翌日。日曜日のため、草薙は古城の家を訪れていた
「こんにわー。隣に越してきた霊桜草薙でーす」
「莉緒だ」
「…お前らもか。まさかとは思ってたけど隣にきたのか…」
「そういうわけだ。ちとお邪魔するぞ」
草薙は莉緒を連れて暁家に踏み込んだ
妹の凪沙は姿が見えない。部活らしい
「古城、頼みがある」
「すでに呼び捨てされてる…。なんだよ?」
「莉緒の服を買ってやりたいんだけど、センスが俺も莉緒もなくてな…。なんかセンスよさげな女子知らない?」
「…あー、浅葱ならセンスいいと思う」
「藍羽浅葱…電子の女帝か。じゃあ呼んでくれ。あとお前もこい」
「えー…。今日はゆっくり休むつもりだったのに…」
「じゃあ別の人に頼むか。いやぁ、焼肉屋連れてこうと思ってたんだけど無理強いはできないもんなー」
「今すぐ行こう俺たちの仲じゃないか」
「現金なやつ、というのはこのようなことを言うのだな」
「そうだ、こういうやつにはなるなよ、莉緒」
「貴様は私の父親か」
焼肉につられた古城が浅葱に電話をかける
ちなみに今莉緒が着ているのは夜架が持ってきたものなのだが、下着はなく、さらに草薙のパーカーのみだったため、風が吹けば事件が起きる
構造上は人間と何ら変わりないのだ
「準備できたぞ。すぐ行くのか?」
「おう。獅子王機関に気づかれないようにな」
草薙は空を飛ぶ無数の式神を撃ち落とし、その瞬間に空間転移を使って移動した
どうやら空隙の魔女の能力は、災厄として認識されたらしい
(けど、やっぱ《災厄者》を経由して魔術使うと魔力消費エグいな。空間制御術式、だっけ。普通に習得したほうが良さそうだ)
「どうしたんだ?」
「いや、なんでもない。それよりここが藍羽浅葱の家で良かったか?お前の記憶から辿ったらここだったんだけど」
「あってる。って記憶をたどった!?」
「うん。いやそんな驚かれても…」
草薙は古城に電話をかけるように言って、問題ないという回答が来たのを確認して藍羽浅葱が出てくるのを待った
「お待たせ、古城。あれ?その人が例の…?」
「第零特務機関第二部隊隊長、霊桜草薙。よろしくな」
「藍羽浅葱よ。よろしく」
(派手な小娘だな。まぁ歳は同じなんだけどさ)
草薙はそんな失礼なことを思いながら、空間制御でデパートの屋上に転移した
「おま、空間制御術式使うなよ」
「いいじゃねーか。俺はもう第零機関って名乗っちゃってるし」
「何こそこそ話してるのよ。で、その子が服を用意したいっていう莉緒ちゃん?」
「いえすいえす。この子に似合う服を選んでやってほしい。金はないから、このカードで払っといてくれ。君の服も買っていいからさ」
第零機関の者たちはそれぞれ、クレジットカードを持たされている
法人カードということで、あまり制限がない
「ふーん。私のもいいんだ。いくらまで?」
「別にいくらでも構わないよ。強いて言うなら百万まで」
「人の金でそんな買わないわよ」
「へー??」
古城が訳知り顔でわざとらしく首を傾げている
が、浅葱はそれをガン無視して入口に向かって歩き出した
屋上といっても駐車場だ。出入口はある
しかし利用されることは稀である
「莉緒、浅葱嬢についていけ。いいものを選んでもらうといい」
「了解した。第四真祖はこないのか?」
「あー…古城は今から、国家公認ヤンデレストーカーに怒られる重大な仕事があるんだ」
「え?」
「ふむ、そうか。わかった、後ほど連絡しよう」
浅葱と莉緒についていこうと歩き出した古城の背後に、槍を持った雪菜が立っていた
「どこに行くんですか?先輩」
「…勘弁してくれ」
雪菜は笑っていた。しかし、目が笑っていなかった