あの日見た夢をもう一度、あの日見た光のその先へ   作:白髪ロング娘スキー

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書いてて凄い楽しかったですけど、同時になんかコレジャナイ感が凄いありましたね。
多分書き方が駄目なんだろうなぁ……精進します。




act9 配信回1-2

 

「さて、キャラは何にする? 好きなの使っていいぞ」

 

 ローディング画面が切り替わり、マッチングが終わる。

 次にキャラ選択画面が現れた。

 

 このゲームは沢山のキャラがいて、ゲーム側が選出した順番にキャラを取っていく。

 しかし、同じキャラは使えず、使えるのは先に選択した人だけだ。

 

 例えば、俺がロボを使おうとして、他の味方が先にロボを選択してしまった。

 そうした時、その人しかロボは使えなくなる。

 そもそも選べなくなるのだ。

 

 一体のキャラを好んで使うキャラ専プレイヤーもいるが、このシステムの為に度々使いたいキャラが使えない状態が生まれる。

 そして、パーティーの最大数は3人であり、そこから減る事はあっても増える事は無い。

 なので、このゲームでは最低3体のキャラを扱えるようになる事が推奨されている。

 

 だが、そんな事が出来るのはそれこそ中級者以上だ。

 初心者どころか、今始めたばかりのエンジェルにそんな事が出来る筈がない。

 

 なので、好きに選ばせる。

 どうせ俺はどれを使ってもそこまで変わらない。

 精々キルのスピードが上がるくらいか。

 

 おら、豚ゴリラも好きなの選べよ。

 

『完全初心者でヨナキチの枠勝ち取るとか色々凄いな』

『レベル1だし、チュートリアル終わってすぐ来たのかな?』

『その最初の試合がヨナキチによるキャリー試合とか絶対後で苦労する』

『お、青山輝馬か。まぁ最初のキャラだしな』

『ゴリラはシールドゲイだな』

『エンジェルちゃん害悪になんなきゃいいけど』

『完全初心者エンジェルちゃんの未来は暗い』

 

「おーおーボロクソと随分好き勝手に言ってくれるなお前ら」

 

 ロボを選択し、キャラ選択は終了。

 ゲームが始まる。

 

 ゲームの最初は飛行船に乗った状態から始まる。

 飛行船はマップの端から端まで飛び、プレイヤーは好きなタイミングで飛び降りるのだ。

 そしてパーティー全員を引率して飛ぶ者の事をジャンプマスターと呼ぶ。

 

 今回のジャンプマスターは……エンジェルか。

 

「どこでも好きに降りろ。死んでも俺がカバーしてやるよ」

 

 そう言った瞬間、エンジェルが飛び降りた。

 降りた場所は断片の東、いわゆる人が沢山降りる激戦区。

 しかも、降りるのに慣れていない為、明らかに出遅れている。

 

『うわぁ……エンジェルちゃん鬼畜』

『死んでも俺がカバーしてやるよ(キリッ』

『武器なきゃ勝てないのは当たり前なんだよなぁ……』

『まぁ初心者やし良い降り場所知らんのは仕方なかろ、勉強や勉強』

 

 そんなコメントを見ている内に到着。

 辺りでは銃声が響き渡っている。

 当然ながら武器などは何も落ちていない。

 

 強いて言うならグレネードなどの投げ物が3個。

 

「しゃーない、グレネードでいいや」

 

 その辺を走っている敵に取り敢えず投げ物を2個当てて倒し、そいつが持っていた装備を回収。

 入っていたのはピストルショットガン一丁のみ。

 まぁ素手よりはずっとマシだろう。

 

『さりげなくスーパープレイを魅せるんじゃない』

『死んでも俺がカバーしてやるよ(キラキラ』

『なんで爆発するまで時間差のあるグレを連続で当てられるんですかね……』

『ヨナキチだからさ……(諦め』

 

 そんなことをしている間に、既に豚ゴリラはやられて死亡。

 エンジェルはやられてないようだし、多分どこかに隠れているのだろう。

 

「さーてさてさて……やりますか」

 

 グレネードの音を聞きつけてやってきた敵二人を倒し、装備を奪う。

 

 次に、近くで争っている部隊の、形勢が有利な方を後ろから叩く。

 まずは1キル2キル。3人目はどこかへと逃げたため、追わずに簡単に装備を漁る。

 

「お、羽男」

 

『はい、ゲーム終了いやいや、羽男なんて当てられなきゃ意味ないでしょ』

『幾ら当てれば簡単に敵を溶かせるクソ強リボルバーだからってねぇ?』

『例え頭に2~3発当てたら倒せるからってゲーム終了は吹きすぎ』

『じゃあヨナキチが握ったら?ゲームセットォッ!(無言の退室)』

『草』

 

 武器を交換する際に羽男に付いたスコープを外し、形勢不利だった方の部隊を叩く。

 受けていたダメージの回復は終わっていると思うが、気にせず突撃して殲滅。

 その内の一人が持っていたショットガンに体力をミリまで削られたが、まぁ勝てたから良しとしよう。

 そのショットガンをピストルショットガンと交換する。

 

「おいエンジェル、索敵してるから今の内に漁っちまえ」

 

 そうして暫し待ち、漁り終えたエンジェルを連れて進む。

 本当は戦闘が終わった事だし豚ゴリラを蘇生させたいのだが、蘇生に必要なバナーというアイテムを拾えなかったからな。

 すまんな豚ゴリラ! そこで見てろ。

 

 そして、敵と会う度に殲滅していくのだが、意外とエンジェルが役に立つ。

 スナイパーでチクチクとダメージを与えてくれるので、戦っている時に楽なのだ。

 命中率も5発撃って1発当たるかどうかといった所なので、初心者にしてはかなり上手い。

 ワンテンポ遅れている動きからして、他のFPSシューティングを遊んだことがある訳でもなさそうだし、割と才能は有りそうだ。

 

 そんな感じで俺が斥候、エンジェルが狙撃をしながら進んで最終円間近。

 正確に言えば最終円二歩手前だが、最終円一歩手前の時点で、もはや狭すぎて戦える場所ではないので、実質最終円という認識で良いだろう。

 

 生き残った敵はあと一人で、場所は建物の上。

 強ポジションを取れており、まず負ける事はない場面。

 

 

 

 そんな状況で、俺はエンジェルのプレイ画面を見る事になっていた。

 

 

 

『あのあの、プレデターさん?』

『完全初心者を置いて死ぬのはちょっと情けなくないですかねぇ?』

『死んでも俺がカバーしてやるよ(キリッ』

『まーまー、キルログからして相手キルレ世界一位やししゃーないしゃーない』

『試しに今相手のTwitter見て来たら、少し前にこのマッチの画像投稿されてたで』

『多分最初に逃がした奴だな。直訳だけど「ヨナキチいたヨナキチ! ちょっと待って、おめかししてから殺しに行かなくちゃ!」だって』

『随分殺伐としたギャルですねぇ……(遠い目』

 

 という訳で、アぺクスのキルレ*1世界一位との撃ち合いに負けたのだ。

 運とか無しに、単純に実力で負けた。くそったれめ。

 

『いやいやいや、なによあの羽男の撃ち合い』

『もう殴り合い出来る距離で撃ち合ってたもんな』

『そんでヨナキチが一旦下がろうと建物から落ちたら追いかけられて空中クレーパーやからな』

『ヨナキチも落下しながら羽男撃って応戦してたけど、あとちょいダメージ足りなかったな』

『惜しい』

 

 軽く気持ちの整理をしてから画面を見る。

 すると、一人残されて困っているのか、エンジェルがチャットをしていた。

 

『ここからどうすればいいのかな?』

「あー、別に好きにやってもいいんだがな。じゃあ指示に従ってくれ」

『うん』

「目の前の建物あるだろ、ちょっとそこ見せろ」

 

 指示に従い、クレーパーのスコープを覗き込むエンジェル。

 すると、そこにはクレーパーを構えてこちらを見ている相手の姿があった。

 

「一旦下がれ!」

 

 俺の大声に驚いたのか、何故かいきなり立ち上がるエンジェル。

 だが頭の位置を動かしたことにより、敵の弾は頭ではなく、胴体に入った。

 

『おっほ』

『スコープ覗き込んだら相手がこっち見てて目が合うとかホラーすぎんか』

『こっわ』

 

 防具を壊され、体力は半分にまで減る。

 それでも、なんとかエンジェルは死なずに生き残ることが出来た。

 

 だが、そんな突然の大ダメージにエンジェルは心底驚いたらしい。

 無駄にジャンプしたり、謎にクレーパーを放ったりと、もはやパニックだ。

 ……仕方ない。

 

「落ち着け、エンジェル」

 

 俺の声と共に、ピタリと画面の動きが止まった。

 よしよし、いい子だ。

 

「まずはその場でしゃがめ、そして回復をするんだ」

 

『おっふぅ……』

『唐突なイケボはNGこの声聞いてるだけで落ち着いてくるから不思議よな』

『ヨナキチセラピー』

 

 指示に従ってその場で静かにしゃがみ、回復をし始めるエンジェル。

 そして防具が治り、体力を回復したエンジェルに追加で指示を出す。

 

「部屋の隅に座ってその階段に照準を合わせろ」

 

『? なにさせてるんだ?』

『決め打ち*2じゃないの?』

『つったってこっちは初心者やぞ、まず当たらんやろ』

 

 指示通りの位置にしゃがみ、スコープを覗くエンジェル。

 照準もちゃんと指示通りの場所に置かれ、あとは撃つだけといった状態だ。

 

「俺が撃てと言ったら撃つんだ。いいな」

 

 あとは敵が来るのを待つだけだ。

 幸い円は味方してくれているようで、エンジェルのいる建物が円が来ない安置だ。

 つまり、相手は絶対に来ざるをえない。

 

 大丈夫だ、勝てる。

 そう思った時、建物内に足音が響いた。

 来たか。

 

『ドキドキ』

『さてどうなるか』

『当てるか死ぬか、二つに一つだ』

 

 足音は止まることなく上ってくる。

 この勢いからして、来るまで5秒……3、2、1!

 

「撃て!」

 

 ズダァーンという重い発砲音が響く。

 結果は……当たり、でも頭じゃない!

 防具は割れ、体力は削れ、それでもまだ死んではいない!

 

「グレネードを投げて飛び降りろ!」

 

 焦っているのか、明後日の方向に飛んで行くグレネード。

 だが、それでもいい。目的はグレネードを当てる事じゃない。

 

 建物から飛び降り、着地したエンジェル。

 しかし、先ほどは味方してくれていた円が、今度は行く手を塞いでおり逃げることが出来ない。

 

「大丈夫だ、建物の中に入れ」

 

 音を立てない為にか、ホラーゲームの主人公の様にゆっくりと建物に近づき、扉を開けるエンジェル。

 別にそれはいいが、このゲームゆっくり扉を開けるとか無いぞ?

 

 バンッ! と勢いよく開く扉。その音に驚いたのか、その場でぴょんっと跳ねる画面。

 

『なにこれかわいい』

『多分本人はそんな事言ってられないだろうけどな』

『初めてのプレイで最終ラウンド1対1の緊張感は厳しかろ』

『スパルタヨナキチ』

 

「落ち着け落ち着け。よし、落ち着いたな? やる事はさっきと同じだ。部屋の隅でしゃがめ」

 

 ゆっくりと音を立てない様に歩き、部屋の隅へ移動するエンジェル。

 そして隅っこの方でしゃがむ。

 

「次だ、クレーパーを出してスコープを覗き込め。もうちょっと照準を右だな。あ、行きすぎだ、もうちょい左」

 

 かちゃりとクレーパーを取り出し、スコープを覗く。

 しかし焦っているのか、照準が指示通りに動かない。

 行き過ぎる時もあれば、逆にピクリとしか動かない時もある。

 

「落ち着けエンジェル。大丈夫だ、安心しろ、俺がいる。指示通りにやれば勝てる。だから緊張しなくていい、負けたら全部俺の責任だ。お前は気負うことなく指示通り撃つだけでいい。……分かるな?」

 

『あっ、あっ、あっ、分かるな? の吐息すごっ、あっ』

『やばいやばい耳が孕む、孕んじゃうううう!!!』

『無駄にエロく言うの禁止ぃぃぃ!』

『うわぁ……(ドン引き』

 

 一瞬の間を置き、今度こそ指示通りの場所に照準が構えられる。

 あとは相手を待つだけだ。

 

 円の収縮が止まり、近くまで来た円がごうごうと音を立てる。

 大分音が聞こえにくいが、それでも聞こえない程ではない。

 

 ……来ているな。

 

「あとは分かるな? 俺が撃てと言ったら撃つんだ、いいな?」

 

 足音が迫る。

 接敵まであと5秒。

 

 4

 

 3

 

「俺を信じろ」

 

 2

 

 ……1

 

「撃て!」

 

 重なるズダァーンという重い発砲音。

 ……勝者が決まった。

 

 

 

 

 

 

 画面に出たのはYOU ARE THE CHAMPION(お前が勝者だ)の文字。

 勝ったのは……エンジェルだ。

 

 

 

 


 

     

act9        

        

レジェンズ・ウォー

 

 


 

 

 

 

 

『お、おおおおおおおおお!?!?』

『勝った!? マジで!? 相手世界一位やぞ!? 初心者が!?』

『世界一も流石やな、ちゃんとエンジェルにクレーパー当てよったで』

『頭抜かれてたら負けてたな』

『うおおおおおおめでとおおおお!!!!』

 

「ふぅー、なんとか勝ったか」

 

 なんか異常に疲れたな。

 

 体から力を抜いて椅子の背凭れに背中を預ける。

 水を一口含み、画面に視線を戻せば、エンジェルからのチャットがあった。

 

『楽しかったよ、ありがとね』

「おー、お疲れさん」

 

 チャンピョン画面を飛ばし、メインメニューに戻る。

 そして、豚ゴリラとエンジェルがパーティーから抜けたのを確認し、再度マッチングサイトにURLを貼る。

 

「よーし、次行くぞお前ら。とっとと来いや!」

 

 

*1:
殺した数と死んだ数の比率。基本的には高ければ高いほど良い

*2:
あらかじめ見る場所を決め、そこ以外を見ないこと。ハマれば強いが、色々と弱点もある




 
 暗くなった部屋の中、女が一人ベットに座っている。
 女の手には一つの機械が握られており、部屋には何度も何度も男の声が響いていた。

『落ち着けエンジェル。大丈夫だ、安心しろ、俺がいる。指示通りにやれば勝てる。だから緊張しなくていい、負けたら全部俺の責任だ。お前は気負うことなく指示通り撃つだけでいい。……分かるな?』

『俺を信じろ』

『お疲れさん』

「……ふふふ、変わらないよね、君は」

 女は一つ、ひどく満足げな顔をして笑う。
 そして手にしていた機械を胸に抱き、目を瞑ってふかふかのベットに潜り込んだ。

 あぁ、これで明日の仕事も乗り切れそうだ。


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