この小説も多くの方に読んで頂き、感想も書いて貰って本当に感謝しています。
今年も是非よろしくお願いします。
ハイリヒ王国、王宮内。
城に着いてからはメルド以外の騎士団と、光輝、雫、香織、龍太郎以外のクラスメイト達は解散する。そして残ったメンバーとハジメとヘンリックの2人はメルドに先導される形で王城へ入っていった。
ハジメはハイリヒ王国の象徴である王城に着いてからは、余りの豪華な外装や城の使用人達や騎士からの尊敬の眼差しや歓迎に驚いてばかりだった。
("カインハースト"とはえらい違いだな...まぁ向こうは化け物ばかりで碌な目に合わなかったけど)
王城からの歓迎に、かつて訪れた"廃城"との違いに驚いているハジメに対し、ヘンリックは彼等を何処か"懐しむ"様な目で見ていた。
そうしている内に王城の中でも一際豪華な装飾が施された扉の前に立つとメルドが振り返る。
「...ここがエリヒド王とその御家族、そして聖教教会のイシュタル教皇の待つ王座の間だ。光輝達は分かっていると思うが...南雲、そしてヘンリック殿、どうか無礼のない様に」
そうメルドが言うと扉の前に一歩踏み出す。
「ハイリヒ王国騎士団団長メルド・ロギンスです!使徒、天乃河光輝、八重樫雫、坂上龍太郎、白崎香織、以上の四名と」
「召喚された最後の使徒南雲ハジメ、そしてその同志である狩人ヘンリック殿、以上2名をお連れしました!」
メルドがそう伝えると
「良かろう、入れ」
と、短いながらも初老の男性の声が王座の間から聞こえた。それを聞いたメルドが扉に手を掛けたその瞬間、
「ああ、少し待ってくれないかロギンス団長?」
ヘンリックが彼に待ったを掛けた、ヘンリックに待ったを掛けられたメルドは振り返る。
「如何されたヘンリック殿、出来れば手短に済ませていただきたいのだが...」
「ああ、今更言うようで済まないが、ナグモの坊やを着替えさせてくれないか?今から王族に会うと言うのにこんなボロボロな身なりでは...無礼という物だろう?」
ヘンリックの本当に今更と言っていいぐらい、ハジメの服装に言及されたメルドは唖然とする。王座の間に着くまでの間、今回の一件の報告で頭がいっぱいだった彼はハジメの服装に目が行って無かったのだ。
「あ...も、申し訳ありません国王陛下!今から少しだけの間時間を...「必要ない」どういう事だ?」
扉に向かって再び話し掛けたメルドをヘンリックが制止すると彼は疑問に満ちた顔でヘンリックを見る。
「坊やは"此処で"着替えさせる、なぁに直ぐに終わるさ、この坊やはそれが出来るからね」
ヘンリックはそうにやけながらハジメを見る、そんなヘンリックに光輝が声をあげる。
「ふざけてるんですか貴方は!こんな所で着替えさせるだなんて非常識にも程がある!それに南雲がそんな事できる訳がない」
「ちょっと光輝...!すいません、光輝は悪気は無なくて...でも本当に直ぐ終わるんですか?」
声をあげた光輝を雫は止めさせながら、疑問をヘンリックに問いかける。そんな2人からの疑問をヘンリックは相手をせずに、ただ顎でハジメにやる様に伝える。
「服装は何にすればいいですか?」
「ちょっと南雲くん⁉︎」
ハジメの服装についての返答に、雫は驚きの声をあげ、光輝はハジメを睨み付け、香織は顔を両手で隠すが指の隙間から目が見えてしまっている。
「そうだな...なら2回目にあった時の服装でいいだろう、マントの無い奴だ、あれなら王族の印象も悪く無いだろうさ」
「分かりました」
ハジメは己の脳内で
暗い色の籠手にズボン、ブーツと言った服装に気構えた。するとどうだ、先程までボロボロでみすぼらしい雰囲気を漂わせていたハジメは物の見事に19世紀の紳士の様な雰囲気を醸し出している。
「...ほう、随分似合ってるじゃないか坊や、その服装でみすぼらしい少年からまるで立派な紳士になった様だ」
「お世辞をどうもありがとうございます、ヘンリックさん」
ヘンリックの冗談交じりの褒め言葉にハジメは少し照れながらも言葉を返した。
所で光輝達の反応はと言うと、光輝、龍太郎、メルドの3人は唖然と驚愕が入り混じった目でハジメを見ており、雫は何処か見惚れたかの様な目を一瞬だけ向けてから直ぐに我に返り、香織は見惚れている様な目で見つめながらも何処か残念そうにしていた。
そして我に返ったメルド扉を開けてから、彼を筆頭に次々と王座の間へ入って行った。
王城の中は煌びやかであったが、その中でも王座の間は一際美しく、豪華な部屋だった。
扉から王座まで赤い絨毯が敷かれ、王座には王冠を被った初老の男、隣にはその妃らしき女、そしてその左右には金髪に碧目の美しい少年少年が座っている。
そしてその中では唯一司教帽を被った老人が王の隣に立っており、後は左右の壁の方に文官や軍人、そして教会の人間らしき身なりの男達が座っている。
王座の間に着くとヘンリックは脱帽し、先頭に立っていたメルドが王座の近くにまで歩くとその場で跪く。
「よくぞ戻ってくださいました、使徒様方...そしてメルドよ、そこの褐色の方と黒髪の方は何方かね?」
「国王陛下、行方知れずであった最後の使徒様をお連れしました」
「ほう...!それは素晴らしいなメルドよ...して、使徒様はどちらなのかね?」
「そこの黒髪の少年です」
メルドがハジメの方を指すと、エリヒド王の目は希望に満ち溢れたかの様な輝いた目になり、そんな目で見られたハジメは内心引いた。
「黒髪の使徒様...私の名はエリヒド・S・B・ハイリヒ、このハイリヒ王国の国王です...黒髪の使徒様、どうか貴方のお名前をお聞かせ願いたい...」
エリヒド王がそう言うとハジメはメルドの一歩後ろまで歩み寄ると、その場で跪いてから顔を上げ、こう言い放った。
「南雲ハジメと申します...エリヒド陛下」
ハジメは微笑み、柔らかい口調で名を名乗った。彼の余りにも紳士然としたスマートな姿に光輝達は驚いていた、普段の学校でのだらしない
姿しか見ていない彼等からしてみれば何故ハジメがこんな振る舞いが出来るのか不思議でならない様だ。
「南雲殿...貴方が使徒として"エヒト"様に選ばれ、我が国に呼ばれたのもこれも運命...どうか光輝殿達とともに我が国、ひいてはこの世界を野蛮な魔人族から救って頂きたいのです...!」
(誰がお前らなんか救うものかよ、自分のケツも碌に拭えない他力本願の無能共が...)
エリヒド王の演劇の様な振る舞いと台詞にハジメは表面上では微笑みを浮かべながら、内心では召喚した彼等に毒づく。
エリヒド王が次の言葉をハジメに掛けようとしたその瞬間、隣の司教帽を被った老人がエリヒド王に耳打ちする。耳打ちされた彼は老人に頷くと、司教帽の老人は手の甲を差し出し、王はその手に口づけをする。
(あの司教帽の老人がこの国の権力者か、司教帽を被ってるとなると...宗教勢力か)
ヘンリックは国王の行動で権力が司教帽に老人の方が強いのを理解した、そして司教帽の老人が自分達を見据えるのと同時にヘンリックは跪く。
「私の名はイシュタル・ランゴバルド、聖教教会の教皇です。使徒南雲殿、貴方がエヒト様によって使徒に選ばれ、そしてこの世界トータスに召喚された事を私は感謝しております...してそこの褐色の方、貴方は一体...?」
「彼については私が説明致します、イシュタル教皇」
ヘンリックが名乗ろうとした瞬間、そこをメルドが半ば遮る様にイシュタルに彼を紹介する。
迷宮内での行動や戦闘、武器、そしてハジメと共に使徒の救助を行なった事をイシュタルに伝えた、それを聞いたイシュタルや教会関係者、王族軍人達の眼は訝しげな物から一気に賞賛の物へと変わる。
「ほぉ...!!!それは素晴らしい!ヘンリック殿、貴方が南雲殿と共に使徒様達を助けてくださった事を聖教教会を代表して感謝申し上げましょう...」
イシュタルは礼の言葉を述べたと同時に一息つき、そして態度を改めてヘンリックとハジメを見据える。
「してお二方、先程メルドが言った武器の中に興味深い物がありましたな...金属の筒と木で出来た謎の飛び道具...それは」
「イシュタルさん!二人が持っていたのは銃って言います!」
光輝はイシュタルに二人が持っていた銃器の事を話し、銃が自分達の世界では一般的な武装である事を伝えた。それを聞いたイシュタルや
ハイリヒ王、教会や騎士団の関係者達が一斉に目の色を変える。
「その銃とやらは使徒様達の世界では一般的な武装なのですか......お二方、その武器を是非とも我々に供与してい「それは無理な相談です」どういう意味ですかな?」
イシュタルが銃を、簡潔に言えば"こちらに寄越せ"と言おうとした瞬間、それをハジメが遮る。遮られたイシュタルは不快な目でハジメを見つめ、光輝は怒りの視線を送る。
「先程メルド団長が仰った話しの内容が...少々足らなかった様なので、少し付け加えさせていただいてよろしいですか?イシュタル教皇」
ハジメはあくまでも微笑みを崩さずに、話す許可をイシュタルに求める。
「...良いでしょう、ではどうぞ南雲殿」
「ありがとうございます」
イシュタルは自らの寛大さをアピールするかの様に微笑みを彼に向けながら許可を出し、そんなハジメも感謝する様に微笑みながら礼を言った。
そしてハジメはメルドが伝えていなかった勇者達の誤射の一件や、巻き込み、そして当時の混乱っぷりを伝えると王座の間にどよめきが広がる。そんな事を伝えた彼に一人の男が怒りの声をあげる。
「南雲!嘘を伝えるのをやめろ!皆さん安心してください、今言ったのは南雲の嘘です。俺たちは誤射なんかしていません!」
「ちょっと光輝ッ!!!」
(巻き込んだだろうが...)
ハジメが誰かに撃たれたのは知らないが、少なくとも攻撃に巻き込また事は知っている雫は光輝に怒りを向ける。しかし、当の光輝はそんな事をお構い無しの様だった。
「天乃河殿はこう仰っていますな?南雲殿、今の話が嘘でしたら...いくら貴方が使徒であっても、虚偽の報告をしたとして厳罰に処しますぞ?」
「嘘ではありませんよ、イシュタル教皇。嘘であったのなら...僕の銃もこんな風になりませんから」
ハジメはコートのベルトに引っ掛けていたエヴェリンを取り出すと、その無残な姿を周囲に見せつける様に掲げる。
それを見た周囲の物達がまたもざわつく。
「あれが銃か?」 「見たところ壊れている様だが...」 「あんな物に価値などあるのかね?」 「あんなチャチな物で戦況が変わる訳が」
「静粛に!...南雲殿、それが銃と言う物ですか...どうやら壊れてしまっている様ですが、一体どうなされたのですかな?」
イシュタルは品定めをする様な目でハジメの壊れたエヴェリンに視線を送る。
「僕の銃...エヴェリンが壊れた原因は、天乃河君が率いる使徒達の"誰か"が僕に魔法を撃ち込んだ事による物です」
それを聞いた光輝が怒りの余り掴みかかろうとしたが雫によって何とか抑えられる。イシュタルや王族達の反応は先程の輝いた目からは打って変わって疑惑の目に変わる。
「ほぉ...使徒様の誰かによる誤射ですか、然し信じられませんなぁ...使徒様が誤射などと、魔物による攻撃の誤認ではありませんかな?」
「それはありません、魔法による攻撃は間違いなく使徒達の方からによる攻撃でした。あの時に魔法を使う魔物は一切確認出来ませんでしたし、それに手前に手傷を負った使徒や騎士団が居るのにわざわざ遠方の敵を狙う魔物などいるのですか?」
「むぅ...」
そこでイシュタル達は悩む素振りを見せる、ハイリヒ王国やその他の国々は今魔人族と戦闘中だ。そんな最中にハイリヒ王国は救世の勇者達を数十人召喚したのだ。
エヒト神によって力を与えられた彼等を召喚し、周辺国に対し有利になれた上に一般兵用の新武器まで配備できるかもしない状況からの、不祥事の報告だ。
エヒト神に選ばれた勇者達は民や一般兵からすれば救世の偶像そのものだ、そんな彼等が同じく召喚された使徒への意図的な誤射、そして助けたヘンリックを攻撃に巻き込んだ事など知られれば混乱は間違いなく訪れる上に、周辺国...特に"帝国"にそこをつけ込まれるだろう。
「お二方、この件はどうか内密に」
「攻撃に巻き込まれ、誤射をされた我々に彼等を許し、そして銃を献上せよと言うのですか?エリヒド陛下」
「そ、それは...」
エリヒド王は内密にして貰おうと二人に頼み込んだが、ハジメの有無も言わさぬ雰囲気に押され、言いどもってしまう。
「...では、イシュタル教皇、エリヒド陛下、提案があるのですが...」
そんな彼等にヘンリックが提案を申し出る
ヘンリックの提案とメルドの進言の結果、ヘンリックと南雲ハジメには以下の処遇が決定付けられた。
狩人ヘンリックには使徒達への教官職を与え、そして扱いは他の使徒達と同等の物とすること。
南雲ハジメの戦闘訓練の免除(ただし一部訓練、魔法、座学には参加)及びヘンリック教官の補佐を務めること。
銃器の提供は犯人の出頭まで一切の提供はせず、無理強いをした場合は容赦無く銃器を破壊する。
害を与えようとした者には一切の容赦無く反撃をする。
これらの処遇には反対の声が多々あったが、二人が使徒達を救ったうえに未知の武器を所持してる以上、余り事を荒立てたくはないイシュタルとエリヒド王によって許可され、反対の声は殆どが押し黙った。
とは言え完全に無くなった訳ではない、騎士団や教会からしてみれば何処の馬かもわからん男が突然現れ、自分達以上の立場をいきなり手に入れられれば面白くない。
この条件を飲んだの教皇や国王からしてみればある意味苦肉の策と言える、ヘンリックとハジメが持っている銃は欲しいしハジメ自身も召喚された使徒だ、王国からしたら使徒の1人を手に入れ、新たな武器を配備できるチャンスだった。
しかし使徒の中でハジメに意図的な誤射をした者が出た以上、事は単純に進まなくなった。銃は欲しいが使徒達の和を乱したくない国と教会はとりあえず面倒を後回しにする形で2人の条件の飲んだ。
こうして王城に帰還しての報告は様々なわだかまりを残して終了し、王座の間からは人々が次々と去っていくのだった。
「南雲ぉっ!!!」
と王座の間から人々が退出し、ハジメ達が王座の間から出た瞬間、光輝がハジメに掴みかかった。
「あ?...ぐっ!?」
人がいる場所で、まして王座の間近くで仕掛けて来ると思わなかったハジメは振り向きざまに胸ぐらを掴まれ、そのまま壁に押し付けられる。
「南雲っ!お前には血も涙も無いのか!あの人達はっ、トータスの人達は...!魔人族に苦しめられてるんだぞ!お前の銃を渡せば負担は軽くなるというのにお前は...っ!」
「光輝やめなさい!南雲くんが銃を渡さない事ははイシュタルさんが許可した事よ⁉︎」
「そうだよ!それに南雲くんが苦しがってるから早く離してよ!」
「雫達は黙っていてくれ!」
光輝は感情の赴くままにハジメに掴みかかり、雫と香織が離す様に説得してもまるで聞く耳を持たない。
「持っている...武器を、寄越せって言われて...はいわかりましたって渡す奴がいるかよ...っ!」
「何だと...⁉︎」
「それに...自分達じゃ無理だからって...異世界のガキに戦わせる様な連中に...誰が銃なんか渡すか...!」
息苦しい中でトータスの人間達への感情を吐露するハジメ、そんな彼を見た光輝の目は"悪"を見る目に変わる。
「そこまでにしてもらおうか」
「ッ⁉︎」
「光輝!早く離すんだ!」
光輝はハジメに鉄槌を下そうとしたらその瞬間、刃物が首筋に当たる感覚がした。首に刃物を当てた人物をみるとそれはヘンリックだった。
ヘンリックは彼の首にスローイングナイフの刃を当て、ヘンリックの背後からはメルドが早く離す様に必死な顔を伝える。
「これは南雲と俺の問題です...!ヘンリックさんは入ってこないでください!」
「入らない訳が無いだろう?""連盟の同志""が殺されかけているというのに」
刃先を首筋から喉まで移動させると光輝の目は怒りと困惑が入り混じる。
「お、俺を殺す気ですか...?」
「ああ、殺すかもしれんよ...同志の胸ぐらを離さないなら」
「ッ!」
ヘンリックは無感情にそう言い放つと、光輝は怒りの顔で振り向く。その場で緊張が走る。
「全員もうやめろ!光輝!南雲のボウズを離せ!ヘンリック殿、どうかナイフを収めて頂きたい...光輝のこの振る舞いも私の監督不届きが原因です...!光輝には私がきつくお灸を据えますのでどうか...」
「メルドさん...⁉︎」
メルドはヘンリックに頭を下げて頼み込み、ハジメ以外の、特に光輝は彼のそんな姿を見て驚く。
メルド・ロギンスは召喚された神の使徒達からしてみれば兄貴分の様な男だった、誰であってもフレンドリーに接し、時に厳しく時に優しくしてくれる、皆からは慕われていた。
光輝はそんなメルドを特に慕っていた、家族に妹はいれど兄は居ない光輝からしてみればそれこそ、実の兄の様に。
だから彼が自分の為に見ず知らずの人間に頭を下げるその姿にショックを感じた。
「メルド団長がああ言っているぞ、早く同志を離したまえ」
「メ、メルドさん...?何で...」
「聞こえないのか?早く離せといっている、君は団長殿にこれ以上"恥"をかかせたいのか?」
「...くっ!」
光輝は納得のいかない顔でハジメを解放する、ハジメは余程息苦しかったのかその場で激しく咳き込む。
そんな彼を見た香織が駆け寄ろうとしたが、その前に息を整えたハジメは光輝達を睨む。
「ッ...!」
その目は召喚される前、昼食の時間の際に見られた時の物と同じ目を見てしまった香織はたじろいでしまう。
そんな香織を見た光輝が、幼馴染を怯えさせた事、"自分が悪いのに"睨んだ事に怒り、またハジメに掴みかかろうとしたがメルドに抑えられる。
「なにをするんですか!」
「いい加減にしないか!この馬鹿者め!王城で流血沙汰を起こす気か⁉︎」
メルドに怒鳴られるも納得のいかない光輝がそれに言い返し、それ聞いた雫と龍太郎が光輝を宥め、香織はそれを見てオロオロとしている。
「ヘンリック様、南雲様、部屋を用意しましたので此方に」
そんな最中、1人の眼鏡を掛けた侍女が2人に話し掛けてきた、部屋が用意出来たらしく付いてきてほしい様だ。
「ああ、わかった。行くぞ坊や」
「はい」
ヘンリックとハジメは部屋に向かうべく、論争が続く光輝達を後にした。
「ヘンリック様は右の部屋を、南雲様は左の部屋をお使いください」
「ああわかった」
「それと申し遅れました、私はお二人の侍女を務めますキャロルと申します。以後お見知りおきを」
「よろしくキャロル」
ヘンリックとハジメは彼女に返事を返すと、キャロルはそのまま来た道を引き返していき、2人もそれぞれの部屋に入っていった。
与えられた部屋は高級ホテルの様に豪華だった、この部屋を与えたという事は王国はそれだけ2人に期待しているという事だろう。
だが今のハジメにはそんな事はどうでもいい、ハジメはその場でコートとベスト、ブーツを脱ぐとそのままベッドに横たわる。
(今日はもう...疲れた)
ある日突然狩人に選ばれてから悪夢をみる毎日を送っていたらいきなり異世界に召喚され、未知の敵と戦ったその挙句に誤射されて攻撃に巻き込まれる。
光輝に胸ぐらを掴まれて息苦しい思いをするわでハジメは散々な一日を送った。
(もう寝よう)
そしてそのまま深い眠りに落ちていった。
SEKIRO要素は次話に必ずお書きします..,