「これは想定外の事態だ・・・」
暗闇が支配する地に、、辺りを照らす月光と赤く不気味に輝く二つの瞳がそこにあった。
辺りには木々がこれでもかと生え茂ており、そこは森林と表現するのが正しいのだろうか。
そんな森林に場違いであり、そして異様な存在感を放つ赤い瞳のした者が立っていた。
しかし、その者を中心に木々や岩、緑などはすべて、まるで削られたかのように無くなっていた。
その者は、赤い鎧を身に着けており、その赤い鎧は全身を覆い隠すものではなく、肩や胸や腰などを守るように作られており、
機動力を重視したものであると推測できる。
髪型は腰辺りまで伸びているほどの長髪で、前髪は片目が隠れるまで長かった。
その髪に隠れている瞳は赤く、勾玉のようなものが中心に向かって三つ輪を描くように存在していた。
「俺はあの餓鬼に計画を任せ、外道魔像によって蘇る手筈であったはずだが、どういうことだ・・・。」
さすがの,うちはマダラ’も困惑を隠し切れないでいた。
彼が言う計画が本当に遂行されているのであれば、彼は死んでいることになる。
しかし彼は今大地に立っており、その赤く輝くその瞳も健全であった。
それに、最も彼を困惑させている要因があった。
それは彼の瞳のことであった。
彼は本来、計画の一端として自分の瞳をある者に移植させ、そして埋め合わせとしてスペアの瞳を
自分に移植していた。
しかし、マダラが持つ瞳はマダラ自身のものであった。
それを確証するものは、彼の体にしっくりくる瞳が自分のものだと主張していることと、
一番の決め手は目の前に無数に転がっている黒く、醜い姿の動物であった。
その動物は、人間の姿を模っており、子供くらいの背丈をしていた。
しかし、決して人間とは異なる点がいくつか存在していた。
まずどれも頭髪がなく、肌の色は汚れのせいもあるが、どれも焦げ茶色をしていて、耳は長く、鼻はコブのように
腫れ上がっていた。
そして口だが、それは異様なもので、人の頭を飲み込めるほど大きく、歯は刃のように鋭利で人の腕で
あれば簡単に食い千切れるであろうものであった。
そんな、動物というよりは悪魔に似たものたちが、見るに絶えない姿でところどころ転がっていた。
「しかしこいつ等をやってわかったが、この眼は正真正銘、俺の目であり、どういう訳かこの世界には人間が存在している。」
なぜそんなことが判明し、こういった経歴に至ったのか、それは少し前の事であった。
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森林の中に荒々しいほどの存在感を放っている男がいた。
その男を中心には、焦げ茶色の肌をした子供くらいの背丈をした悪魔が10m感覚で囲んでいた。
その悪魔は隠すところは隠し、身にまとっているものといえば革で出来た粗末な防具だけだった。
片手には木で出来た盾、反対には棍棒のようなものに釘が刺さったものと、本当に粗末な
ものであった。腕に自信がある大人であれば簡単とはいえないだろうが討伐は可能であろう。
しかし、その悪魔の脅威は個々ではなく数であった。
その悪魔を通称ゴブリンといい、仲間同士で行動し、人間やその他動物を襲い生活している。
そして、ゴブリンの知能は動物以上人間以下であり、魔族としては弱い類に位置する。
だが、ようは数次第である。
男を囲んでいるゴブリンの数は総勢50、これを討伐するには訓練を積んだ騎士が少なくとも20人は
居なくては厳しいものである。
そんな暴力的な数が男を中心にして囲んでいる姿を、一言で言い表すなら{運が悪い}であった。
この姿を目にしたものが思うことは百人中百人が「せめて辛くないように死ねるように祈るよ」など
、諦めの言葉に違いない。
仮に、これを突破出来るものがいるとしたら、それは勇者や超一流の殺し屋だけであろう。
しかし、本当に運が悪い。
その男は諦めてか、目を閉じていた。
それを確認してか、リーダーらしきゴブリンは口角をニヤっと上げ、大声で奇声を上げた。
それにしても、本当に運だ悪い連中だ。
その奇声が合図となりゴブリンたちは一斉に男へと駆け出した。
「検証に付き合って貰うぞ?」
そう呟いた途端に滲みでるオーラが絶対的強者のものに変化したことにゴブリン達は野生の感で気付き、一斉に止まった。
否、気付いてからでは遅いのだ。
そもそもゴブリン達が縄張りの移動をしていた途中、滑稽の獲物としてこの男を襲った時点でもう彼らの運命は決まっていた。
そう、彼らは本当に運が悪かった。
捕食者は彼らではなく、この男であるということに気付いた頃には、体はビクとも動かなくなっていた。
「やはりこのしっくり馴染む感じ・・・間違いなく俺の眼だ・・・・・。」
男は眼を見開くと、男を中心に青く、そして冷たい炎が展開し、10m以上ほど炎は燃え滾る。
この場でただ見ていることでしか出来ないゴブリン達は、信じられないものをみたような目でその男を見ていた。
その男を囲っていた炎はやがて、意思のあるかのように揺らめき、やがて炎内部に形が出来上がってくる。
その炎はパズルかのように男を囲み、そして骨組みを作って行き、最終的には男を取り込む形で15mにもなる
骨の巨人が出来上がる。
「うむ。」
そう頷いたことを合図に、男を取り囲んだ骨の巨人は片手を持ち上げ、棒状の何かを作り出した。
そして・・・一振りであった。
辺りには爆風、与えるはこの地を轟かせる破壊。それはゴブリン達を蹴散らすに十分すぎる威力であった。
そして蹴散らしたのは彼らだけではない。それを取り巻く自然環境、彼を中心にして50mは平地になっていた。
そんな中でも、ゴブリン達の残骸が残っており、中には生きたものまでいた。
もしこの場に居合わせた者が居たならば、このゴブリン達は正真正銘の化け物として見られていたのだろうが、
この現象は彼ら下等生物を殺さない程度に加減しただけのものであった。
辺りを確認した男は、一匹のゴブリンに近づき瞳を近づけた。
その瞬間に、ゴブリンはプツンと糸が切れたかのように絶命した。
そして男もまた、それに満足していた。
「なるほど、この世界は俺がいた世界とはまったく別のものらしい・・・」
男が今しがたしたことは、ゴブリンの記憶を読むものであった。
そしてゴブリンからはこの世界の基礎的な知識ではあったが、その中にも人間という種族が存在し、
{魔法}なるものを人間が行使するという情報を得られた。
さらに、人間はいくつかの{王国}に所属しており、文明もそこそこ発展しているということがわかった。
そしてこの事から、この世界は死という概念が存在し、そのことからこの世界が、あの世という線が薄くなった。
ならば今、しなければならないことは情報集めと今後の方針をたてることだ。
今後の方針については、まず王国に向かって考えてみるのもひとつの手段である
「これは想定外の事態だ・・・」