雪霞狼だったものを装備して、草薙は屋上へと飛び出した
莉緒が遅れてついてきているのを確認しながらではあるが
そしてそこにいたものを視認する
「…
呼ばれた少女は何も答えない
草薙は躊躇いなく槍をつきさそうとした。が
「…逃げられたか。いや、能力的にあいつじゃないはずだけど…」
そんなことをつぶやくのとほぼ同時、草薙はバックステップで回避行動をとった
振り下ろされたのは銀色の剣。獅子王機関の兵器、
「…獅子王機関舞姫、煌坂か」
「…流石は第零機関というところね。いまのを避けたのも中々だわ」
「基本技能だ。今みたいに遅い太刀筋じゃ躱してくださいって言ってようなもんだし」
草薙はそういって恩恵を起動した
空には雷雲が立ちこみ始め、海が荒れ出し威嚇する
「これが恩恵…ギフトってやつね。やっぱり危険だわ。ここで排除しないと…」
剣を振るって草薙を斬ろうとするが、草薙はバックステップのみで回避を続ける
ポケットに手を入れてることから、完全にナメているのだ
「やれやれ。莉緒!その槍を俺によこせ!」
「これか?真っ黒だな。ほれ」
草薙は投げられた雪霞狼だったものを掴み、魔力を流し込んで起動した
草薙の魔力で起動し、霊力と魔力を打ち消す神格振動波を発する
「それは、雪菜の…!」
「なんか壊しちまったっぽいけどな。さて、戦闘再開といこうか?」
草薙がニヤッと笑い、槍を構える
構えは雪菜のものと全く同じだ。それを見て紗矢華が勝ちを確信する
今まで雪菜と戦闘訓練をしたこともある。そのため、同じものを模倣したのであれば対応も考察できると考えたのだ
しかし
「天津、禍津。自立攻勢モード」
召喚された二本の両刃剣が、草薙の周りを飛行し始めた
(テメエが姫柊雪菜の型を知ってるのはわかってんだ、対策するに決まってんだろ)
「楽しませてくれ」
草薙は雪菜を見て学習した槍の型を真似て接近、攻撃を仕掛ける
紗矢華は既に戦意喪失といった具合で、防御に徹していた
「擬似空間切断か」
草薙は回避すると同時に違和感に気付いた
そしてその空間切断によって生じた亀裂を雪霞狼だったもので無力化する
「チェックメイト」
紗矢華の首に槍の切っ先を向けて、草薙が宣言した
《災厄者》によって具現化された
「言い訳は聞いてやるよ、獅子王機関。戦力として使って、事態が片付いたら殺しに来るなんて卑怯すぎるぜ。まぁ意味ないけどさ」
草薙は笑いながら言った
莉緒が魔力を使い、プレッシャーを与える
「…獅子王機関は関係ないわ。私の独断よ。あなたは危険すぎる。魔導犯罪を未然に防止するのも、私たちの仕事だから」
「…どうやら一枚岩ではないらしい。ってーことでどうしましょうか黒鉄さんや」
「…その呼び方やめろ」
草薙の影から黒鉄が直立状態で浮かび上がり、地面より上に出たところで草薙の影が薄くなった
黒鉄の能力に由来する技だ
「ここで殺しておこう。主からは許可をとってある。デパートまるっと催眠してるし、言い逃れはできないからな。殺しても文句は言わせんよ」
「ふーん。殺していいんか、じゃあ天撃使うかなぁ」
紗矢華が拘束され自由が効かない体で後退りする
しかし背後にまわった莉緒に行き場を塞がれた
「えーと、使ったことないからデバッグしながらやるか。えー…アーカイブより能力を検索…完了。霊力を龍脈から補充、魔力は自前。次に…水素と酸素の混合気を圧縮…火種を真空で覆って中に配置。よし準備完了」
草薙の掌の上に、青色の球体が出来上がっていた
それを紗矢華に向ける
「第零機関を敵に回したのが悪かったね、獅子王機関。姫柊雪菜も、消すしかないか」
草薙は球体を紗矢華に向けて放った