ストライク・ザ・ブラッド 災厄を操る者   作:本条真司

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第20話

「じゃあ俺真下やる。草薙は北側、雪音は南側な」

 

 

勝手にそう言って黒鉄は空中に恩恵で足場を作り、それを蹴って落下速度を加速させた

 

 

「行くぜ、《暴喰者》!」

 

 

黒鉄から溢れ出す濃密な闇が何匹かの生物をかたどる

それは空を飛ぶような見た目をしていないものの、地上に降り立つと同時に徘徊を始めた

黒鉄は黒鉄でビルの屋上に着地し、恩恵を準備する

 

 

「全く勝手だよな、あいつ。じゃあ雪音、頼んだ」

 

「はい。久しぶりに恩恵をフルで使えますね」

 

 

雪音は取り出した大剣を構えた

それは夜斗が持つものとほぼ同じ大きさで、雪音の細い腕では持つことさえ厳しいように見える

しかしそれを、雪音は片手で持ちながら南を見た

ちょうど雪菜が魔術回路を破壊し、落下し始めた欠片が宙を舞っている

 

 

「《破壊者》ブースト・セプタ!」

 

 

雪音の霊力が異常なレベルに増強される

そしてその霊力を乗せて、剣を振り抜く

と、霊力が斬撃のあとをなぞるように飛来し、広範囲に拡散した欠片を破壊していく

振り抜いた剣に霊力を乗せて斬撃を飛ばす。これ自体は雪菜にも教えればできることだ

しかしそれを、半径数百メートルの範囲で1キロほど飛ばすことは夜斗をもっても難しい

 

 

「最初っからとばすなぁ…。天津!禍津!」

 

 

草薙が召喚した双剣が合体し、さらに元雪霞狼である氷月歌と融合した

巨大な槍となったそれを、草薙は全力で投げる

 

 

「《災厄者》災厄顕現。神槍スピア・ザ・グングニル!」

 

 

真っ直ぐに巨大な欠片を破壊したあと、速度を落とさずに縦横無尽に空を飛ぶその槍が、周囲の欠片を破壊していく

順調にも見えたが、一つ巨大な欠片が、3人の守る場所を離れて長距離へと飛ばされていくのが見える

 

 

「間に合わねぇ…!黒鉄!雪音!」

 

「無理だ!もうアラガミを召喚できねぇし、俺が喰うには遠すぎる!」

 

「私の斬撃の飛距離では届きません!」

 

「眷獣も間に合わねぇぞ…!」

 

 

草薙がそれでも足掻こうとビルの屋上を踏みしめようとしたとき、欠片が消失した

欠片の向こう側に見えるその人影は…

 

 

「夜架…」

 

 

非番であるはずの夜架が腕を振るった。それだけで消えた

第零機関のいう非番というのは、原則的には本州の本拠点にいるという意味だ

それなのに、ここまで来て欠片の破壊を実行した

 

 

「無茶しやがって…」

 

 

草薙が呟くと同時に、夜架が落下を始めた

もう満身創痍だったのだろう。落下に抗うための恩恵すら起動していない

 

しかしその夜架の姿が消えた

 

 

「私を置いていくとは水臭いではないか、草薙」

 

「莉緒…!正直助かった」

 

「すぴりだす?に置いていかれたときには500回ほど殴ろうとも思ったが、その言葉が聞けただけいい。許そう」

 

 

草薙の背後に夜架を抱えた莉緒がいた

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