三単語小説   作:薫。

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お題:「猫背」「高校生」「かつおだし」

 私、美香。16歳の高校1年生! 今日はおばあちゃんの誕生日なの。だから学校が終わったら私が誕生日会用のご飯を作るんだ。

 

 いつも通り授業を受けて、今は放課後の午後4時。殆ど初めての料理でどれくらい時間がかかるか分からないから急いで帰らなくちゃ。

 

「美香、今日の放課後イオンに行かない?」

 

 誘ってくれたのは優美ちゃん。いつも一緒に遊んでる親友なんだ。だけど今日はおばあちゃんの誕生日、年に一度の大切な日だからしっかりと断る。

 

「ごめん、今日おばあちゃんの誕生日なの。だから、また誘ってくれたらうれしいな」

 

「そっか。また都合のいい日あったら教えてよ」

 

 少し残念そうに微笑む優美ちゃん。せっかく誘ってくれたのにな、と申し訳なくなる。けど、急いでる私はうん、と返事をしてその場を後にする。

 

 ここから家までは10分くらい。自転車にまたがってペダルを強く踏む。

 

 今日作ろうとしてるのはおばあちゃんの大好きな豆ごはん。いつもはおばあちゃんが私に作ってくれる。でも、私ももう高校生だ。おばあちゃんやお母さんに作ってもらうだけじゃないんだって分かってもらいたい。少し前にお母さんから豆ごはんに合うかつおだしの作り方も教えてもらったし、豆ごはんの作り方は完璧だ。他にもおばあちゃんの好きなものはあるから、それも一緒に作ろう。

 

 そんなことを考えているとすぐに家に着いた。おばあちゃんは家にいるみたい。いい機会だ、おばあちゃんに私が作るところを見ててもらおう。

 

「ただいまー!」

 

「おかえり、そんなに急いでどうしたんだい?」

 

「今日はおばあちゃんの誕生日でしょ? だから私が今日の晩御飯つくるんだ!」

 

「おや、まあ。それはうれしいねえ」

 

 嬉しそうにしてくれるおばあちゃん。こんな顔を見たら、一層頑張ろうって思える。

 手を洗って、色々準備を整える。私一人で台所に立つなんて初めてだ。ちょっとだけ不安もある。でも、おばあちゃんに喜んでもらいたいから。

 今日作るのは、豆ごはんと肉じゃが、そしてサーモンのムニエル。豆ごはん以外は一度も作ったことはないけど、COOKPADを見たら余裕だろう。大丈夫大丈夫! ちょっとくらい失敗したってなんとかなる! 

 

 豆ごはんは簡単だ。材料をそのまま炊飯器にいれてごはんを炊くだけ。間違える要素なんて一つもない。でも問題は肉じゃがとムニエルなんだよなあ……。どっちも作業工程が多くて少し大変だ。だけど、どっちもおばあちゃんの好物だ。おばあちゃんにはいつもお世話になってるし、誕生日には好きなものをたくさん食べてもらいたい。

 とと、まずはかつおだしを作らなくちゃ。昆布を水にいれて火をかける。昆布のだしが出るまでは時間がかかるから、この間に肉じゃがの準備をしよう。

 ジャガイモと人参、そして玉ねぎの皮を剥いて、と。ああ! 思ったより身の部分まで剥いちゃった! 

 大丈夫、まだ決定的な失敗じゃない。次は剥いたのを切っていこう。包丁を握るの、殆ど初めてだから少し怖い。けど、これも経験だよね。痛っ! 指切っちゃった。

 絆創膏を貼って料理再開だ。油をひいてお肉を炒めよう。熱っ! 油が飛んできた。

 

「美香、大丈夫かい? 私も手伝おうか?」

 

「大丈夫だよ。おばあちゃんは座って待ってて!」

 

 失敗続きの私を見かねておばあちゃんが声をかけてくれる。だけど、手伝ってもらえないよ。今日はおばあちゃんのために作ってるんだから、おばあちゃんに手伝ってもらったら本末転倒じゃん。

 

 って、そんな風に意気込んだのはいいものの、それから先もいっぱい失敗してしまった。これじゃあ、食べられたものじゃないよ……。ちょっと泣きそうになる。

 

「美香、まだお母さんたちが帰ってくるまで時間はあるよ。もう一度作ってみようじゃないか。今度はおばあちゃんにも手伝わせておくれ」

 

「でも! 今日はおばあちゃんの誕生日なのに!」

 

「なんだい。そんなことを気にしてたの。私にとってはね、こうやって美香が私のために頑張ってくれているだけで十分なのさ。

 それにね、大好きな孫と一緒に料理するのもおばあちゃんはとっても楽しいんだよ」

 

 そんな風に言ってくれるおばあちゃん。その言葉はお世辞でもなんでもなくて、本当に私とする料理を楽しく思ってくれているようだった。

 

「皮を剥くときには力を入れすぎないようにね。引っ掛かったりしてしまうから」

 

「ほら、猫背になってるよ。包丁を持つときには背筋を伸ばさないと危ないからね」

 

「油をひくときには必要以上に体を近づけないようにしないと。熱いのは嫌だろう?」

 

 そうやっておばあちゃんに色々と教えてもらいながら一緒に作ったごはんはどれもとても美味しかった。私一人で作ったのとは大違いだ。おばあちゃんは偉大だなあ。

 でも、おばあちゃんはああ言ってくれたけど、やっぱり、私が一から作った料理を美味しく食べてもらいたい。来年こそはちゃんと出来るように練習しよう。これからは出来る限り晩ごはんを作るのを手伝っていこうと決めた。

 

 

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