旧:【Fate/】転生したらエルキドゥな件【Grand Order】   作:金属粘性生命体

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次話でこの章が終わります。やっとだよこんちくしょう!


エルキドゥ救出作戦その5

「おい、店員。こりゃぁ……なんだ」

「分からん、まだここに着いたばかりだが……あれの仕業だろう」

「うへぇ、なんだアイツ。ドッロドロだなおい」

 

 どデカい剣を引き摺るように登場した男と、両手に黒鍵と呼ばれる概念礼装を持った神父服に着替えた男が居た。そしてその両者の視線の先には先程店員以外の転移者をボコボコのボコにした旧支配者、シアエガが辺り一帯を破壊尽くしていた。

 

「ふむ、このまま放置すれば少しは楽しめそうだが……」

「それはさすがに俺が許さねぇよ。確かにお前さんとは激辛麻婆を食いあった仲だが、こんなバケモン放置してられっか。てか放置したら詠春に怒られるわ」

 

 うへぇと嫌な顔を隠さない紅き翼(アラルブラ)の生きる伝説ことジャック・ラカン。そしてもはや隠す気のない愉悦大好き言峰神父がラカンの言葉に残念そうな顔をしていた。

 

「まぁ私もあまり好き勝手するのはいけないだろう。あの混沌神に何をされるのかわかったものでは無いからな」

 

 混沌神と名乗り、第二魔法を、もしかしたら他の魔法をも使うことが可能な神話生物。己の記憶だと混沌神が名乗った名前であるニャルラトホテプ……思考がバグってしまったが、そんな名前の存在は確か近年により作成されたクトゥルフ神話において登場したはずだ。まさか、存在しているとは思わなかった、そしてそんな存在なら近年まで神話が作られなかったのも納得する。

 

「しかし……あれは一体なんなんだ?」

 

 それより今目の前に居る存在はなんなのか記憶から引っ張りだそうとしてみる。この世界特有の生き物の可能性はあるが、隣に立つ麻婆仲間(ジャック・ラカン)を見る限りこの世界固有というわけでは無さそうだ。

 

「ふむ、ラカンでも知らぬのか」

「誰かが作ったのなら知らんでも済むけどが……ありゃ自然発生した生き物だろう。それもここで生まれたわけじゃなく別の星かどっかで」

「その根拠は?」

「勘」

 

 もしやこちらの世界の存在なのだろうか……と。思考を沈めようとした時。

 

 唐突に隣に2人の人物が現れた。

 

 それは先程までここを観察していたベルゼブブとエヴァンジェリンである。なおラカンはエヴァンジェリンを見た瞬間顔を引き攣らせた。

 

「ちょっ、なんでエヴァ、お前がいるんだよ」

「うるさい筋肉達磨。別にいいだろう、あれを殺しに来たんだ」

「あー、殺しちゃダメですよ。返してもらわないと私も原初の神(アルティメット・ワン)に何されるか……ブルブル」

「ちっ、面倒な」

「お前さん誰よ……?」

 

 不明な男に問いつめるように顔をずいっと近づけるラカン。こほんと咳一つして、杖をコツンと地面へと下ろし、口を開く。

 

「どうも、私は異界の悪魔、ベルゼブブです。邪神とか、魔界第二位の悪魔とか呼ばれてます。サタンくんに第1位の座を親切に渡した紳士です」

「うさんくせぇ」

「酷い!」

 

 ブバッと、どこかで見たことがあるようなないような喀血をしながら叫ぶベルゼブブと名乗る男をラカンは見据える。確かに見た事もない体の構造をしているし、何より魔力がえぐい。

 

「確かにお前さんは人間じゃねぇんだな……まぁさして珍しくもない……よな?」

「確かに人ではない亜人は多くいるが、人種からの枠から外れてるのはそうそういないぞ。脳みそまで筋肉になったか?」

「ひでぇぜ……んで、ベルゼブブとやら。あれ知ってんのか?」

 

 その言葉に待ってましたと、両手を広げた瞬間……タールのような液状の体を持つ化け物がベルゼブブを触手でたたきつけて、地面へと埋めた。

 

「……もごもごもご」

「ふむふむ……シアエガと呼ばれる旧支配者で、お前さんらの世界の化け物と……どうしてそんなものがここにいやがる、返答によっちゃその首……刎ねるぞ」

「もごご!?もごもご!もごごごもごごご!」

「あー……店員の言ってた混沌神とやらの仕業か。疑って悪い、だが謝らん」

「もごぉ……」

「いや、なぜ会話ができる」

「なんとなくだ」

「……はぁ」

 

 聞いた自分が馬鹿だった。盛大なため息をひとつ吐いて飛んでくる無数のよく分からん液体を弾く。と、そこで地面から抜けたベルゼブブに声をかける。

 

「一先ずあれを倒さなければこの先にいるエルキドゥを救えぬのだろう?」

「ええまぁ……別に倒さなくても彼の者の所に行ければ別に良しですけどね。言峰神父、あれは持ってますよね?」

「あぁ、これだろう。勿論持っているとも」

 

 麻婆神父が取りだしたる麻婆缶詰……は懐に仕舞い、目当てのよく分からない形をしている鍵を取り出す。

 

「一体これは何でできているんだ、何度も解析の魔術をかけても判明しないのだが」

「虚数鍵って言ってね、虚数属性が付与されている特殊な鍵なんだ。これがないとエルキドゥのシステムに干渉できないんだよねー」

「なら貴様ら自身でやればよかっただろう」

「それがねぇ……エルキドゥって神縛りの鎖っていう超古代文明産の対神兵器なんだよ。だから今の状態のやつに近づいたら即座に拘束、すり潰されちゃうって訳。だから人に頼むしかないんだよねぇ……」

 

 やれやれと言わんばかりにうんざりした顔をシアエガの後ろ、オリンポス山を見る。もうすぐそこだ、もう少しで報酬も得られる。ならば突っ切るのみ。

 

「ラカン、任せてもいいか?」

「おう、任せな。エヴァ、おめぇも手伝え」

「ハッ、エルキドゥは私の物だ、勿論助けるとも……全力全開でな!」

 

 本気の強化魔術を己に施し駆ける。シアエガが攻撃しようと、触手を振り上げるが……

 

「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック、来たれ(ウェニアント・スピリトゥ)氷精(ス・グラキアーレス)大気に満ちよ(エクステンダントゥル・アーエーリ)白夜の国の(トゥンドラーム・エト)凍土と(グラキエーム・ロキー・)氷河を(ノクティス・アルバエ)

来たれ(アデアット)、【千の顔を(ホ・へーロース・メタキー)持つ英雄(リオーン・プロソーポーン)】」

 

 唐突にシアエガ周辺の地面が凍りつき、巨大な氷柱がシアエガを突き上げ、上へ飛ばされたと同時にあまりにも巨大すぎる大剣がシアエガを薙ぎ払った。

 

「【こおる大地(クリュスタリザティオー・テルストリス)】」

「斬艦剣!!」

 

 巨大な剣の柄にはラカンが、氷の台地を作り出した先にはエヴァが居た。両者ともにここ、魔法世界(ムンドゥス・マギクス)の最強の一角である証明となる威力であった。そして出来た空間を言峰神父は走り去った。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「ほっほー、これは私が何もしないのは失礼ですねぇ……まぁおイタが過ぎたシアエガとニャルラトホテプのお仕置にもなりますし良いですよねぇ……回収にもなりますし」

 

 隣に立つベルゼブブが何か呟いたと思ったら急に何かを詠唱し始めた。

 

魔界第二位ベルゼブブの名において(魔界第一位ベルゼビュートが認証する)魂の終着より命ず(魔界の方舟よ来たれ)

 

 吹き荒ぶ、シアエガが起き上がろうとしたその直上に何かが出来上がっていく。ベルゼブブの口からはふたつの言葉が同時に聞こえる。

 

「【叛逆者を喰らえ(魔界門よ、解錠せよ)

 

 それは門だった、天より降る、地獄の、魔界の門であった。扉が開いた瞬間……夥しい数の亡者がシアエガをその門の内側へと連れ去った。シアエガは抵抗していたようだが焼け石に水、もはや抵抗なのか分からないほどにシアエガを包み込んで……消えた。

 

「いやー、久々にやりましたが……魔力ごっそり持ってかれますねー。別世界でやるもんじゃないですねぇ……キツい……」

 

 そして隣では本当に疲れたのか五体投地しているベルゼブブが居た。

 

 

 

 

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