは怒りを覚える。

 

 

(君たちはこれをショーか何かだと思ってるのかい?脱出路でそんなに固まって観客みたいに見てさ...余程僕らを殺したいのかな?)

 

 

内心皮肉る様に毒づくと目線をそれぞれヘンリックとLANCELに向けて合図する、そして聖職者の獣が立ち上がろうとしたその瞬間、3人は一斉に攻撃を仕掛けた。

 

 

先ずはハジメ、ノコギリ鉈を持って駆けだして、顔を上げようとした聖職者の獣に向かってその炎が纏った刃で顔面を大きく切り裂いた。

 

 

顔面を斬り裂かれた獣は悲鳴をあげ、その傷からは淀み切った血液がドボドボと流れていく。

 

 

次はLANCEL、彼は左手に持って居た盾をエヴェリンに持ち変えると懐から粉末状の物を取り出してソレを機関部へと入れる。

 

 

右手に持っているレイテルパラッシュという名の仕掛け武器の仕掛けを起動させると、大型の騎士剣の刀身がせり出すと後退し、その中からは銃口が現れ、剣のハンドガードからは撃鉄の様な装置が出てきた。

 

 

LANCELはその2つの銃口を向けるとハジメが与えた傷に向けて引き鉄を引いた。2発の水銀弾の内、1発の水銀弾は恐ろしい速さで突っ込み

傷口を更に抉り、もう1発の水銀弾は後を追う様にそこに当たる。

 

 

GAAAAAAAAAAAAA!???

 

 

忌み嫌う炎と有効的なノコギリで与えられた傷を更に抉る様に水銀弾を2発も喰らった獣は大きく悲鳴をあげると癇癪を起こす様に残った右腕を振り回す。

 

 

「チッ!」

 

 

振り回される腕にハジメは舌打ちをしてLANCELと共に下がると、今度はヘンリックが前に出た。

 

 

彼は聖職者の獣の股下へ潜り込むとノコギリ鉈のノコギリの刃の部分で両足を徹底的と言っていい程に斬り刻む。

 

 

最初は腕を振り回していた獣だったが、途中からヘンリックが自分の足を斬りつけている事に気が付き、彼を狙おうとしたがその瞬間。

 

 

両足に与えられる痛みに段々と耐える事が出来なくなって倒れ込んだ所を3人は再び襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すっ、すげぇ...」

 

 

クラスの男子の誰かがそう言った、自分達は混乱して碌にダメージが与えられず、光輝の一撃でやっと致命傷を与えられたというのに彼等は

ただ迅速に、的確に、そして確実にあの魔物へダメージを与えている。

 

 

彼等の戦いには雄叫びも無ければ派手さもない、ただ静かに魔物に傷を与え、それを致命傷に変えると集団でそこを斬り付けに来る。

 

 

それはまるで"獣"の狩りを彷彿とさせるやり方だ。

 

 

「なっ、何で南雲の武器が炎に包まれてるんだ?あいつって俺たちと同じでトータスに来たばかりだよな?」

 

 

「もしかして南雲も魔法を使えるの...?でも詠唱してる様子なんか無かったし」

 

 

「何であんなオタク野郎が俺らより活躍出来てんだよ...!」

 

 

ハジメ達の戦いを見ているクラスメイト達の反応は三者三様だ、困惑する者、推測する者、嫉妬する者。そんな反応を示す彼等の中にはハジメの姿を見て安堵する者も居る。

 

 

「南雲くん...生きてて...良かった...!」

 

 

「南雲...」

 

 

それは香織と優花の2人だった、2人ともハジメの無事を確認すると優花は安心した様にその場でへたり込み、香織に至っては涙すら流している。

 

 

そんな2人を見た雫と龍太郎は安堵した様に息を吐く、メルドもそれにつられた様に溜め息を吐いた。

 

 

一息着いたメルドは光輝を抑えながら一度ハジメ達の方へと首を向けた、彼等の戦局の様子はとても安定している、トラウムソルジャー達の攻撃を難なく避けながら倒れ込んだ大型の魔物を優先して攻撃している。

 

 

この様子では自分達の援護など必要無しに彼等は直ぐにあの魔物を倒すだろう、そう結論付けたメルドはもう一度命令を光輝率いるクラスメイト達に命令した。

 

 

それに対し光輝の様な血気盛んな者達が反抗したがメルドはそれを容赦無く黙殺し、騎士団員達に命令すると半ば強制的に彼等を連れて階層から消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(やっと行ったか...全くどれだけトロいんだか...)

 

 

ふと目を階段の方へ向けた時、今になって退却を始めたメルド達にハジメは内心文句を垂れる。

 

 

そして彼等から目を離して今度は聖職者の獣へと向ける、聖職者の獣の状態は最早死に体その物だ、ツノは無残に折れて身体から臓物の類が垂れ下がって血は大量に流され続けている。

 

 

そんな状態になってもなお自分達を仕留め様と腕を振り回すその姿にハジメはある種の感服すら覚えてしまう程だった。しかし、そんな感情は直ぐに捨てる。

 

 

たとえ聖職者の獣が"かつては同じ人間"だったとは言え、それはもう過去の話だ。今はもう"ただの獣"、下手に甘さや情を見せればこちらがやられてしまうのだから。

 

 

GiaaAAAaAa‼︎‼︎

 

 

そうしている内に獣は絶叫を上げてまた倒れ込むも、今度は立ち上がる事すら出来なくなった様だ。

 

 

ヘンリック、ハジメ、LANCELの3人が脚に斬りつけていた傷と痛みは脚に徐々に蓄積されていき、遂にそれが決壊した様に獣の脚は動く事が無くなった。

 

 

しかし、それでもなお聖職者の獣は片腕だけで無理やり身体を動かしながら3人に襲い掛かる、その姿にハジメはかつて狩人の悪夢で相対した"最初の聖職者の獣"を思い出す。

 

 

「...ぐぅっ⁉︎クソッたれが!」

 

 

獣に警戒しながら立ち回っていたが、背後から赤い骸骨に斬りつけられるが、彼は悪態を吐きながら直ぐに振り向いて骸骨を斬り捨てた。

 

 

 

3人が戦っている場の地面からは未だに赤い骸骨達が召喚されるも、彼等は骸骨達を無視して既に死に体の状態である聖職者の獣を優先して攻撃を仕掛けていた。

 

 

彼等はとある可能性に賭けながら獣を仕掛け武器で斬りつけている。

 

 

ハジメとLANCELは誤射される直前、クラスメイト達の救援に向かった際。骸骨達の剣をステップで躱しながら召喚主である鐘を鳴らす狂女の類を探すも、そんな姿はこの場にはまるで見当たらなかった。

 

 

光輝の攻撃に巻き込まれて聖職者の獣は深傷を負い、骸骨達の大半が消しとばされても尚、骸骨達は召喚されていた。

 

 

となるとだ、もしやこの聖職者の獣こそが骸骨達の召喚主ではないかとハジメとLANCEL、そしてヘンリックもそう考えた。

 

 

側から見れば何を馬鹿なと、嘲り笑い罵倒する者もいるかもしれない。しかしだ、彼等狩人達が今まで相対してきた獣達の事を考えれば何ら不思議でも無い。

 

 

臓器の類すら存在しないのに身体から電撃を放つ獣

 

 

肉体の皮膚が剥がれながも毒を撒き散らす獣

 

 

肉体から火炎が噴き出す獣

 

 

身体が変貌してもなお、"祈る"事によって負った傷を癒す獣。

 

 

そんな常軌を逸した存在を狩人は狩ってきたのだ、骸骨達を召喚する獣がいても不思議でも無い、それが人間性を溜め込んだ聖職者の獣なら尚の事だ。

 

 

3人は死に体の獣の攻撃を躱し、邪魔な骨ども達を巻き込ませながら隙を伺う。

 

 

そして獣の周囲から骨達があらかた片付かれたその瞬間に弱った獣へ再度襲いかかる、その姿はさながら瀕死の獲物に群がる"獣"の様だ。

 

 

LANCELとヘンリックは完全に行動不能に追い込むべく残った片腕を狙い、ハジメは与えられた傷を更に拡げるべく既に片側が欠けている頭部を狙う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからは常人ならば目を背け、耳を塞ぎたくなる様な悍ましい光景がハジメ、ヘンリック、LANCELの3人によって作られていた。

 

 

階層の地面の大部分は血と臓物によって紅く彩られ、場には獣の悲鳴とノコギリ鉈の刃とレイテルパラッシュの剣による肉を斬り裂く音が曲の様に奏でられている。

 

 

3人の装束、鎧は獣の血を浴びて変色までしていた。一見聖職者の獣を追い詰めて優勢の様に見える彼らだが。

 

 

どれだけ仕掛け武器で斬っても未だに死ぬ様子の無い獣に対し、彼らの瞳に段々と焦りが浮かんでくる。

 

 

(コイツ...指も殆ど斬り落としたというのにまだ来るか)

 

 

しかし、焦りを浮かばせているハジメやLANCELとは違い、ヘンリックは冷静さを保ちながら思考をしていた。

 

(身体の大部分をやられ、残ったのは片腕のみ。腹からは臓物が出て頭部は欠けながら未だに動いている)

 

 

(普通ならもう動けない筈だが、黒獣の類の様に肉体から何かが発せられてはいない、となると"虫"が奴を操っているのか?)

 

 

ヘンリックは獣の腕をノコギリ鉈で傷つけながら頭部に目を向ける、欠けた頭部は血に塗れて肉片を飛ばしながらも一瞬、何かが頭の中で蠢いているのを見た。

 

 

「おいお前!奴の頭に銃を撃ち込めっ!!!」

 

 

"それ"を見た彼は側にいるLANCELに獣の頭を狙い撃つ様に伝えた、彼の言葉を聞いたLANCELは一度ステップで獣との距離を離すと、再びレイテルパラッシュの仕掛けを作動させ、その銃口とエヴェリンで頭部を狙い撃つ。

 

 

ヘンリックの目は確信に満ちていた、目の前にいる存在は決して死なずの不死ではない。今まで狩ってきて、そして踏み潰してきた只の獣と虫でしか無いのだ。

 

 

「坊やっ!コイツの頭を優先して狙えっ!」

 

 

「何故です!?」

 

 

「"虫"が寄生している!!」

 

 

ヘンリックはハジメにも頭を狙う様に言った、彼の言葉にハジメは理由を聞くと、虫が寄生していると帰ってきた。

 

 

それを聞いたハジメの目は焦りから攻撃的な物に変わる。

 

 

ハジメ、ヘンリック、LANCELの属する連盟にとって、虫とは人間の中に巣食う寄生虫の類であり、同時に根絶しなければならない人の淀みの象徴なのだ。

 

 

彼らからしてみれば虫とは連盟の狩りの成就に見出す百足の類だ、連盟の狩人以外、誰の目にも見えぬそれは彼らの忌み嫌う汚物の内に隠れ蠢く、人の淀みの根源だ。

 

 

連盟の狩人達はそれを見つけ踏み潰す、それが彼らの使命なのだ。

 

 

おそらく慈悲はあるのだろう 成就を願うものにだけそれは見え、尽きぬ使命を与える。

 

 

そしてその使命が彼らを昂らせるのだから。

 

 

ヘンリック、LANCELが短銃とエヴェリンで獣の頭を狙い撃つ最中、銃器が破壊されたハジメは敢えて近づく。油瓶と火炎瓶を交互に頭に投げ付け、徹底的に焼き払う。

 

 

giaaaaa!!??

 

 

頭に何発も水銀弾を撃たれ、火炎瓶と油瓶では頭そのものを焼かれた聖職者の獣は絶叫をあげて倒れ込むと一瞬だけ硬直する。

 

 

その一瞬の隙を狩人達は見逃さなかった、ヘンリックとLANCELは獣と離れているが、ハジメは距離が最も近い。

 

 

「今だ!や...」

 

 

"今だやれ"とヘンリックが言い終える前に、ハジメは既に行動し終えていた。

 

 

彼は聖職者の獣の頭を肉と骨を突き破る様に腕を突っ込んでいた、そして何かを探す様に腕を掻き回すと獣の脳の中で虫が這っている感触がある。

 

 

「っ...ぁあああっっっ!!!」

 

 

ハジメは脳を這う"虫"を掴むと、そのまま力を込めながら獣の頭から一気に手を引き抜いた。

 

 

脳から虫を取り出された聖職者の獣はそのままおびただしい量の血を噴出すると絶叫をあげること無く、その蕩けた瞳をハジメへ向けたまま

身体を血液状に変化させ、四散した。

 

 

聖職者の獣の血は3人が居た場所を中心に全てを血に染め、最早血の階層、と言った方が信じられるぐらい染まった。

 

 

「フン!」

 

 

獣が完全に死んだ事を確認したハジメは手に持っていた"百足の類"に似た虫を地面に落とすと、脚で踏み付けてそのまま踏み躙った。

 

 

するとだ、それに連動したかの様に赤い骸骨達もその場で崩れ、獣と同じ様に血液状になり四散した。

 

 

「終わったな...」

 

 

この場から狩るべき存在を全て狩り終えてヘンリックは再び口を開いて溜め息を吐いた、彼の言葉を聞いた瞬間LANCELは何かを思い出したかの様にエヴェリンとレイテルパラッシュに弾を装填する。

 

 

そしてその場から全速力で階段の方へと走っていく、ハジメには彼がこれから"何を"するのか理解していた。だから懐から"小型の拳銃"を取り出したが

 

それを撃つ前にLANCELは階段の手前で姿を消した、召喚された連盟の狩人は召喚主と共に戦う事が出来るがそれは永久では無い。

 

 

役目を果たし終えれば連盟の狩人は元の世界に還る、LANCELもまた役目を果たして元の世界へ還ったのだ。最も本人の意思は無視した物だったが。

 

 

ハジメとヘンリックはLANCELが役目を果たして還ったのを見届けると、彼等も階段へと歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 




エヴェリン選手、ここで涙の退場です。

ハジメくんのステータスについてですがもう少し後に明かされますのでお待ちください...
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