「クリスちゃん、違和感ある?」
「いや、特には……。」
「よし。スパナ、準備いい?」
『あぁ、コンタクトディスプレイに不具合が現れればこちらから修正する。少しでも違和感があれば言ってくれ』
「お、おう」
無線機からスパナというボンゴレのメカニックの声が聞こえる。正確には、まだ学生の身らしいけど卒業後はボンゴレに入るのは本人の強い意志らしい。
ツナがXBURNERを撃つときに使うヘッドフォンとコンタクトディスプレイを作った人物で腕は保証できるらしい。もともとは十年後の世界でミルフィオーレ・ファミリーの一員、つまり敵だったわけだが、ツナの完成したXBURNERを見るために裏切ってボンゴレについた変わり種らしい。
一応、一回は殺し合った仲らしいけどそれすらも仲間にしてしまうあたりがツナらしいっていうか、流石大空と謳われた初代ボンゴレの再臨ってやつなんだろうな。まぁ、あたしもその大空に救われた身だけどさ……。
ツナはリングに炎を灯して持っていたボックスを開匣する。開いたボックスから大空の炎をまとった的が空中に現れる。死ぬ気の炎を纏った兵器用の的だ。
んじゃ、あたしも……。右手の中指に付けた嵐のシンフォギアリングに赤い死ぬ気の炎を灯し、ツナからもらったいイチイバルの紋章が刻まれたボックスに炎を注入する。
「開匣」
ボックスが開くと赤い帯が飛び出し、私の腰に巻き付くと16個の新たなボックスが現れる。
「これがSYSTEMA C.A.Iってやつか」
『正確にはそれは獄寺のオリジナルを元にアンタのイチイバルに合わせられるようウチと正一とヴェルデで作ったもの、だけど威力は申し分ないはずだ』
「まさか、クリスちゃんが獄寺くんと同じ五つの波動持ちとは驚いたよ」
あたしは右腕の五本の指につけられた五つの指輪を見る。中指に嵌められたのは他の奴らと同じシンフォギアリング。残りはCランクの雨、晴、雷、雲のリング。
複数の波動を持つ人間はそれほど珍しくはないが、それを実践で使うのは相当難しいらしい。あの馬鹿も六割が晴の波動で、二割が大空、残り二割が雷だって言ってたけど、ほとんど晴属性で戦ってたし。ツナの守護者も嵐の守護者以外はそれぞれの得意な属性で戦っていると聞いた。
―――ホントはマリアとか天羽先輩みたいにツナと同じ大空の属性が欲しかったんだけどな。
だけど、せっかく持ってる波動を活かしたいとツナに頼んで、ツナからスパナや入江正一って言うやつに頼んで作ってもらったのがこのイチイバル用のSYSTEMA C.A.Iってわけだ。オリジナルはツナの嵐の守護者が使ってるらしいけど。
ヴェルデってやつが協力してくれたのはツナも驚いていた。その名前はリボーンに聞いたことがある。アイツと同じ世界最強の
フィーネも炎を組み込んだ兵器については自分より、向こうのメカニックのほうが遥かに優秀だと言っていた。
「それじゃあ、始めようかクリスちゃん」
「あ、あぁ」
まぁ、あたしとしてはこいつと二人っきりになれるチャンスができて助かったけど……。
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アイツと初めてあったときはフィーネの命令であの馬鹿とアイツが持っているボンゴレギアを奪うために襲いかかったときだった。
……はっきり言って、ツナには手も足も出なかった。一回も攻撃が当たらなかった。あれはもはや反則の粋だろ。
暴走した馬鹿を調和の炎でのXBURNERで止めたときも、その後の戦いでもあたしはあいつに手も足も出せなかった。だけど、その分アイツが憎くなった。強い力を持つものがいるから争いがなくならない、パパとママを死なせたのもそれが原因だとずっと思っていたからだ。
『お前みたいなやつがいるから、争いがなくならないんだ!』
『……俺だって、争いはしたくない』
『ッ!?』
『それでも、譲れないものがある……そのためなら俺は何度だって拳を振るう覚悟がある!』
あのときのあいつの澄んだ瞳は今でも忘れられない。結局、あたしはツナに負けてなんとか逃げ切ったけどフィーネに見捨てられて街で生き倒れているところをあいつとあの馬鹿の友達に助けられた。
なんで、助けたのかと聞いた。そしたら、あいつ
『ちょっと、昔の俺の友だちに似てる気がしてさ。放っておけなかった……あとは、君は……悪い人じゃないから』
『はぁ?そんなことなんでわかんだよ?』
『なんとなくわかるんだ、俺の数少ない取り柄だよ』
そのときは何をふざけたことを言ってるんだと思ってた。だけど、あいつの直感は何よりも確かなものだった。ボンゴレの超直感って凄すぎるだろ……。
それからはあいつの家で一時的に世話になった。あいつが留守の間はナッツというアイツの相棒のライオン?猫?が護衛としてついてくれてた。あの見た目でノイズを石化させてふっとばしたのを見たときは口が閉じないくらい驚いたよ。あいつがでかけてる間におっさんが訪ねてきたり、あいつのヘッドフォンからあいつの家庭教師を名乗る赤ん坊がホログラムを通して昔のあいつについて話してきたりした。
元はダメダメな中学生だったのにいきなりマフィアの世界に叩き込まれ、争いごとが嫌いなのに、いきなり裏世界の事情に関わることになり、何度も死ぬような思いをしながら仲間のためだけにあそこまで強くなった。あいつが使ってる炎の澄んだ色はその覚悟の現れだとも聞いた。
それが真実だという確証はなかった……だけど、あいつの行動とその話はあまりにもピッタリあっていて不思議と納得がいった。あいつの言っていた譲れないもの、それが仲間だったってことだ。
絶唱を使ってカ・ディンギルの機動をそらしてその光に呑まれそうになったときに助けてくれたのもツナだった。マントを使って自分とあたしの周りの攻撃を無力化して護ってくれた。
『ナッツ、クリスを頼む』
『ガウ……。』
『はっ、自分を殺して月への直撃を阻止したか……ふふん、無駄なことを』
『―――なんだと?』
『安さが爆発してるんだよ!雪音クリスも、天羽奏も!』
『………するな』
『なに?』
『これ以上、クリスや奏を侮辱するなっ!!』
『くっ!』
感情を昂ぶらせたツナの大空の死ぬ気の炎がフィーネを吹き飛ばした、
『フィーネ、俺はお前を……許さないっ!!!』
フィーネとの戦いはブチギレたツナがXBURNERでカ・ディンギルを吹き飛ばし、エクスドライブになった私達でフィーネを倒し、月の欠片も破壊した。
そんで、あたしは正式に二課に配属になった。それからもツナには色々世話になった。唯一の中遠距離型のシンフォギアってことでスパナとかに色々サポートパーツ作って送ってもらったり、嵐の守護者の獄寺ってやつにコツを聞いたりしたって話も聞いた。
この嵐のシンフォギアリングだって、ボンゴレギアを作ったタルボって彫金師の爺さんに頼んであしらえてもらったボンゴレギアの原石の欠片を使って作られた指輪らしい。トゥリ二セッテには及ばないがそれでもあたし達が持ってる分しか存在しない最高ランクのリングらしい。
―――戦うのは嫌いだけど、仲間のためなら命をかけて戦える。その姿にいつの間にか目を奪われた。あいつはまさしく大空そのもので、空に誰もが警戒しないように、そこにいるのが当たり前のように、あたしらのすべてを受け止められる存在。
あぁ駄目だ……ガラじゃないのはわかってるけど、やっぱ惚れてんだろうな……。
―――余談だけど、あの子があいつのことを『ツナさん』って呼ぶからてっきり沢田ツナって名前だと思ってたのにおっさんから綱吉君って呼ばれるのを見て知らないうちにあいつのことを愛称で呼んでたことに気づいて恥ずかしくて死ぬかと思った。
シンフォギアリング……タルボがボンゴレギアの原石の欠片から作ったシンフォギアの紋章が刻まれた旧ボンゴレリングの形をしたリング。装者は一人一つずつ持っている。
響……晴
クリス……嵐
翼……雨
奏……大空
未来……霧
マリア、セレナ……雲
調、切歌……雷とこのようになっている。
ちなみに持っている波動は、
響……晴、大空、雷
クリス……嵐、雨、雲、雷、晴
翼……雨
奏……大空
未来……霧
マリア……雲、大空
セレナ……雲
調、切歌……雷となっている