翌日。彩海学園高等部古城のクラス
「えー…霊桜草薙です。まだちょっと絃神島に慣れて無いとこありますけど、そのへん含めて仲良うしてください」
尚、莉緒は中等部三年生…つまり雪菜と同じ学年クラスとして編入した
それは夜斗が手配した戸籍で入っているため、名字を名乗らざるを得ない
草薙には元々名字があるため大した苦労ではないのだが
「では暁、この小僧の世話は任せたぞ」
「えぇ…これ以上負担をかけるのはやめてくれよ那月ちゃん…いたぁ!?」
「教師をちゃん付けで呼ぶな!何度言ったらわかる!」
飛来した本が直線で古城に衝突し、古城は悶絶している
(騒がしい奴らだな…。つかこの教師どこかで…見たことあるような…?)
草薙は昼休みの時間にスピリダスに問い合わせた
といってもメインシステム内蔵AIの「アイ」に連絡をしただけだが
(零の元同級生…?こんなチビが…?)
草薙は送られてきたデータを読みながら経口保水液を飲み干した
草薙は暑さに弱く、適度に水を飲んでいても脱水症状を引き起こす
そのため、適時経口保水液の摂取が必要なのだ
「アイ、少し聞きたい」
『はい?』
やけに人間的なイントネーションでアイが答えた
不機嫌そうなその声の裏側に、頼られたいという基本設計が見え隠れしている
「零と那月の関係について詳しく」
『簡単なことです。零さんはこの時空にて、南宮那月をオトした唯一の存在であり、あの人を悲しませることができた唯一の存在であります』
「零彼女いたんか」
『この時空で十年前ですけどね。私たちがいた時空では百年前といったところでしょうか』
零というのは、草薙が年端もいかない幼子だった頃から第零機関…当時は図書館という組織だった…に所属していた
そこから既に50年は経過している
零は草薙や黒鉄にとっては父のような存在だったのだ
(あの父親みたいな貫禄は、この世界で身につけたのか)
『補足しますと、零さんは元々第零真祖と呼ばれる5番目の真祖でした。しかしそれを嫌ったエネミーがこの世界から強制的に私たちの第十三時空に送り込んだんですよ。その時、夜斗様が零さんを拾ってますが、その直前に捨て子だった貴方と黒鉄様が保護されたんです』
「第零真祖…。最近出現した、5番目とは関係ないのか?」
『あれはあくまでも別時空の者ですよ。確か、第一時空の真祖。夜桜
アイはわざとらしく首を傾げた
彼女が知り得ない情報はただの一つもない
それを草薙や夜斗たちに教えるかどうかは彼女の期限次第ではあるのだが
「じゃあその一樹、ってのを撃墜すればいいのか?」
『そうなりますね。こちら側につかなければ第一時空に送り返して、つくようでしたら非常勤として雇うのが得策かと』
「どっちにしてもめんどくさいな」
鐘がなり響く
草薙は既に授業開始の5分前であることに気づき、教室へと戻った