草薙は見ていた
スピリダスが予告もなく飛ぶ瞬間を
(スクランブルか…?俺に連絡できないほど急に?ってなると襲撃か)
草薙は立ち上がり、雪霞狼だったものを掴む
雪菜に届いた雪霞狼は、アイリスが作ったもの。であれば本家より性能はいいはずだと考え、草薙はこの場を雪菜と古城に任せることにした
「すまんが少し出る。スピリダスがスクランブルした。姫柊雪菜のところに連絡は?」
「特に何もありません。第零機関の問題なのでは?」
「そういうことだな。…うん?あれは…飛行戦艦!?現代の技術じゃまだ作れないはず…ってことは、まさか…!」
草薙は窓から飛び出し、携帯電話で主たる夜斗を呼び出す
しかし、応答はない
「もう来やがったのか、暁の帝国…!」
夜斗は過去に、『暁の帝国』を名乗る組織が、現代の絃神島を襲撃してくることを予測していた
その日取りまではわからなかったものの、かねてから訓練を重ねてきたのだ
スピリダスとの砲撃戦が始まった
スピリダスの武装は空対空広範囲破砕弾頭と、大陸間弾道ミサイルの二つのみ
あのままでは確実に撃墜されてしまう
「くっ…!眷獣も射程外だな…、仕方がない。シフトアップ、フォースギア」
草薙の中にある魔力のギアが一つ、上がった
これは魔力の放出量や圧力に関わるもので、ギアを上げれば上げるほど放出量が増える
しかし圧力が低下するため、ギアが一つ上がるごとに単発の威力が半分になる
2つ上がれば更に半分、3つ上がればもう半分…と徐々に減少していく
最大のオーバーギアにすると、元の4%以下になるが、射程は約30倍
であれば通常時の1段階上、フォースギアまででも眷獣――というより《
「!あれは…F35か!ってことは乗ってるのは主…!?」
草薙は驚くと同時にギアを戻した
そして走り出し、空間転移を思い出して転移する
「あの光は…汎用恩恵の《
こういうときに限って、夜斗に次ぐ実力を持つ夜架が非番である
草薙は舌打ちをしながら、雷雲を発生させて戦艦に高圧雷を落とした
しかし
(あれで落ちねぇのか…!)
全く効果があるように見えない
「
ギアをトップ…つまりは5に上げて、眷獣を放つ
これにより、古城が使うときの半分程度になったはずではあるが
「は!?雷で撃ち落とした!?」
『草薙か』
「主!どうなってやがる!?」
【夜摩の黒剣】が撃ち落とされた以上、トップギアでは眷獣を使う意味がない
そのため、急に通信してきた夜斗に問うしかなかった
『第四真祖の第二世代だ。トップギアにしたら叩き潰せない。ファーストに入れろ』
「けどそれだと、古城が使うときの10倍近くなるぞ!?」
『問題ない。紗奈の《
「…了解。責任はとってくれよ?」
草薙はギアをファーストに入れた
単純計算では、サードで放つときの4倍だ
しかし、古城と同じ威力にするためにはフォースギアにする必要がある
つまり、ファーストギアで放った場合は8倍の威力
普通に使えば島どころか本州まで影響が出てしまう
「…ギア、ファースト。
第四真祖のものであるはずの巨大な剣型眷獣の色が、一段と黒く見える