ステータス的な1
中学三年生の八月某日。雄英高校志望の受験生である緑谷出久は勉強を終えて布団の中へと体を潜らせていた。いつもならオールマイトが考案したトレーニングもあり直ぐに眠れるのだが、珍しく寝つきが悪かったためもう少し勉強でもしようかと目を開けた瞬間薄い水色の板状の物が目に飛び込んできた。
「へぁっ⁉︎」
驚きのあまりに変な声を出した出久。明らかな異物、このような物をインテリアとして買った覚えも無ければ部屋の中に入れた覚えもない。しかし、それよりも驚くべき事はその板に書かれている文字の内容であった。
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緑谷 出久(15)
たいりょく13
ちから9
はやさ12
ぼうぎょ7
センス"2"
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板や文字が光っているわけでもないのに暗い部屋の中でも妙にくっきりと見えたその文字に出久は既知感を覚えた。というよりRPGという部類のゲームをやった事がある人なら皆既知感を覚えるであろう。
「こ、これってゲームとかに出てくるステータス…?」
そう呟いた瞬間目の前から妙な存在感を示していた板が消えた。先程まで考えていた勉強をしようという思考はさっぱり消え今出久の思考は目前に現れた板に関心が向いていた。
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次の日、いつもより少々早い時間から海浜公園へと向かった。話したいことがあるのでオールマイトにいつもより早めに来てもらえるよう連絡したのだ。海浜公園に近づくともう既にオールマイトが来てるのが見える。
「待たせてすいません!」
「いや、私も今来た所だ少年! それで話したい事って一体?」
「はい、実は……」
僕は恐らく個性が発現したこととどういう個性なのかを伝えた。
「何だって⁉︎ 個性がこの時期に発現…?」
そう言ったきり腕を組んでオールマイトは何かを考え始めた。…た、確かにこの時期に新しい個性が出るなんて珍しい所か世界でも初めてかもしれないけどそんなに悩むことだろうか?
「緑谷少年、一つ聞くがその個性が出る前に怪しい人物と接触したりはしてないかい?」
「へ? 別に怪しい人と会ったりはしてないですけど」
「となると本当に遅咲きの…」
その後も少し考え込んでいたがやがて結論が出たのだろうか、オールマイトは顔を上げた。
「うん、取り敢えずその個性を見せてもらおうか!」
「はい! ステータス」
その言葉に応えるようにステータスプレート(便宜上そう呼ぶことにした)が現れた。そこに示されている内容は昨日と何一つ変わっていない。
「これです、オールマイト」
そう言って見せるがオールマイトは困惑している。……あれ? これってもしかして
「すまないが私には何も見えてないな」
「そっ、そうですか……他人には見えない個性……いや、もしかして……」
思わずブツブツと個性の考察に入りそうになったが途中でオールマイトに止められた。
「す、すいませんつい癖で」
「HAHAHA、考えるのは良いことだが周りの事も見れるようにしなきゃな!」
「はい……あ、そうだ一つ試したいことがあるんですけど」
「うん? 何だい?」
オールマイトの許可を貰ってステータスプレートがある場所まで右腕を動かしてもらった。
「おぉっ、確かに見えないが何かあるようだ」
右腕にプレートの感触を覚えたのかそう言ってオールマイトはコンコンと叩いた。
どうやら他人には見えないだけで存在自体はする様だと特徴を一つ一つ覚えていく、気付いたらゴミ掃除の時間になっていたためオールマイトに声をかけステータスを消してゴミ掃除を始めた。
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あれから一週間が経った。オールマイトと話し合ってこの個性はワン・フォー・オールを受け継いだと同時に親に言う事にした。ステータスプレートの能力の一部と言えば『OFA』とオールマイトの個性との繋がりを考える人もいないだろう、そもそも一回個性が出たのにもう一回全く異なる個性が出るなんて冷静に考えてもおかしい。
ステータスプレートの詳細も掴めてきた為、順を追ってノートに纏めた物を見返しながらステータスと呟く。するとノートの上に一週間前より幾分か小さいステータスプレートが出てきた。このプレートの大きさを変えられるようになったのは一重に一ヶ月間の研究の成果だ。
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緑谷 出久(15)
たいりょく15
ちから11
はやさ14
ぼうぎょ9
センス"2"
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いまいち何を基準にしてるのかわからない数値ではあるが増えているということは少なくともトレーニングの効果は出ているということだろう。
「それにしても……このセンスって一体」
たいりょくやちから、はやさとぼうぎょは呼んで字の如く体力などを表している事は予測できるがセンスに関してはイマイチよくわからない。一つだけ他のステータスとは明らかに場所も違うし数字の表し方も"で囲まれている、明らかに特別な枠だ。一般的な解釈でいくと……感覚、或いは才能のことを指してる事になるけど……
出久が思考を纏めようとノートにペンで書こうとしたとき、手がノートの上に出していたプレートのセンスと書いてある所に当たった、次の瞬間ステータスの文字が今まで見た事のない内容になった。
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・思考加速 "1"
・身体制御 "1"
・精神強化 "1"
・五感強化 "3"
・限界突破 "4"
センス"2"
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「……⁉︎」
様子が変わったプレートに手に取ったペンを置き、かぶりつくように内容を見る。一通り内容を見てから考察を重ねていく。
「センスをタップするとこの内容に変わるのか、てっきり自分のステータスを確認するためだけの物だと思ってたから考えてなかったな。考えてみたらゲームとかでもステータス欄からスキルポイントを振るものが有るし全然ありえる事だったのに……」
ブツブツとオタクとしての気質を存分に活かしながら考えを纏めていく。
「となるとこの思考加速はセンスを1消費して得られる…スキルみたいな物なのかな?」
恐らく正解に近いであろう答えを導き出したので早速思考加速をタップする事にした。
本来ならばもう少し慎重になって考察を重ねていたのだろうが今まで持っていなかった個性の新しい面、そして先程まで勉強してた事で今の時刻は深夜になっており俗に言う深夜テンションも入り勢いそのままに思考加速をタップした。
するとプレートの変化は直ぐに起こった。
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・思考加速
・身体制御 "1"
・精神強化 "1"
・五感強化 "3"
・限界突破 "4"
センス"1"
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恐らくこれで思考加速が使えるようになったのだろう。人生初、明らかに自身の身体に起こるであろう変化に興奮を隠しきれないまま思考加速を使おうとして———躓いた……どうやって使うんだコレ。
「思考加速!」
……口に出して見たが変化は特に無し、ステータスプレートと同じ何かの行動によって発動すると思っていたけど違う? いや、多分何かの言葉、或いは行動がキーワードになってるのは間違いない。一体どんな言葉がキーワードで発動するんだ? それとも使うという意志が必要なのかな……?」
ブツブツブツブツと途中から口に出しながら数分程考察を重ねていくが結局使えそうには無かったので寝る準備をする為にベッドへ向かおうと椅子から立ち上がろうとして違和感を感じた。
「……? 体が重い、というかなんか動きにくい気が」
僅かに覚えた違和感は一度感じるとより一層強い違和感として襲ってくる。
「いや……明らかに体が動かしにくい、というより追いついてこない? もしかして……『思考加速』」
そう呟くと違和感はすっかり無くなり体が思うように動き始めた。僅かに感じた違和感と先程までやっていた行為を考えれば即座に何が起こっているのかは理解出来た。思考加速が発動してるが故に意識と体の認識が合わず齟齬が生まれていたのだろう。
「にしても何というか……」
『地味』、この一言に収束されるのは致し方ないといえよう。出久が想像してたのはもっと劇的な、それこそ1秒が10秒に感じられるほどの思考加速であったが実際には1秒が1.2秒に伸びた程度であったのだから。
……まぁ期待しすぎたのかもしれないと思いながら今度こそ出久は眠りについた。
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10ヶ月間地獄のような特訓を経て遂にここへとやってきた、雄英だ。朝一番に食べたオールマイトの髪の毛のことを考えながら歩いていると後ろから声が聞こえた。
「どけデク!」
「か、かっちゃん!」
そう言って苛立ったようにデクの横を通っていく勝己。その後も転びかけたり(女子と話したり)メガネの男子に注意されたりと様々な目にあったが何とか試験会場にたどり着いた出久。
「(あ、あの人、さっきの)」
「その女子は精神統一を図っているんじゃないか?」
そして転びかけたときに助けてもらった女子にお礼を言おうとしたところをメガネ男子に止められ二度目の注意を受けている時に試験が始まった。
『はいスタート!』
「……ん?」
『どうしたぁ! 実戦じゃカウントなんかないんだよ! 走れ走れぇ! もう賽は投げられてんぞ!』
その言葉を聞くや否や出久の周りにいた受験者たちは既に走り始めており、気付いた時には出久のみが出遅れる形となっていた。
「(ま、まずい出遅れた!)『思考加速』!」
即座に思考加速を使用しその後を追う。普段から思考加速時の違和感に慣れるために使っていたので初めて使用した時より違和感がほんの少し軽減した身体と加速した思考により出久は多少の余裕を持つことが出来た、しかしその余裕は一瞬にしてかき消された。
「……1P!」
『標的捕捉!ブッ殺す!」
目の前に突如仮装ヴィランが現れた。すぐさま攻撃しようとするも出久の脚はガタガタ震えて動けずにそのまま——仮装ヴィランは横から放たれたレーザーに貫かれた。
「メルスィ、いいチームプレイが出来たね、でも君とはもう会うことはなさそうだ」
「二度とって……」
『あと6分2秒〜!」
そう言いながら去っていく受験者に何か思う前に残り時間が告げられた。
「(まずい、まずいまずいまずい。)」
「ふ〜28P」
「45P!」
ドンドン増えていく受験者のPとは裏腹に減っていくヴィランの数、出久は焦りに焦って……切り札を切る事にした。
「『思考加速』ッ!」
センスは複数を同時に扱うことは不可能な為思考加速を解除、代わりに使うセンスは——
「『身体制御』」
その言葉を口にした瞬間明らかに体が動かしやすくなったのを感じた。その状態で個性を使う。
「『ワン・フォー・オール』ッ!」
出久の身体の周りをバチリと緑色の閃光が散った。
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雄英へと向かう地下鉄の中、出久は最後の確認にとステータスを開いた。
「ステータス」
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緑谷 出久(15)
たいりょく42
ちから30
はやさ37
ぼうぎょ29
センス"1"
個性「力をストックする個性」
「個性を与える個性」
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最初は個性が二つ書かれている事に驚いたがどういう仕組みか理解すればそれ程驚くような事でもないようだ……個性を与える個性で二つの個性を次の継承者へと継承していったのだろう、どうして二つの個性が一つの個性として扱われる様になったのかはわからないが。
雄英へと向かう地下鉄の中で出久は朝のオールマイトの話を聞いてから思考加速を選んで以来全く触れていなかったセンスに久方ぶりに触れた。
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・思考加速
・身体制御 "1"
・精神強化 "1"
・五感強化 "3"
・限界突破 "4"
センス"1"
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あの時とセンスの値は変わっていない、恐らくこの値は生まれた時からの先天的な者でこれからも増える事はない可能性が高かった。よってこのセンスを振り分けられるのは『身体制御』か『精神強化』のみになる。
「(個性を渡された時、オールマイトは言っていた、あくまで僕の体は急造品、100%の個性を使った時の肉体への反動は覚悟しておけと)」
なら、ならばだ、自分の体に合った出力で使えば壊れない筈だ。
個性というのは身体能力の延長線上に位置する物であるというのは今時小学生でも知っている事だ。氷を出す個性、爆破を起こす個性も全てが身体能力の延長線上である。
ということはだ、身体制御を使えば個性を制御出来るのではないか? そして出久は身体制御をタップし地下鉄に乗ってる最中に複数同時にセンスを使えるのか、身体制御の使い心地の二つを確かめた。
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流石に公共の場で『OFA』を使うわけにも行かないのでこの試験会場でのぶっつけ本番であった。とてもじゃないが切り札なんて言えない、そもそも個性とセンスを同時に使えるのかは未知数。仮に使えたとして思考加速を一番最初に使ったことを考えてみると上手くOFAを制御できるかも分からない。
それでも何も出来ずに0Pのまま試験不合格よりは遥かに試す価値のある物だった。そしてその結果は——
大きく振りかぶって突き出した拳は2Pの仮想ヴィランの胴体を貫いた。基板がショートしたのか爆発して粉々になった2Pを横目に次なる仮装ヴィランを探しに緑の閃光が動き始めた。
「これで10P……!」
——予想以上の結果を生み出していた。センスの身体制御を全て個性を制御するために使っているからか無駄な動きが目立つがそれでも先程までを遥かに凌駕する動きを緑谷出久にもたらしていた。
しかし、いつまでその状態が持つか分からない、身体制御を持っても完全には制御しきれずにほんの僅かに許容量を超えて痛みを発することがある。出久としてはなるべく早めに合格ラインまでポイントを稼ぎたいところではある。
「(恐らく全体の出力の1割以下…いや、5%も引き出せてないけどそれでも)りゃあっ!」
3Pが目に入った瞬間には何か言葉を発する暇もなくキャタピラを破壊され行動不能になる、そうなれば後は胴体を狙って殴るだけで戦闘不能になった。
全体の内の5%未満、数字で見ると恐ろしく小さいがそれでもこの試験程度ならばなんとかなる程の力を『OFA』は秘めていた。
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暗闇の中で十数名の教師達が受験生達の様子を見ていた。その中にはこの春から教師になる予定のオールマイトも居たが、緑色のイナズマを纏いながら仮想ヴィランを倒している出久を見てその胸中は驚きに包まれていた。
「(この短期間でOFAを制御出来るように……⁉︎ 私も最初は0か100のどちらかでしか扱えなかったというのに……)」
オールマイトはOFAが譲渡される前から既に器が出来上がっていた為100%に耐え得ることもできたが制御出来ていたかというとそういう訳ではない。徐々に慣れていくうちに力を10%を維持、20%を維持、30%を維持するなどと制御出来るようになっていったのだ。故に初見で自分の限界ギリギリを見極め、ある程度は使えている(様に見える)出久に対する驚きは大きかった。
そして、教師の中に紛れた一際小柄なネズミが言葉を発した。
「この入試は敵の総数も配置も伝えてない、限られた時間と広大な敷地そこから炙り出されるのさ。情報力、機動力、判断力、そして純然たる戦闘力…市井の平和を守る為の基礎能力がP数という形でね」
それに続いて教師達も今年の受験生に対する言葉を口にする。
「今年は中々豊作じゃないか?」
「いやーまだ分からんよ」
「真価を問われるのはこれからさ」
ポチりとスイッチが押された。
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何処からともなく破壊の音が聞こえてきた。
「なっ、なんだ、あれ……」
そう呟いた出久の目の前には圧倒的な破壊と暴力があった。
モニター越しに『お邪魔敵』として配置した0Pの暴れっぷりを見ながらネズミは言った。
「圧倒的脅威、それを見た人間の行動は正直さ」
事実その通りであった。受験生のうちの大半はお邪魔敵から背を向け破壊から逃れようと必死になって離れていく姿が写っていた。そしてまた、緑谷出久もそのうちの一人であった。
幾ら『OFA』を多少扱えるようになったとは言え緑谷出久はビビリ癖がある為、お邪魔敵というギミックに驚き腰を抜かした。そして0Pから離れようと腰を抜かしながら必死に逃げようとしてる時に後ろから声が聞こえた。
「シャレにならんっ、逃げなきゃ逃げつつポイントを、まだ10Pだ! 無駄になっちゃう、オールマイトがくれた全部無駄に……ッ!」
「いったぁ…」
「(……この声、さっきの)」
後ろを見るとそこには雄英高校の校門で転びかけた時に助けてくれた女子が瓦礫に脚が挟まったのか動けずにいた。その様子を見た出久は即座に助けに行こうとするが
「(瓦礫をどかす…いや、間に合わないか!)」
瓦礫をどかす事自体はOFAを使えば出来るだろう。しかしいつ暴発するか分からない爆弾を抱えたままあの女子の脚の怪我を気にしつつ離脱するなどといった芸当は今の出久には出来なかった。あのお邪魔ヴィランのスピードから人間一人を背負って離脱するにはOFAを使わざるを得ないが個性の制御を間違えたら抱えた女子ごと吹き飛ぶ事は間違いない。
故に取るべき選択は一つに絞られた。
「はぁっ……ハァッ」
息を切らしながら先程までとは違い限界を超えた力を使用してヴィランへと走り出す。OFAの全体の1割程の力は使えているだろうか。そしてそのまま脚へと100%のOFAを集中させ
出久は跳んだ。その身体は重力から解き放たれたかの様に0Pヴィランの顔の近くと突き進む。
個性の制御にフルに回していた『身体制御』を通常の状態へと戻してパンチを放つ為の体勢へ入る。
「(ケツの穴グッと引き締めて心の中でこう叫べ!)」
技術はいらない、ただ全力で拳を振り切ればいい。それだけで十分
「(SMASH!!!)」
圧倒的な破壊力を得られるのだから。
その拳を受けた0Pヴィランは顔をヘコませ、身体中の関節を爆発させながら後ろへと倒れていった。そしてその0Pヴィランを破壊した出久は現在空中から真っ逆さまに落ちていた。
「『身体制御』『思考加速』(やばいやばいやばいやばい!)」
身体制御を解除して思考加速に切り替えるが状況を変えうる一手にはなり得ず寧ろ落ちるまでの絶望の時間が先延ばしされただけだ。
「くっ…(左腕で下に向けて SMASHすればなんとか)」
しかしそうなった場合残った左腕すらも使い物にならなくなり合格は絶望的になる。だが、残された手段がこれしかないのもまた事実である。
「あぁぁああああ!!!」
出久が左腕に力を込めようとした瞬間、横から平手打ちされた。そしてそのまま真っ逆さまに地面へ落ちるかと思いきや寸前で浮いたままになる。
「か、解除……!」
そして平手打ちした女子、転びかけていた時に助けてくれた女子が個性を解除すると同時に周囲に仮想ヴィラン達と出久、そしてその女子が乗っていたヴィランの部品らしき者が落ちた。
「(助かった……いや、助けられたんだ、あの人無事か? とりあえず怪我はない……そんで、ありがとう!)ゔっゔう、せめて、もう1Pだけでも‼︎」
出久がほっとしたのも束の間、すぐ様まだ10Pしか取れてないことに気付き動こうとするが試験が終了した。
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一週間後、出久は魚と微笑みあっていた。
「出久……出久⁉︎ ちょっと大丈夫?何魚と微笑みあってんの⁉︎」
「ああ、ごめん、大丈夫」
筆記の方は大丈夫だろうけどそれを打ち消す10Pという余りにも頼りない点数。そして入試以降オールマイトと連絡がつかなくなった。ごめんなさいオールマイト、でも僕は正しいと思うことをしたんだよ。
「出いずいずく出久!」
慌てながら母が持ってきたのは雄英高校からの小さな封筒、通知だった。
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渡された封筒を自分の部屋の勉強机に座りながら見つめる……いつまでも見つめていてもしょうがないので両手を使って思いっきり横へと引きちぎった。それと同時に中から出てきた機械が机へと落ちると同時に再生ボタンが押されたのかホログラムが再生される。
『私が投影された!』
「オールマイト⁉︎」
雄英から届いた物なのに何故オールマイトが? という疑問は雄英に彼が勤めることになったと聞いて解消された。連絡が取れなくなったのもその関係で忙しかったかららしい。
『合否発表だが、筆記は取れていても実技は10P、当然不合格だ』
わかってた、わかってたけど、悔しい……!
『それだけならね』
「……?」
『私もまたエンターテイナー!こちらのVTRをどうぞ!』
そこで流れて来たのはあの時の女子が僕に自分のポイントを分けられないかと先生へ相談しているところだった。
『あの人せめてもう1Pって言ってて、せめて私のせいでロスした分……!」
『個性を得て尚君の行動は人を動かした』
『あの人、助けてくれたんです!』
『先の入試! 見ていたのは敵Pのみにあらず!』
まさか、そんなことがあるのかと思わず椅子から立ち上がる。
『レスキューP、しかも審査制! 我々雄英が見ていたもう一つの基礎能力!緑谷出久60P!ついでに麗日お茶子45P』
「む、むちゃくちゃだよ……!」
『合格だってさ、来いよ緑谷少年、此処が君のヒーローアカデミアだ!」
堪えきれずに出て来た涙を拭って返事をした。
「はいっ!」
う〜ん微妙、習作なので許してくんさい
続きはやる気が出たら書く