あの日見た夢をもう一度、あの日見た光のその先へ 作:白髪ロング娘スキー
アクタージュにハマり、気付けば書いていました。
終わり方だけは考えてあるので後はそこに辿り着けるかですね。
其処までのプロットとか一切無いけどね!
こんな事やってるから完結出来ないんだよなぁ……
という訳で初投稿です。
才能とは何か。
そう聞くと、大概の人はこう答えるだろう。
生まれ持った能力。他の人より優れている証だ、と。
間違ってはいないだろう。
才能とはその人物の人生を決める能力だ。
そして同時に、ああしろこうしろと口うるさく喚く民衆を黙らせるための力でもある。
どれだけ凡人が血反吐を吐くような努力をしていようとも、それを軽く鼻で笑い、一足飛びに追い抜けるのが才能を持った人間だ。
そんな才能を持った人物の事を人は天才と呼び、一部の人間はそんな天才の事をギフテッドと呼ぶ。
ギフテッド、
神からのプレゼント。
才能を持たない凡人から見れば、そう見えるのも致し方ないだろう。
……だが、才能を持つ側の人間から言わせれば、そんなのはただのまやかしだ。
羨ましいという嫉妬のフィルターがかかっているだけなのだ。
そう、
……呪いだ。
子供の頃、という単語を聞くと人は何を思うものなのだろうか。
学校? 友達? 遊び? 恋愛?
……どれも俺にはよく分からない。
俺にあったのは輝くスポットライトだけだった。
幼いころから俺は何でも出来た。
テニスに将棋に絵、演奏に調理に彫刻。
出来ない事など何もなく、例え出来なくともすぐに出来るようになった。
親は優しかった。
どれだけ試しても出来なかった事を出来るようにするために、地球の裏側にまで連れて行ってくれるような親だった。
旅行代も馬鹿にならないだろうに、俺が望めばどこにでも行かせてくれた。
なんなら、望まなくとも連れて行かれていたほどだ。
朝にハワイに行ったと思えば、夜にはラスベガス。
次の日に家に帰ったと思えば、荷物だけおいて九州宮崎市に行き、なんとなく行きたくなったから沖縄那覇市に行って一泊もせずにその日のうちに帰る。
特に遊ぶわけでもなく、俺に出来ない事をやっている人を一目見たら即帰るだけ。
そんなスケジューリングの欠片も無い、もはや旅費の無駄遣いに近い馬鹿みたいな旅。
しかし、一番楽しかったのは何時かといえば、この頃だろう。
学校には通っていなかった。
親はそんな下らない事よりも、お前はもっとやれる事を増やしなさいと言ったからだ。
正直、学校で習うであろう事など全て出来ていたため、特におかしいと思う事は無かった。
むしろ、出来る事をわざわざ習うよりも、出来ない事を出来るようになりたかった俺からすれば有り難い事だった。
しかし、その旅もすぐに終わりを告げた。
元々、俺に出来ない事など殆ど無かった。
それを埋めるための旅だったというのに、こんな休みなく馬鹿の様なやり方をしていれば、出来ない事などすぐになくなっていく。
次第に、俺は家にいる事が多くなっていった。
旅もせず、出来ない事など無いがために何かをやる気力も起きず、ひたすら親が買ってきた本を読み漁る。
人間として死んでいく感覚を覚え始めたその時に、そいつらは来た。
そいつらは自分をテレビ局の者だと名乗った。
なんでも、親が送った俺の映像に興味を持ったとかで、テレビに出て欲しいらしかった。
暇を持て余していた俺は快諾、後日収録現場に連れていかれる事となった。
その収録は今では珍しくなった生放送番組で、子供たちが集まって才能を競う、という番組だった。
俺の順番は一番最後、前の順番の子が次々と出て行って自信満々に芸を披露していった。
その時の俺は、らしくもなく緊張しきっていた。
当然だ、人前に出て芸を披露する経験のない人間が、人前で一切の緊張なく芸を行える筈が無い。
ステージの下、並べられた椅子に座る人の海に、俺の頭は真っ白になっていた。
そこからは記憶がない。
一つ確かなのは、その番組は終わり、俺の手にはトロフィーが握られていた事だけだった。
その番組に出演してからは毎日が忙しかった。
テレビからのオファーを知らせる電話は鳴り止まず、親はそれを一つ残らず承諾していった。
かつての旅を思い出させる程に多忙な日々。
月火水木金はテレビの収録、土日は映画の収録、祝日にも当然の如く何かの収録が入る。
外出するにもマスクとサングラスは必須となり、バレれば俺を中心に人の山が出来上がり、サインなど書きすぎて何度か腱鞘炎を起こした。
なんだかんだ言って、当時の俺は小学生相当の子供。
休みの無い毎日に疲れ果て、それが何年も続くと流石に嫌気が差した。
オファーは全て切り、外界から完全に身を置いた。
もはや人と関わる気すら起きず、ひたすら排泄物製造機と化した。
しかし、何もしない日々というのは存外退屈だ。
というか、正気に戻ってみれば、何もしないという事はもはや苦痛ですらあった。
子供の身ながら、社畜の気分を味わった瞬間である。
とまぁそういう事で、暫くすると再び出来ない事探しの旅でもしようと思い始めたのだ。
そうして暫くぶりに外に出たまさにその日、俺は運命に出会った。
「準備は良いか、景」
「ええ、出来てるわ」
「よし、ならいくぞ。よーい……アクション!」